Yearbook of Asian Affairs
Online ISSN : 2434-0847
Print ISSN : 0915-1109
Trends in Countries and Regions
Republic of Korea in 2022: Conservatives’ Return to Power and Their Response to High Prices
Satoru OkudaYuichi Watanabe
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2023 Volume 2023 Pages 25-52

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2022年の韓国

概 況

国内政治においては,2022年3月に行われた大統領選で保守・「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補が僅差で当選した。5月10日に尹政権が正式に発足したが,法曹関係者に偏った閣僚人事や対国民疎通のまずさ,与党内紛などのため政権支持率は1年目から低迷した。尹政権は進歩系の文在寅(ムン・ジェイン)政権の検察改革で大幅縮小された検察の捜査権限の復元に取り組むとともに,文政権下での権力犯罪の摘発が進められた。4月には社会的距離の確保が全面解除されるなど,国民生活は新型コロナウイルス禍以前の状況へと徐々に戻っていった。

経済では,資源や原材料などの価格高騰に伴う輸入の増大と半導体市況の悪化を受けた輸出の鈍化によって貿易赤字が過去最大を計上したことで,成長が大きく減速した。巨額の貿易赤字にもかかわらず,経常収支では黒字を確保した。2022年には国内物価の上昇にも拍車がかかり,韓国銀行は幾度となく利上げを迫られたほか,政府も物価高対応を余儀なくされた。急速な利上げを受けて,住宅価格の高騰が続いていた不動産市場は調整局面に入った。尹政権の経済政策の柱には財政健全化や規制改革による民間主導が据えられ,原発回帰を含めて前政権から路線転換が鮮明となった。

対外関係においては,尹政権が示した経済支援の構想を北朝鮮が一蹴したほか,年末には北朝鮮のドローンが侵入するなど,南北関係は一段と冷え込んだ。日韓関係では,日米韓連携を重視する尹政権が関係修復に向けて動きをみせた。徴用工判決については代位弁済を軸とする解決案の取りまとめが進んだ。対米関係でも尹政権は日米韓連携重視を掲げ,経済安全保障体制の構築やIPEF参加などアメリカ主導の枠組みへの積極姿勢をみせた。対中関係では,韓国が配備している終末高高度防衛ミサイル(THAAD)をめぐり,尹政権は中国からの干渉を拒絶した。中国は文在寅政権下での合意を盾に運用制限を迫り,韓中関係は噛み合わないものとなった。

国内政治

5年ぶり,薄氷の保守政権復活

3月9日,第20代大統領選挙が行われた。選挙戦は事実上進歩,保守の2強の争いとなった。進歩系与党「共に民主党」(以下,民主党)は李在明(イ・ジェミョン)・前京畿道(キョンギド)知事を擁立,保守系最大野党「国民の力」は尹錫悦前検事総長を擁立した。李候補は城南(ソンナム)市長,京畿道知事としての豊富な行政経験を持つアイデア首長として注目され,尹候補は検察総長として文政権関係者に対する不正摘発を敢行し,反文在寅のアイコン的な存在として注目されていた。

李在明候補は,文在寅政権の社会民主主義的な政策を引き継ぐ公約を打ち出した。地方行政での経験を基礎に「小確幸」(小さいけれど確実な幸せ)を掲げ,全国民を対象としたベーシックインカムの支給や脱毛症への健保適用など人々の耳目を引く公約を示した。李候補は,大統領の任期を現在の5年単任(再任不可)から4年重任(1回のみ)とする改憲案も提唱していた。一方,尹錫悦候補は,民間の活力を生かす保守の伝統的な考え方に沿った公約を打ち出した。不動産政策では規制緩和と減税を打ち出し,労働政策では文政権が施行した週52時間労働の枠にとらわれない柔軟な働き方改革を唱えた。また,フェミニズムの行き過ぎで男女間の溝が深まったとして女性家族部の解体を打ち出したほか,北朝鮮への毅然とした対応,対日米関係の修復など外交政策の転換を訴えた。

この選挙戦の特徴を2つ挙げるとすれば,次のようになる。第1に,李在明,尹錫悦の2大候補がいずれも中央政界での経験がなかったことである。進歩,保守両陣営とも国民のなかに広がる政治不信を重視したものとみられる。国民不在の抗争に明け暮れる中央政界とは一線を画した人物を前面に出すことで清新さを印象付けようとしたのだろう。第2に,劇場型政治の側面が強まり,スキャンダルの暴露,非難の応酬が過去の大統領選よりさらに多くなったことである。李候補については,城南市長時代の数千億ウォン規模の土地開発疑惑(大庄洞(テジャンドン)疑惑)が浮上した。李候補の側近らが不正資金の流れにかかわったとされ,李候補自身の関与も取り沙汰された。尹候補については候補本人の失言傾向,夫人の経歴詐称や株価操作疑惑などが問題とされた。公職選挙法が義務付ける候補者のテレビ討論が,政策論争というよりはスキャンダル追求合戦の場となった感もあった。

投票の結果,尹錫悦候補が得票率47.83%で当選した。次点の李在明候補との得票率の差はわずか0.73ポイント,まさに薄氷を踏むような勝利であった。政権維持を目論んだ進歩勢の目論見は潰え,保守への政権交代がなされた。

尹錫悦政権が直面した厳しい現実

5月10日,尹錫悦は第20代大統領に就任した。6月1日に実施された統一地方選では保守与党が17の広域自治体首長のうちソウル市長など12のポストを確保して圧勝した。しかし,その後新大統領と与党は厳しい現実に直面する。

第1に,国会(一院制)が少数与党の状況で,尹錫悦政権が国会の協力を得にくくなった点である。新政権の組閣においては国会多数派の野党が閣僚人事を承認しないケースが多く,初代組閣が完了したのは11月,政権発足後半年が経過していた。18の閣僚級ポストのうち国会による人事聴聞報告書の採択なしに任命されたポストは14に上った。尹政権の公約であった女性家族部廃止のためには政府組織法の改正が必要となるが,これについても少数与党の国会がネックとなった。女性家族部の主要機能を保健福祉部に移管するための政府組織法改正案は11月30日に国会の担当小委員会に上程された。だが,過半数の議席を占める最大野党・民主党は同部の廃止には消極的で,年内には結論は出なかった。一方,与党が歓迎しない法改正を野党が推進したこともあった。政府のコメ全量買い取りを義務付ける糧穀管理法改正案や,労働争議に伴う損失の対労働者求償を制限し,下請け企業の従業員が元請け企業に対しても労働争議を起こせるようにする労働組合および労働関係調整法改正案(通称「黄色い封筒法」)が野党によって発議された。これらが国会を通過した場合,尹大統領は拒否権を行使することを示唆した。また,野党主導による閣僚の解任決議も2件発生した。9月の尹大統領による訪米中の舌禍問題(後述)と関連し,9月29日に朴振(パク・ジン)・外交部長官に対する解任決議が可決されたほか,10月末のソウル・梨泰院での群衆事故の責任を問われた李祥敏(イ・サンミン)・行政安全部長官の解任決議が12月11日に可決された。尹大統領はいずれも解任を拒否した。

