2019 Volume 2019 Pages 541-564
2018年のスリランカ政治は混乱を極めた。連立を形成するマイトリパーラ・シリセーナ大統領とラニル・ウィクレマシンハ首相の間の亀裂の原因のひとつとなっていた2015年の国債問題に関する報告書が提出され,決着がつくと期待されたが,うやむやになった。2月に行われた地方自治体選挙では,マヒンダ・ラージャパクサを後ろ盾とするスリランカ大衆戦線(SLPP)が大勝した。
首相は4月の不信任投票を乗り切り,統一国民党(UNP)とスリランカ自由党(SLFP)の連立が継続することになったものの,大統領や SLFP議員の首相に対する不信感は解消せず,10月末には大統領が首相を解任し,かつての政敵であるマヒンダを首相に任命した。しかし大統領の企ては国会の投票と司法判断により失敗し,5週間後にはラニルが首相に再任された。
GDP成長率は,前年の3.4%をさらに下回って3.2%となった。これは3年連続して南アジアの中で最低である。コメなどの農業生産は好調だったものの,10月半ば以降スリランカ・ルピーの対ドル為替レートの下落が始まり,10月末の政変がこれに拍車をかけ,資本市場からの外国資本の流出も相次いだ。さらに輸入は輸出の伸びを上回って増え,結果として外貨準備は年初の79億ドルから69億ドルに落ち込んだ。
外交面では中国の経済的なプレゼンスがいっそう高まった一方で,インドや日本,アメリカがスリランカとの軍事演習を増やすなど存在感を高めようとする様子がみられた。
2015年の国債売買にさいして国庫に損害を与えたとする事案に関する大統領調査委員会(PCoI)報告書が2017年12月末に提出され,また2018年1月初めには重大な不正・汚職・職権乱用に関する大統領調査委員会(PRECIFAC)報告書が大統領に手交され,それぞれ国会で議論されることになっていた。しかし,初回の議論は後述する地方自治体選挙のキャンペーンの終了直前に行われた結果,出席議員はまばらで議論時間も短かった。2月末には英語版のみでシンハラ語とタミル語版がないため議論ができないとの理由から国会での審議は先送りされた。大統領は,ラニルとUNPが国債問題をはじめとする汚職や不正に関わっていると信じており,報告書に基づく国会審議が真相を明らかにしてくれると期待していたが,それは叶わなかった。これにより大統領と首相,そしてそれぞれが総裁を務めるSLFPとUNPの溝はいっそう深まった。連立政府内に亀裂と不信感を抱えたまま行われたのが2月の地方自治体選挙であった。
この選挙は,全国340の市町村レベルの自治体選挙であり,実施数は大きいが本来なら国政に与える影響は小さいはずだった。しかし,2015年1月に発足した政権下で初めて行われる選挙であったこと,実施が延期されていたこと,選挙法改正により政党のみに投票することになった(改正前の選好票[PV]を用いた比例代表制では,政党を選んだうえで,その政党から順位をつけて複数人の候補者に投票)ことから,それぞれの政党が国政並みのキャンペーンを展開した。通常ならば地方選挙ではイシューにならないような国政マターが議論され,あたかも国民投票のようにとらえられた。選挙自体は平和裏に行われた。
投票率は65%で,スリランカ大衆戦線(SLPP)が340のうち231の自治体で過半数の議席を獲得する圧勝となった。タミル国民連合(TNA)系のタミル系政党,UNPがそれぞれ41,34の自治体で過半数の議席を得たのに対して,SLFPは7と惨敗であった。
SLPPはマヒンダの弟バジル・ラージャパクサの下で積極的な草の根活動を展開したが,勝因はSLPPが支持されたというよりも政府への不支持という側面が強かった。UNPとSLFPの連立政権は,国債問題など汚職に関する捜査が遅い・経済運営がうまくいかないなど,2015年以降の政権運営に関してアピールする実績がなかった。選挙の前に提示された女性の酒購入規制の緩和もSLPPが政府批判をする材料となってしまった。北・東部でも現政権に対する批判として,現政権を支援している TNAがジャフナ県のポイント・ペドロ町議会で過半数を取れなかった。また,投票者の多くを占める農民の反発もあった。現政権は,シンハラ民族の遺産党(JHU)所属の国会議員でもあるラタナ師の提案で,2015年6月に健康被害をもたらすとしてグリホサート除草剤の使用を禁止していたが,代替する手段が提示されなかったことから農民の間で反発が強まっていたからである。
今回の選挙法改正ではPVを廃止することによって無用な党内抗争を阻止できると期待されたが,政権与党の惨敗という思わぬ結果を生んでしまった。そのため次回の選挙は適切な体制が整っていない,などの理由をつけて旧制度で行われる可能性もある。
選挙の結果は当然,連立政府にも動揺をもたらした。UNP内ではこれを機会に連立を解消すべきだとの声が高まった。SLFPから7人の離反者がUNPに加わればそれが可能だったからである。一方でSLFPは,シリセーナを支持する議員とマヒンダを支持する派閥(Joint Opposition, JO)に分離し,JOはSLFPに籍を置きながらあたかも野党のような行動をとっていた。選挙の結果を受けて大統領支持派がJOと関係を修復し,連立政権からの離脱・SLFPによる単独政権の樹立を求めた。
しかし,大統領は単独政権を求めるグループに政権に留まるよう求めた。JOと組むことで国民の支持は得られるだろうが,自らの大統領としての地位が脅かされると考えたと推測される。このように大統領は,連立政権を維持して大統領の職に留まり続けたかったものの,一方で連立相手のラニル首相に対する不信感も大きかった。カル・ジャヤスーリヤ国会議長(UNP)に首相交代を持ちかけるなどの動きがみられたのはそのためだった。このように連立内部の決裂は決定的であったが,このタイミングで選挙を行うとマヒンダ側の一人勝ちを招くことが明らかだったこともあり,結局大統領も首相も連立維持に踏みとどまることになった。
