Yearbook of Asian Affairs
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2022 Volume 2022 Pages 9-22

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概 況

2021年初め,アメリカは未曾有の混乱のなかにあった。1月6日,ドナルド・トランプ大統領に使嗾された集団が連邦議会議事堂を襲撃した。MAGA(Make America Great Again)反乱である。2020年11月の大統領選挙におけるジョセフ・バイデン民主党候補の勝利を正統なものと認めない勢力が,暴力を以て状況の転換を図ったのであった。アメリカの民主主義は危機に瀕した。

この混乱自体は早期に収拾された。米軍,司法,そして与党共和党も含めて議会に危機感が広がり,トランプ大統領への批判も高まった。ホワイトハウスに居座るかと思われたトランプも退去し,2021年1月20日,バイデンが正式に第46代大統領に就任することとなる。

それから1年,統合を期待されたバイデン新政権の下でアメリカの分断はさらに深まり,いまや「内戦」(civil war)という言葉で国内状況を描写する声も少なくない。他方でバイデン政権は,外交ではトランプ前政権の方針を一転させ,積極的に国際秩序への復帰と関与を進めてきた。

2021年のバイデン外交には3つの特徴を認めることができる。第1に,アメリカ外交史上はじめて中国およびアジアが米戦略構想の焦点となった。トランプ前政権期にはじまる米中対立は,バイデン政権に至って国際秩序の行方をめぐる体系的・長期的闘争の様相を急速に強めている。第2に,バイデン政権の掲げた秩序構想は,冷戦終結以来の中ロやグローバル・サウスを含めた地球規模の民主主義とリベラルな理念の拡大の追求ではなく,既存の同盟・友好諸国を基盤とし,中ロに対抗する限定的かつ現状維持志向のものとなった。第3に,しかし国内の分断,また政策遂行の混乱によって対外関与の基礎は揺らいでいる。これは同盟国の負担分担の重視と経済面における長期的視点の欠落として顕在化し,バイデン外交の行方に影を落としている。

バイデン政権の対中政策とアジアの国際秩序

バイデン政権は,長い「冷戦後」の終焉を画する存在である。アメリカ政治において,リベラルな国際秩序がグローバルに拡大するとの展望を維持する政治勢力の存在感が急速に縮小したからである。「歴史の終焉」が謳われた時代の終幕といえよう。すでにトランプ政権期に,世界各地の大学・シンクタンクでは「リベラルな国際秩序の終焉」と題した議論が盛んに展開されていた。とはいえトランプはリベラルな理念どころか,秩序構築自体に敵対的なアウトサイダーであった。

これに対してバイデン政権は,大統領自身も,またアントニー・ブリンケン国務長官,ジェイク・サリバン安全保障問題担当大統領補佐官をはじめとした政権中枢から若手のスタッフに至るまで,外交に精通した専門家集団である。だがトランプ以前のグローバルな秩序構想が復権することはなかった。それに代わって提示されたのは,中国(のちにはロシア)を専制主義と規定し,これと民主主義諸国が競合すると想定する世界観であり,既存の西側同盟・友好諸国を基盤とした地理的に限定されたリベラルな国際秩序の再建を図るというビジョンであった。

最重要課題は中国である。アジアの安全保障問題に精通したカート・キャンベルの国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官への着任は象徴的であった。米中の対立と分断は,2021年を通じて科学技術交流,経済から金融へと拡大している。バイデン政権は新疆や香港をめぐって人権問題でも中国への批判を強めてきた。3月にアンカレッジで開催された米中ハイレベル協議におけるブリンケン国務長官と楊潔篪共産党中央政治局委員の激しい衝突は,対立の深刻さを印象付けた。とはいえこの1年で中国の対米貿易総額は約3割増加し,過去最大となっている。また民主党左派は環境問題などでの対中協調を求めており,バイデンも国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)では中国との合意を模索した。中国との関係断絶は難しい。バイデン政権は中国との協力を排除しておらず,その主たる目標が中国の行動の変化,あるいは体制変革にあるともいえない。

2022年2月11日に発表されたバイデン政権のインド太平洋戦略,2021年3月の「国家安全保障戦略指針暫定版」などの関連文書,また実際の外交・軍事政策をみるかぎり,バイデン政権の戦略構想は以下のように整理できる。すなわち,その目的は,紛争管理を前提としつつも,中国対策に軍事・経済等のリソースを集中してその抑止と影響力拡大阻止を図り,国際環境改善を通じたアメリカ優位の国際秩序を維持することである。またそのための手段としては,同盟強化,中国の成長鈍化,アメリカの経済・技術力向上が重視されている。

