Yearbook of Asian Affairs
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2022 Volume 2022 Pages 191-218

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2021年のベトナム

概 況

2021年のベトナムでは,5年に1度の党大会と国会議員選挙を経て党・国家幹部人事の刷新が行われた。76歳のグエン・フー・チョン第12期党書記長が党条例の規定に反して3選されたことをはじめ最高幹部人事には異例な点も多かったが,政策路線的には前期からの継続性が高いとみられる。前年とは異なり,新指導部は新型コロナウイルス感染症対策に苦戦を強いられた。経済活動の中心であるホーチミン市での4カ月間にわたる社会隔離措置実施の末,政府はゼロコロナからウィズコロナへ,半ば見切り発車気味の路線転換を余儀なくされた。

経済は,厳格な社会隔離措置の適用により,第3四半期には四半期GDPが公表されるようになって初めてのマイナス成長に沈んだが,輸出の好調やウィズコロナへの路線転換後の巻き返しにより,年間では2.58%のプラス成長を堅持した。コロナ禍はデジタル経済発展の契機になったものの,企業活動の停滞や消費の低迷など,国内経済に大きな打撃を与えた。

対外関係では,コロナ禍で停滞していた首脳レベルの往来が再開した。最も注目されたのはアメリカのハリス副大統領の来訪であった。しかし,ベトナムのアメリカへの接近を警戒する中国への配慮もあり,政府はアメリカとの全面的パートナーシップの戦略的パートナーシップへの格上げを慎重に回避した。

国内政治

第13回党大会でチョン党書記長3選

1~2月開催の第13回ベトナム共産党代表者大会(党大会)で注目された主要党幹部人事では,第12期に反汚職闘争で指導力を発揮したグエン・フー・チョン党書記長が3選を果たし,前期からの継続性を印象づけた。

第13回党大会は,ハノイの国家会議センターで,500万人を超える党員から選ばれた1587人の代表が参加し開催された。当初1月25日~2月2日の9日間とされていた大会日程は,28日に北部の2省で新型コロナウイルスの集団感染が発生したことで1日短縮された。予備日の初日には準備会合が開かれ,大会運営規則やプログラムが承認された。翌26日午前の開会式の後から28日午前までは党大会文献の検討に充てられた。同日午後からは議題が人事に移り,30日に党中央委員選出のための投票と結果公表が行われた。31日に党大会は休会となり,前日に選ばれた党中央委員会が第1回総会を開催して党政治局員,書記長,書記局員などを選出した。最終日の2月1日には党大会決議が採択され,大会は閉幕した。

今大会で承認された主要文献は,『政治報告』,『2021~2025年の経済・社会発展の方向性と任務』,および『2021~2030年の10カ年経済・社会発展戦略』である。大会のテーマでもある政治報告のタイトルは,「清廉で強靭な党と政治システムの建設・整頓を強化し,国の発展への渇望を喚起し,全民族の大団結の意志と力を発揮して時代の力と結合させ,ドイモイ事業を引き続き全面的・一体的に推進し,祖国を堅固に建設・防衛して平和・安定的な環境を維持し,21世紀半ばに我が国が社会主義志向の先進国になるために努力する」であった。

今回の党大会文献の特色は,第1に,「21世紀半ばに社会主義志向の先進国になる」という新たな経済・社会発展の長期目標が示されたことである。より具体的には,ベトナム共産党創立100周年にあたる2030年までに「近代的な工業を有する上位中所得国」に,そして建国100周年にあたる2045年までに「高所得の先進国」になるという目標が設定された。

第2の特色は,前回の党大会文献に引き続き「党建設」が最優先課題とされていることである。「党建設」の重点任務には,汚職や濫費,党員の思想的転向の抑止や,政治システム(党,国家,大衆組織を含む)の効率化の推進などが含まれる。第12期党指導部の下で加速した反汚職闘争や党・国家組織運営の制度化・合理化の動きは,第13期にも継続することが予想される。

次に党幹部人事についてみると,党中央委員の定数は前期と変わらず,正規委員180人,予備委員20人であった。党大会では前期党中央委員会が作成した候補者名簿案を審査するとともに,議場での追加候補の推薦,または自薦による立候補も認められているが,今大会では議場からの自薦はなく,被推薦者も少数でその全員が推薦を辞退したという。今大会の選挙規定では,追加候補の推薦者は被推薦者が必要な条件を満たしていることに責任をもち,被推薦者が就くべきポストを提案するよう求められたため,参加者が慎重になったと考えられる。最終的に投票の対象となったのは正規委員候補203人と予備委員候補23人であった。

選出された第13期党中央委員会正規委員の出身母体による構成も前期と大きな違いはなかった。具体的には,地方省・市の党委員会(党委)書記・副書記が70人(前期は68人),軍関係23人(同21人),公安関係6人(同5人),国会関係11人(同12人),政府関係23人(同26人)などとなっている。党中央委員の再選率(予備委員から正規委員への昇格を含む)は60%であった。前期の党中央委員で,第13期委員候補となったが再選されなかったのは,フン・スアン・ニャ教育・訓練相とチエウ・タイ・ヴィン党経済委員会副委員長の2人であった。

党政治局・書記局の構成をみると,政治局員は18人(再任8人,新任10人),書記局員は政治局員の兼務を含めて11人(再任6人,新任5人)となった。再任の政治局員のうち,チョン党書記長とグエン・スアン・フック首相は,選出時で65歳までという年齢制限を超えていたが,「特別な場合」として大会による承認を受けて再選された。他方,前期の政治局員のうち,グエン・ヴァン・ビン党経済委員会委員長とホアン・チュン・ハイ第13回党大会文献小委員会副委員長は,再任の場合の年齢制限を超えてはいなかったが,再選されなかった。両者が2020年中に党の懲戒処分を受けていたためと考えられる。

党書記長には,チョン第12期党書記長が3期目の当選を果たした。1944年生まれ,76歳のチョン党書記長は,2011年の第1期目就任時から既に65歳を超えており,今回は3度目の年齢制限の例外扱いとなった。さらに,党書記長については,党条例に連続2期までという任期制限の規定があるにもかかわらず,前期党指導部はチョン続投を提案し,新中央委員会はそれを支持したのである。

チョン党書記長は,党機関誌『共産雑誌』編集長,ハノイ市党委書記,国会議長などを務めた後,その清廉さを買われて第11期党書記長に就任した。特に第12回党大会で再選を果たしてからは,党・国家幹部による多くの深刻な汚職事件の責任追及を強力に推進してきた。2018年10月には,任期中に急逝した前職に代わって国家主席にも就任し,党と国家の最高位を兼任した。2019年4月に脳血管系の疾患を発症して以来,党・国家の重要イベントを欠席することも多くなり,その健康状態が懸念されているが,党大会の開会式では,党大会文献に関する報告書を1時間15分にわたりよどみなく読み上げ,健在ぶりを示した。

チョン党書記長の続投は,党大会文献の内容と相まって,第12期党指導部の下での「党建設」路線が第13期に引き継がれることを強く示唆している。もっとも,その高齢と健康不安からいって,また,最終的に今党大会が党条例を改正しなかったことからみても,任期途中の党書記長交代の可能性は残る。長期政権の後の権力継承の行方が早くも注目されている。

国会議員選挙に先立ち,主要国家幹部人事を刷新

党大会の結果,党中央委員でなくなった国家幹部がいることを理由として,5月の国会議員選挙に先立つ第14期国会の最終会期で主要国家幹部の大幅な入替えが行われた。政府閣僚や国会常務委員が党中央委員から選ばれることは,制度上必須ではないが,近年では一種の不文律のようになっている。