勢力を拡大したJOは3月21日,JO議員ら55人の署名からなる首相不信任動議を国会議長に手交した。不信任の理由として14項目が挙げられたがそのうち11項目は国債問題に関連する汚職に関するものであった。しかしJOおよびシリセーナを支持するSLFP議員,ラニルに反感を持つ議員を合わせてもおそらく半数に届かないと目されていた。したがってJO側の不信任動議提出の目的は,大統領支持のSLFP議員を揺さぶって自陣に引き込むことであった。2月の地方自治体選挙で弱体化が明らかになり,大統領やUNPとの連立に疑問や不信感を持つ議員らを取り込むきっかけとしたかったのだろう。
4月4日の首相への不信任投票においては,それまでJOとは距離を置いてきたSLFP議員16人およびJO議員ら合わせて76人が賛成票を投じた一方,シリセーナ支持のSLFP議員ら26人は棄権,UNP議員とTNA議員ら122人が反対票を投じた結果,不信任動議は否決された。
不信任動議の否決によって,ラニルは危機を切り抜け,今後の党内改革を目指してUNPは結束を強めた。一方でSLFPの16人は,投票当日の朝にTNAとスリランカ・ムスリム会議(SLMC)が反対票を投じることが判明し,不信任動議が否決されることが明らかであったにもかかわらず賛成票を投じており,明らかな離反であった。離反議員はその後,大統領を見限ってJO(マヒンダ側)につく議員もあった。逆にSLFPの急進派として大統領を積極的にサポートする議員に分かれたが,この不信任投票で最も打撃を受けたのは大統領であった。その後SLFP内部では,仏教界から要請を受けてメーデーを延期したことに系列の労働組合が反発し,大統領支持はさらに薄れた。
憲法をめぐって2016年から始まった新憲法作成をめぐる動き(『アジア動向年報2017』参照)は,2017年は停滞した。しかし,2018年5月末には野党・人民解放戦線(JVP)から部分的な改正案(第20次憲法改正案)が提出された。
主たる改正提案は大きな権限を持つ執行大統領制の廃止であった。部分的な憲法改正でも国会の3分の2の賛成が必要であり,国会が分裂気味の状況下においては草案を提出したJVP自身も実現が可能とは踏んでおらず,JOの提出した不信任動議と同様に,別の意図があった。それは執行大統領制に関する各党の意向を明確にさせることであった。
シリセーナとラニルは2015年1月の大統領選挙で,執行大統領制の廃止を公約に掲げていた。政権就任後に第19次憲法改正が行われたものの,大統領の権限が若干縮減した程度にとどまった。その後,シリセーナとラニルは積極的に執行大統領制の廃止を議論しているようにみえない。このような状況のなかでJVPとしては第20次憲法改正案の提出によってこの点を世に問う意向だったと評されている。
一方JOは,部分的な改正は望ましくない,国会で与党が過半数をとれない場合の大統領選出が困難になる等の理由から改正案に反対の意向を表明したが,執行大統領制継続の是非については明言を避けた。
第20次改正をめぐる議論は,10月に最高裁判所が改正案成立には国会における3分の2の賛成と国民投票が必要であるとの判断を下し,その後は後述する政変が発生し,進展がなかったが,12月にUNPは憲法改正に賛意を表明している。TNAおよびSLMCもJVP案を支持している。
10月政変大統領はラニルおよびUNPに対する不信感を公の場でたびたび表明していた。具体的には汚職や腐敗,経済政策の違いのほか,シリセーナは大統領である自身をないがしろにするラニルに対して不快感があった。
9月半ばにテロ捜査局のナラカ・デシルヴァが大統領および元国防次官のゴータバヤ・ラージャパクサ暗殺を計画しているという情報がNGOによって明らかにされた。情報は,信憑性が高いものにはみえなかった。ところが大統領はこれを非常に深刻にとらえ,ラニル首相らが「まともな対応をとらない」と感情的に批判した。批判の矛先はインドの情報機関(RAW)にも向けられた(大統領はすぐにモディ首相に架電し弁明した)。この動きが直接首相解任に結びついたとは言えないだろうが,ラニルやUNPに対して不信感が高まっていた大統領にとって重大な決断を下すきっかけのひとつになったと思われる。
10月26日,大統領は,ラニル首相を突如解任し,マヒンダを首相に任命した。この動きはまったく突然で,結婚式に参列していたマヒンダは大統領府に呼び出されその場で任命された。ラニルはこの措置を違憲と主張するとともに彼自身が総裁を務めるUNPを中心とする統一国民戦線(UNF)が国会における多数派であることを理由に首相官邸(テンプル・ツリー)に居座った。実際,憲法第33条(2)(f)項は大統領に首相を任命する権限を与えているが,首相の任期について定めた第46条(2)では大統領による解任を定めていない。
大統領は,首相人事の後に国会を11月16日まで休会させ,その間にマヒンダが国会で多数派工作できるようにした。しかし,カル・ジャヤスーリヤ国会議長の反発や国際社会からの圧力を受けたこと,後述するように最高裁の判断もあり,国会の再開は14日に前倒しとなった。そして14日に,マヒンダ首相任命の是非を問う投票が行われることになった。スリランカの国会は225議席なので,113議席を得れば多数派ということになる。10月26日の時点でUNPを中心とするUNFは106議席,大統領が総裁を務めるSLFP(JOを含む)は95議席であった。
大統領がマヒンダを,JOという一派閥の長から首相に指名したことで,マヒンダ側はUNPから党籍替え(クロスオーバー)があると踏んでいた。すなわち,UNP内部でラニルの方針に反対のもの,ポストに不満を持つものを吸収できると考えた。しかし,11月5日のカル・ジャヤスーリヤ国会議長の「マヒンダを首相と認めない」という発言がまず,シリセーナ大統領とマヒンダ側の出鼻をくじいた。
