Yearbook of Asian Affairs
Online ISSN : 2434-0847
Print ISSN : 0915-1109
[title in Japanese]
[in Japanese]
Author information
MAGAZINE FREE ACCESS FULL-TEXT HTML

2018 Volume 2018 Pages 417-432

Details

2017年のティモール・レステ(東ティモール)

概 況

2017年は5年に一度の国政選挙の年であり,3月に大統領選挙が,7月に国会議員選挙が行われた。大統領選挙ではティモール・レステ独立革命戦線(FRETILIN)のフランシスコ・グテレス・‘ルオロ’が勝利,国会議員選挙でもFRETILINが辛くも勝利した。その後FRETILINは民主党と連立を組み第7次憲政内閣を発足させたが,議会過半数を占める野党連合の反対に遭い,2017年度補正予算,2018年度予算をはじめとする重要法案を成立させられないまま年末を迎えた。対外関係では,インドネシア,中国などのアジア太平洋地域の重要国との経済面・軍事面での関係を強化する傾向が続いている。隣国オーストラリアとは2006年に締結された特定海事アレンジメント協定(CMATS)を破棄することで合意した一方,国際仲裁裁判所の調停の下で海洋境界策定協議を開始し,節目の年となった。

国内政治

大統領選挙

大統領選挙は,3月3日から17日までの選挙戦期間を経て,3月20日に投票が行われた。大統領選挙に立候補したのは,政党の支持を受けたアントニオ・ロペス(ティモール社会党),フランシスコ・グテレス・‘ルオロ’(FRETILIN),ジョゼ・ルイス・グテレス(フレンティ・ムダンサ),マリア・アンジェラ・フレイタス・ダシルバ(労働党),アントニオ・コンセイサォン(民主党)の5人のほか,無所属のジョセ・アントニオ・ネヴェス,アモリン・ヴィエイラ,ルイス・アルヴェス・ティルマンの3人,計8人であった。

選挙は,大きな選挙違反・暴力などの報告もなく行われ,投票から5日後の3月25日,選挙管理委員会がルオロ候補の当選を発表した。ルオロは1954年生まれの62歳(当選当時)。独立運動の元指導者の1人で,2007年以来最大野党FRETILINの党首を務めてきた。自身の所属政党であるFRETILINのほか,シャナナ・グスマン計画・戦略的投資大臣(元大統領/前首相)率いるティモール・レステ国民再建会議(CNRT)からも支持を得て当選を果たした。次点は32%の票を獲得した民主党のコンセイサォン候補であった。ルオロは2007年と2012年の大統領選挙にも出馬したが,CNRTが推した候補に決選投票の末,敗れていた。2017年の大統領選挙ではCNRTがルオロの支持を表明したことでルオロが過半数の票を獲得し,憲政史上初めて決選投票のない大統領選挙となった。

国会議員選挙

国会議員選挙は,6月20日から7月19日までの選挙戦を経て,7月22日に投票が行われた。国会議員選挙には,選挙前に国会内に議席を有していたCNRT,FRETILIN,民主党,フレンティ・ムダンサを含め21政党が参加し,比例代表制で争われた。

選挙の結果,議会内の勢力図は大きく変わることになった。選挙前65議席中30議席を擁する最大与党であったCNRTは29.5%の得票にとどまり,議席を8つ減らして第2党となった。選挙前第2党であったFRETILINは,支持基盤である東部3県で他党に大きく差をつけて勝利,全体でも29.7%の票を得て辛くも勝利し,第1党に復帰した。各党の獲得議席は,FRETILIN23議席(-2議席),CNRT22議席(-8議席),人民解放党8議席(+8議席),民主党7議席(-1議席),ティモール国民的統一醸成党(KHUNTO)5議席(+5議席)である。既存の政党は軒並み議席を減らし,フレンティ・ムダンサが議席を失った一方,新たに設立された人民解放党が8議席,これまで国会に議席を持っていなかったKHUNTOが5議席を獲得した。