3月24日~4月8日に開催された第14期第11回国会は,党大会の結果に従い,国会議長と副議長3人,国家主席と副主席,政府首相,副首相2人,政府閣僚12人など25人の主要国家幹部を新たに選出・承認した。

国会議長にはヴオン・ディン・フエ前ハノイ市党委書記が選出された。1957年生まれ,中部ゲアン省出身の同氏は,会計学の専門家であり,会計検査院院長,財政相,党経済委員会委員長,副首相と要職を歴任した。ハノイ市党委書記在任は1年余りと短期間ではあるが,地方リーダーも経験したことになる。チョン党書記長がハノイ市党委書記,国会議長を経て党書記長に就任していることもあり,フエ国会議長は党書記長の有力な後継候補とみられている。

国家主席にはフック前首相が就任した。フック国家主席は1954年生まれの中部クアンナム省出身で,同省党委副書記から政府監査院副院長,政府官房長官,副首相を歴任し,前期は首相として経済運営やコロナ対策に成果を上げた。国家主席は首相と比べて実権が少ない職位であるが,党政治局員のなかでも「四柱」と呼ばれる4人の最高幹部(党書記長,国家主席,政府首相,国会議長)のうち2人が同時に年齢制限の例外扱いとなるのは初めてであったことに鑑みれば,同氏の国家主席就任は,党内における同氏への支持の高さの表れとみることもできる。

首相にはファム・ミン・チン前党組織委員会委員長が選出された。チン首相は1958年生まれの中部タインホア省出身で,公安省で次官まで務めた後,中国国境のクアンニン省の党委書記として同省の経済ガバナンスの改善や行政改革で実績を上げ,次いで組織委員会委員長という要職でチョン党書記長の「党建設」路線を支えた。ドイモイ期の歴代首相は副首相から昇格するのが慣行となっていたが,チン新首相は副首相はもとより政府閣僚の経験もなく,異例の抜擢人事となった。

新政府は,外務相を2期務めたファム・ビン・ミン副首相が兼務を解かれたため,これまでの総勢27人から28人となった。第11回国会で新たに就任(政府内の昇格を含む)した政府構成員は首相,副首相含め15人であった。原則的に,60歳(党政治局員の場合は65歳)を超えた第14期政府閣僚は,党大会で第13期党中央委員に選ばれておらず,第11回国会で解任された。例外は,60歳を超えていたが「特別な場合」として党中央委員に選ばれたグエン・チ・ズン計画・投資相(留任),60歳に達していなかったが党中央委員選挙で落選したニャ教育・訓練相(解任),および65歳を超えて党中央委員に選ばれなかったものの留任したチュオン・ホア・ビン副首相であった。

国会議員選挙後の7月に開かれた第15期第1回国会は,基本的に第14期第11回国会における人事を追認し,補完的に若干の変更を加えるにとどまった。政府に関していえば,ビン副首相が再任されずに引退となり,また副首相の人数が5人から4人に減ったことで政府構成員の総数が27人となった。

感染拡大のなか,国会議員選挙・各級人民評議会議員選挙を実施

5月23日に投票が行われた第15期国会議員選挙および2021~2026年任期各級人民評議会議員選挙では,新型コロナウイルスの感染拡大第4波に見舞われたにもかかわらず,前回よりも高い投票率を記録した。投票日には,防護服を着た担当者が移動式投票箱をもって隔離エリアを訪れる様子がメディアで伝えられた。

3月19日までに取りまとめられた国会議員選挙の暫定候補者名簿には,中央の各組織・機関による推薦を受けた候補者(中央推薦候補)205人,地方の各組織・機関による推薦を受けた候補者(地方推薦候補)803人,自薦による候補者76人の計1084人が含まれていた。その後,候補者の適格性に関する審査を経て,4月27日に公表された最終候補者名簿には,中央推薦候補203人,地方推薦候補654人,自薦候補9人の計866人が含まれ,当選倍率は1.73倍であった(議席数500)。

6月10日に公布された選挙結果によれば,今回の国会議員選挙の投票率は99.60%に達し,前回の99.35%を上回った。今回の選挙は,他にも多くの点において大きな「成功」を収めたと評価された。当選者は各選挙区で相対多数の票をとるばかりでなく,有効投票の過半数を獲得する必要があるが,今回はこの規定により当選者数が議席数に満たなくなる選挙区はなかった。当選者に占める女性の割合は3割を超え,第6期国会以来最多となった。少数民族の割合も約18%と過去最多であり,また,2つの非常に人口の少ない民族の代表が初めて選出された。議員の学歴レベルも向上し,大学院以上の学歴保持者が全体の78.6%を占めた。中央推薦の候補者203人のうち落選者は9人で,前回の15人を下回った。

他方,非党員の当選者は14人(2.8%)と前回の20人をさらに下回り,目標の5~10%には遠かった。自薦候補者の当選者は4人で過去最多であった第13期と並んだが,うち3人は再選であり,全員が党員であった。自薦候補としては,1988年生まれの性的少数者の権利活動家が国会およびハノイ市人民評議会議員の正式候補者となって注目されたが,当選には至らなかった。また,3月10日にはニンビン省で自薦立候補の意思をライブストリームで表明した61歳のフェイスブッカーが,同月27日にはハノイ市で自薦立候補のための手続きを行っていた42歳のフリージャーナリストが,ともに反国家宣伝罪容疑で逮捕されている。

当選者には政府構成員15人,省級党委書記38人,省級人民委員会主席3人,軍・公安の士官51人,企業家15人などが含まれる。党政治局員は,ホーチミン市党委のグエン・ヴァン・ネン書記を除く17人が立候補し,その全員が当選した。

デルタ株流行で感染拡大抑制に苦戦

2020年中は新型コロナウイルス感染拡大の抑止に顕著な成功を収めたベトナムであったが,2021年には感染力の強いデルタ株の流行により,社会・経済活動の厳しい制限にもかかわらず,感染者数,死者数ともに急増した。

党大会開催中の1月末に始まった感染拡大の第3波では,北部のハイズオン省が焦点となった。第3波は収束するまで約2カ月かかり,第2波を超える900人以上の市中感染者が報告されたが,死者はゼロだった。政府は第2波までと同様,感染者・接触者の徹底した追跡と隔離を行い,感染拡大の抑え込みに成功した。

しかしながら,4月末に始まった感染拡大の第4波はそれまでと異なる様相を呈した。感染流行の中心となったホーチミン市では,5月31日,2020年首相16号指示(移動制限を含む)または2020年首相15号指示(集合人数制限などを定める)に従った社会隔離措置が市内全域に導入された。さらに市当局は6月26日から10日間かけて500万人を対象とする大規模検査を実施したが,その後も経路不明の感染確認の報告は後を絶たなかった。7月9日からは16号指示に基づく厳格な社会隔離措置が市内全域に適用され,不要不急の外出には罰金が科された。同月26日からは全市で夜間の外出が禁止され,8月23日以降は食料品購入のための外出も禁止または制限された。16号指示に基づく社会隔離措置は,ホーチミン市以外の南部18省・市,ハノイ市やダナン市などでも実施された。

