2023 Volume 2023 Pages 153-182
2022年の台湾の国内政治は,ロシアによるウクライナ侵攻や中国の大規模軍事演習など緊張高まる国際情勢のなかで,蔡英文政権が国防費の2桁増,兵役期間の延長など防衛力の増強を図った。しかし,台湾社会は,中国からの高まる圧力に大きく動揺することはなかった。新型コロナウイルスの感染状況は,オミクロン株の影響で4~5月に急激な感染拡大をみせたが,ウィズコロナ政策のもとで段階的に感染防止措置を緩和し,経済活動と日常生活を取り戻しつつある。11月の地方統一選挙では,候補者選びや争点づくりで失敗した民進党が敗北し,蔡英文は党主席を辞任した。国民党は現職候補者の強みを生かして選挙戦を展開したほか,台北市長選挙では新人の蒋万安が陳時中(民進党)を破り,14の県市長ポストを確保した。
経済面では,半導体をめぐる米中対立が激しくなるなか,世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリ)である台湾積体電路製造(TSMC)が建設中のアメリカ・アリゾナ工場で回路線幅5ナノメートルに加え,3ナノメートルの製造工程の先端半導体を製造することを新たに明らかにした。中国には多数の台湾企業が進出し,中国での新型コロナウイルスの感染拡大に対するロックダウンは台湾企業にも影響を与えた。特に鴻海精密工業の鄭州工場での従業員と地元当局との衝突はSNSで拡大しただけではなく,製造しているiPhoneシリーズの生産や鴻海精密工業の11月売上高の減少を招くこととなった。
対外関係は,ペロシ米下院議長の訪台を受けて,中国が軍事演習を大規模に実施し台湾に圧力をかけ,アメリカは6度の台湾への武器売却を決定するとともに,バイデン大統領は数度にわたり台湾防衛に言及し,多くの議員および議員団が訪台した。日本や欧州でも台湾海峡の平和と安定への関心が明確に示されたが,台湾の人々は,台湾有事におけるアメリカ等の介入可能性を冷静にみており,過度な期待はしていない。このほか,リトアニアの駐台機関の正式な開設や安倍晋三元首相の死去に伴う頼清徳副総統の訪日など外交上の成果があり,民主主義と半導体産業での強みを軸に,欧州各国との議員外交や高官の訪台など協力関係の強化がみられた。
2022年2月24日,ロシアのプーチン大統領は,「特別軍事作戦」と称してウクライナへの侵攻を開始した。国連安全保障理事会は,ロシアの拒否権の行使により決議を出すことができず,3月2日の国連緊急特別総会で,ロシア軍の即時撤退などを求める決議案が141カ国の賛成で可決された。ロシアによるウクライナ侵攻は,中国による台湾侵攻の可能性に対する国際的な関心を一気に高めた。一方,アメリカをはじめ北大西洋条約機構(NATO)がウクライナへの直接派兵を行わなかったことで,台湾の人々は台湾有事にアメリカが直接介入しないのではないかとの懸念を強めた。
蔡英文総統は2月23日に「ロシアによるウクライナへの主権侵害を非難する。関係各国に対して,平和的かつ合理的な手段によって紛争を解決するよう引き続き求める」と述べ,台湾海峡周辺への警戒強化などを指示した。25日にはロシアに対して,国際社会とともに経済制裁を実施すると発表し,ウクライナ問題と台湾問題は異なるという認識を強調しつつも,明確にウクライナ支持の立場をとることで日本を含む欧米諸国とともに民主主義を守る陣営の側に立った。蔡英文総統,頼清徳副総統,蘇貞昌行政院長はそれぞれ1カ月分の給与をウクライナ人道支援のために寄付し,民間でも3月2日に設置されたウクライナ支援・義援金の口座に,1カ月で9億4468万台湾元が集まった。
3月22日のTVBS民意調査で,この機を利用して中国が台湾に侵攻するとの懸念を示した回答者の比率は37%,懸念はないとの回答は57%だった。財団法人台湾民意基金会の調査でも,ウクライナ侵攻を機に中国による台湾侵攻は起きると思うかという問いに対して,「可能性はない」と回答した人は2月の調査では62.9%,4月の調査でも50.6%であった。台湾の人々は,中国からの情報戦,心理戦を含むさまざまな工作や軍事侵攻の可能性に長期にわたり直面し続けており,ウクライナ侵攻によって台湾有事への国際的関心が高まるなかでも,総じて冷静な反応をみせた。
新型コロナ再流行と段階的な緩和措置台湾では2021年まで新型コロナウイルス感染症の拡大を制御することに成功してきたが,オミクロン株の流入により2022年4月以降一気に感染者が増加し,5月末には新規感染者数が1日9万人を超える水準に達した。その後減少傾向に転じ,新規感染者は7月半ばまでに3万人/日を下回り,8月以降は平均で1万~2万人/日となった。10月には一旦増加したものの,その後再び平均1万~2万人/日の新規感染者数で推移する状況となった。
4月6日,蔡英文総統は,オミクロン株の感染者に軽症や無症状者が多いことを踏まえて,ウィズコロナの防疫戦略への転換を発表した。これにより,一時的な感染者数の増加を見込んだうえで,徐々に国境を開放し,経済活動と正常な日常生活を回復する方針へと移行した。水際対策を含む感染対策の緩和措置は段階的に進められ,8月15日に搭乗前2日以内のPCR検査陰性証明書の提示義務を廃止した。9月12日,衛生福利部中央感染症指揮センターは,アメリカ,カナダ,ヨーロッパ諸国や外交関係を持つ国に対してビザなし入国を再開すると発表した。1週間当たり延べ5万人を上限とする入国制限は,9月29日,上限が週6万人に引き上げられ,ビザ免除措置も全面的に再開された。10月13日からは入境者の上限が週15万人に引き上げられ,入国後7日間の自主健康管理(自主防疫)期間中も,2日以内の簡易検査結果が陰性であればマスク着用で必需品の買い物や出勤などが認められる措置へと移行した。11月14日には在宅療養中の非重症感染者の隔離期間を5日に短縮,12月1日には屋外でのマスク常時着用義務が撤廃され,正常な日常生活と経済活動を取り戻しつつある。
行政院組織改正の進展2010年に行政院組織法改正案が立法院を通過し,37省庁を29省庁に再編することとなった。2012年から行政院の機構改革が順次進められており,立法院での法案審議を通過したものから新設や再編が実行に移されている。2022年5月30日には時限立法により2018年に創設された移行期正義促進委員会が解散し,各部署に引き継がれる業務の取りまとめ役として,行政院人権および移行期正義処が6月27日に設立された。7月27日には,科学技術部が国家科学技術委員会に再編され,サイエンスパーク開発を含む科学技術開発業務に従事することとなった。8月27日にはデジタル発展部が発足するとともに,行政院政務委員の唐鳳(オードリー・タン)が初代部長に昇格し,「全国民のデジタルレジリエンス」を理念として業務が開始された。
5月5日に行政院で新たに決定された改正案には,農業委員会の農業部への昇格,環境保護署の環境部への昇格,原子力委員会の核エネルギー安全委員会への変更が含まれている。また,同改正案には,内政部,交通部,経済部などの組織改編も含まれており,立法院での審議に送られている。
陳水扁政権時代には,故宮博物院南部院区(嘉義市)が設立されたほか,蔡英文政権時代の2018年に海洋委員会が高雄市に設立され,北部に立地が偏っていた研究機構や行政機構の南部への移転や設置が試みられてきた。3月15日には,中央研究院の南部院区(台南市)第2期工事の棟上げ式が行われ,すでに同院区で活動しているバイオテクノロジーセンターに続き,さらに量子力学分野の研究も予定されている。