人民解放党は,反汚職委員会(KAK)の初代委員長を務めたアデリト・ソアレスが創設を取り仕切り,2017年からはタウル・マタン・ルアク前大統領が党首を務める政党である。ルアク前大統領は,2013年に始まった与党CNRTと最大野党FRETILINの連携「コンセンサスの政治」に異を唱え,ネポティズムの政治を厳しく批判してきた人物であり,ルアク率いる人民解放党の躍進はCNRT=FRETILIN連携への批判票を集めた結果といえる。一方KHUNTOは,ジョゼ・ドス・サントス・‘ナイモリ’・ブカールらが中心となって立ち上げた政党である。ナイモリは,心身の鍛錬を目的として格闘技を教授する集団「格闘技集団」の元指導者で,傷害事件に関わったとして2004年から2年間懲役刑に服した経歴を持つ。「格闘技集団」は構成員による暴力事件が絶えず社会問題と認識されることもある一方,教育の機会に恵まれない若者や失業者の受け皿となってきた側面も持っており,KHUNTOは教育や福祉の充実を訴えて職のない若者などの間で支持を広げた。

2017年の選挙では,CNRT=FRETILIN連合が推進してきた大規模開発を継続するのか,タウル・マタン・ルアク前大統領が主張したように教育・福祉や農業など,人々の生活に密接に関わる分野への予算配分を増大させるのかが争点となった。人民解放党やKHUNTOが支持を伸ばしたことは,後者が一定の支持を得たものといえる。また2017年の選挙は,政治の場での世代交代の始まりを感じさせるものとなった。CNRT党首のグスマンやFRETILIN書記長のマリ・アルカティリが70歳前後に達するなか,大統領選挙では60代前半のルオロ候補と50歳のコンセイサォン候補が争うこととなった。また国会議員選挙では,若い人々の間で支持を伸ばした人民解放党やKHUNTOが躍進した。

FRETILIN=民主党政権の成立

国会内第1党となったFRETILINは選挙後,他政党との連立を模索したが,その交渉は難航した。当初FRETILINのアルカティリ書記長はCNRTとの連携を継続する意向を示していたが,8月初旬になってCNRTが連立政権への不参加を表明した。そのため,FRETILINは民主党,人民解放党,KHUNTOなどとの連立交渉を開始,8月下旬にFRETILINは民主党とKHUNTOと連立を組むことを発表した。しかし閣僚構成発表の直前になってKHUNTOが急遽政権への参加を辞退,FRETILINは残された民主党とともに連立政権を発足させることとなった。

9月5日に新国会議員の任命・宣誓式が行われ,6日にはFRETILIN書記長のアルカティリが首相に,同じくFRETILIN所属のアニセト・グテレスが国会議長に指名された。9月15日には首相就任式と11人の閣僚の就任式が行われ,第7次憲政内閣が発足した。この日就任した閣僚のなかには,ラモス・ホルタ(元大統領)国家治安担当国務大臣のほか,ルイ・マリア・アラウジョ(前首相/元保健大臣)保健大臣,タウル・マタン・ルアク前大統領の下で首席補佐官を務めたルイ・ゴメス財務大臣などが含まれる。またアジオ・ペレイラ(前国務大臣)は国境策定問題担当の副首相に任命された。閣僚の選定はその後も続き,10月3日に21人が,17日に5人が新たに任命されている。

また,組閣と同時に省庁が再編成された。グスマン(元大統領/元首相/CNRT党首)が担当大臣となっていた計画・戦略的投資省が廃止され,新設の開発・制度改革省の下に統合されるなど,2008年以来続いたCNRT政権からの行政の刷新が図られた(法令第35番)。省庁は14に再編され,これを統括する第7次憲政内閣は首相,2副首相,4国務大臣,15大臣,13副大臣,7国務長官,(内4人の兼任を含む)計38人から構成されることになった。なおこれらの閣僚の所属は,FRETILIN17人,民主党7人のほか,人民解放党4人,ティモール民主同盟(UDT)とCNRTそれぞれ1人,無所属8人となっており,アルカティリ内閣は与党以外からも入閣する寄り合い所帯となった(詳細は「要人名簿」参照)。