ホーチミン市で,7月15日以降,「工場隔離」などの対策をとっていない企業が活動停止を求められたことは,企業と労働者,そしてベトナム経済への大きな打撃となり(「経済」の項参照),政府がそれまでのゼロコロナ路線を見直す契機となった。政府は,8月6日付86号決議で,同市については9月15日までに,その他の省・市は9月1日ないし8月25日までに感染拡大を収束させるよう努力することを強く要請した。実際,ホーチミン市では,9月半ばから新規市中感染者数はようやく減少に転じたものの,同月末時点でも1日4000人を超えていた。しかし10月1日以降,4カ月間続いた各種規制の緩和に舵が切られた。

移動制限の緩和は,国内各地から出稼ぎに来ていた労働者の大量帰郷につながった。政府は当初,感染状況が依然として深刻なホーチミン市および周辺3省とその他地域との間の人の出入りについてはまだ規制を解いてはいなかったが,職を失ったまま都市に足止めされていた労働者たちの帰郷への強い意志の前に方針を転換せざるを得なかった。ベトナム統計総局によれば,2021年中にコロナ禍の影響で都市から帰郷した労働者は全国で220万人を超えたという。懸念されたように,この大規模な人の移動は,年末にかけて国内各地で新たな感染拡大を引き起こし,10月半ばに3000人台まで下がった1日の新規感染者数は,年末には1万5000人を超えるまで増加した。2021年12月末までに,2020年初頭以来の累計感染者数は173万人余り,死者数は3万2394人に達した。

このように感染者数や死者数が急増した一因は,新型コロナウイルスワクチン接種の遅れであったと考えられる。世界的なワクチン獲得競争に後れをとったベトナムは,3月8日にハノイ市,ホーチミン市,およびハイズオン省でワクチン接種を開始したが,5月半ばを過ぎても1回以上接種率が人口の1%程度にとどまっていた。この頃からワクチン確保は党・政府にとって至上命題となり,関係閣僚のみならず,党書記長以下トップリーダーたちが先頭に立って外国首脳などにワクチン確保への協力を要請した。国内では,基金を設立してワクチン購入に民間の資金を動員する一方,さまざまな経路で受領した9種類のワクチンの使用を承認した。これらの結果,ワクチン接種は急速に進み,12月30日時点での1回以上接種率は18歳以上人口の99.0%,2回接種完了率は同89.2%に達した。ワクチン接種の加速に関しては指導部が一丸となった努力が実を結んだといえる。

医療分野の汚職体質にメスが入る

反汚職闘争は引き続き活発に行われ,対象者の処分や逮捕,裁判が相次いだ。特徴的であったのは,一連の病院や医療関連企業絡みの汚職摘発であった。

2020年12月,ハノイ市疾病管理センター(CDC)のグエン・ニャット・カム元所長が,新型コロナウイルス検査設備調達に関する規定違反の第1審裁判で懲役10年に処された。同年9月にはバクマイ病院のグエン・クォク・アイン元院長,2021年11月にはトゥドゥク病院のグエン・ミン・クアン院長,12月にはバクマイ病院のグエン・クアン・トゥアン院長(ハノイ心臓病院元院長)など,主要病院の幹部が相次いで設備調達絡みの汚職容疑で逮捕されている。専門家として高い尊敬を受けるこれらの幹部の逮捕,訴追は,社会に衝撃を与えた。この問題は11月の国会でも取り上げられ,議員らは医療機関における調達の仕組みにも問題がある可能性を指摘した。しかし,トー・ラム公安相はそのような意見を否定し,不当な利益を得ようとした個人の刑事責任を問うことは妥当という見解を示した。

同じく医療分野の事件として,12月,新型コロナウイルス検査キットを製造するベトアー社のファン・クォク・ヴィエト社長兼会長が逮捕された。同社は簡易検査キットを不当な高値で全国のCDCに納入し,巨額の利益を得ていたとみられる。同月30日,汚職防止中央指導委員会常務委員会は,保健省や科学・技術省などの関与も疑われる同事件の調査を直接指導することを決定した。

その他,2021年に裁判が行われた重大事件には,フート省エタノール工場建設に関する規定違反事件(ディン・ラ・タン元ペトロベトナム会長に懲役11年,チン・スアン・タイン元ペトロベトナム建設会長に2つの罪で合計懲役18年),サイゴンビール・アルコール飲料(Sabeco)による公有地の違法販売事件(ヴー・フイ・ホアン元工商相に懲役11年),公安省諜報総局副総局長の捜査情報漏洩にかかる収賄事件(グエン・ズイ・リン元副総局長に懲役14年),ホーチミン市ハイバーチュン通り185番の土地の違法交換事件(同市人民委員会のグエン・タイン・タイ元副主席に懲役5年,不動産会社社長に終身刑),ハノイ市における湖沼水質改善のための微生物製剤の調達に関する不正事件(同市人民委員会のグエン・ドゥク・チュン元主席に懲役8年),ホーチミン市人民委員会傘下のサイゴン農業総公司(SAGRI)における資産の違法売却等に関する事件(レ・タイン・ハイ元ホーチミン市党委書記の弟のレ・タン・フン元社長に合計懲役25年)などがあった。

「反体制的」言論への厳罰続く

政府に批判的な言論活動を行うジャーナリストや活動家の逮捕や裁判も続いた。ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば,2021年中に,政治的意見の表明を理由として少なくとも32人が有罪を宣告され,26人が逮捕されたという。

1月には独立ジャーナリスト協会のファム・チ・ズンら3人の裁判が行われ,反国家宣伝罪でズンに懲役15年と保護観察3年,他の2人に共に懲役11年と保護観察3年が科された。ズンは国際的に知られたジャーナリストであり,「アメリカの声」ベトナム語版ウェブサイトにも記事を書いていた。

3月には,2020年1月のドンタム社の土地収用にかかる警察官殺害・公務執行妨害事件の控訴審裁判所が第1審判決を支持した。住民運動のリーダー宅を襲撃した警察隊のメンバーを殺害した罪に問われた住民らに対する死刑を含む判決が確定したことになる。同事案の実態を調査し,国内外に向けて情報発信を行った支援者グループのメンバーに対する裁判も順次行われた。5月,活動家のカン・ティ・テウとその息子のチン・バー・トゥが反国家宣伝罪で共に懲役8年と保護観察3年の宣告を受けた。トゥの兄のチン・バー・フオンは,12月,同じ罪名により懲役10年と保護観察5年を宣告された。同月,ジャーナリストのファム・ドアン・チャンも同罪で懲役9年の判決を受けた。また,4月には民主活動家のグエン・トゥイ・ハインがやはり反国家宣伝罪容疑で逮捕されている。ハインは警察隊に射殺された住民リーダーの遺族を支援するための募金活動を行っていた。

9月1日には国家主席による特赦が5年ぶりに行われ,全国の受刑者3035人が釈放されたが,政治犯は対象に含まれなかった。

その他の主な出来事

国会は2021年中に3回開催されたが,任期の変わり目ということもあって,成立した法律は3本にとどまった。第14期第11回国会(3月24日~4月8日)は,5年の任期中における活動の総括を行い,一連の人事に関する決議を採択したほか,改正麻薬取締法を成立させた。第15期第1回国会(7月20~28日)は,当初8月3日までの開催が予定されていたが,新型コロナウイルス感染拡大を受け,開幕直前と開幕後に会期がそれぞれ3日間短縮されて,実質9日間(休日なし)の日程となった。同会期では,組織人事に関する18本を含む30本の決議が採択された。第15期第2回国会(10月20日~11月13日)は,オンライン(10月20~30日)と議場(11月8~13日)を合わせて実質16日間の開催となった。同会期は,統計法修正・補充法,刑事訴訟法修正・補充法の2本の法律を成立させ,2022年の経済社会発展計画や予算などに関する12本の決議を採択した。なお,第15期国会30号決議は,コロナ対応において緊急の必要がある場合に,法律が規定していない,または現行法の規定に反する方策をとる権限などを政府および政府首相に認めている。