第2に,選挙を通じて浮き彫りになった国内各方面での分断である。大統領選の接戦や文在寅政権の最終支持率が45%(5月第1週,韓国ギャラップ)と政権末期としては異例の高さを記録したことからは,保守・進歩間の溝の深さと尹政権への反対勢力の大きさがうかがわれる。大統領選の得票状況からは地域,世代間の溝も確認される。全羅道(チョルラド)方面で進歩系が強く,慶尚道(キョンサンド)方面で保守系が強いほか,高齢者の保守支持,40~50代の進歩支持という傾向が今回も明らかになった。新たな傾向としては,若年世代における男女別得票率の格差が挙げられる(図1を参照)。ミソジニー(女性嫌悪)の傾向を強める20代以下の男性が女性家族部廃止を掲げた尹錫悦候補を支持し,得票率58.7%を記録したのに対して女性票は33.8%にとどまった。30代でも同様の傾向が観察できる。

図1 2022年 韓国大統領選 年代・性別得票率(%)

(注)3大放送(KBS,MBC,SBS)による調査。

(出所)聯合ニュース。

第3に,尹錫悦が政治の素人であるがゆえの批判や党内対立の激化が挙げられる。尹大統領は出勤時の「ぶら下がり取材」を始めたが,時折みられた不用意な受け答えが批判された。9月には国連演説のための訪米中に尹大統領が発したとされる卑俗語発言が物議を醸した。また,尹錫悦が「外様」であるゆえの与党内対立も政権発足後に再燃した。党内基盤がぜい弱な尹錫悦は,自身に近い「尹核関」(尹錫悦の核心関係者)を重用した。これに対し,同じく外部からの登用人材で異例の若さで党代表になった李俊錫(イ・ジュンソク)はより開かれた党運営を主張してしばしば尹およびその周囲と対立した。こうした対立の仲介役となるべき与党主流派は,2017年の朴槿恵元大統領の弾劾・失職で影響力を喪失していた。7月8日,与党は李俊錫の党員資格の6カ月停止を決定し,8月9日には非常対策委員会体制に移行した。これに伴い,李俊錫代表は自動的に解任された。尹大統領本人のコミュニケーションの問題,法曹界に偏った人材登用や与党内紛は,政権担当1年目の尹政権に対する支持率が20%台に落ち込む主な要因となった。

検察の捜査権限をめぐる進歩・保守両陣営の執念

2017年の文在寅政権発足以後,進歩陣営は検察改革という名のもとに仇敵ともいうべき検察の無力化に心血を注いできた。今回の大統領選で敗北したことで,進歩勢力は国会での優位を利用して政権移行期間内に検察改革を完成すべく法改正を急いだ。法改正が急がれたのは,新大統領による拒否権行使という事態を回避するためであった。4月30日には検察庁法改正案が,5月3日には刑事訴訟法改正案が国会を通過し,文大統領は同日にこれら改正法(いわゆる「検捜完剥法」)を直ちに公布した。これにより9月10日以降検察の捜査権限は汚職と経済事件に限られ,選挙犯罪や公務員犯罪の捜査権は警察に移されることとなった。

5月10日の政権交代の後,尹政権は直ちに検察の捜査権限の回復に向けて動き出した。同月17日には野党の猛反発をよそに検事出身で尹大統領の最側近の韓東勲(ハン・ドンフン)が法務部長官に任命された。韓東勲は2019年から2020年にかけての検察による文政権関係者への疑惑追及において捜査を指揮する立場にあった。これにより検察総長だった尹錫悦ともども文政権から激しい追い落とし圧力を受けた経緯がある。6月27日,韓東勲長官は憲法裁判所に対し大検察庁幹部と共同で検捜完剥法の効力停止を求める仮処分申請を行った。8月11日,9月以降も検察が保持する捜査分野を拡張するための大統領令改正(「検事の捜査開始犯罪範囲に関する規定」)を韓東勲長官が発表した。9月10日,検捜完剥法は施行されたが,同時に上記の改正大統領令の施行により検察の捜査分野が拡張され,検捜完剥法が狙った検察の捜査権限縮小はほぼ無力化された。これに伴い,9月以降も検察による進歩陣営関係者への捜査は引き続き行われた。

進歩政権下での権力犯罪に対する追及

進歩陣営が検察の無力化に躍起となったのは,政権交代の後の犯罪捜査の形をとった政治的報復を恐れたためだった。検捜完剥法という安全装置が封じられると,進歩陣営にとっては政治的報復の恐れは現実のものとなった。

進歩陣営のなかでも多くの司法リスクを抱えているのが民主党の大統領候補で,その後国会補選で当選し,民主党代表に就任した李在明である。代表的な事案としては,大庄洞疑惑,つまり李代表が城南市長在任当時に行われた都市開発事業に絡んだ約4000億ウォンの不明朗な利益処分のほか,大統領選の際の不正選挙資金,そして李代表が市長在任当時にオーナー職にあったプロサッカーチーム城南FCを舞台とした後援金疑惑(城南FC疑惑)などがある。城南FC疑惑とは,建設許可や土地用途変更の見返りとして,城南FCあての支援金約160億ウォンを企業らから引き出していたというものである。大庄洞疑惑については李在明の側近らの刑事裁判が進められ,ほかの側近らも相次いで逮捕された。不正選挙資金疑惑については,9月10日に検察が李在明を公職選挙法違反で起訴した。城南FC疑惑については,検察が12月22日に李在明の出頭を要請している。いずれの事件も政権交代後に捜査が活発化し,李在明本人への包囲網は狭まってきた。

文政権の高位関係者が関与したとされる事案としては,2019年の北朝鮮住民2人の強制送還事件と,2020年の北朝鮮による韓国公務員射殺事件が頻繁に取り沙汰された。強制送還事件については北朝鮮住民2人が意に反して北朝鮮に引き渡されたとして,検察が10月19日に盧英敏(ノ・ヨンミン)・元大統領秘書室長に対する調査を実施した。公務員射殺事件については,南北関係悪化への懸念から事件に関する北朝鮮の責任追及を行わず,関係書類・データが隠滅されたという。12月9日に徐薫(ソ・フン)・前大統領府国家安保室長と金洪熙(キム・ホンヒ)・前海洋警察庁長が起訴された。これら事件では盧英敏や徐薫など文前大統領の最側近にまで捜査の手が伸びたが,文本人に対してはいずれの事件においても捜査当局が行動を起こさなかった。文本人への責任追及が行われるか注目されつつ,越年した。

12月2日,文前大統領は公務員射殺事件の捜査について,「安保事案を政争の対象にしている」と述べ,「度を超えないことを望む」と強い不満を示した。このほか,民主党や捜査対象となった文政権関係者らも一様に尹政権による「政治的報復」を批判した。進歩陣営のこうした批判に対し,尹政権は不正摘発を行うのは当然との立場である。上記の文前大統領の発言に先立つ6月17日,尹大統領は文政権関係者への捜査について「正常な司法システムを政治論争化すべきでない」との考えを示した。こうした捜査動向については保守,進歩間に捉え方の差はあるものの,現実として前政権関係者の所業が政権交代後に糾弾されることが尹政権下でも繰り返された形である。