バイデン政権が提示するのは,現状維持志向の保守的な世界観である。また同盟強化と競合相手の成長鈍化という手法は米ソ冷戦を彷彿とさせる古風な発想であり,後述のように国内経済の重視は同盟国との摩擦を引き起こす可能性も高い。だが少なくともトランプ政権とは比較にならない合理性と体系性を持ち,またバラク・オバマ政権期と比べても国家安全保障の重視という点で現実的である。冷戦期以来の伝統的なアメリカの戦略構想をアップデートしたビジョンといえよう。この意味で,政権発足当初に喧伝された「プロの外交」との評価は妥当である。

だがこの戦略構想の実現は容易ではない。またバイデン政権はその実施・運用に躓き,実態以上に多くの問題を引き起こした。以下,まずアメリカの国内情勢とグローバルな戦略状況を確認したのち,バイデン政権が東アジアおよび東南アジア諸国にどのような方針で臨んだのか,2021年の動向を概観したい。

アメリカの「内戦」と外交戦略

バイデン政権最大の課題は,外交に投入可能な軍事・経済資源の制約である。物理的な国力ではアメリカはなお強大だが,「内戦」とも評される国内の深刻な分断がその国力を対外政策に振り向ける余地を制約している。この現象自体はオバマ政権期にはすでに顕在化していた。だが特に初期のオバマ政権は,西側のみならず中ロとの大国間協調によってグローバルな秩序を維持することを目指していた。またトランプ政権は体制を問わない二国間の取引による短期的実利の獲得を志向し,長期的利益に基づく国際秩序の構想とは無縁であった。

これに対してバイデン政権は,中国との対決を掲げ,西側諸国を中軸とするアメリカ主導の秩序維持を目指している。中ロとの協調を前提としたオバマ政権,また秩序の維持を顧みなかったトランプ政権と比較して,バイデン政権の外交方針が,より強固な国内的支持と,その動員に基づくリソースの投入を要することは明らかだろう。のちにみるように,バイデン政権が「中間層のための外交」を掲げ,その対外関与への国内の支持調達を図ってきた所以である。

だがアメリカ国内の分裂はオバマ・トランプ両政権期以上に昂進し,対外関与に対する国内的支持を確保することは容易ではない。現在のアメリカは,新型コロナウイルスの猛威もあって対外関与への疑念が広がり,またクインジー研究所(Quincy Institute for Responsible Statecraft)に代表されるように体系的にアメリカの対外介入を批判する論調が台頭する状況にある。米ソ冷戦の初期には「冷戦コンセンサス」ともよばれた対外関与への強い国内的な支持が存在し,マッカーシズムの狂乱をも生み出した。これと比較すれば,アメリカの国際的な関与の基礎が大きく揺らいでいることは明らかだろう。

また何よりもバイデン政権の基盤は悪化の一途を辿っている。高齢の大統領を支えると思われたカマラ・ハリス副大統領への期待は政権発足から数カ月で消滅し,政権自体についても世論調査では支持率を不支持率が逆転する状況が定着して久しい。バイデン政権が推進してきたビルド・バック・ベター法案とよばれる大規模な経済再建案の行方は見通せず,新型コロナウイルス対策はなお難題であり,インフレが昂進し,民主党左派の政権への批判も高まっている。共和党ではMAGA反乱にもかかわらずトランプ支持派が勢力を拡大し続けており,トランプ自身も2024年の大統領選挙に向けて意気軒高である。

戦略調整の代償と挫折:アフガニスタン撤退とウクライナ危機

国内の分断の克服が難しい以上,バイデン政権が取り得る方策は,対処すべき問題と敵対勢力を減らし,また味方を増やしてその協力を獲得することであろう。

前者の焦点がアフガニスタン撤退であった。バイデン政権による対中シフトの大前提は,2001年の同時多発テロ事件以来の中東および中央アジアへの対外介入の清算である。トランプ前政権期に示されたアフガニスタンからの早期の米軍撤退方針を受け継いだバイデン政権は,7月2日に米軍の大幅な撤収に踏み切った。

ところがその1カ月後の8月15日,武装勢力ターリバーンが首都カーブルを電撃的に制圧した。カーブル陥落に際しては離陸する米軍ヘリに人々が乗り込もうとする光景が報道され,1975年のサイゴン陥落と重ねる論調が溢れた。

サイゴン陥落は米中接近と米ソ間のデタントのなかの撤退であり,大国間政治への影響は限定的だった。これに対してカーブル陥落は,バイデン政権が米中対立に踏み込む最中の撤退である。介入の清算は常に困難であるが,大国間政治の調整なき撤退は外交的影響力の失墜に直結する。米中対立が激化するなかでベトナム戦争の終幕が再演されたこと自体,バイデン政権の致命的失敗であった。バイデン政権の外交手腕への疑念が広がり,国内基盤も大きく動揺することとなる。ともあれバイデン政権は,20年にわたる介入を少なくとも一時的には清算した。