11月6日,国内初の都市鉄道となるハノイ市のメトロ2A号線が,着工後10年を経て商業運転を開始した。中国政府の融資で中国企業により建設され,中国製の車両を運行する2A号線は,2018年中には建設がほぼ完了し,2019年4月の開業が見込まれていたが,安全面での懸念から実現が遅れていた。開業後15日間は運賃を無料とし,12月5日までの1カ月間で約62万人が利用したという。

(石塚)

経 済

コロナ禍に翻弄されつつも,プラス成長を維持

2021年の経済は前年より新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受け,実質国内総生産(GDP)の年間成長率は過去10年で最低の2.58%となった。年前半は前年からの回復基調が続いたが(第1四半期4.72%,第2四半期6.73%),7月以降,感染のホットスポットとなったホーチミン市を皮切りに,各地で厳格な社会隔離措置が適用され始めると,状況は一変した。外出・移動の徹底的な制限や,工場が敷地内またはその周辺に用意した宿泊施設に労働者を寝泊まりさせる「工場隔離」を工場の操業条件とするなどの厳格な感染対策は,経済活動のあらゆる面に打撃を与え,第3四半期の成長率は四半期ごとのGDPが公表され始めた2000年以来初のマイナス(-6.02%)となった。なかでもホーチミン市は極めて深刻な経済停滞(-24.97%)に見舞われた。感染対策と経済回復との間で難しい舵取りを迫られるなか,政府は10月,新型コロナウイルスの安全,柔軟,効率的な制御に関する128号決議を公布し,ゼロコロナからウィズコロナへの方針転換を図った。感染リスク下での経済活動の再開が一定の条件のもとで認められたことにより,第4四半期の経済は大幅に上向き(成長率5.22%),年間でのプラス成長が維持された。

産業別にみると,コロナ禍の打撃を最も大きく受けたのはサービスだった。サービスの成長率は,第3四半期に大幅なマイナス(-8.57%)を記録し,不調だった前年(2.34%)よりさらに低い1.22%まで落ち込んだ。なかでも宿泊・飲食(-20.81%),輸送・倉庫(-5.02%),卸売・小売・車両修繕(-0.21%)への影響が深刻であった。一方,保健・ソーシャルワーク(42.75%),金融・銀行・保険(9.42%),情報・通信(5.97%)は,コロナ下での需要増もあり高い伸びを記録した。工業・建設の成長率は,やはり第3四半期に大きく落ち込んだものの(-5.49%),その他の期の伸びに支えられ(第1四半期6.45%,第2四半期10.36%,第4四半期5.61%),年間では前年(3.98%)を上回る4.05%に達した。成長を主導したのは製造業(6.37%)と電気・ガス・蒸気・空調(5.24%)であった。農林水産業は,社会隔離措置の影響はあったものの,生産性の高まりや良好な天候条件を背景に,年間で2.9%の成長を達成した。

マクロ経済の安定は維持された。物価では,世界的な燃料・食料価格の高騰を受けたガソリン,ガス,コメなどの価格上昇がインフレ圧力となったが,コロナ下での救済支援の一環で電気料金の引き下げが行われたことなどから,消費者物価指数(CPI)上昇率は年平均1.84%,前年末比1.81%と低く抑えられた。また,対ドル為替指数も年平均0.97%減,前年末比0.58%減と小幅な変動にとどまった。貿易黒字や大型外国投資の流入などを背景に外貨準備高が増加を続けるなか,国家銀行は適宜為替レートの調整を行い,相場の安定を保った。

財政では,労働者および雇用主に対する補助金支給(政府68号決議,政府116号決議)やワクチン購入など,コロナ禍に伴う支出がかさみ,財政支出総額は予算比111.4%の1879兆ドンとなった。また,企業,合作社,個人に対する税金や土地賃貸料の支払期限延長・減免(政府52号議定,政府105号決議,首相27号決定)など,コロナ下での救済措置は収入減にもつながったが,貿易の好調と徴税管理の徹底による関税収入増や原油収入の増加により,財政収入総額は予算比116.4%の1563兆ドンに達した。その結果,財政赤字は対GDP比4%未満,公的債務の対GDP比は約43.7%と,いずれも安全水域に収まる見込みとなった。

輸出は好調を維持,アメリカとの対話は継続

コロナ危機からの世界経済の回復はいまだ不安定・不均一な状態だが,ベトナムの対外貿易は2021年も拡大を続け,経済成長を支えた。輸出は前年比19%増の3363億ドル,輸入は同26.5%増の3322億ドルとなり,貿易黒字(41億ドル)が維持された。国内企業による貿易は赤字(254億ドル)だったが,外資企業の貿易黒字(294億ドル)がそれを上回った。コロナ下で外国人専門家の往来が制限されたことや,工場隔離などの厳格な社会隔離措置のもとでサプライチェーンの分断や労働者不足が発生したことにより,多くの外資企業が生産停止・縮小や生産性の低下に追い込まれたにもかかわらず,外資企業の年間輸出額は前年比21.1%増の2475億ドル(輸出総額の73.6%)に達した。

輸出実績を品目別にみると,前年同様,電話および部品(575億ドル,前年比12.4%増),電子製品・コンピュータおよび部品(508億ドル,同14%増),機械・設備・工具および部品(383億ドル,同41%増),繊維・縫製品(328億ドル,同9.9%増)の輸出額が大きかった。また,鉄鋼製品の輸出額が前年比124.3%増の118億ドルと大幅に伸びた。この背景には,前年8月のEU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)や5月のイギリス・ベトナム自由貿易協定(UKVFTA)の発効がある。これら大型FTAは総じて輸出拡大にプラスの効果をもたらした。特にEVFTAは鉄鋼製品や農産品の対EU輸出の拡大を促し,EU向け輸出総額はアメリカ向け(963億ドル,前年比24.9%増),中国向け(560億ドル,同14.5%増)に次いで大きい401億ドル(前年比14.1%増)となった。

対米貿易では,輸出の伸びに比して輸入の伸びが小さかったことから,貿易黒字が810億ドルに達した。ベトナムの対米貿易黒字は2019年以降,米中貿易摩擦に伴う中国からの生産移管が背景となって拡大が加速しており,ベトナムは保護主義の姿勢を強めるアメリカへの対応に苦慮している。米財務省は2020年12月に,対米貿易黒字,経常黒字,為替介入の3条件に基づき,ベトナムを為替操作国に認定した。2021年1月15日には米通商代表部が,ベトナム政府が不当な為替市場介入を行っているという調査結果を公表し,追加的な制裁関税の適用を見送りつつも対話の継続を求めてきた。ベトナムは金融・為替政策の近代化・透明化に向けてアメリカとの対話を重ね,米財務省が4月に新たに公表した為替報告書では為替操作国から外された。しかし対話継続の対象からは外されなかった。5月にはベトナム産の自動車・小型トラック用タイヤがドンの過小評価によって不当に補助されているという米商務省の調査結果も公表され,7月には国家銀行と米財務省とでベトナムの為替操作回避について合意する共同声明を発表するに至った。ベトナムは12月の為替報告書でも為替操作国の認定を免れたが,為替操作国の3条件には当てはまるとされ,引き続き対話の対象と位置づけられた。