UNPからのクロスオーバーは予想を大きく下回った。いったんマヒンダ支持を表明し,閣僚に任命されたものの,再びUNP側に寝返るものもいた。多数派工作が不調と判断したマヒンダ側は,11月9日に国会過半数の113議席に8議席足りないとの会見を開いた。同日,大統領による特別官報が発布され,国会の即時解散,2019年1月5日の国会議員総選挙,1月17日の国会開催が明らかになった。10月26日の突然の動きも11月9日のこの発表も金曜日に行われたことから,金曜爆弾と呼ばれた。
UNP側がこれまで地方自治体選挙および州評議会選挙を延期し続けるなど選挙に及び腰な一方,SLPPが2月の地方自治体選挙に大勝したことから,大統領とマヒンダ側は選挙を行えば有利な結果が導けると踏んだようである。
しかし,現在の第19次改正憲法では,任期前の国会の解散は国会議員の3分の2の要求もしくは国会の任期が4年半を過ぎた時点より後の大統領の命令によってのみ可能である。2015年8月に国会議員選挙が行われたので,大統領に解散を宣言する権利はなく,発表当初からこの官報は憲法違反であるとされ,実際11月13日には最高裁判所が3人の判事の判断により,国会の解散に関する官報の一時停止命令を発出した。
国会におけるUNPの巻き返しと司法判断最高裁の判断を皮切りに国会の活動,司法を巻き込んだUNPの巻き返しが始まった。11月14日と16日には怒号が飛び交うなど混乱の中,通常の電子投票ではなく挙手でもなく,発声投票でマヒンダ首相の不信任動議が採決され,賛成多数で可決した。しかし,2度にわたる不信任決議にもかかわらず大統領はこのプロセスが正当なものではないと主張し,マヒンダも首相に居座った。その後UNP側とマヒンダ側は解決策を模索し,議員選任委員会を設置することで合意したものの,その人選で再び揉め,与党(大統領とマヒンダ側)が国会をボイコットする異例の事態となった。
与党不在の国会ではマヒンダ首相の不信任に続き,首相と新閣僚らの支出の妥当性が審議され,11月29日に妥当性なしと判断された。さらに12月3日,控訴審が首相・大臣らについて適切な法の権限に基づいてその職に就いていない,として機能の一時停止命令を発出した。12月12日には,国会でラニルの信任投票が行われ,可決した。そしてだめ押しとなるような判断として,12月13日,最高裁が国会解散は違憲であると7人の判事の意見が一致した最終判断を下し,翌14日には3日の控訴審判断を支持した。これにより国会の解散はなくなり,選挙もなくなった。今回の一連の動きのなかで,司法が大統領寄りでない判断を下したことは,大統領にとって想定の範囲外だった。
国会および司法の判断によって,大統領もマヒンダの首相任命は無効と認めざるをえなくなった。12月15日にマヒンダは首相を辞任し,翌16日に大統領がラニルを再び首相に任命した。しかし大統領はラニルの任命後も「再任命は良心に反する。全員が要求しても任命しないと言ったのは正しかった」,「しかし,国会の伝統を尊重し,民主主義の真の精神から任命した」,「汚職にまみれた議員のいるUNPが多数を占める国会とはうまくやっていけそうにない」とUNP議員を前にして述べるなど「雨降って地固まる」という状況とはかけ離れている。
今回の騒動でラニルは株を上げ,マヒンダの評価は下がった。マヒンダはシリセーナの要請に応じなければ,国内の人気は保たれたであろうに,憲法違反の片棒を担いでしまったからだ。シリセーナの評価は地に落ちた。政変の直後の10月28日に大統領は国民に向けてのメッセージでなぜラニル首相を解任したかを語った。不信感の背景には国債スキャンダルをめぐる大規模な汚職,大統領および元国防次官の「暗殺」未遂,経済政策のアプローチの違いなどが挙げられたが,そもそもUNPの支持を得て大統領に就任したシリセーナによる弁明は感情的すぎる部分もあり,共感は寄せられていない。
ラニルの再任後,大統領は失地回復をねらって大規模な反汚職プログラムを実施すると息巻いている。しかしこれに関しても大きな効果は見込めなさそうだ。なぜならすでにマヒンダとその一族や取り巻きを対象とした捜査がほとんど失敗しているからである。2018年中に,ジャーナリスト行方不明事件や海軍による誘拐・殺人事件などの関係者逮捕が実現したものの,本丸に切り込めたとは言いがたい。
今回の騒動の副産物として,UNPとTNAの関係が緊密化した。なかなか和平や経済発展が進展しない状況下で,2月の選挙の結果から危機感があったTNAは漁夫の利を得た。つまり,UNPはTNAに協力を求める見返りとして北・東部の開発においてTNAが政党として関与することになった。しかし当然その裏返しとして,シンハラ側を代表すると自認するマヒンダ側からは,激しい反発を招いた。今後の選挙において争点となりそうである。
反ムスリム感情の高まり2014年のダルガタウン襲撃,2017年のロヒンギャ難民襲撃など近年,仏教過激派が一般大衆を巻き込んでムスリム住民を襲撃する事件が発生していたが,2018年は,SNSを利用しさらに過激な事件が起きてしまった。
2月末,東部アンパラでシンハラ仏教徒住民とムスリム住民が衝突し,複数の商店とモスクが破壊される事件が発生した。発端は,ムスリム経営の食堂で不妊薬が混ぜられた食事がシンハラ人男性に提供されているという趣旨の動画がインターネット上に公開されたことである。実際には人間を不妊にさせるような薬は存在せず,ここで用いられた粉は料理にとろみをつけるための粉だったが,食堂のムスリム従業員は客の話すシンハラ語が分からず,「不妊薬なのか?」という問いに適当に返事をしたものだった。襲撃されたモスクのすぐ近所に警察があったにもかかわらず,警察の到着が遅れたことも問題視された。
キャンディでは,シンハラ人運転手とムスリム住民が2月22日に交通トラブルをめぐって言い争いになり,シンハラ人が入院,その後3月2日に死亡した。翌日に住民間で衝突が発生したが,これに関してSNS上でシンハラ人に対してムスリム攻撃に参加を呼び掛ける投稿があり,騒動が拡大した。沈静化するために警察は外出禁止令を発令したが,それでも足りず,大統領が全土に非常事態宣言を発出する事態となった。2009年の内戦終結以降,初めて出された非常事態宣言であったが,スリランカでは内戦中は常に非常事態宣言下にあったため,国民は今回の措置を深刻に受け止めなかった。しかし,当時はジュネーブで国連人権理事会が開催されており(2月26日~3月23日),内戦後の国民和解の進展の遅さに関して指摘されているスリランカとしてはタイミングが悪かった。