コロナ前の生活が徐々に戻る

3月,韓国では新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった。ピークとなった3月16日の新規感染者数は62万1328人に達した。これは1日で国民の1.2%が感染したことを意味する。だが,感染症拡大のなかにあっても韓国は2021年末から進められてきたウィズコロナの取り組みを後退させることなく,むしろ規制解除に向けて歩みを進めた。4月1日,韓国は入国者に対する防疫隔離を全面的に免除,4月18日には感染防止策としての社会的距離の確保が757日ぶりに解除された。9月26日には屋外でのマスク着用義務が全面解除されたほか,屋内での着用義務の範囲も順次縮小されていった。8月と年末に感染拡大がみられたが,それぞれのピーク時の感染者数は18万人,8万8000人と概して落ち着きをみせていった。

(奥田)

経 済

マクロ経済の概況:個人消費は堅調も貿易赤字が響き成長減速

2022年の韓国経済は,資源や原材料などの価格高騰に伴う輸入の増大と輸出の鈍化によって過去最大を計上した貿易赤字が響いて,成長が大きく失速した。2023年3月に韓国銀行が発表した国内総生産(GDP)の暫定値によれば,2022年の実質GDP成長率は2.6%を記録し,前年のV字回復からの減速が露わとなった(表1)。特に第4四半期には,コロナ禍が本格化した2020年第2四半期以来となる前期比マイナスの成長を記録し,物価上昇や利上げに伴う国内消費の減退と輸出不振により,足元での景気低迷が鮮明になっている。

表1 支出項目別および経済活動別国内総生産成長率

(注)数値はすべて暫定値。四半期別数値は季節調整後の値。在庫増減はGDPに対する成長寄与度を表す。

(出所)韓国銀行「2022年第4四半期および年間国民所得(暫定)」2023年3月7日。

支出項目別にみると,GDPの約半分を占める民間消費は第4四半期に入って減少傾向にあるものの,年間を通じては新型コロナの防疫措置緩和によって娯楽・文化や飲食・宿泊などサービス消費を中心に堅調で前年比4.3%増の成長をみた。一方で民間消費に次いで高いシェアを占める輸出は,年央以降の半導体市況の変調を受けて前年比3.2%増と大幅に鈍化し,原油や天然ガスなどの資源価格に翻弄される輸入も同3.7%増にとどまった。輸入を差し引いた純輸出でみると,成長寄与度(0.1%ポイント減)はわずかにマイナスを記録した。設備投資は機械類などが比較的堅調であったものの,年間では前年比0.5%減に転じるとともに,建設投資も同3.5%減とマイナス成長から抜け出せずにいる。そうしたなか,近年と同様に健康保険を含む社会保障給付の支出増などによって拡大する政府消費(前年比4.1%増)が,経済成長を下支えする構図がみられる。

経済活動別には,ICTや化学分野などが振るわなかった製造業が前年比1.4%増と伸び悩んだ。一方で前年に復調したサービス業では,文化・芸術や運送,卸・小売,宿泊・飲食など幅広い業種が引き続き好調で,前年比4.2%増と成長幅が拡大した。前年割れが続いていた建設業は,ようやくプラス成長(前年比0.3%増)に転換したが,建設景気の本格的な回復はまだ見通せない。実質国内総所得(GDI)の成長率は前年比1.2%減に転じ,原油価格の上昇などによって交易条件が悪化したためにGDP成長率を大幅に下回った。1人当たり名目GDPおよび1人当たり国民総所得(GNI)はともに,通貨安の影響を大きく受けて3万2000ドル台に減少した。

国際収支状況:過去最大の貿易赤字も経常黒字を維持

貿易実績は,ロシアによるウクライナ侵攻,中国の「ゼロコロナ」政策の継続や世界的なインフレ昂進に伴う外需の低迷,輸入依存度の高い資源・原材料価格の高騰などの影響を受けて難しさを露呈するものとなった。関税庁の発表によれば,2022年の通関基準の輸出額は6838億ドル(前年比6.1%増)を記録したものの,輸入額はそれを上回る7312億ドル(同18.9%増)に達した。結果的に輸出入とも過去最高額を更新したが,貿易赤字(475億ドル)も過去最大規模を計上するに至った。

輸出の内訳を品目別にみると,単一品目として最大規模を誇る半導体は,好調なファウンドリ需要に支えられたシステム半導体が健闘して年間で1300億ドルに迫る過去最高を更新したものの,市況の変化によるメモリー価格の下落で年後半から減少して前年比1.0%増にとどまった。また,対米輸出が好調な自動車(前年比16.4%増)や自動車部品(同2.4%増),二次電池(同15.2%増)のほか,原油価格上昇の影響を受けた石油製品(同65.1%増),一般機械(同2.1%増),鉄鋼製品(同5.7%増)といった主力品目も増加をみた。一方で,石油化学(前年比1.5%減)や船舶(同20.9%減),ディスプレイ(同1.1%減),無線通信機器(同10.4%減)などは減少に転じた。

地域別にみると,最大市場である中国向け(前年比4.4%減)が「ゼロコロナ」政策に伴う生産活動の低迷により減少し,対ロシア制裁によってCIS国家向け(同17.7%減)も落ち込んだ。対中貿易は,5月以降にはほぼ毎月のように赤字が続いた。しかし,中国に次ぐ巨大市場であるASEAN(前年比14.8%増),アメリカ(同14.5%増),欧州連合(EU)向け(同7.1%増)は大きく伸ばして過去最高の輸出額を記録したほか,インド向け(同21.0%増)も好調であった。ただし,原油や天然ガス,石炭などのエネルギー価格の高騰に加えて,アルミニウムや銅,半導体・鉄鋼関連の原材料価格の上昇が輸入額を押し上げる格好となり,とりわけ資源国であるオーストラリア,サウジアラビアやカタールなど中東国家との貿易赤字が大きく膨らんだ。

巨額の貿易赤字にもかかわらず,韓国銀行によれば,2022年の経常収支は298億ドル(前年比65%減)の黒字を確保した。輸入増によって国際収支上の商品収支の黒字幅が大きく縮減し,防疫措置の緩和で海外旅行需要が増大したためサービス赤字も拡大した。しかし,国内企業が海外現地法人から受け取る配当収入が増加したことで(第1次)所得収支の黒字が拡大し,これが経常黒字を下支える要因となった。また,韓国輸出入銀行によると2022年の海外直接投資額は,772億ドル(前年比0.4%増)で過去最高額を更新した。北米やアジア地域への直接投資は振るわなかったものの,ヨーロッパ向けなどが大幅に増大したほか,業種別には半導体や電気自動車(EV)関連の現地生産計画の拡大を受けて製造業が大きく伸び,金融・保険業や不動産業なども増加をみた。2022年の対内直接投資(申告基準)も,産業通商資源部の発表では305億ドル(前年比3.2%増)と過去最高額を記録した。製造業での幅広い分野を中心に,雇用創出効果の大きいグリーンフィールド型投資の増加が目立った。地域別には,アメリカや日本からの対韓投資が増大した。