外国投資は金額増も,残る懸念

既存外資企業が厳格な社会隔離措置のもとで操業上の困難に直面する状況が新規投資家の心理に影響を与えたことに加え,賃金上昇による国際競争力の低下や,外国投資の質・規模を重視する政策動向も相まって,直接投資の件数および間接投資の件数・金額は前年からさらに減少した。12月20日までの登録実績で,直接投資の件数は,新規が前年比31.1%減(1738件),拡張が同13.6%減(985件),間接投資の件数は同38.2%減(3797件),金額は同7.7%減(69億ドル)となった。実施額(197億ドル)も前年から1.2%減少した。

ただし,外国投資受入額は前年比9.2%増の312億ドルとなり,前年の落ち込みから回復した。これは上述の投資の質・規模を重視するという政策動向の影響もあり,直接・間接投資ともに大規模な案件が目立ったためである。直接投資では,案件あたりの規模が新規880万ドル,拡張920万ドルと前年(新規580万ドル,拡張560万ドル)から大幅に拡大し,登録資本金額は新規153億ドル(前年比4.1%増),拡張90億ドル(同40.5%増)となった。特に,シンガポールによるロンアン省でのロンアン液化天然ガス火力発電所の新設(31億ドル)や,日本によるカントー市でのオモン第2火力発電所の新設(13億ドル)など,発電所案件への大型投資が目立った。電気・ガス・蒸気・空調への新規・拡張投資金額は,直接投資の登録資本総額の23%を占める56億ドルとなり,製造業(146億ドル,60.2%)に次ぐ規模となった。製造業における大規模案件には,韓国によるハイフォン市での有機ELディスプレイ工場への拡張投資(21億5000万ドル)や,デンマークによるビンズオン省でのレゴ生産工場の新設(10億ドル)があった。また,iPhoneの製造で知られる台湾フォックスコンのタブレットおよびノートパソコン生産投資(新規,2億7000万ドル)など,中国からの対米輸出拠点の移転とみられる案件もあった。新規と拡張を合わせた直接投資金額の国別実績は,シンガポール(73億ドル)が前年に続き最大で,韓国(44億ドル),日本(37億ドル),中国(27億ドル)が続いた。

2021年の外国投資は相次ぐ大型案件に支えられ,結果的に金額増となったが,政府は社会隔離措置のもとで生じた諸問題や賃金上昇というコロナ前からの問題が外国投資の流出につながることへの危機感を強めており,2021年の最低賃金引き上げを見送ったほか,10月には首相27号指示で,サプライチェーンの分断や労働者不足など工業生産の回復に関わる諸問題の迅速な解決を関係機関に求めた。

デジタル経済の急拡大

コロナ禍が追い風となり,2021年はデジタル経済が飛躍的な拡大を遂げた。Googleなどによれば,電子商取引の規模は前年比53%増の130億ドルに達した。電子商取引は都市部だけでなく農村部でも広がりをみせた。7月以降,厳格な社会隔離措置のもとでの消費低迷や流通の機能不全により,多くの農家が農産品の売り先を失った。そうしたなか,7月21日付情報・通信省1034号決定に基づき,ベトナム郵便通信グループ(VNPT)の通販サイト・ポストマートとベトテル郵便総公司の通販サイト・ボソが農産品取引に参入し,南部19省で農家による電子商取引の支援を行ったことが,オンラインでの農産品販売の拡大を促した。

デジタル経済発展の政策的振興も積極的に進められた。1月には,2030年までの人工知能(AI)の研究開発および応用についての国家戦略(首相127号決定)が公布され,ベトナムが2030年までにASEANおよび世界におけるAIソリューション・アプリケーション開発の中心地になるという目標が掲げられた。3月には,モバイルマネーの試験的導入を承認する首相316号決定が公布され,企業は1モバイルマネー・アカウントにつき月1000万ドンを超えない範囲で,引き出し,送金,支払いなどを行うことが認められた。特に農村部での展開が奨励されており,銀行口座をもたない農村・遠隔地域の人々の資金アクセス改善が期待される。11月には国家銀行がモビフォン,VNPT,ベトテルに対してモバイルマネーの試験的運用を認め,VNPTとベトテルが12月にサービス提供を開始した。

活況を呈した証券市場

政策金利が前年9月末に設定された低水準に据え置かれ,各行の預金金利が低く抑えられたことを背景に,2021年には証券市場に国内資金が流入した。ホーチミン証券取引所(HOSE)では前年末からの注文数の急増により年初早々システムの不具合が発生し,売買単位の調整や新システム導入などの対応に追われた。HOSEの株価指数であるVNインデックスは過去最高値の更新を繰り返し,11月25日には初の1500ポイント超えとなる1500.81ポイントを記録した。12月28日時点で,VNインデックスは前年末比35.4%上昇の1494.39ポイント,ハノイ証券取引所(HNX)の株価指数であるHNXインデックスは同125.5%上昇の458.05ポイントとなり,株式時価総額は前年末比46%増の7729兆ドンに達した。

証券市場の過熱状態が続くなか,12月11日にはHOSEとHNXの統合によりベトナム証券取引所(VNX)がハノイ市で開所した。VNXは,証券市場の発展と国際競争力強化のため,2020年末の首相37号決定で設立が承認されていた。今後,HNXにデリバティブと債券,HOSEにその他証券の取引が集約されていく予定で,7月12日付財務省57号通知において証券市場再編のロードマップが示された。

企業活動一般は停滞するも,大企業には新たな展開

企業経営環境の改善は引き続き重要課題と位置づけられ,1月1日付の政府2号決議では,2019年政府2号決議で定められた2021年までの目標の達成に集中する方針が示された。しかし,新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって改革は難航し,いくつかの改善指標では前年からの後退もみられた。

企業活動の減退も著しかった。新規設立企業の数は前年比13.4%減の11万6800社となった。新規設立企業による投資と既存企業の拡張投資とを合わせた登録資本総額(4136兆ドン)も前年から大きく減少(-25.8%)した。設立年数5年以内の小規模企業を中心に市場撤退が相次ぎ,活動停止や解体に追い込まれた企業の数は前年比17.8%増の11万9800社に及んだ。

企業活動が総じて減退したなか,大企業にはさまざまな動きがあった。なかでも目を引いたのはビングループだった。ビングループは,フークォック島での娯楽・リゾート複合施設の開業や,ワクチン製造,AI研究・応用,ビッグデータ研究開発の分野での子会社設立など,積極的な新事業展開を行う一方で,自動車事業への傾注を強めた。3月には子会社ビンファストが製造するベトナム初の電気自動車VFe34の予約受付,12月末に販売を開始した。5月にはビンスマートをテレビ・携帯電話事業から住宅・自動車用のスマート機能開発に事業転換させることを発表,また8月にはビンファストの電気自動車用バッテリーを製造する子会社ビンESを設立した。11月にはロサンゼルスにビンファストのアメリカ本社を設立し,同月17日にロサンゼルス・オートショーで電気自動車の新モデルを発表した。年末にはビンファストのアメリカでの新規株式公開(IPO)計画も発表された。