新内閣と野党連合の対立

ティモール・レステでは2013年,CNRTとFRETILINという2大政党が連携して「コンセンサスの政治」を宣言し,以来,国会内に実質的な反対勢力が存在しない状態が続いていた。しかし,2017年7月の選挙を機にFRETILINが民主党と連立を組み直し,さらに10月にCNRTと人民解放党とKHUNTOの3党が「国会多数派連合」(AMP)を結成したことで,国会内では小さな連立政権(30議席)と大きな野党連合(35議席)が対立する構図が明確になった。

両者はまず「政府プログラム」をめぐって対立した。ティモール・レステ共和国憲法は,新しく成立した政府に新政府の主な政策目標や活動を示した「政府プログラム」を策定し,国会で承認を得ることを求めており(第108条),同時に「政府プログラム」が本会議で2度続けて否決されると政府は総辞職に追い込まれることを定めている(第112条)。政府は「政府プログラム2017-2022」を策定し,10月10日に国会に提出したが,野党連合が多数を占める国会は19日,反対の理由を示さないままこれを否決した。その結果,政府は「政府プログラム」の修正案を国会に提出しなければならない一方,もしこれが再度否決されれば辞職に追い込まれるという困難な状況に立たされることになった。

「政府プログラム」が否決されるなか,次年度予算の審議は滞った。予算・財政管理法第31条は,新年度国家予算が成立しない場合,月単位で前年度予算の12分の1の予算を執行できると定めている。2018年度国家予算の成立の遅れを見込んだ政府は,2018年の各月に執行可能な予算の増額を図ることを目的として2017年度補正予算の成立を目指した。政府は補正予算案を11月9日に国会に提出したが,これは20日に野党の反対多数で否決された。一方野党連合は,同じく20日,政府が「政府プログラム」の修正案を議会に提出していないことと,「政府プログラム」が承認されていないにもかかわらず補正予算を成立させようとしていることを問題として,第7次憲政内閣とグテレス国会議長に対する問責決議を国会に提出,可決した。

12月に入っても政府と野党連合の対立は解消しなかった。12月6日,政府はあらためて2017年度補正予算案の修正案と予算・財政管理法改正案を国会に提出した。しかし野党は「政府プログラム」の審議と採決を先に行うべきとしてこれに応じず,さらに19日にはグテレス議長に対する辞職勧告を決議した。

2018年に入り,政局はさらに混乱の度合いを深めている。1月上旬,野党連合はグスマンCNRT党首を首相とする影の内閣の人事を定め,ルオロ大統領に第7次憲政内閣を免職としたうえで野党連合に組閣させるよう要請した。これに対し,連立政権は野党連合に「政府プログラム」と2018年度予算に同意するよう要求する一方,大統領には野党連合が協力しない場合には議会を解散し総選挙を実施することを要請した。2017年7月の国会議員選挙から半年が過ぎた2018年1月26日,大統領が議会の解散を宣言し,再度の総選挙が行われることになった。

経 済

2017年のティモール・レステ経済は減速傾向となった。非石油部門における実質経済成長率は2014年が4.3%,2015年が4.0%,2016年が5.5%だったが,2017年は3.0%程度と予測されている(IMF推計)。大統領選挙と国会議員選挙,およびその後の国政の混乱が影響して,政府支出が滞ったことが原因のひとつと見られる。一方で民間消費は堅調で,車両登録数の増加,外国からの訪問客の増加,消費財輸入の増大など,2016年に見られた傾向を引き継いでいる。年次インフレ率は,2014年には0.7%,2015年には0.6%,2016年には-1.3%であったが,2017年は1.0%と予測されている(IMF推計)。輸入食料品や飲料の価格回復を背景に,2017年は前年のデフレ傾向を脱却する見込みである。