だが敵対関係の整理には完全に挫折した。米ロ関係の悪化である。政権発足当初,バイデン政権はロシアの人権問題,また米大統領選挙への関与を批判し,矢継ぎ早に対ロ制裁を打ち出した。だが4月から夏にかけては,6月16日に米ロ首脳会談が開催されるなど,ロシアとの関係の安定に明確に舵を切っている。中国対策に注力することが目的であった。

だが10月にロシアがウクライナ国境のロシア軍を増強すると,ウクライナ情勢が急速に悪化する。バイデン大統領は2022年初めにかけて東欧への米軍増派に踏み切り,さらに2月24日にはロシアがウクライナに全面侵攻を開始した。米ロ関係を安定させて中国にリソースを集約するという2021年中頃の方針は,もはや維持することが困難になったと評価できよう。

規範の強化と同盟のネットワーク化:G7,QUAD,AUKUS

以上のように,バイデン政権は,アフガニスタン撤退を断行したものの大きな代償を支払うこととなり,また大国間関係の再調整には挫折した。これに対して堅調な実績を積み重ねてきたのが,味方を増やして力を合わせること,すなわち同盟強化である。バイデン外交初年の最大の成果といっても過言ではない。

政権発足当初よりバイデン政権が取り組んだのが,国際協調への復帰である。政権誕生の当日,バイデンはトランプが進めていた世界保健機関(WHO)からの脱退手続きを停止し,また気候変動に関するパリ協定への復帰を表明した。西側同盟は,アメリカの覇権の下で共通の規範,制度,国内体制で結びついた連合体という側面を強くもっている。トランプが離脱を試みた国際的な枠組みへのバイデンの早期復帰は,リベラルな規範を強化することで西側諸国の結束強化を図ったものといえる。2月19日のミュンヘン安全保障会議などにおいて,バイデンが民主主義と専制主義の対立を掲げ,人権の擁護を謳った所以である。

2021年前半期に目立ったのが,多国間枠組みの強化による対中牽制である。6月11日から13日にかけてはイギリスのコーンウォールで先進国首脳会議(G7サミット)が開催され,中国への懸念の共有や民主主義諸国の結束,サプライ・チェーンや科学技術といった経済安全保障における協力強化が宣言された。またバイデンは,これに続いて6月14日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議と翌15日の米EU首脳会談に相次いで参加し,米欧同盟の結束をアピールした。

アジアでは,日米豪印4カ国の協力枠組み(QUAD)の活性化が注目を集めた。2月18日には外相会談が,また3月12日には首脳会談が相次いで開かれている。これはいずれもオンラインによる会談であったが,9月24日にはワシントンで対面での首脳会談が開催された。菅義偉首相最後の外遊であった。一連の会合では「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の実現に向けた連携が強調され,海洋の自由も謳われ,さらに9月の首脳会談冒頭ではバイデンがQUADを民主主義諸国による会合と位置付けている。対中牽制の意図は明らかである。

とはいえQUAD首脳会談で掲げられた具体的な協力項目は,経済安全保障や情報技術等の先進技術開発,気候変動やパンデミックといった非伝統的安全保障分野であった。他方,軍事安全保障分野で重視されているのが,同盟国間協力(ネットワーク化)の推進である。日豪・日欧協力の進展は著しいが,特に2021年後半期の焦点となったのが米英豪3カ国間安全保障協力,いわゆるAUKUSである。

9月15日に突如発表されたAUKUSでは,アメリカ,イギリス,オーストラリアの3カ国による軍事技術協力の推進が宣言された。注目を集めたのはオーストラリアへの原子力潜水艦の導入と米英両国の協力表明であった。豪中関係が緊迫し,またフランスからの導入が予定されていた次期(通常動力型)潜水艦の調達に問題が生じたことが背景にあった。だがAUKUSではサイバーやAIなどの他の技術協力の推進も強調されていることも見逃せない。また翌16日に開催された米豪外務防衛閣僚協議(2+2)の共同声明では,米軍機のローテンション配備や兵站能力の拡充をはじめとした,米軍のオーストラリアにおけるプレゼンスの強化が明記されている。中国を睨んだ米豪同盟の強化であった。

だがAUKUSの突然の発表にフランスは激怒し,駐米・駐豪大使の召還という強い外交的措置に出ることとなる。フランスの反発の根源が,「世紀の契約」と呼ばれた巨額の潜水艦契約の喪失にあったことは間違いない。しかし同時に,当事国かつ同盟国であるフランスとの調整のないままに,バイデン政権がAUKUSを決断・公表したことへの不満も看過できない。9月から10月にかけて,バイデン政権は,大統領自身が「不手際」を認めるなど,対仏関係の修復に力を注がざるを得なかった。さらに東南アジア諸国も軍拡競争激化への懸念を相次いで表明し,バイデン政権は釈明に追われることとなる。アフガニスタン撤退においても同盟諸国との協議を軽視したことと合わせて,バイデン政権は,戦略構想というよりも,政策の実施過程において拙劣さを露呈したといえよう。