スリランカ政府は,FacebookなどのSNSをヘイトスピーチを助長するとしてブロックした。仏教過激派によるムスリム攻撃の背景には,スリランカ国内でムスリムの人口比が増えているのではないかという懸念やムスリムの経済的台頭があるとされている。
和解の進展,および北部における状況失踪者調査局(OMP)の任命,強制失踪防止条約の批准もどちらも2月末から開催の国連人権理事会に合わせるようなタイミングで実現した。逆に言えば,国際社会からの継続的な関心がなければなかなか前進しない状況である。OMPは設立後,各地でミーティングなどを行っている。
早急な改定が求められていたテロ防止法(PTA)に代わるテロ対策法案(CTA)が10月に国会に提出された。PTAの下では起訴されることなく逮捕後無期限拘留できる点が問題視されていた。これが逮捕から48時間以内に起訴が決まるよう改善がなされた。さらに証言は法廷で行うもののみが認められる。一方,戦争被害者・行方不明者補償局法案は6月13日に閣議承認され,7月17日に国会提出されたものの,8月7日に一部が違憲と判断された。その後修正を経て10月10日に国会で承認された。
北部の治安に関しては,さまざまなギャング集団による北部での凶悪犯罪の増加をうけて女性・子供問題国務大臣のヴィジャヤカラ・マヘーシュワランが,ジャフナにおける最近の治安悪化について述べ,タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)時代(内戦中)のほうが安全だった,とあたかもLTTEの復活を望む発言をした。マヘーシュワランは10月にこの件に関し逮捕されている。
北西部のマナーの建設現場で5月に発見された人骨は年末までに278人分に達することが判明した。墓地なのか,内戦中の大量虐殺なのかを明らかにするために標本が鑑定に回された。
2017年のGDP成長率が3.4%という低い水準にとどまったのに対して2018 年の第1四半期GDP成長率は2017年第4四半期の3.5%とほぼ同等の3.4%から始まった。4月には,インフレ指標が安定的であることから景気てこ入れをねらい政策金利を0.25ポイント引き下げた。第2四半期には成長率は3.6%と回復の兆しがみえた。緊縮財政により景気動向に歯止めがかかる懸念もあったが,それよりも構造改革の進行や海外直接投資の流入期待,低いインフレ率,安定的な為替レートという背景が揃っており,中央銀行もGDP成長に期待していた。7月の車両・金輸入制限措置により輸入が減り,貿易赤字も縮小するなど明るい兆しがみえた。しかし,第3四半期には成長率は2.9%に,第4四半期には1.9%に落ち込み,通年では前年を下回る3.2%となった。
支出別(市場価格)ではGDPの約7割を占める個人消費が対前年比(以下同じ)7.4%増,政府消費が14.9%増,固定資本形成が6.7%増となった。
産業別では,洪水被害や干ばつに見舞われた地域もあったが,農業は前年の不振(-0.4%)から回復して4.8%増となった。マハ期(9/10月~3/4月),ヤラ期(4/5月~8/9月)のコメ生産量はそれぞれ対前年同期比62.6%,56.8%増,ココナツ28.9%増などとなった。鉱工業では建設業が-2.1%と不調で全体では0.9%増にとどまった。GDPの57.6%を占めるサービス業は4.7%増で特に情報通信,金融・保険業が好調だった。
財貿易は,輸出額が対前年比4.7%増の118億9000万ドル,輸入額が6.0%増の222億3300万ドルであった。輸入のうち特に消費財については,関税の制度変更が影響し金に関しては126%(1~4月)増となった。その後制度が再変更され金の輸入は通年では32.5%減となった。個人の自動車輸入に関しては通年で103.6%増と倍増した。
国際収支統計による海外からのFDI は16億1100万ドルとなった。海外労働者からの送金は,70億1500万ドルと対前年比2.1%減だった。
観光業は,対前年比10.3%増の230万人の海外観光客の来訪があり,35億ドルの観光収入があった。10月以降の政治的混乱にもかかわらず,11月も観光客数は前年を上回る伸びを示し,12月は年間最大の来訪者数を記録した。
物価は,燃料価格の引き上げによる圧力やルピー減価による輸入製品価格の上昇懸念があったものの,国内食料生産が好調であったことから年間を通して低い水準に留まった。特に12月の年平均物価上昇率は2.1%と2年半ぶりの低い水準に達した。これは中央銀行が目標とする4~6%のインフレ率をも下回る。
インフレの傾向はないものの11月に金利の引き上げが行われた。これは資本流出による市場における流動性不足に対応するため,銀行の法定準備率を引き下げた(これによって市場に900億ルピーが供給されることを期待)ことに伴うインフレ懸念に対応するための中立化政策であった。貸出金利と預金金利(金利の上限と下限)のそれぞれを引き上げて上限と下限の差を縮減した。
スリランカ・ルピーの下落と対外債務アメリカの金利引き上げに伴い,新興国から資金が流出し多くの国で通貨が下落したが,スリランカも例外ではなかった。さらに既述したように貿易赤字幅が拡大していたことからも下げが続いた。 図1に示すように,ルピーは年初から9月末まで10.2%下落した。10月の政変を受けて急降下し,年末には対同期比18.7%の下落となった。下落の程度がより大きい国はあっても,対外債務がGDPの40%を超えているスリランカにとって,通貨下落は実質的な債務増大となり,影響はより深刻となる。
(出所)Central Bank of Sri Lanka, Annual Report 2019.