ティモール・レステは,国家収入の大部分を石油関連収入に頼っている。石油関連の収入はいったん石油基金に納められ,その後,国家予算に組み込まれる。2017年の石油基金から国庫への移転は2016年の12億450万ドルより少ない10億9222万ドルであったが,石油収入に頼った財政状況に変化はない。基金に入る石油関連の税収・ロイヤルティー収入の総額は,石油生産量の減少や原油価格の低迷を背景に2012年の35億6000万ドルをピークに減り続けており,2015年が9億7900万ドル,2016年には2億2400万ドル,2017年には4億2169万ドルとなった。2017年には原油価格がやや持ち直したことで減収に歯止めが掛かった格好である。一方,2017年の石油基金の投資収益は16億3040万ドルの大幅な増加となった。基金が保有する株式の評価益が増加したことに加えて,基軸通貨である米ドルの下落を背景に他通貨による投資収益の米ドル建て評価額が上がったためである。こうしたことから,2017年12月末時点での石油基金の資産総額は168億ドルと,2016年末と比べて10億ドルほどのプラスとなった。

対外関係

対中国

2017年は,中国との友好関係をアピールする年となった。5月には両国の国交樹立15周年を記念してグスマン計画・戦略的投資大臣(元大統領/元首相)が北京を訪問したほか,習近平中国国家主席の特使,張平がディリで行われたルオロ大統領就任式に参加した。9月には,中国大使館で行われた建国記念日祝賀式典にホルタ国家治安担当国務大臣がアルカティリ首相の代理として出席するなど,要人の交流を重ねている。また3月には中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)へのティモール・レステの参加が決定し,4月にはティモール・レステが中国の特恵関税適用対象国となっており,経済分野での関係も深めている。

中国からティモール・レステへの援助は引き続き活発である。5月,両国間で経済・技術協定が結ばれ,保健と教育の分野で,中国がティモール・レステに対し1500万ドル相当の支援を行うことが合意された。また同月にはティモール・レステ初のデジタルテレビ設備が中国の支援で整備されることが明らかになったほか,8月にはディリのギド・バラダレス国立病院に人工透析機が中国の支援で設置されることが発表された。9月にはティモール・レステ国軍(F-FDTL)への援助も行われ,大型車両のほか軍用ベッド3600基がF-FDTLに提供された。さらに12月には,女性や子供の保健や教育を支援する「大統領夫人プログラム」のための資金として4万5000ドルが中国政府から大統領府に提供されている。

中国からの支援は人的・技術的な面でも活発である。中国は2016年末,2004年以来行ってきた医師派遣プログラムの2年延長を決定し,2017年も中国による医療支援が継続された。12月に中国人民解放軍の病院船「ピース・アーク」がディリに寄港し,8日間の日程で医療活動支援を行ったことは国内外で大きく報じられた。中国はまた,犯罪捜査や農業などの各分野で専門家を派遣してキャパシティー・ビルディングを行ってきたが,2017年には新たに,中国語を学ぶティモール人学生のための留学奨学金100人分,機械整備や観光学を学ぶティモール人学生のための留学奨学金50人分の提供を表明した。

中国との関係について,ホルタ国家治安担当国務大臣は,9月の中国建国記念日祝賀式典でのスピーチのなかで,ティモール・レステがインフラ整備事業などで中国人労働者を多く雇い入れていることなどを指摘して,両国が互恵的な協力関係にあると強調した。一方でホルタは,5月にオーストラリアを訪問した際,「(オーストラリアとの)油田問題はティモール・レステを中国寄りにするだけだ」と述べ,中国を梃子にオーストラリアをけん制する動きも見せている。