同盟強化の成果と限界:日本,韓国,台湾

これに対して二国間同盟の強化では,バイデンは堅調な成果を上げてきた。インド太平洋戦略を掲げQUADを重視する一方で,バイデン政権の同盟強化の重点は北東アジアとオセアニア(および欧州)にある。その基本方針は,トランプの残した火種を処理しつつ同盟国の懸案に好意的対応を示しながら,軍事協力,経済・技術安全保障協力,台湾問題への同盟国の関与の拡大を追求したものといえる。

中国を睨むバイデン政権が特に重視しているのが,日米同盟の強化である。バイデン政権発足直後から日米間では緊密な協議が積み上げられ,関係の強化が図られた。1月28日の日米電話首脳会談にはじまり,3月16日の日米安全保障協議委員会(2+2),そしてバイデン政権初の対面での首脳会談となった4月16日の日米首脳会談である。この間,バイデンは繰り返し日米安全保障条約第5条の尖閣諸島への適用を明言し,またトランプ前政権からの懸案となっていた在日米軍駐留経費については1年の現行水準延長で2月17日に合意している。この交渉は12月21日に同盟強靭化予算としてまとまることとなった。

4月の日米首脳会談では,「ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動についての懸念を共有」するとの文言が入るなど,中国を明確に意識した協調関係の拡充が宣言された。経済・技術に関する安全保障協力にも力点が置かれている。次世代通信技術の開発,研究開発における他国の影響力の排除,サプライ・チェーンの再構築などにおける協力が謳われ,防衛協力と並ぶ重要性が付された。また台湾海峡に関する文言が,3月の日米安全保障協議委員会と4月の日米首脳会談の双方に入ったことも注目を集めた。さらに年が明けた2022年1月7日,岸田文雄政権成立後初めての日米安全保障協議委員会においても台湾問題が言及され,防衛・技術協力の具体化も進展している。

米韓同盟の展開も注目に値する。まずバイデン政権は,トランプ前政権が大幅増額を求めた在韓米軍駐留経費をめぐる問題を3月初めに決着させた。続いて18日には米韓外務防衛閣僚協議(2+2)が,また5月21日には米韓首脳会談が開催されて米韓ミサイル指針が撤廃されるなど,バイデン政権は韓国との関係強化を図った。韓国の文在寅政権はQUADなどの中国と対立する枠組みに慎重な姿勢を維持している。このため日本とは異なり共同声明に中国を直接意識した文言は入らなかった。だが5月の首脳会談後に発表された共同声明には「ルールに基づく国際秩序を毀損し,脅かすすべての行動」に反対することが明記されている。また韓国企業が半導体を米国内で生産する投資計画が発表されるなど,経済安全保障についても協力が進んだ。さらに韓国は台湾についても従来の姿勢を変化させ,共同声明では台湾海峡の平和と安定についての文言も盛り込まれている。

アメリカが日韓両国との同盟強化の先に見据えているのが,台湾である。バイデン政権は就任演説に台湾駐米代表を招待したことにはじまり,3月の「国家安全保障戦略指針暫定版」,4月のブリンケン国務長官とサリバン補佐官の発言などで,台湾への防衛コミットメントを繰り返し確認した。アフガニスタン撤退後の10月には,大統領自らが台湾防衛の意思を口にしたことが話題となった。外交上のコミットメントに留まらず,バイデン政権は5月には台湾のWHO年次総会への参加を容認するよう呼びかけ,8月には武器売却を承認している。また米海軍の艦船が台湾海峡を頻繁に通過しており,さらに10月末には蔡英文総統が台湾軍訓練のために米軍が台湾に駐留しているとの事実を公にした。

以上のように,バイデン政権は北東アジアにおける同盟強化に成功したといってよい。他方で,同盟諸国はアメリカほどの対中強硬姿勢に傾斜しているわけではない。北京オリンピックをめぐる,いわゆる「外交ボイコット」問題はこの典型である。2022年2月に開催される北京オリンピックに向けて,2021年12月にバイデン政権は政府高官を派遣しない旨を正式に表明し,同盟諸国の同調に期待を示した。ところが韓国は賛同せず,中国はこれを歓迎する声明を出している。また日本も,岸田政権は当初方針を明確にせず,結果として閣僚ではなく元自民党議員である橋本聖子日本オリンピック委員会会長が訪中することで決着する。だが岸田政権はついに外交ボイコットという文言を使うことはなかった。