外貨準備高は前半はハンバントタ港の99年リース料9億7600万ドルとIMFの拡大信用供与(EFF)2億4670万ドルが入金したため,4月末には99億3500万ドルと高い水準を維持し,輸入の5カ月分以上の残高となった。しかし9月以降は減少が続いて年末には対前年末比13.0%減の69億1900万ドルとなった。
シンガポールとの自由貿易協定1月23日,大統領府においてシンガポール貿易・工業大臣とマリク・サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣の間で自由貿易協定(FTA)の合意書の署名式が行われた。リー・シンガポール首相,シリセーナ大統領およびラニル首相が立ち会った。開発戦略・国際貿易省は,「このFTAは市場をアジアに向けて多様化させ,アジアのサプライチェーンへの参入が可能になる。貿易構造を刷新するスリランカのルック・イースト政策の一環である。スリランカにとって東南アジア諸国と結ぶ初めてのFTAであり,ASEANとのより緊密な統合への第一歩,将来的には東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の一部となる可能性がある」と声明を発表した。首相も各種貿易協定や「一帯一路」構想,アジア・アフリカ成長回廊などの枠組みを積極的に用いるべきと主張している。
しかしこのFTAには貿易だけでなくサービスが含まれることから,調印後にもかかわらず,インドとの経済技術協力協定(ETCA)と同様に医師や専門職団体がFTAの取り消しを求めた。専門職の流入を危惧するだけでなく,シンガポール企業であれば,その企業が雇用するいかなる国籍の未熟練労働者もスリランカに送ることが可能になり,スリランカ人が職を失うとJOは主張してFTAに反対している。
これを受けて大統領は,8月に専門家委員会を任命しFTAに修正が必要かどうか調査を依頼した。その結果,委員会は12月にFTAが正当な手続きを踏まずに,関係者の同意なしに性急に調印されたものであり,受け入れることはできず,国内の経済改革を先に進めるべきと発表した。これを受けて2019年1月にシンガポールを訪問した大統領は,FTAの変更を求めた。
中国関連プロジェクトは着実に進展している。2018年中は南部のマータラ=ベリアッタ間の鉄道の建設が進んだ。ハンバントタ港に関しては招商局港口控股有限公司(CMPort)からスリランカ港湾局(SLPA)に対する支払いが1月と6月の2回に分けて行われ,港の運営権は中国とスリランカの合弁企業に移管した。コロンボ国際金融シティ(旧ポートシティ)の埋め立ても年内にほぼ完了した。後述するようにインドとのプロジェクトが進まない一方,中国の経済的な存在感は高まるばかりである。経済インフラだけでなく,大統領肝いりのプロジェクトである腎臓病病院も着工した。完成すれば南アジア最大となる。
インフラ開発で存在感が高まるのと同時にスリランカにおける中国の軍事的プレゼンスに対する懸念も各方面から寄せられた。6月には『ニューヨークタイムズ』が綿密な取材に基づいた特集記事を掲載し,スリランカにおける中国の進出に警鐘を鳴らした。10月にはマイク・ペンス米副大統領が「中国は世界的な影響力を強めるために債務外交を用いている。ハンバントタ港は間もなく中国の軍港になる」と述べた。このような報道がなされるたびにスリランカ政府および中国側はハンバントタ港が軍事利用されることはないと繰り返し説明している。たとえば首相はハンバントタの軍事化報道を強く否定し,ラヴィンドラ・ウィジェグナラトナ統合参謀長も,ハンバントタを軍事利用させない,いかなる国とも軍事同盟を組まないと明言している。港湾大臣もハンバントタ港および工業地区の治安維持はスリランカ海軍が行うと発言している。
しかし首相は同時に「中国と現行のプロジェクトを加速させる」,「『一帯一路』構想を常に強く支持する」など中国との関係を重視した発言をしている。債務外交に関しても,在中国スリランカ大使が,スリランカは中国から融資や投資を受けることを強要されたことはないと発言するなど,中国との関係を良好に保とうという姿勢をみせている。
ハンバントタ港は,2017年の年間の車両取扱量が10万9000台ほどだったのが,2018年は上半期だけで10万6000台を超えるなど徐々に機能し始めている。
インドとの関係中国がスリランカで大規模プロジェクトを着々と進めるなかで,2017年4月に調印された合意でインドと行われるとされていたプロジェクト(ハンバントタのマッタラ空港,ジャフナのパラーリ空港,トリンコマリーの石油タンク開発,サンプールの太陽光発電所,コロンボ港東側ターミナル,ケラワルピティヤのLNGプラントなど)は動き出していない。たとえばコロンボ港の東側コンテナターミナルの開発に関してはインドに任せようとする首相とスリランカ港湾局(SLPA)に任せようとする大統領が閣議で対立した。首相はコロンボ港でのインド貨物取扱量の多さからインドが開発することの重要性を主張したのに対して,大統領はハンバントタの運営権を中国に渡したように,インドに開発を任せることは主権を失うと反対した。経済・技術協力協定(ETCA)協議も進展していない。10月にラニル首相が訪印した際にモディ首相が懸念を表明している。
その一方でインドが支援する茶プランテーション地区やハンバントタでの住宅建設や救急車サービスなどが進行中である。特に救急車サービスについては各州で運用が始まっている。