対インドネシア

インドネシアとは緊密な協力関係を築いていたが,2017年は両国の軍事的な関係が強調された年であった。3月,ティモール・レステ国境警備隊とインドネシア国軍が国境における共同パトロールを強化し,7月には新たにインドネシア空軍のヘリコプターが導入された。9月にはガトット・ヌルマントヨ・インドネシア国軍司令官がティモール・レステを訪問した。ガトット司令官はティモール・レステ国内のインドネシア人墓地などを訪問し,両国が「過去にこだわらず,前向きな関係を築いている」ことを称えた。10月にはインドネシア国軍ジョニ・トビン准将がインドネシア国軍とF-FDTLの二国間協力を話し合うために来訪し,レレ・アナン・ティムール司令官らと会談を行った。両者はインドネシア国軍によるF-FDTL隊員へのトレーニングなど,協力を拡大することで一致した。

2017年には両国の間の国境未画定地域に関する協議が再開された。ティモール・レステは,オエクシ県に2カ所(シトラナとノエルベシ間,オベンとビジャエルスナン間),インドネシアとの国境未画定地域を抱えている。2017年2月,インドネシア・クパンでグスマン計画・戦略的投資大臣がインドネシアのウィラント政治・法務・治安担当調整大臣,レトノ・マルスディ外務大臣と会談し,これらの地域における国境画定のため上級公式協議フォーラムを設置することで合意した。これを受けて3月にはバリで,4月にはディリで,ロベルト・ソアレス外務・協力副大臣らがインドネシアのデスラ・プルチャヤ外務省アジア太平洋アフリカ総局長らと公式協議を行い,両国は国境画定が地域住民に与える影響に関する調査を進めつつ今後も協議を継続することで合意した。

対オーストラリア

ティモール・レステとオーストラリアは近年,2006年に両国の間で締結された特定海事アレンジメント協定(CMATS)の効力と両国間の海洋境界の画定の如何をめぐって対立してきたが,2017年はこの問題に関する交渉が大きく進展する年となった。2016年4月,ティモール・レステは国連海洋法条約(UNCLOS)に則ってオーストラリアに対する調停を申し立て,義務的・非拘束的な調停が開始された。2017年1月,調停委員会,ティモール・レステ,オーストラリアの三者による声明のなかで,ティモール・レステのCMATSからの撤退が明らかにされた。

こうした経緯を経て,2017年には調停委員会の下での両国の新たな協議がスタートした。8月28日から9月1日に行われた調停では,両国が海洋境界画定のための協議に入ることで合意した。その後10月の協議の後には両国が新たな条約案に関しておおむね合意したことが,12月の協議の後には両国が2018年3月に新たな条約に署名することが発表された。新たな条約は,両国の間の海洋境界を定めることのほか,グレーター・サンライズ油田を含む地域に設けられる特別制度についての取り決め,グレーター・サンライズ油田開発での収益分配に関する取り決めも含まれているとされるが,その詳細は明らかにされていない。

2018年の課題

2018年1月末に議会が解散され,5月の選挙が決定したことから,2018年度予算は7月か8月まで執行される見通しが立たないことになった。この間予算・財政管理法に従い,2017年度予算の12分の1の金額が毎月執行されるものの,石油基金から国庫への移転は行われず国庫への歳入が途絶えることになる。そのため政府は2018年度半ばまでに1億5000万~3億ドルの資金不足に陥るとみられ,政府活動に支障を来たすことが懸念されている。また,2017年12月26日,海洋境界に関する新条約をオーストラリアとの間で締結することが発表された。常設国際仲裁裁判所(PCA)によれば新条約の署名は2018年3月に予定されているが,これを批准すべき議会が解散しているためこのプロセスが不透明であることも否めない。5月に再度行われる国会議員選挙の行方が注目される。

(大東文化大学)