日韓両国は中国との距離も近く,経済的にも結びつきが深い。全面的な対立は不可能であり,対中関係の安定を模索するのは当然である。これはアメリカの同盟強化策の限界ではある。だがバイデン政権は過度の圧力を同盟諸国にかけることはなかった。むしろ同盟諸国の象徴的・微温的対応も黙認することで,協力できる領域を見定めて実務的な関係強化を推進し,同盟の結束を誇示することを優先しているように思われる。この点では巧みな外交を行ってきたといえよう。

東南アジア政策と経済秩序構想の欠如:中間層外交の呪縛

同様の外交姿勢は東南アジア政策にも確認できる。東南アジア諸国連合(ASEAN)として結束しながらも中国の圧力と経済的影響力を直接受けるこの地域に対しては,バイデン政権の高官が相次いで訪問した。バイデン政権の当初の動きは鈍かったものの,夏以降はハリス副大統領がシンガポールとベトナムに,ブリンケン国務長官がインドネシアとマレーシアに,ロイド・オースティン国防長官がシンガポール,フィリピン,ベトナムに歴訪している。さらにバイデン大統領自身も,米ASEAN首脳会談と東アジアサミットにオンラインで参加した。

この一連の高官訪問を通じて,バイデン政権は東南アジア諸国の主張に寄り添う姿勢を示したといってよい。排他的経済水域をめぐる中国と東南アジア諸国の紛争では東南アジア支持を確認し,中国のいわゆる「九段線」を否定した。また政治体制の多様性が高いこの地域の特性に配慮し,民主主義や人権といった国内政治における価値を掲げるよりも,国際的なルールを重視する姿勢を示している。アメリカと関係の深いベトナム,シンガポール,フィリピンの状況を考えれば当然の施策ではある。7月末にフィリピンが「訪問米軍に関する地位協定」(VFA)の維持を表明するなど,これには一定の成果があったといってよい。

しかしながら,バイデン政権の東南アジア政策はいまだ外交的配慮に留まる。これは年末にかけて東南アジア諸国の失望として顕在化したが,より大きなバイデン外交の課題の存在を暗示するものであった。経済秩序構想の不在である。

バイデン政権は政権発足当初より経済政策を重視してきた。その柱は2つある。第1に,中国の急成長に歯止めをかける試みである。トランプ前政権後半期に中国との対立はアメリカの対外政策の中心に位置付けられ,情報技術に関する政府調達からの中国関連企業の排除,留学生受け入れをはじめとした科学技術交流の遮断,先端技術流出の防止といった手段が整備されていた。バイデン政権はこれを受け継ぎ,拡大・強化してきた。例えば人権問題と関連させつつ新疆ウイグル自治区からの輸出規制を強化し,さらに年末に新疆の管理・監視を技術的に支える中国ハイテク企業への投資制限を打ち出している。また前述の多国間協議や同盟強化において,バイデン政権が同盟国・友好国に対中制裁や経済安全保障への協調を求めたこともこの一環と理解できよう。

同時に重視されてきたのがアメリカ国内経済の復活である。中国に頼らない強靭なサプライ・チェーンの構築,あるいはデジタル技術の安全性を掲げ,バイデン政権は国内における半導体などの戦略物資の生産,また科学技術の振興を推進している。ビルド・バック・ベター法案や米国イノベーション競争法案・米国競争法案といった国内政策がその主眼である。だが外交政策にもこれは波及し,国内政治基盤の分断に対処すべく,「中間層のための外交政策」が掲げられることとなった。外交政策によって国内経済の活性化を図るとの方針であり,同盟諸国にもアメリカへの国内投資を求める場面が散見された所以である。

中国の成長を鈍化させ,アメリカの発展を加速する。この政策から抜け落ちているのが,アメリカのみならず,同盟国・友好国全体を含めた発展の道筋を示した経済的な秩序形成である。冷戦期のアメリカは,体制間競争の視点から同盟国・友好国の経済力を強化してきた。紆余曲折はあったものの,総じて当時のアメリカは,同盟諸国への市場開放,大規模な援助の投入,そして同盟国を含めた西側経済秩序の制度化を図ってきたといってよい。

だが国内の分断に拘束されるバイデン政権は,新たな経済秩序構想を打ち出すことができていない。アジアでは,トランプが「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(TPP11/CPTPP)をめぐる交渉から離脱して以来,アメリカは動きが取れなくなっている。12月のブリンケン国務長官の東南アジア訪問に際しても,具体策の欠如が指摘されていた。こうした批判の高まりを受けて,10月から2022年初頭にかけて,バイデン政権は「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)と呼ばれる構想に言及し始めている。とはいえ「中間層のための外交」を掲げ,かつ国内基盤が揺らぐバイデン政権はCPTPPへの参加をはじめとした市場開放,とりわけ議会の承認が必要な法的拘束力のある制度への参加が難しい。IPEFは緩やかな政府間協力に留まらざるを得ないとの見解が有力である。