物価上昇で加速した利上げ,調整局面に入った不動産市場・家計負債

貿易赤字とともに,2022年の大きな経済環境の変化は,国内物価の高騰であった。消費者物価は前年から尻上がりに上昇していたが,2022年に入るとそのペースはさらに加速し,通年では前年比5.1%増と韓国銀行が定める物価安定目標(2%)を大きく超えた。生産者物価も前年比8.4%増の大幅な上昇を示した。原油・ガスなどのエネルギーや原材料価格の急騰に伴う輸入物価の上昇(ウォン建て基準で前年比25.9%増)が,貿易実績に与えた影響は前述のとおりである。物価高騰の主な要因は,ロシアのウクライナ侵攻やグローバルなサプライチェーンの不安定化を背景に,エネルギー価格や農畜水産物・工業製品価格,サービス価格といった供給側における上昇圧力が総体的に強まったことにある。また,個人サービス価格の上昇には原材料費の高騰のほかに,行動制限の緩和・解除に伴う対面型サービス需要(外食や観光など)の増大や人件費の上昇といった影響も無視できない。さらに,輸入物価の上昇には前年から続く漸進的なウォン安基調が作用している側面もあり(前年末比6.9%のウォン安・ドル高),そうした経路からも国内物価の高騰に拍車がかかった。

物価上昇によるインフレ懸念の高まりから前年に引き締めに転じた金融政策は,2022年には大きな潮目を迎えた。韓国銀行は,年初に1.0%であった政策金利を年末までに3.25%まで引き上げた。その間,実に7度もの利上げが実施され,うち2回は通常の利上げ幅の2倍となる0.5%引き上げられるなど,そのペースや幅が一気に加速した。韓国銀行が急ピッチな利上げを迫られた背景には,アメリカの相次ぐ利上げによって韓米間の金利差が拡大することを防ぐ狙いもあった。韓国には急激な資本流出をきっかけにアジア通貨危機に至った経験があるため,国内資金の海外流出に対しては警戒感が強く,それを加速させかねない外国との金利差には非常に敏感である。インフレ圧力の増幅は景気の下振れリスクになるため,政府も物価安定を当面の課題に掲げ,さまざまな物価高対策を講じることを余儀なくされた。代表的な物価対策としては,ガソリンや軽油などに課される油類税の追加引き下げ(最大37%)や事業者向けの軽油価格連動補助金の支給拡大,液化天然ガス(LNG)輸入に対する関税撤廃および関税割当の適用,農畜産物などの特定品目に対する関税割当の適用および割当枠の増量などが実施された。

急速な利上げを受けて,前年まで住宅価格の高騰が続いていた不動産市場には次第に変化が表れ始めた。不動産市場に流入していた資金の多くは,これまでの金融緩和によって低金利で調達された不動産融資や住宅担保貸出であった。しかし,それらの大部分は変動金利であるため,利上げに伴う利払い負担の増加によって,不動産市場では年央頃から全国的に取引件数の減少および住宅価格の下落がみられるようになった。尹政権の不動産政策の基本は,規制緩和などを通じて住宅供給の拡大を図ることにある。過度な需要収縮によって需給バランスが崩れれば不動産市況は悪化するリスクもあるため,今後は難しい舵取りが予想される。一方,住宅関連ローンが大半をなす家計債務残高には依然として高止まりがみられるが(12月末現在1867兆ウォン),家計負債の増加ペースは明らかに鈍化している。現状では家計破綻に直結するリスクや金融システム全体への影響は少ないが,尹政権は就任早々に家計負債管理対策(借主の償還能力審査基準の見直し,変動金利型の住宅ローン対象者に対する長期・固定金利への転換支援など)を発表して,家計債務の安定化にも注力する姿勢を示している。

なお,年後半にはテーマパーク「レゴランド・コリア」の建設資金に対する開発公社のコマーシャルペーパーをめぐって,地元の自治体知事が支払い保証を撤回する発言をしたことで,予想外の形で金融不安の連鎖が表面化した。その後,信用格付の高い韓国電力で社債発行による資金調達が不発に終わったり,中堅の生命保険会社がドル建て債券の期限前償還を見送ったりするなどの事態が発生したが,政府や韓国銀行が債券市場に対して一時的に流動性供給を実施して,金融市場は落ち着きを取り戻した。

尹錫悦政権の経済政策基調:財政健全化,規制改革による民間主導

輸出環境の変化や物価高などによる景気減速にもかかわらず,前年にコロナ禍からの回復を遂げた労働市場はさらに改善した。統計庁の発表によれば,2022年の就業者数は前年比81万6000人増と近年で最高水準となり,失業者数の減少によって失業率も前年比0.8%ポイント改善の2.9%と,2000年代以降で最低水準を記録した。自営業者数も5年ぶりに回復するとともに,雇用率や労働力率といった雇用指標は幅広い年齢階級で上昇が続いた。業種別には製造業の就業者数がようやく増加に転じたほか,サービス業では宿泊・飲食や芸術・スポーツ・レジャーでも人手が戻ってきた。ただし,卸・小売や金融・保険業では断続的に就業者数の減少がみられることから,労働市場ではコロナ禍を経て局所的に構造変化が起きている可能性が示唆される。

こうした雇用環境の改善の下地には,政府による積極的な財政支援があった。2022年にも前半に2度(文政権下の2月と尹政権下の5月)補正予算が編成され,主に小規模事業者向けの損失補償や防疫支援金に充てられた。しかし,経済対策の重点は財政出動による景気対策よりも前述した物価安定に置かれるようになるとともに,財政健全化を目指す尹政権に入ると財政政策は規律を重視するスタンスへ転換し,財政運営ルールである「財政準則」の法制度化に向けた動きも本格化した。健全財政の確立とあわせて,尹政権の経済政策の大きな柱には規制緩和や公正な市場・競争環境の整備による民間部門中心の経済体系の樹立が据えられた。具体的には,企業活動の障害になるような環境・立地・保健医療分野などにおける各種規制の改革,企業の投資促進や雇用創出につながる税制支援の拡充(法人税率の引き下げや配当所得課税の改正など),中小・ベンチャー企業の育成やスタートアップ支援の強化などの施策が挙げられていた。企業投資支援のなかで法人税率の引き下げについては1%ポイントのみにとどまったが,年末には投資税額控除の拡大や設備投資に対する金融支援の拡充なども追加された。

対外競争力の強化という観点からは,輸出振興や海外受注の活性化も目標に掲げられた。なかでも,前政権の脱原発路線から大きく転換した原子力産業の育成および原発輸出(主に小型原子炉の開発・建設など)や,ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに活発化する防衛産業の海外展開は特筆される。実際に,2022年には官民一体のセールス外交が展開され,8月にエジプトで韓国企業が原発設備の建設受注に成功したほか,ポーランドでは韓国の防衛装備企業が製造する戦車や兵器が調達されたことが話題となった。尹政権の経済政策ではそのほか,三大改革とよばれる労働市場(週52時間の労働時間制限や賃金体系など)・高等教育(大学規制など)・国民年金制度の構造改革の行方が注目される。