経済構造の再編は進まず

コロナ対応を優先せざるを得ないなか,経済構造再編では厳しい状況が続いた。国有企業の再編では,7月2日付首相22号決定で,2021~2025年に所有転換,再編,国家資本売却を行う国有企業の分類基準が定められた。再編の計画については,2020年までの株式化計画(2019年首相26号決定)と国家資本売却計画(2020年首相908号決定)が未達に終わっており,2021~2025年の計画が新たに公布されるまで,これらの実現が引き続き目指されることになった。しかし2021年の再編実績は計画に遠く及ばなかった。年内に株式化された国有企業は計画外の3社にとどまり,計画内の89社はいずれも株式化の実施に至らなかった。国家資本売却の実績は1兆6650億ドンで,株式化と国家資本売却による収益は2021年国家予算で想定されていた額(40兆ドン)の3.5%(1兆4010億ドン)にしか達しなかった。

金融部門では,水面下で不良債権が増大した。前年の国家銀行1号通知(4月2日付3号通知および9月7日付14号通知で一部修正)に基づき,金融機関に対して引き続き融資返済期限の変更や金利減免,債務分類変更などの措置がとられたため,金融機関の不良債権比率は前年末の1.7%から微増の1.9%にとどまった。しかし,コロナ下での社会隔離措置適用により対面業務が制限された影響で,金融機関資産管理会社(VAMC)へ移管済みの不良債権の処理が大幅に遅れた。VAMCへ移管済みの不良債権も含めた不良債権比率は前年末の5.1%から7.3%に膨らんだ。

(荒神)

対外関係

中国とはおおむね良好な関係を保つ

中国では,1月に外国船に対する海警局の武器使用を認める海警法が成立し,11月には中国の「管轄海域」で操業する外国漁船に海警局が罰金を科すことを認める通知が公布された。また,2月には,中国がベトナム国境付近でミサイル基地を建設しているという情報がメディアで流れた。このように,毎年南シナ海で繰り返される軍事演習や禁漁期間の設定などに加え,ベトナムにとっての新たな懸念材料もあったが,両国間の緊張関係が顕在化するような事案は特になかった。

コロナ禍という状況下で,首脳の往来など,両国間の緊密な関係を示す出来事も取り立ててなかったが,特に3月末に保健相が中国に対して正式にワクチンの提供を依頼してからは,両国関係はおおむね良好であった。シノファーム製ワクチンは,2021年中にベトナムが受領したワクチンの約4分の1を占め,アストラゼネカ製に次ぐ第2位となった。閣僚級では,2月に趙克志公安相,4月に魏鳳和国防相,9月に王毅外務相が来訪し,12月にブイ・タイン・ソン外務相が北京を訪れた。また,前回の党大会の後には,党対外委員会委員長が党書記長特使として中国を訪れ,党大会の結果を報告しているが,メディア報道によれば,今回は両党の対外委員会間のオンライン会議という形で報告が行われた。

8月にアメリカのハリス副大統領が来訪し,フック国家主席やチン首相と会談を行った際には,その前日に在ベトナム大使館の熊波大使がチン首相と会談した。会談でチン首相は,ワクチン確保や農産物輸出の円滑化への中国の協力を要請するとともに,ベトナムはある国と同盟を組んで他の国に対抗することはないと発言して中国の懸念に応えた。

初めてのアメリカ副大統領の来訪

アメリカとの関係も,バイデン政権になって安定感が高まった。トランプ政権に指弾を受けた貿易不均衡・為替操作の問題については,対話を重ねてひとまず制裁を免れた(「経済」の項参照)。また,バイデン大統領が3月に発表した「国家安全保障戦略の暫定的な指針」はアメリカが協力関係を深めていくべきパートナーにASEAN諸国を挙げ,なかでもシンガポールとベトナムに言及していた。

7月にオースティン国防長官,8月にハリス副大統領が相次いで来訪したことは,アメリカのベトナム重視の姿勢を印象づけた。1995年の外交関係樹立以来,アメリカ副大統領の来訪は初めてのことであった。フック国家主席との会談で,ハリス副大統領は両国間の関係を現在の全面的パートナーシップから戦略的パートナーシップに格上げすることへの期待を表明し,また,中国が国連海洋法条約を順守するよう圧力をかけることが必要だというアメリカの立場を明確にした。これに対し,フック国家主席は,ベトナムは独立,自主,全方位などの外交路線を堅持していることを強調しつつ,アメリカとの全面的パートナーシップをさらに深めていきたいと述べ,慎重な姿勢を保った。

バイデン政権はトランプ政権と異なり,外交政策においても人権問題を重視する姿勢を示している。政府はハリス副大統領の来訪に合わせて,2018年に人民政権転覆罪でそれぞれ懲役14年を宣告されていたベトナム系アメリカ人2人を釈放した。9月初めに5年ぶりの特赦を実施した(「国内政治」の項参照)のもこの訪問を意識してのことであったとも解される。しかしながら,バイデン政権がベトナム政府に人権状況の改善を強く迫っている様子は今のところあまりうかがわれない。滞在中,ハリス副大統領は「市民社会の代表」として環境や性的少数者の問題に取り組む団体の代表らとの会合をもった。ただし,2016年にオバマ大統領が来訪した際に招かれたような活動家やジャーナリスト,弁護士といった顔ぶれは,今回は招待されていなかった。

その他の主な出来事

ベトナムは2020~2021年の国連安全保障理事会(安保理)の非常任理事国となっていたが,2月にクーデタが起きたミャンマー情勢への対応に苦慮した。3月10日の安保理議長声明は,平和的なデモ隊に対する暴力を強く非難したが,クーデタ自体を非難したり,制裁の可能性を示唆したりする文言は,中国とロシア,インド,ベトナムの反対により声明の最終案から削除された。議長国がベトナムに交代した4月1日にも同様の報道向け談話が発表されたが,内容的に新しい点はほとんどなく,形式的にも議長声明より格下であったことなどがむしろ手詰まり感を感じさせた。

チン首相は10月31日からスコットランドで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に出席し,2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指すベトナム政府の方針を明らかにした。また,首相はイギリス滞在中,ベトナム企業とイギリス側カウンターパートとの間の多くの協力協定の締結に立ち会ったが,なかでもベトジェットの大口株主であるソビコグループがオックスフォード大学リネカーカレッジに総額1億5500万ポンドを寄付する覚書を同校との間で締結したことが注目を集めた。リネカーカレッジは,この歴史的意義をもつ寄付金に感謝して,校名を同グループのグエン・ティ・フオン・タオ会長(ベトジェットCEO)の名前に改める考えを示している。

(石塚)

2022年の課題

2021年には,ゼロコロナからウィズコロナへの路線転換に伴い,政府や各省庁,各地方による関連施策が錯綜し,国民や企業を混乱させる場面もみられた。国民は忍耐強くこの困難に対処してきたが,年末に立件されたベトアー事件のように,多くの人が苦しむなかで一部の企業や公務員が不正を働いて巨利を得ていたことが明るみに出れば,党指導部がこれまで取り組んできた汚職撲滅の成果に疑問符が付くことにもなりかねない。党・政府は,国民の信頼を取り戻すために,引き続き有効なコロナ対策を模索しつつ,反汚職闘争のあり方についても真剣に再検討を行うことが望まれる。

経済は感染対策の柔軟化により上向き始めたが,2021年の厳格な社会隔離措置のもとで生じた労働者不足などの問題の解決には長期的な取り組みが求められる。停滞した企業経営環境の改善や構造改革を前進させ,企業活動の回復を促すことも重要となる。輸出の好調を維持するうえで,2022年1月1日に発効した「地域的な包括的経済連携」(RCEP)協定からどう恩恵を引き出せるかも注目される。