2022年の課題

課題は山積している。第1に,中国対策と他地域への政策のバランスである。ロシアのウクライナ侵攻への対処が最大の懸案であるが,他地域の課題も軽視できない。バイデン政権は2月のミャンマーのクーデタについては強い非難を展開したものの具体策は乏しく,ミサイル実験を繰り返す北朝鮮は事実上放置している。あるいは中東情勢が悪化した際に,どのように対処するのか。地域の問題の顕在化による戦略構想全体の動揺への対処は,すでに喫緊の課題となった。

第2に戦略自体の問題がある。バイデン政権は12月に開催した民主主義サミットのようにリベラルな価値を強調する傾向にある。これと非自由主義的な諸国も少なくない東南アジア諸国へのアプローチとの整合性をいかに図るのか。

第3に上述の経済秩序構想の欠如である。中国の成長鈍化とアメリカの発展のみを追求すれば,同盟諸国は中国経済との連携が弱まり,かつアメリカ市場へのアクセスは拡大しないという状況に陥る。また中国経済と不可分の関係にあるアジア諸国を引き付けるには,中国を含んだルール形成が欠かせない。2022年1月1日には「地域的な包括的経済連携」(RCEP)協定が発効している。同盟国に経済安全保障における協力を求めるばかりではなく,西側諸国全体が共存共栄の関係を築き,かつ中国をも包含したビジョンを提示できるか。難題である。

第4に,だがバイデン政権最大の課題は国内政治にある。新型コロナウイルスやインフレにどのように対処するのか,何よりも2022年11月に予定される中間選挙でどこまで政権基盤の動揺を抑えることができるのか。バイデン外交とアジアの行方に決定的な影響を与える要素といえるだろう。

(中央大学法学部准教授)