日本,アメリカとの関係河野外務大臣が1月に訪問し,コロンボ港を視察した。日本の外務大臣の訪問は15年ぶりである。2月の独立70周年の記念式典には竹下亘衆議院議員が安倍首相の特使として参列した。3月には河野克俊海上自衛隊統合幕僚長が訪問し,能力構築支援を中心とした防衛協力強化を確認した。3月にはシリセーナ大統領が訪日している。さらに8月には小野寺防衛大臣が日本の防衛大臣としてはスリランカを初訪問し,コロンボ港,南のハンバントタ港,東のトリンコマリー港を視察した。同時期に護衛艦「いかづち」がトリンコマリー港に寄港している。トリンコマリーの開発は日本とインドが協力して行うとされている。8月下旬には中根外務副大臣が訪問し,スリランカ沿岸警備隊に供与する巡視艇の引き渡し式に出席した。日本要人らが強調したのは,「自由で開かれたインド太平洋」の実現のための協力であった。
アメリカもインド洋におけるスリランカの戦略的重要性に注目し,スリランカ海軍が環太平洋合同演習(RIMPAC,6~8月)に参加するなど,にわかに存在感を高め始めた感がある。
2017年にみられたスリランカ政治における亀裂は,2018年に修復不可能となった。それでも国会の早期解散の条件を満たすことができないため2020年の国会任期終了まで待たざるをえない。加えて2019年,2020年は延期されている州評議会選挙および大統領選挙などが予定されており,選挙の年になる。すでに選挙に向けての準備は始まっており,国政の空転状態は続く。
経済は対外債務の返済が最重要課題である。ほぼ外貨準備額に相当する額を,今後3年間にわたり毎年返済しなければならない。スリランカ政府はIMFからの融資を得られるとしているものの,返済の負担はスリランカ経済に重くのしかかる。農業分野では非常に悪質な害虫の発生が2019年の年初に確認されており,コメなどの食糧生産において被害が懸念される。
外交においては台頭する中国に対して,インド,日本,アメリカが警戒を示しスリランカにアプローチしている。その一方でスリランカは投資など実質的な経済発展をもたらす中国を好ましいビジネスパートナーとみなしている。中国との関係は債務外交ばかりでない面にも注目すべきだろう。
(地域研究センター)
1月 | |
2日 | 重大な不正・汚職・職権乱用に関する大統領調査委員会(PRECIFAC)最終報告,大統領に手交。 |
3日 | 大統領,国債売却問題についての大統領調査委員会(PCoI)報告書に関して声明。 |
5日 | 河野外務大臣,大統領および首相を表敬訪問。コロンボ港を視察。 |
6日 | ラトビアの大統領来訪。 |
8日 | ラージャギリヤの高架橋オープン。 |
9日 | 大統領,最高裁に自身の任期について判断を求める。14日に全会一致で大統領の任期は5年と大統領府に回答。 |
14日 | 中国企業CMPort,スリランカ港湾局(SLPA)に対して9736万5000ドル支払い。 |
20日 | 大統領,今年から大統領管轄の経済開発評議会が経済運営を管轄すると発言。 |
23日 | 大統領,シンガポール首相と自由貿易協定(FTA)に署名。 |
23日 | PCoIおよびPRECIFAC報告書が国会に提出される。 |
24日 | インドネシア大統領,来訪(~25日)。 |
2月 | |
4日 | 中央銀行の国債売却をめぐる汚職事件で国債引き受け会社のオーナーのアルジュン・アローシウスおよびCEOのカスン・パリセーナ逮捕される。 |
6日 | 国会でPCoIおよびPRECIFAC報告書について審議。 |
6日 | 2017年4月に発生したミートタムッラ・ゴミ集積所崩落事故の大統領調査委員会の報告書が大統領に手交される。 |
10日 | 全国340の市町村で選挙。スリランカ大衆戦線(SLPP)が231の市町村で過半数の議席を得る圧勝。 |
16日 | スリランカ自由党(SLFP)議員15人,大統領が統一国民党(UNP)との連立を解消しないならJO(反対派グループ)に加入するとラージャパクサに語る。 |
19日 | 大統領,SLFPメンバーに政府に留まるよう要請。 |
25日 | 内閣改造。 |
27日 | アンパラでシンハラ住民とムスリム住民の衝突。店舗やモスクが破壊される。 |
28日 | 大統領,失踪者調査局(OMP)委員任命。 |
3月 | |
2日 | 首相,シンガポールでスリランカ投資フォーラムに出席。 |
3日 | キャンディ近郊のディガナで2月22日に発生したトラブルにより,シンハラ人ドライバーが死亡した件で緊張。 |
4日 | キャンディ郊外のテルデニヤやディガナでシンハラとムスリム住民が衝突。その後近郊の町に拡大(~6日)。 |
5日 | 翌日朝6時まで外出禁止令発令。 |
6日 | 大統領,7日間の非常事態宣言発令(全土)。17日に全面解除。 |
6日 | スリランカ海軍,アンダマン諸島で実施の多国間演習MILAN2018に参加(~13日)。 |
7日 | 政府,FacebookなどのSNSをブロック。15日にすべて解除。 |
7日 | 国会,強制失踪防止条約を批准。 |
8日 | 国連事務次長のジェフリー・フェルトマン来訪。 |
8日 | 警察,キャンディ暴動の首謀者らを逮捕。 |
10日 | 大統領,デリーでインド大統領と会談。11日には国際太陽光同盟(ISA)会議に出席。 |
12日 | 大統領,訪日(~15日)。 |
19日 | 第37回国連人権理事会にてスリランカについての普遍的・定期的審査(UPR)報告書を採択。 |
21日 | JO,国会議長に首相不信任動議手交。 |
22日 | 大統領,パキスタン訪問(~24日)。 |
27日 | 政府,ウエサック祭と重複を避けるためメーデーを5月7日に実施すると発表。 |
28日 | 特別官報発出。中央銀行および証券取引委員会を財務省管轄下に戻す。 |
28日 | 2012年のヴェリカダ刑務所での囚人27人殺害で警察長官を逮捕。 |