また,尹政権の成長戦略や経済安全保障への対応に関しては,基本的には前政権からの流れ(韓国版ニューディール,半導体など戦略産業の強化,部品・素材調達における国産化および輸入先多角化など)を踏襲している。ただし,戦略やビジョンを総花的に打ち出すのではなく,あくまで民間主導を主軸として個別の政策課題ごとに支援内容を拡張させている点に特徴がある。例えば,7月に発表された「半導体超強大国達成戦略」には,企業の巨額投資(5年間で340兆ウォン以上)を促進させる税制支援の拡大や規制緩和,人材育成支援の拡充,ファウンドリ事業などシステム半導体の強化支援などが盛り込まれた。10月に発表された「素材・部品・装備産業政策方向」では,調達を特定国・地域に依存するコア品目のみならず,グローバル・バリューチェーンの寸断によって供給難が懸念される汎用品や原材料まで含めて対象品目を拡大し,国内企業の海外進出や輸出強化なども目指すとした。さらに12月には,新技術・市場の開発・開拓やデジタル技術の日常化に向けて,15個のプロジェクト分野(未来モビリティや宇宙探査,スマート物流,バイオテクノロジーなど)からなる「 ‘新成長4.0戦略’ 推進計画」が,尹政権初の総合的な成長戦略として発表された。

主要企業業績:市況悪化が始まった半導体,好調が続く自動車関連

2022年にはコロナ禍が一服したことで,これまでコロナ特需を享受していた半導体産業では逆風が吹き始めた一方,脱炭素化の流れなどを受けて自動車関連は好調を維持した。半導体市場では年後半から在庫の積み上がりによるメモリ価格の下落が顕在化し,韓国最大企業のサムスン電子は,2022年連結決算で売上高こそ302兆2314億ウォン(前年比8.1%増)と増収であったものの,営業利益は43兆3766億ウォン(同16.0%減)と減益に転じた。資産総額でサムスンに次ぐ第2位に浮上したSKグループのSKハイニックスも,市況の悪化で第4四半期には10年ぶりに営業赤字に転落して通年でも増収減益となったほか,国内工場の増設を無期限延長するなど生産調整への対応も迫られた。また,両半導体大手は中国でも生産拠点を稼働させているため,アメリカによる自国製製造装置の対中輸出規制の動向にも翻弄されている。そうしたなか,10月に李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が会長職に就任して新体制となったサムスン電子は,豊富な資金力を背景に低迷期にもかかわらず果敢な投資姿勢を崩していない。

自動車最大手の現代自動車は,世界販売台数こそ微減したものの半導体不足の解消によって生産台数が回復し,収益率の高い多目的スポーツ車(SUV)やEVなどの販売も好調で,2022年連結決算で売上高142兆5275億ウォン(前年比21.2%増),営業利益9兆8198億ウォン(同47.0%増)の過去最高を更新した。現代自動車はEVと燃料電池車(FCV)の販売戦略によって日本市場への再進出を果たしたほか,国内や欧米などでもEVや自動運転技術などへの積極的な投資姿勢を貫いている。また,世界的なEV生産の拡大によって,LG・SK・サムスンの車載電池大手3社も大幅な増収を達成した。特にLGとSKでは,アメリカの自動車メーカーなどとの合弁による対米増産投資の動きが前年に引き続き活発であったが,これには現地で成立したEV向け税額控除支援策が追い風になっているとみられる。

造船業界における再編をめぐっては,新たな動きがみられた。世界第2位の現代重工業による大宇造船海洋の買収計画が2019年より進められていたが,すでに韓国勢が高いシェアを保持している液化天然ガス(LNG)運搬船の寡占化が問題視され,1月にEUの欧州委員会が本買収を認めない判断を下した。これによって大宇造船海洋の売却計画は振り出しに戻り,その後は防衛装備と民需部門に事業分割する売却案も浮上していた。そうしたなか,防衛装備や航空宇宙事業などを手掛けるハンファグループが大宇造船海洋の買収で12月に契約締結に至り,2023年にかけて競争当局による審査手続きが進むとみられる。韓国の造船大手はLNG運搬船を中心に受注実績では高水準が続いているが,足元の業績は決して明るくなく,業界全体では受注増加に人員確保が追いつかずに労働者不足が深刻化する問題も抱えている。同様に再編の波が押し寄せる航空業界では,2020年に発表された大韓航空によるアシアナ航空の買収計画に関して,海外の競争当局による審査手続きが遅延している。両社は傘下に格安航空会社(LCC)を抱えているため,大韓航空とアシアナ航空の合併が実現すれば,計8社がひしめき合うLCC業界でも淘汰・再編が必至であろう。

(渡邉)

対外関係

南北関係:尹政権を拒絶する北朝鮮,軍事的緊張も高まる

保守系の尹錫悦政権発足によって南北関係はさらに冷え込み,年末にかけては軍事的緊張も高まった。

大統領選の間,尹錫悦候補は北朝鮮の非核化を指向し,そのために毅然とした姿勢で臨むことを明らかにしていた。3月10日の当選あいさつでは,「北の違法で不合理な行動に対しては原則にのっとって断固として対処する」と述べ,北朝鮮に対する対決姿勢を鮮明にした。5月,10月には北朝鮮が打ち上げた大陸間弾道ミサイル(ICBM)等に対応し,韓米両軍が共同でミサイルを応射した。だが,尹大統領は南北融和の余地も残した。8月15日の光復節あいさつで尹大統領は,「北が核開発を中断して実質的な非核化に転じるなら,その段階に応じて北の経済と住民の暮らしを画期的に改善できる大胆な構想を提案する」と述べた。

一方,北朝鮮の反応は冷ややかであった。北朝鮮は相次いでミサイル発射を行う一方で,韓米両軍の演習に対しては強く反発した。保守系の尹政権に対しても敵対感情を隠さなかった。7月27日,北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は尹大統領を呼び捨てにしながら,「強盗のような論理で我々の自衛権行使に言いがかりをつけ,我々の安全を脅かして軍事的緊張を高める振る舞いを続けるなら,相応の代価を払わせる」と強い口調で威嚇した。8月19日には金正恩の妹,金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長が,尹大統領が提案した「大胆な構想」について「愚かさの極致であり絶対に相手にしない」と評し,一蹴した。

秋から年末にかけては,北朝鮮の韓国に対する軍事的挑発が一層強まった。10月14日には,北朝鮮が日本海と黄海の海上緩衝地帯などに560発の砲撃を行った。11月2日には北朝鮮の弾道ミサイルが日本海の北方限界線(NLL)の南側の海上に着弾,鬱陵島に空襲警報が発令された。また,12月26日には北朝鮮の無人機5機が韓国に侵入したが韓国軍はこれらをいずれも取り逃がした。こうした情勢を受け,北朝鮮の軍事的挑発への備えを万全にすべきとの機運が年末にかけて急速に強まった。

対日関係:関係修復に強い意欲

尹大統領は大統領選のなかで,北朝鮮との対抗上日米韓協力を重視し,その文脈で対日関係の修復が重要であることを強調してきた。そのなかで,小渕首相と金大中大統領が1998年に発表した日韓共同宣言にたびたび言及した。就任後も尹大統領は,日韓関係改善への意欲を見せた。8月15日の光復節あいさつでも,尹大統領は1998年日韓共同宣言に言及しながら,日本を「世界市民の自由を脅かす挑戦に共に立ち向かい,力を合わせて進むべき隣人」と位置付けた。日本は尹政権の関係改善の意欲を歓迎しつつも,徴用工問題など懸案事項に対する韓国の対応を冷静に見守った。