重要日誌 アメリカとアジア 2021年

1月
3日 トランプ政権,イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害。
6日 米連邦議会議事堂襲撃事件。
19日 トランプ政権,新疆ウイグル自治区への中国の施策を「ジェノサイド」と認定。
20日 バイデン政権成立。
20日 蕭美琴駐米台北経済文化代表処代表,米大統領就任式に招待される。
20日 バイデン政権,世界保健機関(WHO)脱退手続き停止。
20日 バイデン政権,気候変動に関するパリ協定への復帰を国連に通知。
27日 バイデン大統領,気候変動サミット開催を宣言。
28日 バイデン大統領,菅義偉総理と電話会談。
2月
1日 ミャンマー国軍,クーデタ。
1日 中国,海警法施行。
3日 米ロ,新戦略兵器削減条約(新START)の5年延長に正式合意。
4日 バイデン大統領,就任後初の外交政策に関する演説。
4日 バイデン政権,イエメンにおける攻撃的作戦支援の停止を表明。
5日 バイデン政権,「航行の自由」作戦を南シナ海にて実施。バイデン政権初。
10日 米中首脳会談。
17日 日米,在日米軍駐留経費について,現行水準に沿って1年延長することで合意。
18日 QUAD(日米豪印4カ国の協力枠組み)外相会談。
19日 ミュンヘン安全保障会議。
19日 アメリカ,気候変動に関する国際枠組み「パリ協定」に正式復帰。
3月
3日 バイデン政権,「国家安全保障戦略指針暫定版」公表。
10日 韓国政府,在韓米軍駐留経費について最終合意に達したと発表。
11日 バイデン大統領,1兆9000億ドルのコロナ対策および追加経済対策法案(米国救済計画法)に署名,成立。
12日 QUAD首脳会談。
13日 オースティン国防長官,日本,韓国,インドなどを訪問。
15日 ブリンケン国務長官,日韓訪問(~18日)。
16日 日米安全保障協議委員会(2+2)。
18日 米韓外務防衛閣僚協議(2+2)。
18日 米中ハイレベル協議(~19日)。
21日 北朝鮮,短距離の巡航ミサイル発射。バイデン政権発足後初。
22日 米英加欧州連合(EU),新疆ウイグル自治区をめぐり,対中制裁発動。
22日 米英加EU,ミャンマー国軍高官を制裁対象に指定。
23日 NATO外相理事会(~24日)。
25日 バイデン大統領,就任後初の記者会見。
25日 バイデン大統領,EU首脳会議にオンライン参加。
25日 米英,ミャンマー国軍関連企業を制裁対象に指定。
25日 北朝鮮,弾道ミサイル発射。
27日 中国・イラン,25年間の包括連結協定を締結。協力関係強化。
29日 米通商代表部(USTR),ミャンマーとの「貿易投資枠組み協定」(TIFA)を通じた経済交流停止を表明。
30日 米国務省,2020年の人権報告書公表。新疆ウイグル自治区に対する中国の施策を「ジェノサイド」と明記。
31日 バイデン大統領,大規模なインフラ投資案を提示。総額2兆ドル。
4月
2日 日米韓3カ国,国家安全保障会議(NSC)の責任者による会合を開催。
6日 プライス国務省報道官,北京冬季五輪の外交ボイコットに向け,同盟諸国と協議したいとの意向を示す。
8日 バイデン政権,安全保障に関する輸出規制「エンティティー・リスト」に,半導体生産関連企業などの中国7企業・団体を追加。バイデン政権で初。
9日 米国務省,台湾当局者との接触規制を緩和するよう内規を改訂したと発表。
11日 ブリンケン国務長官,米メディアにおいて,台湾における現状変更に反対を表明。また新疆ウイグル自治区の人権状況について各国に結束して非難することを求める。
13日 米ロ電話首脳会談。
14日 ケリー気候変動問題担当大統領特使,中韓訪問(~17日)。バイデン政権高官として初訪中。17日,米中,気候変動対策に協力するとの共同声明を発表。
14日 バイデン政権,9月11日までのアフガニスタン駐留米軍の全面撤退を表明。
15日 バイデン政権,米大統領選への介入やサイバー攻撃に対して,対ロ制裁を発表。
16日 日米首脳会談。菅義偉総理訪米,バイデン大統領初の対面での首脳会談に。
19日 EU,インド太平洋戦略策定に着手。
21日 米上院外交委員会,戦略的競争法案を可決。軍事投資,人権関連の経済制裁が柱。北京五輪外交ボイコットも求める。
22日 バイデン大統領,気候変動サミットを主催(~23日)。
28日 バイデン大統領,米議会上下両院合同会議で施政方針演説。
30日 サリバン大統領補佐官,台湾の現状変更に反対と表明。
30日 バイデン政権,新たな対北朝鮮政策「調整された現実的アプローチ」を発表。
5月
3日 主要7カ国(G7)外務・開発大臣会合(~5日)。
7日 ブリンケン国務長官,WHOに台湾の年次総会参加を認めるよう求める。
21日 米韓首脳会談。
24日 WHO年次総会開催。台湾の参加認められず。
27日 米中通商担当閣僚電話会談。バイデン政権成立後初。
28日 バイデン大統領,2022会計年度(2021年10月~2022年9月)の予算教書を議会に提示。歳出は約6兆ドル(約660兆円)で戦後最大規模。
6月
3日 バイデン大統領,投資規制を拡大する大統領令に署名。人権侵害につながる監視技術や人民解放軍との関連が深いと認定された中国企業が対象。
8日 米国イノベーション・競争法案,米上院可決。
11日 英コーンウォールでG7サミット(~13日)。
14日 NATO首脳会議。
15日 米EU首脳会談。
16日 米ロ首脳会談。軍備管理協議で合意。
29日 主要20カ国・地域(G20)外相会合。
7月
2日 バイデン政権,アフガニスタン駐留米軍の大部分を撤収。
14日 米ASEAN外相会議。
16日 APEC非公式首脳会合。
23日 オースティン国防長官,シンガポール,ベトナム,フィリピン歴訪(~30日)。27日,シンガポールで東南アジア初の演説,中国を非難。29日にはドゥテルテ比大統領と会談。「訪問米軍に関する地位協定」(VFA)維持を確認。
26日 米イラク首脳会談。年末までのイラク駐留米軍戦闘任務終了を発表。
26日 ブリンケン国務長官,インド,クウェート訪問(~29日)。
28日 東京オリンピック開催(~8月8日)。
8月
4日 バイデン政権,台湾への武器売却を発表。7億5000万ドル。
6日 ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合。