29日 | 前中央銀行総裁アルジュナ・マヘンドランへの逮捕状発出。 |
4月 | |
4日 | 首相不信任動議,SLFP議員16人を含む76賛成,122反対,26棄権で否決。 |
4日 | EU代表団GSP(一般特恵関税)プラス付与後のフォローのため来訪(~6日)。 |
5日 | 元軍情報部のアマル・カルナセーカラを2008年5月の『ネーション』紙副編集長キース・ノヤール誘拐・暴行事件で犯罪捜査局が逮捕。 |
10日 | SLFP中央委員会,首相不信任に賛成票を投じた議員16人の政権留任を決定。 |
12日 | 大統領,西部,北西部,サハラガムワ,中央,南部,北中部,ウヴァの州知事を任命。 |
15日 | 大統領,イギリスに向けて出発。18日英連邦政府首脳会議(CHOGM)ビジネスフォーラムで演説。23日帰国。 |
16日 | JOのマヒンダナンダ・アルトゥガマゲ国会議員,横領の疑いで逮捕。 |
17日 | 財務省,金の輸入に15%の課税。 |
25日 | トリンコマリーで米軍主催のパシフィックパートナーシップ実施(~5月8日)。 |
5月 | |
1日 | 内閣改造。 |
7日 | メーデー集会で大統領,2020年に引退しない,党内に分裂はないと発言。 |
9日 | 国会,特別法廷設置を定めた司法行政(改正)法案を承認。 |
11日 | 財務省,燃料価格計算式を導入。 |
13日 | 大統領,イラン訪問。イラン大統領,ハメイネ師と会談。 |
13日 | ゴータバヤ・ラージャパクサ元国防次官,経済ビジョンを披露。 |
21日 | SLPP,これからのすべての選挙で蓮のつぼみをシンボルとすることを決定。 |
23日 | SLFP議員16人がマヒンダを訪問。大統領とJOのギャップを埋める協力をする,JOに協力するが加入を意味しないと説明。 |
25日 | 人民解放戦線(JVP),第20次憲法改正案を国会議長に提出。 |
30日 | 大統領,ソービタ師の生誕76年記念日式典に出席。 |
6月 | |
8日 | 航空会社フライドバイ,ハンバントタのマッタラ・ラージャパクサ国際空港への就航停止。 |
14日 | ボドゥ・バラ・セーナ(BBS)のニャーナサーラに脅迫と法廷侮辱罪で実刑判決。 |
20日 | CMPort,5億8419万ドルをSLPAに支払い。 |
25日 | 『ニューヨークタイムズ』紙に中国とラージャパクサ前大統領との不正な関係を暴露する記事掲載。 |
27日 | スリランカ,米海軍主催の多国間共同訓練RIMPAC(~8月2日)に初参加。 |
7月 | |
2日 | ヴィジャヤカラ・マヘーシュワラン女性・子供問題国務大臣,ジャフナの集会でLTTE復活を望むような発言。5日,大統領に辞表提出。 |
9日 | 第20次憲法改正案,官報発表。 |
9日 | 首相,シンガポール訪問(~10日)。 |
11日 | 大統領,犯罪の増加にかんがみ薬物密売人の死刑実施もやむなしと発言。 |
11日 | 政府,グリホセート除草剤使用禁止を解除。 |
12日 | タイ首相来訪,大統領と会談。戦略的経済パートナーシップを締結。 |
14日 | 大統領,イタリア(~16日)とジョージア訪問(17~19日)。 |
21日 | 大統領,中国の援助による南アジア最大の腎臓病病院の着工式に出席。 |
23日 | 国連特別報告者ベン・エマーソンの2017年7月の調査報告書発表。北部を非武装化するべき。 |
8月 | |
8日 | BBSのニャーナサーラ,2016年の法廷侮辱罪で実刑判決。 |
13日 | 犯罪捜査局(CID),チャンダナ・プラサード元海軍少佐を2008~2009年の若者11人誘拐・殺害容疑で逮捕。 |
20日 | 小野寺防衛大臣,来訪。ハンバントタ港やトリンコマリー港を視察(~22日)。 |
21日 | 汚職事件を扱う特別高等裁判所,始動。 |
24日 | 州評議会区割り報告書,国会で承認ならず。UNPとJOが反対。 |
25日 | 首相,インド洋会議出席のためベトナムに出発。27日スワラージ印外相と会談。 |
28日 | 中根外務副大臣,来訪(~30日)。沿岸警備隊に巡視艇引き渡し式(30日)に出席。 |
30日 | OMP,スリランカは40年にわたり強制的な失踪があったと認めるべきと主張。 |
30日 | 大統領,ベンガル湾多分野技術経済協力イニシアチブ(BIMSTEC)サミット出席のためネパール訪問(~31日)。 |
9月 | |
3日 | 政府の招へいで国連の対外債務と人権に関する独立専門家来訪(~11日)。 |
5日 | 第20次改正案国会に提出される。 |
5日 | JO,コロンボで大規模反政府集会開催。 |
6日 | トリンコマリーで陸軍主催の多国籍共同軍事訓練Cormorant Strike IXを実施(~26日)。 |
7日 | トリンコマリーでインド海軍との共同演習SLINEX実施(~13日)。 |
7日 | インド,160両の鉄道車両提供で合意。 |
10日 | 首相,ベトナムに出発。ハノイで開催されるASEAN世界経済フォーラム(11~13日)に出席。 |
12日 | NGO職員のナマル・クマーラ,テロ捜査局のナラカ・デシルヴァによる大統領およびゴータバヤ元国防次官暗殺計画を暴露。 |
20日 | 風刺画家エクネリゴダ行方不明で,CIDはエランタ・ピーリス中佐を逮捕。 |
25日 | 大統領,国連演説。 |
26日 | 大統領,トランプ大統領と会談。 |
26日 | ハーシャ・デシルヴァ国家政策・経済国務大臣,急速なルピー減価を受け,富裕層に奢侈品輸入を控えるよう呼びかけ。 |
10月 | |
2日 | 首相,ノルウェーとイギリス訪問(~10日)。 |