統一地方選挙での民進党の敗北と蔡英文主席辞任4年に1度の統一地方選挙の投開票が,11月26日に行われた。直轄市を含む22の県市のうち,候補者の死亡により12月18日に延期された嘉義市をのぞく21の県市で,首長・議会議員選挙および郷鎮市長・村長・里長の選挙が行われた。各党が獲得した首長ポスト数は,国民党13,民進党5,台湾民衆党1,無党籍2となった。延期された嘉義市長選挙では国民党候補が勝利した。前回の2018年選挙と比較すると,国民党は15から1ポスト減,民進党は6から1ポスト減であった。民進党は2018年の選挙で13のポストを6に減らす大敗を喫していた。今回は,そこからさらに減らした上に,有権者が多く翌年の総統選挙にも影響が大きい首都台北市でも,2期連続で市長ポストをとっていた桃園市でも敗れた。
21の県・市長選での得票率は,国民党が50.03%,民進党が41.62%とそれぞれ前回よりも微増し,台湾民衆党が1.49%であった。地方統一選挙では,それぞれの地域の課題や施政への評価および首長個人への人物評価が大きく影響する。現職の強みを発揮しやすい国民党の勝利は,当初より予想された。一方,民進党は,政府の経済政策への不満やコロナ感染の拡大状況などに加え,実績ある候補者が論文剽窃問題で出馬を断念するなど候補者選考で多くのつまずきがみられた。さらに選挙後半戦に争点として持ち出した「中国に屈せず,台湾を守る」といったスローガンが空回りするなど,選挙戦略の失敗とあいまって得票数を伸ばすことができなかった。
台北市長選挙では,故蒋経国総統の孫にあたる蒋万安立法委員が,国民党候補としてクリーンなイメージを前面に出し選挙戦を展開した。民進党は,コロナ対応の最前線に立ち続けた陳時中・衛生福利部長の擁立を7月に決定した。また柯文哲市長の後継としては,無所属の黄珊珊副市長が擁立され,三つ巴の戦いとなった。国民党は,コロナワクチンの調達価格の情報公開の不透明さや,2021年にワクチンを調達して政府に寄贈した仏教慈済慈善事業基金会の顔博文執行長が当時政府による妨害があったとの発言を掲載した9月13日の『聯合報』の記事などを使って,徹底的に陳時中候補を批判した。歯科医出身で初選挙となる陳時中候補は,慣れない選挙戦で,支持を広げることができなかった。
桃園市長選挙は,2期目を終える鄭文燦市長の後継として民進党から林智堅・前新竹市長が出馬する見込みであった。しかし,国立台湾大学修士論文の剽窃問題が持ち上がり,台湾大学から修士号の取り消し処分を受けたことから最終的に出馬を断念した。大学側の調査結果発表前に,蔡英文党主席らが林をかばう発言をしたことが民進党の印象を悪くし,同党は新たに鄭運鵬・立法委員を候補として立てたが,国民党の張善政候補(元行政院長)に敗れた。
人口が最も多い新北市の市長選挙では,国民党の侯友宜が現職の強みを生かし115万票を獲得し,46万票の民進党・林佳龍を大差で破った。侯友宜は,内政部警政署署長,中央警察大学長などを歴任した警察畑出身だが,2010年から国民党の朱立倫市長のもとで副市長を2期8年間勤め,2018年には民進党の重鎮である蘇貞昌を破って市長に当選し,無党派層からの支持も得ている。この対抗馬として,民進党は台南市長や交通部長を歴任した林佳龍を候補に立て,蔡英文主席自ら何度も新北市に足を運び支援した。しかし,投票率は最低を記録して選挙戦は盛り上がらず,侯友宜の優勢は揺るがなかった。
半導体の製造拠点など最先端技術産業の集う新竹市の市長選挙は,激戦となった。台湾民衆党の候補高虹安は,鴻海グループで要職を務めたこともあり,ハイテク業界出身の立法委員で,選挙戦の初めから民意調査での支持率でリードをしていた。民進党の候補で新竹市副市長を務めたことのある沈慧虹,国民党候補の林耕仁との三つ巴の戦いとなり,学位論文や公設秘書の給与詐取疑惑などをめぐり激しい非難の応酬が続いたが,高虹安が得票率45%で最年少の市長に当選し,台湾民衆党は初めてポストを獲得した。
11月26日の開票結果を受けて,当日夜に蔡英文主席は党主席を辞任した。また,この地方統一選挙と同時に行われた公民権を現行の20歳以上から18歳以上に引き下げる憲法修正案をめぐる公民投票は,賛成564万7102票,反対501万6427票で,選挙人総数の半分を必要とする有効同意票数に届かず否決された。
(注)候補者名の下の(国)は国民党,(民)は民進党,(無)無所属,(現)は現職,(新)は新人候補を表す。
(出所)中央選挙委員会(台北)サイト(https://www.cec.gov.tw/)より筆者作成。
10月10日の国慶節での祝賀式典において蔡英文総統は,「より良い台湾を世界へ:強靭な島・強靭性のある国家」と題する演説を行い,前年の演説で提起した「4つの堅持」に加えて,「経済・産業」,「社会的セーフティネット」,「民主・自由の制度」,「国防戦力」の4つの強靭性を高め,世界のなかで不可欠の存在を目指すとしている。この「強靭性」は,災害のみならず経済・産業・社会領域に広く用いられ,蔡英文政権の政策を語るキーワードとなっている。
さらに,中国に対しては「戦争は決して台湾海峡両岸の選択肢ではない。主権と民主主義,自由を大切にする台湾の人々を尊重すること,これこそ台湾海峡両岸が良好な交流を再開する根本だ」と述べた。そして,「理性的,対等,相互尊重」を原則として,「双方が受け入れ可能な方法を北京当局と模索する用意がある」と自制と対話を呼びかけた。その一方,「台湾というこの土地に住む人々は,73年間におよび共同生活と発展を経て,強いアイデンティティと帰属感を育んでおり」,主権と自由で民主的な生活スタイルを守ることについて妥協の余地はないと揺るぎない姿勢を示し,台湾の現実を認識するように中国に求める。最後は,「『私は台湾人だ』と大きな声で言えることは光栄なことであり,誇らしいこと」と台湾の自尊心,誇りに触れて演説を締めくくった。
祝典を取り仕切った游錫堃立法院長は,台北,高雄,馬祖の3カ所を繋いだ国歌の合唱を演出するなど,台湾の団結を強調した。その演説のなかで,安倍晋三元首相の「台湾有事は日本有事」という言葉にも触れている。
防衛力の強化と「台湾を守る」意思中国は台湾に対して軍事的圧力を強め,さまざまな工作によって社会の分断を図り,抵抗する意思を喪失させようとする。これに対し,台湾は尊厳と誇りを保ち,自衛力と社会・産業の強靭性を高め,「自ら守る」との意思を明確にして海外からの支援を獲得しようとしている。
中国軍用機による台湾防空識別圏(TADIZ)への進入は2021年から拡大し,2022年8月のナンシー・ペロシ米下院議長の訪台を契機として,中国軍の戦闘機や無人機による「台湾海峡中間線」を越える飛行が「新常態」となった。延べ回数でみれば,TADIZへの進入は前年から倍増して1700回を超え,このうち無人機による進入は9月初めに本格化した。中間線を越える進入は,1~7月は数日で7機程度であったが,8月初めからの2カ月半で500機を超えた。12月25日には,TADIZへの進入が24時間当たり延べ71回,うち中間線を越える進入が延べ47回にわたった。こうした進入回数の多さに加え,その活動地域が中間線の南部から中部,北部へと拡大している。攻撃・偵察用など数種の無人機への対応をはじめとして,これまでにも増して難しい判断が迫られる事態を迎え,台湾軍へのプレッシャーが相当に強まっている。
防衛力強化の必要に基づき,行政院は8月25日,2023年の国防費を総額5863億台湾ドル(約2兆6500億円)とする予算案を閣議決定した。国防費は前年比13.9%増と6年連続での増加となり,過去最高額に達した。邱国正国防部長は10月4日,立法院での答弁において,中国軍用機の台湾周辺での飛行と艦艇の航行は月ごとの合計で8月に1100回以上,9月は600回近く,10月は同日までに200回以上に達して常態化し,台湾海峡における暗黙の了解ラインが以前の状態に戻ることは難しいとの見方を示した。実質的に暗黙の了解ラインとなっていた中間線が形骸化することになると,台湾は事態の流動化を抑制し,どこをレッドラインとするのかについて難しい判断が迫られる。