重要日誌 ティモール・レステ 2017年
   1月
9日オーストラリアと常設国際仲裁裁判所(PCA)調停委員会との共同声明発表。2006 年特定海事アレンジメント協定(CMATS)からの撤退を表明。
10日国会,2006年特定海事アレンジメント協定からの撤退を決定(決議01/2017)。
16日シンガポールでPCA調停委員会,オーストラリアとの三者協議(~20日)。
16日ルアク大統領,決議01/2017を公布。
20日PCAでの対オーストラリア調停申し立てを取り下げる。
   2月
2日ティモール・レステ国軍(F-FDTL)設立16周年記念式典。
13日インドネシアと国境画定のための上級公式協議フォーラムの設置を合意。
20日欧州連合(EU)と栄養プログラムの実施を合意。
23日中国と医療支援に関し合意。
24日ペレイラ国務大臣,国連で閣僚級会合に出席。
   3月
3日大統領選挙,選挙戦開始(~17日)。
10日インドネシア・バリで国境画定のための上級会合開催(~11日)。
17日大統領,ジェリー・マテパラエ・ニュージーランド元総督に大綬章授与。
20日大統領選挙投票日。
21日ティモール・レステ国家警察(PNTL)設立17周年記念式典。
22日アラウジョ首相,欧州議会・選挙監視団メンバーと会談。
23日アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加決定。
25日選挙管理委員会,フランシスコ・グテレス・‘ルオロ’の大統領選挙当選を発表。
27日ワシントンでPCA調停委員会,オーストラリアとの三者協議(~31日)。
27日国会,新商業法人法を決議。
30日EUと新しい援助協定を締結。5年間で6億ドル余りの支援見込む。
   4月
3日大統領,国会議員選挙法改正案を合憲性審査のため上訴裁判所に送付。
6日大統領,不動産所有関連法案を合憲性審査のため上訴裁判所に送付。
6日インドネシア・外務省アジア太平洋アフリカ総局長ら,ディリを訪問。ソアレス外務・協力副大臣と国境問題に関する協議(~8日)。
7日国家石油鉱物資源局,ティモールギャップ社,ティモールリソース社,生産シェア協定締結。
10日2006年特定海事アレンジメント協定(CMATS),無効になる。
25日国会,新民間投資法を決議。
28日デオリンド・ドス・サントスが上訴裁判所の新長官に就任。
   5月
2日エスタニス・ラウ・ダ・シルバ国務大臣ら,ポルトガルを訪問(~6日)。
7日ラモス・ホルタ元大統領,オーストラリアを訪問。
12日ルイ・アラウジョ首相ら,タウル・マタン・ルアク大統領より叙勲を受ける。
12日シティリンク航空,ディリ=バリ=ジャカルタ便就航。
19日新大統領就任・宣誓式。日本からは中谷元衆議院議員(東ティモール議員連盟会長)が安倍晋三首相特使として出席。
20日独立15周年記念式典。
21日ダ・シルバ国務大臣,経済問題調整官,農業水産大臣が国内外の4企業に投資許可証を公布。
23日アラウジョ首相,アントニオ・カブラル米・マサチューセッツ州議会議員に勲章を授与。
23日ソアレス外務・協力副大臣,ASEAN地域フォーラム高官会合出席のため,フィリピン訪問(~26日)。
29日グスマン計画・戦略的投資大臣,ソアレス外務・協力副大臣がポルトガル訪問。g7+ヨーロッパ事務所開設式に参加(~31日)。
   6月
1日ルオロ大統領,不動産(土地)所有関連法を公布。
5日コペンハーゲンでPCA調停委員会,オーストラリアとの三者協議(~9日)。
16日貿易投資局,オーストラリア・ダーウィンで投資を呼び掛ける会議開催。
20日国会議員選挙,選挙戦開始(~7月19日)。
   7月
22日国会議員選挙投票日。
23日選挙管理委員会,中間集計でFRETILINのリードを伝える。
24日シンガポールでPCA調停委員会,オーストラリアとの三者協議(~28日)。
   8月
7日上訴裁判所,議会選挙結果発表。
10日インドネシア,オーストラリアとの三者会談,「成長トライアングル」をディリで開催。
28日コペンハーゲンでPCA調停委員会,オーストラリアとの三者協議(~9月1日)。
   9月
1 日PCA,ティモール・レステとオーストラリアが海洋境界に関する「重要な合意」に達したと発表。
5日第4回国会招集。新国会議員の任命・宣誓式が行われる。
6日マリ・アルカティリが首相に,アニセト・グテレスが国会議長に指名される。
13日ラモス・ホルタ,国連事務総長付ハイレベル諮問会議委員に任命される。
15日新首相と新閣僚11人の就任式が行われ,第7次憲政内閣発足。
20日ルオロ大統領,国連総会で演説。
20日インドネシア国軍最高司令官ガトットが来訪。
21日首相,フランシスコ・グテレス・‘ルオロ’大統領と初会合。
25日ピレス国連大使,国連総会で西サハラの自決権の尊重を求める。
  10月
3日新閣僚21人の任命・宣誓式。
9日オランダ・ハーグでPCA調停委員会とオーストラリアの三者協議(~13日)。
10日インドネシア国軍准将トビン,来訪(~13日)。
12日野党3党が「国会多数派連合」(AMP)を結成。
17日新閣僚5人の任命・宣誓式。
19日国会で「政府プログラム」が否決。
  11月
3日アルカティリ首相,オーストラリア・パースでアジア太平洋地域会合に出席(~5日)。
13日グテレス外務大臣,ASEANサミット参加のためマニラ訪問(~15日)。
18日PCAミーティング。
20日国会で補正予算案が否決され,政府と国会議長に対する問責決議が可決される。
20日新しい省庁構成を定めた法令第35番が公布される。
   12月
6日政府,予算・財政管理法の改正案を国会に提出。
7日外務大臣,バリ民主主義フォーラムに出席(~8日)。
15日首相,EU大使と会談。欧州投資銀行からの200万ユーロの投資に合意。
15日中国人民解放軍海軍病院船がディリに寄港(~22日)。
19日国会で補正予算案が再度否決される。国会議長に対する問責決議が可決される。
26日オーストラリアと海洋境界に関する新条約を締結することを発表。