4日 | マイク・ペンス米副大統領ハドソン研究所で演説。中国は世界的な影響力を強めるためにスリランカに対して債務外交を用いている,と批判。 |
8日 | 大統領,セーシェル訪問(~10日)。 |
8日 | マヘーシュワラン前女性・子供問題国務大臣,ジャフナでの発言に関し逮捕される。 |
8日 | 首相,イギリス・オックスフォード大学で講演。ハンバントタ港は商業港と主張。 |
9日 | 国会副議長,第20次憲法改正のいくつかの項目については国会の3分の2の賛成と国民投票が必要であるとの最高裁の判断を国会に報告。 |
9日 | テロ防止法(PTA)に代わるテロ対策法(CTA)案,国会に提出される。 |
10日 | 憲法委員会(CC),市民社会代表3人承認により活動再開。 |
10日 | 戦争被害者・行方不明者補償局法,国会を通過。 |
11日 | コロンボでインド洋に関する国際会議「インド洋:未来の定義」開催。 |
11日 | 最高裁,2011年のバーラタ・ラクシマン・プレマチャンドラ殺害で元国会議員のドゥミンダ・シルヴァに死刑判決。 |
16日 | 大統領,インドの情報局(RAW)が大統領暗殺を計画したと閣議で批判。 |
17日 | 大統領,モディ印首相に電話で事情説明。 |
17日 | 大統領,中央銀行や投資局幹部らを解任すると発表。 |
18日 | 首相,インド訪問。 |
22日 | 海軍主催の国際海事会議,第9回ゴールダイアローグ開催(~23日)。 |
24日 | 北部州首席大臣のCVヴィグネスワラン,TNAを離脱し新政党タミル人民連合(TPA)設立。 |
25日 | CID,ナラカ・デシルヴァを逮捕。 |
26日 | SLFPを中心とする統一人民自由連合(UPFA),政府からの離脱を表明。 |
26日 | 大統領,ラニル首相を解任し,マヒンダを首相に任命。11月16日までの国会休会を宣言。 |
26日 | ラニル,首相公邸で会見。大統領への書簡で,憲法に則って任命された首相であり任務を継続する。 |
27日 | 中国大使の程学源,マヒンダ宅を訪問。 |
29日 | 新閣僚12人が宣誓。 |
11月 | |
2日 | UNP議員ら,マヒンダ首相任命の妥当性に疑義を示した動議を国会議長に手交。 |
5日 | 国会議長,国会の多数支持を得るまで新首相を認められないと発言。 |
9日 | UPFAメディア担当,113議席を得るために少なくともあと8必要と発言。 |
9日 | 大統領,国会解散を宣言。国会選挙は2019年1月5日に実施。1月17日に国会開催。 |
11日 | 国連事務総長,スリランカの政治状況に懸念を表明。 |
11日 | マヒンダ,SLPPメンバーシップ取得。 |
13日 | 最高裁,国会解散について12月7日まで差し止め命令。 |
14日 | マヒンダ首相と政府への不信任動議が国会に提出され,通過。 |
14日 | 中銀,法定準備率を引き下げると同時に金利引き上げ。 |
16日 | 14日に続きマヒンダ首相と政府への不信任動議が国会に提出され,通過。 |
19日 | UNPを中心とする統一国民戦線,国会議長に首相への支出停止動議提出。 |
20日 | 格付け機関ムーディーズ,スリランカをB2からB1に引き下げ。格付けの見通しは「安定的」から「ネガティブ」に。 |
23日 | 国会議員122人,マヒンダ首相,大臣らの妥当性について裁判所に提訴。 |
27日 | 与党議員,国会審議をボイコット。 |
29日 | 国会,マヒンダ政権に支出の権限があるかどうか審議,「なし」が賛成多数。 |
29日 | 中国と2港開発プロジェクトに署名。 |
30日 | バティカロアで警官2人が何者かによって殺害される。 |
12月 | |
3日 | 控訴審,マヒンダ首相と大臣,副大臣,国務大臣の職権の一時停止命令を発出。 |
12日 | 国会にサジット・プレマダーサ議員がラニルを首相として信任する動議を提出。信任投票可決。 |
13日 | 最高裁,11月9日の国会解散宣言を無効と判断。 |
14日 | 最高裁,マヒンダ首相と内閣の機能停止命令を継続。 |
15日 | マヒンダ,首相辞任。 |
16日 | ラニル,首相に就任。 |
20日 | 大統領,新閣僚を任命。 |
21日 | 国会で暫定予算審議。通過。 |
26日 | マーワネッラで仏像を傷つけたとしてムスリム男性が逮捕される。 |
(出所) Daily Mirror,2018年12月20日,2018年12月21日。
(注)1)暫定値。2)労働力人口は15歳以上。3)2015年11月より基準年が2013年に変更された。年末の対前年比。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2018,KEY ECONOMIC INDICATORS.
(注)1)改定値。2)暫定値。
(出所)表1に同じ。TABLE 9.
(注)1)改定値。2)暫定値。
(出所)Department of Census and Statistics, National Accounts Estimates of Sri Lanka 2018, Table 3: A10.
(注)1)改定値。2)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka, “Press Release”(2019年3月)。
(注)1) 改定値。2)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2018, TABLE 88.
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2018, TABLE 84, 85.