戦時中の強制徴用に対して日本企業に賠償を命じた2018年の大法院徴用工判決を巡っては,日本企業の資産が現金化された場合,日韓関係に重大な影響が出るという点について日韓の認識は一致していた。徴用工問題は,日本の対韓輸出管理強化や日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)といった懸案とも連動する。尹政権としては資産現金化の前に韓国側が徴用工賠償の代替策を講じて現金化を回避し,日韓関係修復を進めようとした。

まず,徴用工賠償をめぐる日韓間の外交接触が活発化した。7月18日の日韓外相会談では関係改善や徴用工問題の早期解決で一致し,こののちも外相,外務次官級の会合が頻繁に開かれて徴用工賠償の代替策について情報共有が行われるようになった。徴用工賠償の解決策模索のための国内作業としては,7月4日に非公開の官民協議会が立ち上がり,被害者側の反発を受けながらも9月までに4回開かれた。その過程で財団による代位弁済(債権者の同意が必要),併存的債務引受(債務引受者だけでなく原債務者による支払も可能,債権者の同意不要)などの手法が浮上した。9月以降は,賠償問題に関する意見をさらに広く集めるため公開討論会の開催が検討されるようになった。

しかし,年末にかけて国内作業のペースは鈍化した。被害者側が重視する「日本側の誠意ある呼応」,つまり日本企業や日本政府による謝罪や日本企業の寄付についての見通しが立たず,韓国政府が解決策の推進に慎重になったためである。結局,公開討論会の開催は翌年に持ち越されることとなった。

対米関係:伝統的韓米同盟関係への回帰が進む

尹大統領は就任前から韓米関係を重視し,とくに軍事同盟の立て直しの重要性を説いていた。北朝鮮がミサイル発射を頻繁に行い,7回目の核実験も懸念される情勢のなか,5月に発足した尹政権としては韓米間での対北朝鮮政策のすり合わせが急務であった。

尹大統領の就任直後の5月20日,アメリカのバイデン大統領が訪韓した。韓国の新大統領就任に際し,米大統領が先に訪韓するのは異例である。アメリカは世界規模での包括的戦略同盟に韓国を組み入れることを狙っており,バイデン大統領の今回の訪韓はその一環とみられる。韓米関係の立て直しを急ぎたかった尹大統領としては,絶好のタイミングでの来訪であった。韓米首脳会談では北朝鮮の非核化,経済安全保障面での連携,日米韓協力の強化などで合意し,韓米関係の強化・発展が確認された。訪韓中,バイデン大統領はサムスン電子の半導体工場を視察し,韓米間での経済安全保障面での緊密な連携を印象付けた。バイデン訪韓を控えた5月18日には,尹政権はアメリカ主導のサプライチェーン構築などを内容とする「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)への参加を決めた。

韓米合同軍事演習は文在寅政権のもとで規模が縮小されていたが,北朝鮮の軍事的野心に毅然とした姿勢で臨む尹政権は,演習規模を以前のような大規模なものに戻した。8月22日から9月1日にかけて実施された下半期演習「乙支フリーダムシールド」(UFS)では,大規模な野外機動訓練が復活した。戦時作戦統制権の韓国返還について尹政権は時期尚早との立場で,文政権期とは違ってこれに関する議論は影を潜めた。

韓国の主要メーカーは,アメリカ主導のサプライチェーン囲い込み構想に沿ってアメリカ国内での生産・販売体制を強化しつつある。しかし,一部の韓国企業は8月に成立したインフレ抑制法(IRA)に起因するアメリカ国内市場での内外差別に直面している。同法では気候変動対策の一環としてEVへの税優遇を規定しているが,アメリカ市場で上位に位置する現代自動車製のEVは輸入車であるため,税優遇の対象外となった。こうしたアメリカの措置については韓米自由貿易協定(FTA)や世界貿易機関(WTO)の規定に違反するとの指摘も出ている。このことについては尹大統領もバイデン大統領に訴えており,10月4日には韓国製EVの不利益解消のため協議を続けるとのバイデン米大統領の親書が寄せられた。しかし,年内の問題解決には至らなかった。

対中関係:相互尊重・対等な関係を模索

文在寅政権は韓国のTHAAD運用を制限する「3不政策」(追加配備しない,米ミサイル防衛システムに参加しない,日米韓の安保協力を軍事同盟に発展させない)に事実上拘束され,韓中関係は中国ペースで展開されてきた。しかし,尹大統領はこうしたありかたを大統領選当時から問題視し,就任に際しては韓中関係における相互尊重を唱えた。

8月9日の韓中外相会談でのやり取りが,両国間に流れる微妙な空気を象徴する。中国の王毅外相は,韓中が堅持すべき5項目を以下のとおり列挙した。すなわち,外部の障害と影響からの隔絶,相互の重大関心事項への配慮,サプライチェーンの守護,内政不干渉,そして多国間主義,である。韓国に対してアメリカ主導の枠組みに深入りしないようけん制するとともに,中国の核心的利益の不可侵,つまりTHAADに関する3不政策の履行継続や台湾問題への不干渉などを暗に求めた。これに対し,朴振・外交部長官は文政権期の3不政策にはもはや拘束されないとし,「韓中関係はTHAADがすべてになってはいけない」と明言した。また,頻々とミサイル発射を行う北朝鮮への中国の影響力行使を要求した。

しかし,韓中両国は協力関係の維持・発展の重要性を十分認識しており,相手方の立場にも一定の配慮をしている。3月25日,中国の習近平主席は就任前の尹錫悦次期大統領と電話会談を行った。習主席が就任前の韓国次期大統領に接触するのは異例であり,中国の韓国重視の姿勢が見て取れる。電話会談では高官級の戦略対話促進,気候変動,保健など多分野における協力増進で一致した。インドネシア・バリ島での主要20カ国・地域(G20)サミットの折,11月15日には3年ぶりとなる韓中首脳会談が実現した。習主席が「真の多国間主義」に言及して韓国のアメリカ寄りの姿勢をけん制する場面はあったが,韓中FTAの第2段階交渉に言及されたほか,尹政権が北朝鮮に対して提示した「大胆な構想」については北朝鮮の呼応という条件付きながらも中国の理解と協力が表明された。8月4日に対中強硬派のペロシ米下院議長が台湾を経由して訪韓した際,尹大統領は中国に配慮して対面で会見せず電話会談にとどめている。

ウクライナ戦争:消極姿勢の一方でNATOへの接近に利用

ロシアが2月24日にウクライナに侵攻すると,同日に文大統領は遺憾の意を表明するとともにウクライナへの支持を表明した。28日には国際社会の対ロシア制裁に韓国も参加することを決めた。