国防費増額に加え,行政院は12月29日に,兵役期間の4カ月から1年への延長を閣議決定した。1990年に2年となった義務兵役期間は,2000年以降段階的に短縮され,2018年には4カ月の軍事訓練を残して志願制に移行していた。今回,この4カ月の軍事訓練が1年に延長される。現役兵力が中国の10分の1にも満たない状況のなかで,兵役期間の1年への延長がすぐに防衛力の強化につながるわけではないが,「自ら戦う意思」をもち海外からの軍事支援や協力を獲得していく体制づくりの一環として踏み切ったものと考えられる。台湾民意基金会の調査では,この延長を支持する回答が4月に75.9%,12月に73.2%となっており,自衛力強化の必要について台湾社会である程度コンセンサスが形成されているといえる。
(清水)
2022年の経済成長率は2.45%であった(速報値)。民間消費では2020年および2021年のマイナス成長から2022年に3.59%のプラス成長に回復した。一方で,民間投資増加率は前年の18.9%から6.3%に,輸出増加率は前年の17.3%から2.4%にそれぞれ大きく低下した。
消費者物価指数の上昇率は2.95%を記録し,2000年以降では2008年の3.52%に次ぐ上昇となった。世界的な原油価格,穀物価格の高騰による影響を受けたためである。とくに,食品類の物価指数が前年の2.44%増から5.66%増に大きく上昇し,消費者物価指数全体を上昇させる要因のひとつになった。賃金についてみると,2022年の名目経常性賃金(基本給に残業手当を除く定額の諸手当,ボーナスを加算)は前年比2.8%増の4万4417元であったが,物価上昇分を差し引いた実質経常性賃金(2016年基準)は4万1357元であった。2022年は物価上昇の影響をうけたため,実質経常性賃金は2021年の0.04%減につづき,0.15%減となった。
税関統計をみると,輸出総額は前年比7.4%増の4794億ドル,輸入総額は同12.1%増の4280億ドルであった。主要輸出品は電子製品2001億ドル,情報通信機器647億ドル,機械286億ドルであった。電子製品のうち,半導体は前年より286億ドル増の1841億ドル,輸出全体に占める割合は前年の34.8%から38.4%となり,引き続き半導体に依存する状況にある。一方,主要輸入品は電子製品985億ドル,機械491億ドル,情報通信機器281億ドルであった。
中央銀行は世界的なインフレに対応するため,金融引き締めを目的に政策金利の利上げを4回実施した。3月18日に10年8カ月ぶりに0.25%の利上げを行い,アメリカの利上げに追随した。その後,6月16日,9月22日,12月15日にもそれぞれ0.125%の利上げを実施した。
為替レートをみると,ドルに対しては前年よりも台湾元安に動いた一方で,日本円に対しては台湾元高となった。1月平均では1台湾元=4.17円であったのが,10月平均で日本円は台湾元に対して安くなり,1台湾元=4.60円の水準となった。
台湾積体電路製造(TSMC)の動き新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延は電子製品および半導体の需要拡大を引き起こし,2020年と2021年には世界的な半導体不足が起きた。しかし,2022年には世界的なインフレや金利上昇,中国の厳しい「ゼロコロナ」政策,ロシアによるウクライナ侵攻の長期化等に加えて,パソコンやスマートフォンをはじめとする電子製品の需要が一段落した結果,半導体の需要も減速することになった。そのため,多くの半導体製造企業では発注がキャンセルされ,在庫増に見舞われた企業もあった。
その一方,世界最大のファウンドリであり,先端半導体の製造で高いシェアをもつTSMCは業績が好調であった。2022年の売上高は前年比42.6%増の2兆2638億元,純利益は前年比70.4%の1兆165億元を記録し,いずれも過去最高であった。これは,先端半導体の受注が好調であったためである。しかし,TSMCは10月にパソコンやスマートフォンの半導体需要が新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に戻ったとして,従業員に対して休暇の取得を奨励した。また,2022年8月から建設を始め,2024年に稼働予定の高雄工場では当初回路線幅28ナノメートル半導体と先端技術に相当する7ナノメートル半導体を製造する予定であったが,11月にTSMCの魏哲家CEOが生産能力調整のために後者の製造を当面先送りすることを明らかにした。大部分の半導体では供給不足が解消し,TSMCもその影響を受けているといえる。
一方でTSMCは,日米での投資計画については当初の予定からさらに先端の半導体を製造することを決定した。12月6日(現地時間)にアメリカ・アリゾナ工場での設備搬入記念式典が開催され,同工場への投資額を当初の120億ドルから400億ドルに引き上げることを明らかにした。また,回路線幅5ナノメートルの製造工程に加えて,回路線幅3ナノメートルでの生産を始めるために工場を新たに建設し,2026年から量産を開始することを表明した。この式典にはバイデン大統領やアップル社のティム・クック最高経営責任者(CEO)らも出席した。
日本への投資に関しては,2021年11月にソニーグループのソニーセミコンダクタソリューションズと共同出資し,熊本県に工場を建設することが決まっていた。TSMCは2022年2月に追加投資を実施することを明らかにするとともに,自動車部品製造大手のデンソーが400億円出資することになった。また,製造する半導体工程も当初の予定である線幅22~28ナノメートルだけではなく,より先端の12~16ナノメートルも加えることになった。6月には2021年3月に設立されたTSMCジャパン3DIC研究開発センターの開所式(茨城県つくば市)が行われ,3次元パッケージングの技術開発を行う予定である。また,すでに開設されている横浜に次いで,顧客の半導体設計を支援するために,大阪にTSMCジャパンデザインセンター大阪を開設した。
新型コロナウイルス感染症による企業活動の停滞と中国のロックダウン台湾では1月にオミクロン株の新型コロナ感染症が蔓延し始めた。当初は台湾桃園国際空港の職員や清掃員を中心にクラスターが発生した。また,空港近くの工場や遠雄自由貿易港区内で働く労働者の間でもそれぞれ100人を超す規模でのクラスターが発生し,操業停止となった。4月下旬から5月にかけて,ウィズコロナ政策に変更した影響もあり,感染者が急増することになった。事務所や工場では在宅勤務や分散勤務,フロア間の往来抑制,出勤前の検査実施等を実施した。
一方,2022年3月以降の中国でのロックダウン(都市封鎖)は,中国に進出している台湾企業にも影響を与えることとなった。その中で最も注目されたのは,アップル社のiPhoneを製造している鴻海精密工業の鄭州工場であった。従業員20万人以上が働いていると言われる鄭州工場では10月に感染者が出始め,13日から決められた場所の往復しか認めないバブル方式での勤務体制に移行した。この勤務体制の移行により,多くの従業員が感染に対する不安や制限された生活によるストレスで離職した。また,11月2日には鄭州工場がある鄭州航空港経済綜合実験区でも9日までロックダウンする事態となった。