外交面では,南シナ海行動規範(COC)の交渉が進展することが予想される。ASEAN議長国が親中国のカンボジアであることからも,ベトナムは自国の主権と利益を守るために高度な交渉力を発揮することが必要になるだろう。また,2021年は多くの国の艦船が南シナ海を航行し,ベトナムの主要港に寄港した。COC交渉の進展いかんにかかわらず,南シナ海の平和と安定を維持するため,引き続き多くのパートナーと密接に連携,協力していくことが不可欠である。

(石塚:新領域研究センター)

(荒神:新領域研究センター)

重要日誌 ベトナム 2021年

1月
4日 ミートゥアン=カントー間の高速道路,着工。
5日 独立ジャーナリスト協会のファム・チ・ズンに反国家宣伝罪で懲役15年,保護観察3年。他のメンバー2人に共に懲役11年,保護観察3年。
9日 ハノイ市のホアラックハイテクパークで国家イノベーションセンター着工。
12日 情報・通信省,フェイクニュース処理センター設立。
15日 米通商代表部(USTR),ベトナムが不当な為替操作を行っていたと認定。
16日 第12期党中央委員会第15回総会(~17日)。
20日 環境活動家のディン・ティ・トゥ・トゥイに反国家宣伝罪で懲役7年。
25日 第13回党大会(~2月1日)。
26日 2030年までの人工知能の研究開発国家戦略を定める首相127号決定。
28日 コロナ対策に関する緊急会議。
2月
25日 居住者に関する国家データベースとIDカードの作成・管理システムの運用開始式典。
26日 新型コロナウイルスワクチンの調達に関する政府21号決議。
3月
1日 アメリカのバイデン政権,トランプ政権が始めたベトナムの不公正貿易に関する調査を継続すると発表。
8日 第13期党中央委員会第2回総会(~9日)。
8日 ハノイ市,ホーチミン市,ハイズオン省で新型コロナウイルスワクチン接種開始。
9日 ドンタム社住民に対する2020年9月の裁判の控訴審,第1審判決を支持。
9日 モバイルマネーの試験的導入を承認する首相316号決定。
10日 フェイスブッカーのチャン・クォク・カイン,反国家宣伝罪容疑で逮捕(10月28日の第1審判決で懲役6年6カ月)。
11日 「臨時ベトナム国家政府」に参加した4人に人民政権転覆活動罪で懲役計31年。
15日 フート省のエタノール工場建設に関する規定違反事件の裁判で,ディン・ラ・タン元ペトロベトナム会長に懲役11年,チン・スアン・タイン元ペトロベトナム建設会長に懲役計18年。
16日 ハイテク企業の認定基準を定めた首相10号決定。
16日 ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記,来訪(~17日)。
19日 「臨時ベトナム国家政府」に参加したチャン・グエン・チュアンに人民政権転覆活動罪で懲役6年6カ月。
20日 ラオスの首都ヴィエンチャンでベトナム支援の国会議事堂の引き渡し式典。
24日 第14期第11回国会(~4月8日)。
25日 外務省報道官,約220隻の中国船がチュオンサ(スプラトリー/南沙)諸島周辺に集結していることに抗議。
27日 フリージャーナリストのレ・チョン・フン,反国家宣伝罪容疑で逮捕(12月31日の第1審判決で懲役5年,保護観察5年)。
30日 フェイスブッカーのヴー・ティエン・チら4人に反国家宣伝罪で懲役計31年。
4月
7日 ホーチミン市党委員会のタット・タイン・カン元副書記,党から除名。
7日 民主活動家のグエン・トゥイ・ハイン,反国家宣伝罪容疑で逮捕。
16日 米財務省,ベトナムを為替操作国から除外。
19日 付加価値税,法人税,個人所得税および土地賃貸料の納付猶予について政府52号議定。
22日 フック国家主席,気候変動サミットにオンラインで参加(~23日)。
23日 チン首相,ジャカルタで開催されたASEAN首脳会議に出席(~24日)。
23日 ジャーナリストのチャン・ティ・トゥエット・ジエウ,反国家宣伝罪で懲役8年(9月29日の控訴審,第1審判決を支持)。
24日 中国の魏鳳和国防相,来訪(~27日)。
29日 サイゴンビール・アルコール飲料(Sabeco)による公有地の違法売却事件でヴー・フイ・ホアン元工商相に懲役11年。
5月
1日 イギリスとの自由貿易協定,発効。
5日 活動家のカン・ティ・テウとチン・バー・トゥに反国家宣伝罪で共に懲役8年,保護観察3年。
9日 ビングループ,ビンスマートのテレビ・携帯電話事業からの撤退を発表。
20日 フェイスブッカーのチャン・ゴク・ソン,民主的権利濫用容疑で逮捕。
23日 第15期国会議員・各級人民評議会議員(2021~2026年任期)選挙。
24日 米商務省,ベトナム産の自動車・小型トラック用タイヤがドンの過小評価によって不当に補助されていると発表。
26日 新型コロナウイルスワクチン基金の設立に関する首相779号決定。
27日 バクニン省とバクザン省で工場労働者に対するワクチンの優先接種開始。
31日 ホーチミン市,一部の地域に2020年首相16号指示による社会隔離措置を適用。
6月
2日 電気料金の値下げに関する政府55号決議。
2日 フェイスブッカーのダン・ホアン・ミン,反国家宣伝罪で懲役7年,保護観察2年。
3日 ビングループ,ワクチン生産を行う「ビンバイオケア」設立。
8日 国家銀行取引所,米ドル買値を150ドン引き下げ。
11日 新型コロナウイルス感染症対策強化と経済社会発展のための重要任務に関する政治局7号結論。
15日 2021~2025年の電子政府発展戦略について首相942号決定。
17日 SNS利用者の行動規範を定める情報・通信省874号決定。
24日 ハノイ疾病管理センター(CDC)のグエン・ニャット・カム元所長に対する2020年12月の裁判の控訴審,第1審判決を支持。
26日 ホーチミン市で500万人を対象に新型コロナウイルス検査の実施(~7月5日)。
28日 ラオスのトーンルン党書記長,来訪(~29日)。
30日 ジャーナリストのレ・ヴァン・ズン,反国家宣伝罪容疑で逮捕。
7月
1日 コロナ禍により困窮する労働者と雇用主への支援策について政府68号決議。
2日 2021~2025年に所有転換,再編,国家資本売却を行う国有企業の分類基準を定める首相22号決定。
5日 党中央委員会第3回総会(~8日)。
6日 活動家のド・ナム・チュン,反国家宣伝罪容疑で逮捕(12月16日の第1審判決で懲役10年)。
9日 作家のファム・チ・タインに反国家宣伝罪で懲役5年6カ月,保護観察5年。
9日 ホーチミン市,2020年首相16号指示に沿った社会隔離措置を市内全域に適用。
13日 2021~2030年の国内商取引発展戦略を承認する首相1163号決定。
15日 2021~2030年の行政改革マスタープログラムを承認する政府76号決議。
15日 ベトナム航空,成田=ダナン便で国際航空運送協会(IATA)トラベルパスを初導入。
19日 国家銀行と米財務省が共同声明を発表。ベトナムの為替操作回避について合意。
20日 第15期第1回国会(~28日)。
20日 フェイスブッカーのグエン・ヴァン・ラム,反国家宣伝罪で懲役9年。
21日 農家の電子商取引参入と農業農村のデジタル経済発展の促進に関する計画を承認する情報・通信省1034号決定。
26日 ホーチミン市,夜間外出を禁止。
28日 アメリカのオースティン国防長官,来訪(~29日)。
31日 電気料金値下げに関する政府83号決議。
8月
4日 スイスのカシス副大統領兼外務相,来訪(~6日)。
9日 フック国家主席,ラオス訪問(~10日)。
11日 国家銀行取引所,米ドル買値を225ドン引き下げ。
19日 交通・運輸省,グローバルトランスエアの一般航空運送事業許可を正式に撤回。
23日 ホーチミン市,外出制限を強化。
24日 チン首相,COVID-19対策国家指導委員会委員長に任命。
24日 チン首相,在ベトナム中国大使館の熊波大使と会談。
24日 アメリカのハリス副大統領,来訪(~26日)。
24日 アメリカ国籍のジェームズ・グエンら2人,刑期を残して釈放,アメリカに移送。
30日 航空局,航空各社に対し,国内線の航空券販売停止を要請。
30日 コロナ禍の影響を受けた企業・個人の困難を解決するための作業部会設置について首相1447号決定。
9月
1日 全国の受刑者3035人に特赦。
5日 フエ国会議長,欧州議会,欧州理事会,ベルギー,フィンランド歴訪(~11日)。
9日 コロナ下の企業・合作社・個人事業主の支援に関する政府105号決議。
10日 中国の王毅外務相,来訪(~12日)。
10日 岸信夫防衛相,来訪(~12日)。
18日 フック国家主席,キューバ,アメリカ歴訪(~24日)。国連総会出席(21~24日)。
24日 コロナ禍の影響を受けた労働者と雇用主に対する失業保険基金からの支援措置について政府116号決議。
25日 コロナ禍の影響を受けた企業等に対する土地賃料減額に関する首相27号決定。
26日 チョン党書記長,カンボジアのフン・セン首相,ラオスのトーンルン党書記長と党中央事務局で会談。
30日 保健省,生産施設における新型コロナウイルス検査のガイドライン策定。
30日 党検査委員会,チャン・トゥアン・アイン党経済委員会委員長が商工相在任中(2016~2021年)に違反があったと指摘。
10月
3日 コロナ禍の影響が続くなかでの工業生産の回復に関する首相27号指示。
4日 党中央委員会第4回総会(~7日)。
8日 7月1日付政府68号決議の一部修正に関する政府126号決議。
11日 新型コロナウイルス感染症に安全・柔軟に適応し,効果的に抑制していくための臨時措置に関する政府128号決議。
13日 省市間の長距離バスの運行再開。
19日 2021~2030年の鉄道システム開発計画を承認する首相1769号決定。
20日 第15期第2回国会(~11月13日)。
28日 「クリーンな新聞」のジャーナリスト4人に民主的権利濫用罪で懲役2~4年半。
28日 2021~2025年のキャッシュレス決済発展計画について首相1813号決定公布。
31日 チン首相,イギリス,フランス歴訪(~11月5日)。
11月
1日 チン首相,国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で2050年までにゼロエミッション実現の方針を表明。
5日 国家銀行取引所,米ドル買値を100ドン引き下げ。
6日 公安省諜報総局のグエン・ズイ・リン元副総局長,50億ドン収賄の罪で懲役14年。
6日 ハノイ市のメトロ2A号線,運行開始。
7日 トゥドゥク病院のグエン・ミン・クアン院長ら,医療機器の入札不正容疑で逮捕。
11日 フック国家主席,第28回アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にオンラインで参加(~12日)。
16日 ビンファスト,ロサンゼルスにアメリカ本社を設立。
18日 国家銀行,モビフォンとベトナム郵便通信グループに対して,モバイルマネー事業の試行を許可。
19日 党政治局,グエン・ティ・キム・ティエン元保健相に警告処分,中央幹部健康保護委員会委員長の職を解任。
19日 ホーチミン市の土地の違法交換事件に関し,同市人民委員会のグエン・タイン・タイ元副主席に懲役5年。
20日 フークォック島への外国人観光客受け入れ再開。
22日 チン首相,日本訪問(~25日)。
25日 フック国家主席,スイスとロシアを公式訪問(~12月2日)。
25日 VNインデックスが1500ポイント超え。
26日 国家銀行,ベトテルに対してモバイルマネー事業の試行を許可。
12月
3日 米財務省,ベトナムと台湾を為替操作国の基準に当てはまるとしつつも,為替操作国には認定せず。
4日 ビングループ,2022年後半にアメリカでビンファストを上場する計画を発表。
8日 国家銀行取引所,米ドル売値を706ドン引き下げ。
10日 ハノイ心臓病院のグエン・クアン・トゥアン元院長,逮捕。
11日 ベトナム証券取引所(VNX)が開所。
12日 フエ国会議長,韓国,インド歴訪(~19日)。
13日 ハノイ市人民委員会のグエン・ドゥク・チュン元主席,湖の水質浄化のための薬品購入に関し,職務権限濫用罪で懲役8年。
14日 ジャーナリストのファム・ドアン・チャンに反国家宣伝罪で懲役9年。
15日 活動家のチン・バー・フオンとグエン・ティ・タムに反国家宣伝罪でそれぞれ懲役10年,保護観察5年と同6年,3年。
15日 カオ・ミン・クアン元保健次官,VNファーマによる偽造薬輸入事件に関連して,党のすべての役職を抹消。
17日 新型コロナウイルス検査キット製造ベトアー社のファン・クォク・ヴィエト社長兼会長,逮捕。
18日 サイゴン農業総公司(SAGRI)による公有地の違法売却事件でレ・タン・フン元社長に資産横領と規定違反で懲役計25年。
21日 フック国家主席,カンボジア訪問(~22日)。
23日 計画・投資省企業開発局,企業情報ポータルサイト開設。
23日 ワクチンパスポートの発行,開始。
24日 ビンファスト,初の国産電気自動車VFe34の販売開始。
28日 保健省,新型コロナウイルス「オミクロン株」感染者の国内初確認を公表。
31日 ハノイ市人民委員会のチュン元主席,ニャットクオンの入札不正事件に関し,職務権限濫用罪で懲役3年。