ただし,韓国は紛争への直接関与を避け,ウクライナへの支援姿勢も積極的とは言い難かった。4月11日,ウクライナのゼレンスキー大統領は韓国国会でのオンライン演説で自国の窮状を訴えながら軍事支援を求めたが,韓国は文政権,尹政権とも直接の軍事支援を行わなかった。人道支援も,開戦以来の総計で約1億ドルにとどまった。

韓国のウクライナ戦争への関与は限定的だったが,経済面での打撃は小さくなかった。戦争に伴うエネルギー・食糧の国際価格上昇が国内インフレをもたらし,この抑制のため当局が利上げを行い,ひいては経済成長減速につながった。

ただ,韓国にとってウクライナ戦争が新たな契機をもたらしたのも事実である。北朝鮮の軍事的脅威への対処の観点から韓国はNATOとの関係を強化した。4月末,政府はNATOのウクライナ信託基金を通じた5000万ドルの支援を表明した。6月末には尹大統領がNATO首脳会議で演説し,11月にはNATOに韓国政府代表部が設置された。また,ウクライナ戦争は韓国防衛産業の活況をもたらした(「経済」の項も参照)。戦争の長期化で,NATO諸国では兵器補填の大規模な需要が生じた。11月の防衛事業庁の発表によれば2022年の兵器輸出受注額は170億ドルに達し,韓国は兵器純輸出国に転じた。

(奥田)

2023年の課題

国内政治においては,前政権関係者による各種不正の責任追及がどの程度進むかが注目される。多くの司法リスクを抱え,側近らが相次いで逮捕されている民主党の李在明代表のほか,捜査の手がまだ及んでいない文在寅前大統領に対する捜査当局の扱いが焦点となる。また,2024年春の総選挙における公認獲得をめぐる各党での競争が本格化するとみられ,党内での派閥対立の激化が懸念される。

政府や韓国銀行は2023年の実質経済成長率の見通しを,前年水準を下回る1.6~1.7%としている。物価上昇や貿易赤字は当面続くとみられ,インフレ抑制を優先する韓国銀行は1月にも追加利上げを実施した。他方で,家計債務にかかる利払い負担の増加や不動産市況の悪化が,国内消費の足かせとなり得る。景気の底割れを防ぐには,足元では5カ月連続で前年割れが続く輸出の回復が欠かせない。そうしたなか,政府は年明け早々に半導体など戦略産業に対する税制支援の追加拡大を発表してテコ入れに急ぐ。景気回復のカギを握るのは,半導体市況と中国経済の復調になると考えられる。

外交においては,南北関係は北朝鮮が経済難局を背景に態度を軟化させるかが焦点となろう。対日関係は尹政権が徴用工判決の代位弁済案を提示し,改善に向かうと考えられる。対米関係ではインフレ抑制法に伴う韓国車差別の問題にバイデン政権が解決策を示すかどうか,また,チップ4,QUADなどアメリカ主導の枠組みに韓国がさらに関与するのか注目される。韓国の対米傾斜を望まない中国が,韓国が要望する北朝鮮への影響力行使に踏み切るのかが対中関係での鍵となる。

(奥田:亜細亜大学教授)

(渡邉:地域研究センター)