10月は年末に向けてiPhone製造のピークの時期であり,鴻海精密工業側は工場の操業を続けた。そのため,鴻海精密工業側では臨時ボーナスの支給で従業員を慰留する一方,新規従業員の募集を行った。また,元従業員が職場復帰をする際には1万人民元の支度金,またすでに勤務している従業員には出勤手当の支給をするといった待遇改善を実施した。しかし,経営側と従業員側の手当の考え方の違いが明らかになり,その結果11月22日から23日にかけて従業員と地元当局側が路上で衝突し,その動画がSNSで拡散することとなった。鴻海精密工業側は手当の支給においてシステム上の入力ミスが出たとして謝罪し,新規採用者が離職する場合には補償金を支給することとした。この補償金支給によって,大量の従業員が離職した。
この鄭州工場の衝突は,工場内の労働争議だけではなく,アップル社のiPhone製造網が抱えるリスクを露呈することになった。11月のiPhoneシリーズ生産は当初計画より30%以上減少し,鴻海精密工業の11月売上高も前月比より30%近く,前年同月比で11%あまり減少した。
2018年から始まった米中貿易対立で台湾からの対中投資は減少傾向にあったが,今回のロックダウンはその傾向を一層顕著にした。2022年の経済部投資審議委員会により承認された対中投資の件数と金額を前年と比較すると,投資件数では前年比で12.1%減の372件,金額では同比で13.9%減の50億4675億ドルであった。一方,中国以外への投資を拡大し,ASEAN6カ国(シンガポール,インドネシア,マレーシア,タイ,フィリピン,ベトナム)にインドを加えた7カ国への承認済み対外投資は2018年の572件,2億7667万ドルから2022年には2462件,9億2598万ドルへ大きく増加することとなった。対外投資先の変化は台湾企業の判断ばかりでなく,顧客である企業の意向を反映したものであるとみられる。
大規模停電と原子力発電の再稼働問題2022年3月3日に台湾電力興達火力発電所での設備故障によって,台湾全土で549万世帯の停電が起きた。この原因は人為的ミスであった。また,この発電所は2021年5月にも大規模停電を発生させており,1年も経たないうちに再度停電を起こした。この停電では一般家庭に対してはもちろん,企業の生産活動にも影響を及ぼした。
今回の停電は,3月1日に蔡英文総統と産業界の代表者が会談し,産業界が企業向け電力の安定供給を求め,蔡英文総統が努力することを表明した直後に発生した。産業界からは今回の大規模停電が発電能力の不足によるものではないとはいえ,停電が相次いで発生していることに対して,電力供給における脆弱性が明らかになったと指摘した。さらに,原子力発電の再開を選択肢に加えるべきと訴えた。蔡英文政権は脱原発を掲げ,2025年には原子力発電をゼロにすることを目標としている。しかし,産業界はこの目標はリスクが高いと指摘し,将来の電力供給計画の見直しの必要性を訴えた。
蔡英文総統は就任直後から洋上風力発電などの再生可能エネルギーへのシフトを目指してきた。また,政府側は石炭火力による発電から再生可能エネルギーと天然ガス火力への移行を進め,2025年までに総発電量に占める天然ガス火力発電量を現状の約3割から5割に引き上げようとしている。そのため,国営企業の台湾中油は天然ガス受入基地の拡張プロジェクトを推進し,ひっ迫する電力需給に対応しようとしている。この動きが順調に進められれば,台湾の電力問題を解決するひとつの鍵となろう。
中国による台湾産食品に対する禁輸措置中国は害虫が検出されたことを理由に,2021年に台湾産パイナップル(3月),釈迦頭(バンレイシ)とレンブ(ワックスアップル)(9月)といった一部の果物の輸入を禁止した。この輸入禁止は2022年には水産品に対しても行われた。
6月10日に中国税関総署は,台湾で養殖されたハタ(石斑魚)から禁止薬物が検出されたため,輸入を一時停止した。また同月には冷凍タチウオや冷凍アジの包装から新型コロナウイルスの陽性反応が出たとして,取り扱った業者の輸入申告を期限付きで停止した。7月に入ってからマカオや香港の税関当局はマンゴーの包装や表面から新型コロナウイルスを検出したとして,マンゴーの廃棄や輸入業者が取り扱っている商品を販売停止処分にした。
また,ペロシ米国下院議長が8月2日夜に台湾に来訪したことをきっかけに,中国は経済制裁とみられる措置も発表した(「対外関係」の項参照)。中国税関総署はペロシ下院議長が訪台した翌日である3日に台湾産かんきつ類から害虫が出たこと,冷凍タチウオおよびアジの包装から新型コロナウイルスの陽性反応が出たことを理由に輸入の一時停止を発表した。さらに,中国商務部は同日,天然砂の台湾への輸出を一時停止することを明らかにした。
12月に入ってから,中国側は台湾の農水産品に対する禁輸措置を追加した。中国税関総署は12月8日に,中国に台湾産水産品を輸出する台湾企業178社を取扱い禁止リストに掲載して公表した。これによって,リストに掲載された178社は台湾産水産物の中国への輸出が事実上できなくなった。また,コーリャン酒や台湾産ビール等のアルコール類も中国へ輸出できないことが明らかになった。
この原因として,中国側が規定を変更したことがあげられる。中国側は2021年4月12日に中国に食品を輸出する海外製造企業に対して中国税関総署への登録を求めるとの規定を発表した。台湾側がこの変更に対応していたところ,中国側は2022年3月に台湾企業を電子登録の対象外にし,登録を希望する台湾企業に対して追加書類の提出を求めた。最終的に180社近くの台湾企業が申請期限の6月30日までに追加書類を提出したが,中国側は12月8日になって書類不備としたのである。しかし,中国側はどのような不備であるかを明らかにしなかった。
台湾政府は中国側のこうした対応に懸念を表明するとともに,農水産業従事者への影響を最小限にするため,台湾内での販売促進や中国以外の海外市場の開拓活動等を行った。
(池上)
新型コロナウイルス感染拡大状況により人の往来が制限され,オンライン会議などの多様な方法による国際的な連携や交流が一般化し,台湾の国際空間における実質的な活動は拡大した。2022年に国境を越えた移動制限が徐々に緩和され,海外との人の往来が増加すると,外交関係のない国々からも多くの議員団や高官の訪台が相次いだ。半導体を中心とする台湾との経済貿易関係の重要性や台湾海峡の緊張に対する関心の高まりを背景として,西側諸国における台湾問題への認知は変化している。
欧州からは,6月にフランス元老院外交・国防委員会のゲリオ副委員長率いる議員団,スロバキア共和国国民議会およびブラチスラバ県の合同訪問団,10月には人権・人道支援委員会のヘイト委員長を含むドイツ連邦議会の超党派議員団が続き,11月にイギリス国際貿易省ハンズ閣外大臣が訪台した。議員団らとの交流が量的に拡大すると同時に,高官の訪台も行われている。
アメリカからの議員および議員団の訪台は特に多かった。ペロシ下院議長が訪台した8月には,15日に上院外交委員会東アジア太平洋小委員会マーキー委員長一行,26日にブラックバーン上院議員が台湾を訪問した。続いて9月1日にアリゾナ州デューシー知事一行,8日に下院軍事委員会メンバーであるマーフィー議員ら8人の議員団の訪台が行われている。
一方,台湾側も5月に経済部の陳正祺政務部長がベルギーにある欧州委員会成長総局や貿易総局を訪問し,欧州議会のブレムプト貿易調整官らと会談したほか,経済貿易関係を中心に諸外国とオンライン会議で多くの意見交換を行った。また,リトアニアの首都ビリニュスでは副大臣レベルの経済対話会議が開催され,リトアニアは11月7日に「リトアニア貿易代表処」を台北で正式に開設した。