参考資料 ベトナム 2021年

① 国家機構図(2021年12月末現在)
② ベトナム共産党指導部(2021年12月末現在)

(注)政治局員,書記局員の記載順は,第13回党大会ウェブサイトに基づく。

③ 国家機関要人名簿(2021年12月末現在)
④ 2022年の主な目標と主要指標(第15期第2回国会で2021年11月12日に可決された2022年の経済・社会発展計画に関する国会決議より)

(出所)ベトナム国会ウェブサイト(http://quochoi.vn/)より。

主要統計 ベトナム 2021年

1 基礎統計

(注)1)暫定値。ただし,消費者物価上昇率は前年末比,2020年は確定値。

(出所)統計総局ウェブサイト(www.gso.gov.vn)。

2 支出別国内総生産(名目価格)

(注)1)暫定値。

(出所)表1に同じ。

3 産業別国内総生産(実質:2010年価格)1)

(注)1)基本価格表示。2)暫定値。

(出所)表1に同じ。

4 所有形態別国内総生産(実質:2010年価格)1)

(注)1)基本価格表示。2)暫定値。

(出所)表1に同じ。

5 国・地域別貿易

(注)1)暫定値。

(出所)表1に同じ。

6 国際収支

(注)IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。ただし,金融収支の符号については(-)は資本流出,(+)は資本流入を意味する。1)暫定値。

(出所)ADB, Key Indicators for Asia and the Pacific 2021.

 
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