Yearbook of Asian Affairs
Online ISSN : 2434-0847
Print ISSN : 0915-1109
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2022 Volume 2022 Pages i-

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はしがき

IMFの世界経済見通し(2022年4月)によれば,2021年はコロナ禍で前年に大きく落ち込んだ経済が回復傾向にあり,なかでもアジアの新興市場国・発展途上国は7.3%と高い成長率を達成しました。とはいえ,経済回復度合いに各国間で差があることも事実です。また,ほとんどの国が国際資源価格高騰の影響を受けました。経済面の不確実性が依然高いことに変わりありません。

アジア地域では多くの国で政情が不安定となりました。ミャンマーでは2021年2月に国軍によるクーデタが起き,アフガニスタンではターリバーン政権が誕生しました。両国では不安定な状況が続いています。マレーシアやネパールの政治も安定していません。南アジアでは領土紛争が続きました。一方,アメリカは国際協調路線に復帰したものの,バイデン政権下で米中対立は拡大し,インド太平洋政策に関しては一部の国が懸念を示すなど,外交手腕に疑義が呈されました。

このように各国の政治,経済,対外関係では重要な変化も起きています。新型コロナウイルスの感染状況だけをみても,アジア諸国・地域を理解することはできません。表面的な事象に目を奪われずに,各国の動向を多面的に把握し,冷静かつ正確な分析を行うことが正しい理解につながるはずです。それは,アジア諸国のコロナ後を見据える上でも欠かせないでしょう。

アジア経済研究所では,アジア各国・地域の政治,経済,対外関係に関する動向を的確に伝えることを目的に,1970年以降毎年『アジア動向年報』を発行してきました。本年報では,各国・地域を長年観察してきた研究者が現地一次資料や現地調査に基づき動向を分析するだけでなく,その歴史的背景や意味についても明らかにし,アジアの「今」を理解するうえで有用な情報の提供に努めています。

なお,本年報は過去分を含めて研究所ホームページや電子ジャーナル無料公開サイトJ-STAGE上でも閲覧可能となっています。また,既刊の年報から各国の章を抽出して10年ごとに1冊に束ね,各国の動向を10年単位で把握できるよう『アジア動向年報 2010~2019』(バンドル版)も公開しました。本年報がアジア地域・諸国の現状を理解するための一助となることを願っています。

2022年5月

 
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