ドイツ政府や欧州議会は,非平和的な方式で台湾海峡の現状を変更することへの反対や懸念を明確に表明した。同時に欧州議会および欧州各国は,「一つの中国」政策を維持し中国との関係を悪化させない範囲でバランスをとりながら,台湾とどう協力関係を強化できるか模索している。こうした議員や高官の相互訪問の量的拡大が,象徴的なレベルを超えて実質上の意味をもつかは,これらの活動が常態化し今後継続されていくかにかかっている。
安倍晋三元首相の死去と頼清徳副総統の訪日7月8日,安倍晋三元首相死去の報をうけて,外交部は台北駐日経済文化代表処を通じて蔡英文総統,呉釗燮外交部長,蘇嘉全台湾日本関係協会会長の名義で日本政府に弔意を伝達した。11日には,蔡英文総統自ら李大維総統府秘書長と呉釗燮外交部長を伴って日本台湾交流協会台北事務所を訪問し,献花・拝礼して記帳を行ったほか,政府機関および公立学校の国旗を半旗掲揚とした。同日頼清徳副総統が来日し,安倍邸を弔問したほか,夕刻に開催された通夜だけでなく,翌12日に近親者による「家族葬」として執り行われた葬儀にも親しい友人として参列した。9月27日に東京武道館で行われた国葬儀には,台湾日本関係協会の蘇嘉全会長,王金平元立法院長,謝長廷駐日代表らが出席している。
頼清徳副総統の訪日は,1985年に李登輝副総統(当時)が中南米訪問の帰途に日本に立ち寄って以来の最高位の訪問であった。外交部は,個人の動きであり関知していない,論評も行わないと表明した。日本側は,安倍元首相と台湾との関係を考慮しビザ発給の決断に至ったと考えられるが,外務省は正式な肩書の呼称を用いず,「ご指摘の人物」の私人としての私的な訪問だと説明した。日台関係で重要な役割を果たしてきた安倍元首相の死去に際し,日台双方の配慮によって弔問外交を成功させた形となった。
ペロシ訪台と中国の台湾統一圧力の増大中国は「一つの中国を認める国際社会の枠組みをいっそう強固なもの」にするため,2月の北京冬季オリンピック開閉会式でのチャイニーズ・タイペイの呼称問題をはじめとして,国際組織における台湾の活動を封じ込めようとしている。同時に,台湾に対しては,その抵抗する力と意思をじわじわと削ぐために,軍事演習などの圧力を増大させている。
アジア歴訪中のペロシ米下院議長が,8月2日にマレーシアから台北に入った。下院議長の台湾訪問は,1997年のギングリッチ以来であった。訪問中ペロシ議長は,蔡英文総統,頼清徳副総統への表敬訪問のほか,人権問題関係者と面会を行った。中国は,ペロシ議長が台湾を離れた後の4日12時から,台湾本島を取り囲むように6カ所の演習海空域においてこれまでにない大規模な軍事演習を行った。それに先立つ台湾へのサイバー攻撃や情報戦が加わり,演習はハイブリッド戦の様相を呈した。これに対し台湾では,サイバー攻撃やドローンへの対処などで脆弱性が露呈し,防衛体制強化の必要性が浮き彫りになった。しかし,中国の軍事的威嚇によって台湾の人々が動揺させられることはなく,日常生活を守ったことは台湾社会の強靭性を示すことになった。
この直後の10日,中国は「台湾問題と新時代の中国の統一事業」と称する白書を公表した。1993年,2000年に続く3つ目の台湾白書である。そこに掲げられた平和的統一追求のための「一国二制度」には,統一後の台湾の軍隊保持に関わる記述が消えており,政治的自由度が大幅に狭められたものとなった。また,民進党政権を台湾独立派として,平和統一推進の過程で必ず排除しなければならないとの規定も盛り込まれた。
10月16日に開催された中国共産党第20回大会での習近平報告では,台湾の統一は「中華民族の人々の共通の願い」として,「広範な」「祖国を愛し,統一を目指す台湾島内の人々」と連携し,外部勢力による干渉と「ごく少数の『台湾独立』分裂勢力」に対しあらゆる必要な措置をとるとして,武力行使を排除しなかった。22日の党規約修正では,「台湾独立に断固反対し押え込む」と明記された。
台湾は中国に対し忍耐強く対話を呼びかけながら,「一国二制度」を断固拒否している。台湾にとっては,長期化する習近平体制の安定性と中国共産党独裁の正統性を担保する経済成長の行方をにらみながら,軍事的および経済的に圧倒的に大きなパワーをもつ中国に対して自国を守る意思を持ち続けることができるかという,見えない次元での戦いも重要となっている。
アメリカの台湾防衛力強化ロシアのウクライナ侵攻に際して,バイデン米大統領は,ウクライナへ武器供与を含む支援はするが,核兵器保有国であるロシアとの直接対峙は避けるとの態度をとった。このアメリカの対応によって台湾の人々は,中国の台湾侵攻が起きた際にアメリカが直接介入しない可能性が高いとの懸念を強めた。財団法人台湾民意基金会の調査によれば,将来中国が台湾を攻撃した場合,アメリカは軍を派遣して台湾を防衛するかどうかについて,55.9%の人が疑念をもち,アメリカの介入を信じると回答した人は34.5%にすぎなかった。2021年10月の同様の設問に対し,アメリカの介入を信じると回答した人が65%だったことを考えると,ロシアによるウクライナ侵攻に際してのアメリカの言動が,台湾の人々に大きな影響を与えていることがわかる。
アメリカは「一つの中国」政策に変更はないとしつつ,バイデン大統領は就任後4度にわたり「台湾防衛」について明言した。さらに,台湾に対する武器売却を2022年だけで6度決定するなど,台湾との関係強化および台湾の防衛力強化を進めている。3月2日には,マレン元統合参謀本部議長率いる代表団がバイデン大統領の指示で訪台し,蔡総統と会見した。そのなかで双方は,アメリカと台湾の重要なパートナーシップを支持するとの姿勢をあらためて強調した。
また,アメリカ上院外交委員会は9月14日,安定した台湾海峡両岸関係の維持を目的として,対台湾政策を強化する「台湾政策法案」を賛成多数で可決した。今回の法案を提出したメネンデス外交委員長(民主党)は4月に台湾を訪問しており,「超党派による強力な(賛成)票は,台湾の人々への揺るぎない支持を示す」と,法案可決の成果を強調した。その後,同案はさまざまな修正を経て「台湾強靭性促進法案」(TERA)として本会議に提出されたが,最終的には2023年度の国防授権法案(NDAA)の一部として審議されることとなった。NDAAは12月にアメリカ連邦議会下院,上院で可決され,23日にバイデン大統領の署名により成立した。これには,中国の威圧的行為に対抗するため台湾の安全保障能力の向上を目的として,アメリカが5年間で最大100億ドルの支援を行うことに加え,「台湾の国際機関への参加支援,公衆衛生問題における米台間の重要な協力の推進」が含まれている。
TSMC張忠謀,APEC首脳会議に6度目の出席21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が,11月18~19日にタイの首都バンコクで開催され,台湾からはTSMCの創業者張忠謀が代表として出席した。対面での開催は4年ぶりで,張忠謀代表の出席は連続5回,通算6度目となる。17日に開催されたAPEC閣僚会議には,国家発展委員会の龔明鑫主任委員と行政院の鄧振中政務委員が出席した。