10日 米上院,総額1兆ドル規模のインフラ投資法案を可決。下院へ。
15日 ターリバーン,カーブルを制圧。
20日 ハリス米副大統領東南アジア歴訪。シンガポール,ベトナム訪問(~26日)。
24日 東京パラリンピック(~9月5日)。
26日 カーブルで爆破テロ。米兵犠牲に。アメリカ,IS(「イスラム国」)への報復宣言。
26日 米海兵隊,沖縄の普天間飛行場から有機フッ素化合物のPFOSを含む水を下水道に放出。27日,日本政府抗議。
29日 米軍カーブルで誤爆,テロリストと誤認して民間人を殺傷。
30日 米軍アフガニスタン撤退完了。
31日 バイデン米大統領,アフガニスタン撤退について演説。「並外れた成功」と述べる。
31日 ケリー米大統領特使訪中(~9月3日)。
9月
1日 米ウクライナ首脳会談。アメリカ,約6000万ドルの軍事支援を表明。
1日 韓国軍,潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の非公開水中発射実験に成功。
3日 菅義偉総理,自民党総裁選不出馬表明。
10日 米中首脳電話会談。
11日 北朝鮮,新型長距離巡航ミサイル発射(~12日)。
15日 米英豪安全保障協力(AUKUS)発足。
15日 北朝鮮,短距離弾道ミサイル2発発射。
16日 米豪外務防衛閣僚協議(2+2)。
16日 中国,環太平洋経済パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(TPP11/CPTPP)加盟申請。
16日 EU,インド太平洋戦略を発表。
17日 フランス,駐米・駐豪大使召還。
21日 バイデン大統領,国連総会で就任後初の一般討論演説。
22日 米仏電話首脳会談。
22日 台湾,TPP11加盟申請。
24日 QUAD首脳会談。
24日 華為技術副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟氏の監視解除,25日帰国。
28日 北朝鮮,「火星8」とよばれる極超音速ミサイル発射と公表。
29日 岸田文雄前政調会長,自民党総裁選勝利。
30日 北朝鮮,対空ミサイル発射。
10月
1日 中国軍機,5日にかけて台湾の防空識別圏に約150機が侵入。
4日 岸田文雄政権成立。
19日 北朝鮮,新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射。
21日 CNN主催の会合で,バイデン大統領,台湾防衛の意思を表明。
23日 防衛省(日本),18日に津軽海峡を通過した中ロ海軍艦艇10隻が,22日に大隅海峡を通過と発表。中ロの艦艇が同時にこの2つの海峡を越えたのは初。
26日 米・ASEAN首脳会談開催。バイデン大統領オンライン参加。
26日 ブリンケン国務長官,国連機関への台湾の参加への支援を国連加盟国に要請。
27日 東アジアサミット(EAS)開催。バイデン大統領,「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)に言及。
28日 台湾の蔡英文総統,米軍が台湾軍訓練のために,台湾に駐留していることを公表。
29日 米仏首脳会談。バイデン大統領,AUKUSの「不手際」(clumsy)を認める。
30日 トランプ政権期の鉄鋼関税について,バイデン政権,EUと一部免除で合意。
30日 G20サミット(~31日)。
31日 第49回衆議院議員選挙。自民党単独過半数を獲得。
31日 国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)開催(~11月13日)。
11月
5日 米下院,インフラ投資法案可決。15日成立。総額約1兆ドル。
15日 日米,トランプ政権期の鉄鋼・アルミ製品への追加関税見直しにむけて協議開始。
15日 米中首脳会談。
16日 海上自衛隊,米海軍と初の対潜水艦戦を想定した共同訓練を実施。
17日 日米,経済協議の新たな枠組み「日米通商協力枠組」を設けることで合意。
17日 米議会の諮問機関,米中経済・安全保障調査委員会(USCC),年次報告書公表。
18日 バイデン大統領,北京五輪の外交ボイコットを検討していることを明言。
19日 ビルド・バック・ベター法案,1兆7500億ドルに半減され米下院通過,上院へ。
23日 バイデン政権,原油価格高騰を受け,5000万バレルの石油備蓄放出を発表。翌24日,日本も同調して初めて国家備蓄放出。
29日 米国防省,グローバル・ポスチャー・レビュー(GPR)公表。
30日 米軍三沢基地所属のF16戦闘機,燃料タンク投棄,青森空港に緊急着陸。
12月
4日 中国,白書「中国の民主」公表。
6日 サキ大統領報道官,北京五輪外交ボイコットを表明。プライス国務省報道官,各国の協調に期待感を示す。
7日 米ロ首脳電話会談。ウクライナ情勢を協議。
8日 英豪加,北京五輪外交ボイコットを表明。中国反発。
8日 バイデン大統領,ウクライナへの米軍派遣を否定。
9日 フランス,北京五輪外交ボイコットに否定的と声明。
9日 民主主義サミット(~10日)。
10日 米豪デンマーク・ノルウェー「輸出管理・人権イニシアティブ」を発表。日本は参加見送り。
13日 ブリンケン国務長官,インドネシアとマレーシアを訪問(~15日)。14日にジャカルタの演説でインド太平洋戦略に言及。
13日 文在寅韓国大統領,北京五輪の外交ボイコットは検討していないと表明。
15日 米上院,国防権限法案可決,成立。総額約7777億ドル,前年度比5%増。2022会計年度(2021年10月~2022年9月)の国防予算の概要固まる。
16日 米財務省,新疆ウイグル自治区におけるウイグル人の監視に関与したとして,中国ハイテク企業8社を「中国軍産複合体企業」リストに追加。また中国軍を支援したとされる他の中国企業も投資・輸出制限対象に。
16日 ニコラス・バーンズ元国務長官,米駐中国大使に。米上院承認。
21日 2022年度以降の5年間の在日米軍駐留経費負担,「同盟強靱化予算」として年度平均2110億円で日米両国が合意。
23日 バイデン大統領,ウイグル強制労働防止法に署名,成立。ウイグルからの物品輸入原則禁止へ。
24日 岸田政権,北京五輪への政府関係者派遣見送りを決定。中国,日本選手団の五輪参加を歓迎と発表。

 
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