参考資料 ティモール・レステ 2017年
①  国家機構図(2017年12月末現在)
②  行政単位(2017年12月末現在)

(注) 「/」の左側はポルトガル語,右側はテトゥン語表記。

③  第7次憲政内閣閣僚名簿(2017年9月15日発足,カッコ内は所属政党)

(注) FRETILIN=ティモール・レステ独立革命戦線

PD=民主党

PLP=人民解放党

UDT=ティモール民主同盟

④  その他要人名簿

(出所) 政府公式ウェブサイト

(http://timor-leste.gov.tl/),2017年末現在。

主要統計 ティモール・レステ 2017年
1  基礎統計(2012~2016年)

(注) 求職登録者数については各年第1から第4四半期の延べ人数。

(出所) General Directorate of Statistics, Timor-Leste in Figures 2016.

2  国民所得統計(2012~2016年)

(出所) General Directorate of Statistics, Timor-Leste's National Accounts 2000-2016.

3  対外貿易(2012~2016年)

(出所) General Directorate of Statistics, External Trade Statistics: Annual Report 2016.

4  石油基金運営状況(2013~2017年)

(出所) 2013年から2016年についてはMinis try of Finance, Petroleum Fund Annual Report: Financial Year2016.

2017年についてはPetroleum Fund Quaterly Report (March, June, September, December 2017)より計算。

5  政府予算活動(2012~2016年)

(注) ESI とは基金持続収益(Estimated Sustainable Income)のこと。石油基金の積立金と将来的な石油収入の現在価値を合計した石油資産の3%をESI と呼び,石油基金を長期で維持するために目標とすべき引出上限としている。

(出所) 2012年についてはRepública Democrática de Timor-Leste, State Budget 2016: Budget Overview Book 1

2013年以降についてはRepública Democrática de Timor-Leste, State Budget 2017: Budget Overview Book 1

6  国際収支(2012~2016年)

(注) 2016年度は速報値。

(出所) Central Bank of Timor Leste, BALANÇA DE PAGAMENTO-TIMOR LESTE (https://www.bancocentral.tl/en/go/quarterly-bop-and-iip-statistics).

 
© 2018 Institute of Developing Economies JETRO
feedback
Top