張忠謀代表は,帰国前の記者会見で,会議では蔡英文総統から託されたメッセージ内容を含めた演説を行ったと報告し,そのほかにハリス米副大統領や日本の岸田文雄首相と会談を行い,それぞれからTSMCの工場建設など半導体産業での協力について高い関心が示されたことを明らかにした。また,カナダのトルドー首相,シンガポールのリー・シェンロン首相らとも言葉を交わした。さらに,張忠謀代表は,18日午前に中国の習近平国家主席と会い挨拶を交わし,中国共産党20回大会の成功を祝う言葉を述べ,習近平とは「どちらも和やかで,礼儀正しいやり取りだった」と明かした。張忠謀代表は台北に戻った際の記者会見で,「総統府からは機会があれば会談や挨拶を避ける必要はない」と指示されており,習近平との接触と祝辞は自身の判断であり,「自らの考え」を伝えたものだと説明した。
50年目の日台実務関係2022年2月8日,行政院は,福島,茨城,栃木,群馬および千葉5県からの食品輸入規制措置を緩和すると明らかにし,21日から実施された。とはいえ,すべての日本産食品に都道府県単位の産地証明書を添付することは継続され,先述の5県の食品の一部は引き続き輸入禁止となっている。日本産食品の輸入禁止措置は,2011年3月の東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所の事故後,まず福島,茨城,栃木,群馬,千葉で生産,製造された食品の輸入が禁止され,その後2015年4月に,日本の47都道府県からの輸入食品に対して産地証明書の添付を義務づけるなど規制が強化された。日本食品の輸入解禁問題は,台湾内部の政治対立の争点となり,2018年の住民投票では輸入禁止継続が可決され,科学的根拠に基づき実務的に対応することが難しい案件となっていた。しかし,今回の規制緩和措置により,台湾は2021年9月に加盟申請を行った「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(CPTPP)加盟にむけて,日台関係の懸案となっていた課題をようやく解決した。日本側はこの緩和を歓迎しつつも,残った規制の撤廃に向け,科学的知見に基づきさらに働きかけていくと明らかにした。
安倍晋三元首相は,2021年12月,台湾のシンクタンク国策研究院主催のシンポジウムにオンラインで参加し「台湾有事は日本有事」と発言し,2022年3月22日には,ロシアのウクライナ侵攻をめぐって蔡英文総統とオンラインで意見交換するなど,首相退任後も日台間の緊密な連携を象徴する存在であった。その安倍元首相が7月初めに死去し日台をつなぐ太いチャネルのひとつが失われたことは,大きな衝撃となった。
5月末,2016年から台湾日本関係協会会長を務めてきた邱義仁が年齢を理由に辞任し,蘇嘉全が新会長に就任した。蘇嘉全は立法院長や総統府秘書長などを務め蔡英文総統の信頼が厚く,立法院の超党派議員連盟である「台日交流聯誼会」会長を務めた人物である。また,游錫堃立法院長が11月27日に代表団を率いて来日した。福岡,山口を回ったのちに訪れた東京では,日華議員懇談会,自民党本部,青年局で会談を行うなど議員外交を展開するとともに,700人規模で参集した亜洲台湾商会連合総会会議開催の歓迎会に出席するなど存在感をみせた。
日本側では,岸信夫防衛大臣のもとでまとめられ7月22日に発表された『防衛白書』で,台湾情勢に関する記述が倍増し,「地域の緊張が高まりつつある」との見解が明記された。27日には,超党派国会議員による「日本の安全保障を考える議員の会」に参加する石破茂,浜田靖一,長島昭久衆議院議員らが訪台し,外交部をはじめ関連機関を訪問して安全保障などについての意見交換を行った。8月に,浜田靖一は内閣改造で防衛大臣に就任した。
日華議員懇談会では,古屋圭司会長が8月22日に訪台するとともに,国慶節の祝典には20人の議員が参加し,10月10日に蔡英文総統や頼清徳副総統との昼食会が設けられた。11月16日には,2回目となる日米台の「戦略対話」がオンラインで開催されている。断交後に実務関係を積み上げてきた日台関係の50年目を迎えるにあたり,国慶節の祝典にマーチングバンドで有名な京都橘高校吹奏楽部が招かれ,88人の部員による15分間のパフォーマンスが総統府前で披露された。
このほか,自民党幹部の訪台もあった。12月10日,自民党政調会長としては2003年の麻生太郎以来19年ぶりに,萩生田光一政調会長が訪台して蔡英文総統と会談した。26日には世耕弘成率いる安倍派参議院議員12人が訪台して安倍晋三路線の継承をうたった。訪台を通じて安倍氏の後継地位を強くアピールしようとする自民党内の動きも活発化している。
頼清徳副総統は,2022年11月にパラオを公式訪問した際,2024年以後の対中政策について「現状維持」を掲げる蔡英文路線を継承すると述べ,帰国後に民進党主席選挙に立候補した。2023年1月頼清徳は正式に党主席に就任し,2024年1月の総統選挙を目指すとみられる。国民党の候補としては新北市長に再選した侯友宜と党主席の朱立倫が有力視されおり,地方統一選挙で1ポストを確保した民衆党から柯文哲・前台北市長が立候補する可能性もあげられる。中国は総統選挙をにらみ柔軟な戦術で台湾社会の分断を図ろうとすることが予想される。国民党は台湾の人々が受け入れ可能な中国との距離感を提示できるか,民進党の頼主席は中国との関係がさらに不安定化することへの党内外からの警戒感に対処できるかどうかが課題である。2023年の選挙戦は安全保障の確保と経済の安定を主な対立軸として展開しつつ,第三勢力からの立候補者が台湾の人々にとって新たな選択肢となるかどうかという要素も加わり,最終的には無党派や中間層の票をどの程度つかむことができるかが焦点となる。
行政院主計総処は2022年2月22日,2023年の経済成長率を2.12%,消費者物価指数の上昇率を2.16%とする予測を公表した。民間消費は堅調に成長するものの,輸出は前年を下回ることを想定している。半導体の在庫調整は2023年後半まで続く見込みとの報道もあり,経済が堅調な成長を維持できるかが課題である。また,TSMCは2023年1月11日のオンライン業績説明会で,魏哲家CEOが日本で第2工場の建設を検討していることを明らかにした。ドイツに工場建設を検討中との報道もあり,TSMCの海外展開の動きは今後も注目されよう。
対外関係は,ウクライナ情勢の展開,5月のG7広島サミット,11月のアメリカが議長国となるAPEC首脳会議が,台湾海峡の平和と安定に対しどのような影響を与えるかが注視される。中国がアメリカ,日本,ヨーロッパ各国との関係改善に積極的になる一方,蔡英文政権が2024年1月の総統選挙をにらみながら,任期最後の一年で外交活動をより積極的に展開する可能性もある。
(清水:麗澤大学外国語学部教授)
(池上:大阪経済法科大学国際学部准教授)
1月 | |
3日 | 新型コロナウイルス・オミクロン株の域内感染を確認。 |
7日 | 靴製造の宝成工業ベトナム法人で労働者1万4000人がスト実施。12日終結。 |
9日 | 立法院台中市第2選挙区補欠選挙,林静儀候補(民進党)当選。 |
14日 | 台湾株式市場,過去最高の1万8403.33ポイントを記録。 |
14日 | 日台与党で「日台安全保障パートナーシップ」対話,オンラインで開催。 |
25日 | 頼清徳副総統,ホンジュラス訪問(~30日)。 |
27日 | 衛生福利部中央疫情指揮中心(CECC),春節(旧正月)期間中の防疫ガイドラインを公表。 |
29日 | 頼清徳副総統,ホンジュラスからの帰路立ち寄り先のロサンゼルスでナンシー・ペロシ米下院議長とビデオ会談。 |
29日 | 中華オリンピック委員会,北京冬季オリンピックでの開閉会式の参加表明(同月28日に一度不参加表明)。 |
2月 | |
6日 | 行政院,生活物資の税減免措置の品目拡大を月末まで延長。 |
8日 | 行政院,福島県など5県産食品輸入原則解禁を発表。21日正式に解禁。 |
8日 | マハムド・ソマリランド(国際的には独立未承認)外交・国際協力相の訪問団,来訪(~12日)。 |
18日 | (公財)日本台湾交流協会と台湾日本関係協会,日台青少年交流の強化に関する覚書と税関支署の協力に関する覚書を締結。 |
24日 | CECC,3月7日から濃厚接触者の隔離日数を14日から10日に短縮と発表。 |
25日 | 外交部,ロシアのウクライナ侵攻に対して経済制裁実施を表明。 |
25日 | 経済部,ニカラグアとのFTAを7月1日から停止と発表。 |
3月 | |
1日 | マイケル・マレン元米統合参謀本部議長らバイデン政権代表団,来訪(~2日)。 |
2日 | ポンぺオ・前米国務長官,来訪(~5日)。 |
3日 | 台湾電力の興達火力発電所で設備故障,各地で停電。 |
4日 | 行政院と衛生福利部,台北市など16県市に対し,福島県をはじめとする日本の5県産食品の輸入販売禁止条例が憲法等に抵触することを通知。 |
4日 | 日本台湾交流協会と台湾日本関係協会,日台食品安全協力覚書に署名。 |
8日 | ジョニー・ブリセーニョ首相らベーリーズ代表団,来訪(~12日)。 |
13日 | 長栄海運運航のコンテナ船,米東海岸で座礁。 |
14日 | 新桃電力の火力発電所で火災。 |
22日 | 蔡英文総統,安倍晋三・元首相とオンライン会談。 |
23日 | 花蓮沖でマグニチュード(M)6.7の地震発生。 |
25日 | 日台漁業委員会会合の中止決定。 |
28日 | アメリカ上院,米台関係の強化を盛り込む「2022年アメリカ競争法案」可決。 |
31日 | 米台高官協議をワシントンで開催。 |
4月 | |
5日 | 米国防安全保障協力局(DSCA),国務省が台湾に総額9500万ドルの武器売却承認と発表。 |
6日 | 蔡英文総統,「減災」を主とする新型コロナウイルス感染症対策への変更表明。 |
6日 | 経済部国際貿易局,ハイテク製品の設備や部品等計57品目の対ロシア輸出規制を決定。 |
7日 | 第3回日台パートナーシップ委員会会合をオンラインで開催。 |
8日 | 彭明敏・元台湾大学教授死去。 |
10日 | スウェーデン国会議員協会と欧州議会代表団,来訪(~14日)。 |
12日 | 外交部,居留証を持つ外国人の親族に対する入境申請受付再開。 |
14日 | 米超党派議員団来訪(~15日)。 |
15日 | CECC,不特定多数と接触する従業員などに3回目の新型コロナウイルスワクチン接種の義務付けを発表。 |
15日 | 立法院,環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)加盟に必要な著作権法,商標法,特許法の改正案を可決。 |
17日 | 行政院,新型コロナウイルス防止強化特別法を2023年6月末まで1年延長で立法院と合意。 |
19日 | CECC,新型コロナウイルス無症状感染者または軽症の感染者に対して自宅療養措置を開始。 |
21日 | 台湾積体電路製造(TSMC)熊本工場,着工。 |
27日 | CECC,公共場所での個人情報を登録するアプリの運用終了。 |
29日 | 日本政府,陳鴻基・元亜東関係協会長に旭日重光章,李永熾・元台湾大学教授に旭日中綬章,林定三・鼎三國際企業有限公司会長に旭日双光章を授与すると発表。 |
5月 | |
3日 | 自民党青年局代表団,来訪(~7日)。 |
13日 | バイデン米大統領,世界保健総会(WHA)に台湾がオブザーバー参加できるように国務長官に支援を求める法案に署名。 |
16日 | CECC,65歳以上の高齢者等を対象に4回目の新型コロナウイルスワクチン接種開始。 |
20日 | 両岸人民関係条例改正案,立法院で可決。6月8日公布。 |
23日 | バイデン米大統領,岸田首相との共同記者会見で台湾への軍事的関与について明言。 |
27日 | 邱義仁・台湾日本関係協会会長辞任。蘇嘉全・前総統府秘書長が後任に就任。 |
30日 | 蘇貞昌行政院長,CECCが新型コロナウイルスの水際対策緩和に同意と表明。 |
30日 | 移行期正義促進委員会,解散。 |
30日 | 米上院議員団,来訪(~6月1日)。 |
31日 | 空軍士官学校所属のAT-3練習機,墜落。 |
6月 | |
1日 | 行政院経貿談判弁公室とアメリカ通商代表部,新たな貿易協議「米台21世紀イニシアチブ」の開始決定。 |
2日 | 経済部,EUと閣僚級経済貿易会議を開催。 |
2日 | 朱立倫・中国国民党主席,訪米(~12日)。9日に14年ぶりに党駐米事務所を開設。 |
5日 | スロバキア国民議会議員・ブラチスラバ県合同訪問団,来訪(~10日)。8日,民事・商事司法協力協議を締結。 |
8日 | フランス上院議員団,来訪(~13日)。 |
8日 | DSCA,国防省が台湾に総額1億2000万ドルの武器売却承認と発表。 |
10日 | 中国税関総署,台湾産ハタの輸入を13日から禁止と発表。 |
15日 | 鴻海精密工業,高雄市にEV向け電池のR&D・試験量産センターの建設を発表。 |
15日 | CECC,入国時の外出禁止検疫措置日数を7日間から3日間へ短縮。 |
16日 | 中央銀行,政策金利を0.125%引き上げ,1.5%にすることを決定。翌日から実施。 |
17日 | ベトナム北部の台湾系革靴製造工場でストライキ発生(~18日)。 |
27日 | TSMCジャパン3DIC研究開発センター(茨城県つくば市)開所式開催。 |
27日 | 行政院人権および移行期正義処,開設。 |
27日 | 米台21世紀イニシアチブの初会合開催。 |
7月 | |
7日 | 海外からの入境者数上限を1週間当たり2万5000人から4万人に拡大。 |
8日 | 安倍晋三・元首相逝去に対し,総統,外交部長,台湾日本関係協会長名義で日本政府に弔電。 |
11日 | 頼副総統,安倍晋三・元首相弔問および葬儀出席のため訪日(~12日)。 |
11日 | DSCA,国防省が台湾に総額1億800万ドルの武器売却承認と発表。 |
18日 | マーク・エスパー前米国防長官,来訪(~21日)。 |
19日 | 統一集団,台湾カルフールの全株式を取得発表。 |
19日 | ニコラ・ベーア欧州議会副議長,来訪(~21日)。 |
28日 | TSMC米アリゾナ工場,上棟式開催。 |
8月 | |
2日 | ペロシ米下院議長,来訪(~3日)。 |
4日 | 中国,台湾を取り囲む海域で大規模軍事演習実施(~7日)。 |
4日 | 台湾海峡の平和及び安定の維持に関するG7外相声明,発表。 |
7日 | セントビンセント・グレナディーンのラルフ・ゴンザルベス首相,来訪(~12日)。 |
10日 | 夏立言・国民党副主席団長の訪中団が中国訪問(~27日)。 |
12日 | 林智堅・前新竹市長(民進党),桃園市長選挙への出馬取りやめを発表。 |
14日 | 米超党派議員団,来訪(~15日)。 |
15日 | CECC,9月1日から条件付きで自主防疫を自宅等で行うことを承認。 |
18日 | 米台21世紀イニシアチブの開始を発表。 |
22日 | CECC,海外からの週当たり入境者上限を4万人から5万人に拡大。 |
27日 | デジタル発展部,発足。科学技術部が国家科学技術委員会に再編。 |
29日 | グアテマラのマリオ・ブカロ外相,来訪(~9月2日)。 |
29日 | パラオのウドゥ・センゲバウ・シニョール副大統領,来訪(~31日)。 |
9月 | |
1日 | 労働部,2023年の最低月額賃金の4.6%引き上げを決定。 |
2日 | DSCA,国務省が台湾に総額11億ドル規模の武器売却承認と発表。 |
3日 | ツバルのカウセア・ナタノ首相,来訪(~9日)。 |
7日 | フランス上院議員団,来訪(~12日)。 |
7日 | 米超党派下院議員団,来訪(~9日)。 |
14日 | 日本外務省,台湾居住の台湾籍住民にオンライン査証申請,電子ビザ発給開始。 |
15日 | 総統府,27日に開催される安倍晋三・元首相の国葬儀に蘇嘉全・台湾日本関係協会長,王金平・元立法院長,謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表を派遣と発表。 |
17日 | 台東県を震源地とするM6.4の地震発生。翌日,M6.8の地震発生。 |
18日 | チェコ上院議員団,来訪(~23日)。 |
22日 | 行政院,新型コロナウイルス感染症の水際対策を2段階で緩和すると発表。 |
22日 | 科技グループとインドネシアのインディカ・エナジー,EVと電池製造の合弁会社設立。 |
29日 | 外交部,ビザの簡便化申請措置再開。 |
10月 | |
2日 | ドイツ連邦議会超党派議員団,来訪(~6日)。 |
2日 | 第21回米台防衛産業会議,開催(~4日)。 |
4日 | 行政院環境保護署,2023年5月1日からアスベスト含有の製品輸入禁止と発表。 |
5日 | パラオのスランゲル・ウィップス・ジュニア大統領,来訪(~12日)。 |
9日 | カナダ超党派下院議員団,来訪(~14日)。 |
10日 | 蔡英文総統,国慶節祝賀式典演説で中国に対話を呼びかけ。 |
11日 | 台湾安倍晋三友の会,発足。 |
20日 | 蔡英文総統,張忠謀・元TSMC会長をAPCE首脳会議に派遣と発表。 |
11月 | |
1日 | 頼清徳副総統,パラオ公式訪問(~3日)。 |
3日 | 鴻海精密工業,サウジアラビア政府系ファンドとEV製造・販売の合弁会社設立。 |
3日 | 日本政府,江春男・中華文化総会副会長に旭日中綬章,翻訳家の頼明珠氏に旭日双光章,蔡少卿・元(財)交流協会台北事務所現地職員に瑞宝双光章を授与すると発表。 |
3日 | G7外相会合開催(~4日)。台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調する共同声明,発表。 |
7日 | リトアニアの駐台機関である「リトアニア貿易代表処」業務開始。 |
8日 | 米台21世紀イニシアチブ第1回会合をニューヨークで開催(~9日)。 |
14日 | 週当たり入境者数の上限を12月1日から20万人に引き上げ決定。 |
14日 | ナウル共和国のラス・ジョセフ・クン大統領夫妻,公式訪問(~19日)。 |
17日 | 行政院,産業創新条例(産創条例)の改正案を決定。 |
26日 | 統一地方選挙,投開票。 |
26日 | 蔡英文・民進党主席,辞任。 |
26日 | 選挙権と被選挙権の年齢を引き下げる憲法改正案の住民投票,不成立。 |
27日 | 游錫堃・立法院長,訪日(~12月1日)。 |
28日 | CECC,12月1日から屋外でのマスク着用不要,12月10日から入境者数の上限撤廃,決定。 |
29日 | イギリス下院超党派議員団,来訪(~12月2日)。 |
12月 | |
1日 | TSMC,ジャパンデザインセンター大阪を開設。 |
6日 | 中華民国対外貿易発展協会,ジェトロと貿易投資促進協力の覚書締結。 |
6日 | DSCA,国防省が台湾に総額4億2800万ドルの武器売却承認と発表。 |
6日 | (現地時間)TSMC,米アリゾナ工場で設備搬入式典を開催。投資額の増額と3ナノメートル製造プロセス工場の着工発表。 |
8日 | 中国,台湾産のイカやサンマ等水産物の輸入を事実上停止。 |
8日 | 頼清徳副総統,民進党主席選挙への立候補表明。15日,立候補届出。 |
9日 | 中国海運総署,輸入停止リストに高粱酒や台湾ビール等の飲料を追加。 |
10日 | 萩生田光一自民党政調会長,来訪(~12日)。 |
15日 | 第3回米台経済対話,開催。 |
15日 | 米上院,国防授権法案可決。今後5年間で台湾へ100億ドルの軍事支援を提供。 |
20日 | 国防部,志願兵の入隊訓練を2023年1月から8週間,380時間への延長発表。 |
22日 | 行政院,「小三通」の2023年1月7日から2月6日まで条件付きで再開決定。 |
26日 | 経済部,省エネ家電購入促進のための補助金を2023年に実施することを決定。 |
26日 | 第4回日台経済パートナーシップ委員会会合開催。 |
26日 | 世耕弘成・自民党参議院幹事長,来訪(~29日)。 |
27日 | 蔡英文総統,会見で2024年から兵役期間を4カ月から1年に延長することを表明。29日,行政院決定。 |
28日 | DSCA,国防省が台湾に総額1億8000万ドルの武器売却承認と発表。 |
29日 | TSMC,南部科学園区で3ナノメートル先進製造プロセスの量産式典開催。 |
(注)1)「山地原住民区」のみ例外として,「地方自治団体」とされ,また「区民代表会」が設置される。
(出所) 総統府(http://www.president.gov.tw/),行政院(https://www.ey.gov.tw/),司法院(https://www.judicial.gov.tw/),考試院(https://www.exam.gov.tw/),監察院(https://www.cy.gov.tw/)ウェブサイトより作成。
(注)1)*は女性。2)下線に加え,6直轄市の市長は行政院会議(閣議)に列席可能。また,行政院と総統府の連携強化のため,総統府副秘書長を閣議への招致が可能。3)国立故宮博物院長は閣議への出席は行政院会議議事規則で求められていない。
(注)*は女性。
(注)1)パプアニューギニア,フィジー共和国とは相互承認関係にあるとされてきた。しかし,パプアニューギニアは2018年2月に台湾側駐在機関の外交特権を剥奪した。
2)2020年2月にソマリランドと二国間協定を締結し,相互に国家承認した。ただし,台湾のほかに,ソマリランドを国家承認している国はない。
3)1),2)を除き,台湾と正式に国交を締結している国は14カ国。
(注)人口は年末時点。労働力人口は年平均。
(出所)内政部ウェブサイト(https://www.moi.gov.tw),行政院主計総処ウェブサイト(http://www.dgbas.gov.tw/),中央銀行ウェブサイト(http://www.cbc.gov.tw/)。
(注)2020年,2021年は修正値。2022年は暫定値。
(出所)行政院主計総処ウェブサイト(http://www.dgbas.gov.tw/)。
(注)2020年,2021年は修正値。2022年は暫定値。
(出所)表2に同じ。
(注)2021年は修正値。2022年は暫定値。
(出所)財政部ウェブサイト(http://www.mof.gov.tw/)。
(注)2016~2021年は修正値。2022年は暫定値。IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。したがって,金融収支の符号は(+)は資本流出,(-)は資本流入を意味する。
(出所)中央銀行ウェブサイト(http://www.cbc.gov.tw/)。
(注)2022年と2023年は法定予算。歳入および歳出には中央政府債発行に伴う収入と償却費が含まれないため,歳入と歳出は一致しない。債務費は中央政府債の利子支払いである。また,この数値に特別予算に対する決算は含まれていない。
(出所)表2に同じ。
(注)承認ベース。
(出所)経済部投資審議委員会ウェブサイト(http://www.moeaic.gov.tw/)。