重要日誌 韓国 2022年
   1月
3日「国民の力」の尹錫悦候補の選挙対策委員会,役員が一斉に辞意表明。
6日「国民の力」,尹錫悦候補と李俊錫代表が和解。
11日国会,「国家先端戦略産業特別法」を可決。
13日欧州連合(EU)の欧州委員会,競争法に違反するとして現代重工業による大宇造船海洋の買収を承認しないと発表。
13日ポスコ,インドの新興財閥アダニグループとの合弁で一貫製鉄所の建設計画を発表。
14日韓国銀行,基準金利を1.0%から1.25%へ引き上げることを決定。
27日大法院,チョン・ギョンシム(曺国・元法務部長官の妻)に対し私文書偽造などで懲役4年を宣告。
27日LGエネルギーソリューション,韓国取引所に上場。
   2月
8日現代自動車,日本での電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の販売開始を発表。
21日国会,自営業者などへの支援で16兆9000億ウォン規模の補正予算案を可決。
22日公正取引委員会,大韓航空によるアシアナ航空の買収を条件付きで承認。
23日LG電子,太陽光パネル事業からの撤退を発表。
23日大統領府高官,ウクライナ情勢と関連して軍事的支援や派兵を検討しない,と明言。
24日文大統領,ロシアのウクライナ侵攻に遺憾の意を表明。
28日外交部,ウクライナ戦争と関連して国際的な対ロシア制裁への参加を決定。
28日外交部,ウクライナ向けの1000万ドルの人道支援を発表。
   3月
3日「国民の党」の安哲秀候補と尹錫悦候補,尹候補への一本化で合意。
9日第20代大統領選で「国民の力」の尹錫悦候補が当選。
14日SKイノベーション,アメリカのフォード・モーター社とトルコの財閥大手との合弁でトルコに車載電池工場の建設を発表。
16日中央防疫対策本部,この日の新型コロナウイルス新規感染者数は62万1328人,死者は429人と発表。
24日韓国銀行,新型コロナによる被害を受けた自営業者や中小企業への金融支援を6カ月延長すると発表。
24日双竜自動車,エジソンモーターズから期限内に買収代金の支払いがなかったと発表。
25日尹次期大統領,中国の習近平主席と電話会談。
   4月
1日入国者に対する防疫隔離義務を全面免除。
8日徐旭・国防部長官,ウクライナの兵器供与要請に対し,殺傷兵器の供与を拒否。
11日ウクライナのゼレンスキー大統領,韓国国会でのオンライン演説を行う。
13日韓国銀行,アラブ首長国連邦(UAE)との通貨交換(スワップ)協定を5年間延長し,54億ドル規模で再締結。
18日2022年上半期の韓米合同軍事演習,開始(~28日)。
18日政府,新型コロナの感染症分類を引き下げ,マスク着用義務を除き社会的距離確保の措置を解除。
20日LG電子,カナダの車部品大手マグナ・インターナショナル社との合弁でメキシコにEV向け部品工場の建設を発表。
21日元IMFアジア太平洋局長の李昌鏞氏,韓国銀行の総裁に就任。
29日政府,NATOのウクライナ信託基金を通じた5000万ドルの支援を表明。
30日検察庁法改正案,国会を通過。
   5月
2日政府,一部条件付きで屋外でのマスク着用義務を緩和。
3日刑事訴訟法改正案,国会を通過。
3日文大統領,検察庁法・刑事訴訟法改正案(「検捜完剥法」)を公布。
6日韓国ギャラップ,文在寅大統領の最終支持率は45%と発表。
10日尹錫悦大統領,就任。
10日サムスン物産,アメリカの新興小型原発メーカーに出資し,小型モジュール炉の建設事業への参入を発表。
12日尹大統領,外交部長官に「国民の力」の朴振議員を任命。
13日ロッテ,アメリカの製薬企業BMS社の生産拠点を買収し,バイオ医薬品事業への参入を発表。
17日尹大統領,法務部長官に韓東勲・司法研修院副院長を任命。
18日韓国,インド太平洋経済枠組み(IPEF)への参加を決定。
20日尹大統領,首相に韓悳洙・元首相を任命。
20日バイデン米大統領,訪韓(~22日)。サムスン電子の半導体工場を訪問。
20日現代自動車グループ,約55億ドルを投資してアメリカ・ジョージア州にEV専用工場とバッテリー工場の新設を発表。
21日尹大統領,バイデン米大統領と会談。同盟強化で一致。
24日サムスングループ,今後5年間に総額450兆ウォンの投資を行うと発表。
25日韓米両軍,北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に対応して計3発のミサイルを応射。
26日SKグループ,2026年までに総額247兆ウォンの投資を行うと発表。
29日国会,自営業者などへの支援で39兆ウォン規模の第2次補正予算案を可決。
   6月
1日統一地方選実施。与党が広域自治体首長ポスト17のうち,ソウル市長など12ポストで当選。
2日海軍,沖縄東南の公海上で米海軍の空母打撃群共同訓練を実施(~4日)。
7日運送業者らが加盟する貨物連帯本部,ストライキに突入(~14日)。
16日政府,規制改革や法人税率の引き下げなどを含む「経済政策方向」を発表。
20日現代自動車グループ,フランスのミシュラン社と共同でEV専用タイヤの開発を発表。
21日国産大型ロケット「ヌリ号」,初めて打ち上げに成功。
27日法務部と検察,憲法裁判所に検捜完剥法の効力停止を求める仮処分を申請。
28日水原地検,李明博元大統領への刑執行を一時停止。
29日尹大統領,北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席(~30日)。
29日海軍,アメリカ主導の環太平洋合同演習(リムパック)に過去最大規模で参加(~9月2日)。
29日尹大統領,NATO首脳会議で演説。北朝鮮の非核化に向け協力を要請。
30日最低賃金委員会,2023年の最低賃金を前年比5.0%増の9620ウォンで議決。
   7月
4日徴用工問題解決のための官民協議会,始動(~9月6日)。
6日国家情報院,2020年の北朝鮮による韓国公務員殺害と2019年の北朝鮮住民の強制送還を巡り,元院長の朴智元と徐薫を告発。
8日「国民の力」,李俊錫代表の党員資格を6カ月間停止。
13日韓国銀行,基準金利を通常の2倍の利上げ幅で1.75%から2.25%へ引き上げることを決定。
14日現代自動車,EVの主力モデル「IO-NIQ6」を発表。
18日朴振・外交部長官,東京で林外相と会談。徴用工問題の早期解決で一致。
21日産業通商資源部,関係省庁と合同で「半導体超強大国達成戦略」を発表。
27日北朝鮮の金正恩国務委員長,第69回戦勝節で先制攻撃など危険な試みに乗り出せば尹政権は「全滅」すると発言。
28日ポスコ,インドネシアに第2高炉の建設を発表。
   8月
4日アメリカのペロシ下院議長が訪韓,金振杓・国会議長と会談。尹大統領とも電話で会談。
4日政府,日本や台湾,マカオからの観光目的の入国者に対してビザ免除。
9日「国民の力」,非常対策委員会体制に移行,委員長は朱豪英議員。
9日韓中外相会談,実施。朴振・外交部長官,終末高高度防衛ミサイル(THAAD)をめぐる3不政策を否定。中国の王毅外相,韓中が堅持すべき5項目を提示。
11日法務部,検捜完剥法による検察の捜査権限縮小に対抗し,大統領令に定める検察の捜査範囲を拡大させる,と発表。
12日政府,サムスン電子の李在鎔副会長などに15日付で特別赦免を決定。
15日尹大統領,光復節あいさつで未来志向の日韓関係構築を強調。また,北朝鮮が実質的な核放棄に応じた場合の経済協力(「大胆な構想」)を提唱。
16日国土交通部,「国民住居安定実現方案」を発表。
22日2022年下半期の韓米合同軍事演習「乙支フリーダムシールド」(UFS),開始(~9月1日)。
25日産業通商資源部,韓国水力原子力がエジプトの原発設備建設を受注したと発表。
28日民主党,李在明議員を党代表に選出。
29日LGエネルギーソリューション,ホンダと合弁でアメリカにEV向け電池工場の新設を発表。
31日政府,「輸出競争力強化戦略」を発表。
   9月
7日現代自動車とKT,自動運転関連の技術開発で資本・業務提携を締結。
10日改正検察庁法・刑事訴訟法,施行。
10日改正「検事の捜査開始犯罪範囲に関する規定」(大統領令),施行。
10日ソウル中央地検,李在明・民主党代表を公職選挙法違反で起訴。
14日野党議員56人,労働組合および労働関係調整法改正案(「黄色い封筒法」)を共同発議。
15日サムスン電子,事業活動に伴う脱炭素化を目指す「新環境経営戦略」を発表。
20日尹大統領,国連総会で就任後初の一般討論演説。
21日尹大統領,ニューヨークで岸田首相と会談。
22日放送各社,訪米中の尹大統領の卑俗語発言を捉えた映像を配信。
23日韓国銀行と企画財政部,国民年金公団と100億ドルを上限に外国為替スワップ取引の実施に合意。
26日韓国産業銀行,大宇造船海洋の買収の優先交渉者にハンファグループを選定。
26日政府,屋外のマスク着用義務を全面解除。
29日国会,朴振・外交部長官に対する解任決議を可決。
  10月
1日入国後のPCR検査義務,撤廃。
4日尹大統領,インフレ抑制法による韓国製電気自動車の不利益解消のため協議を続けるとのバイデン米大統領の親書を受領。
4日韓米両軍,4日の北朝鮮の中距離弾道ミサイル(IRBM)発射に対応して計4発のミサイルを応射。
4日ネイバー,アメリカのネット通販ポッシュマーク社の買収を発表。
6日政府,女性家族部廃止のための政府組織改編案を発表。
7日「国民の力」,李俊錫代表の党員資格停止期間を1年延長。
12日韓国銀行,再び基準金利を通常の2倍の利上げ幅で2.5%から3.0%へ引き上げることを決定。
14日北朝鮮,日本海・黄海の海上緩衝地帯などに560発の砲撃。
15日カカオが運営する通話アプリ「カカオトーク」,大規模な通信障害が発生。
18日産業通商資源部,「新政府 素材・部品・装備産業 政策方向」を発表。
18日LG化学,アメリカのバイオ医薬品アベオ・ファーマシューティカルズ社の買収を発表。
19日ソウル中央地検,北朝鮮住民の強制送還と関連し,盧英敏・元大統領秘書室長を調査。
20日尹大統領,民主党が主導する「糧穀管理法改正案」に対する拒否権行使を示唆。
27日サムスン電子の李在鎔副会長,会長に就任。
27日韓国銀行,短期金融市場の安定化措置を発表。
29日ソウルの梨泰院で158人が死亡する雑踏事故が発生。
  11月
1日韓国,4年ぶりに北朝鮮の人権侵害を非難する国連決議案の共同提案国となる。
2日北朝鮮の弾道ミサイルが北方限界線(NLL)の南側に着弾,鬱陵島に空襲警報。
4日防衛事業庁,2022年の防衛産業の輸出受注額は170億ドルに達する,と発表。
7日尹大統領,李周浩・教育部長官を任命(第1次組閣完了)。
10日政府,「不動産市場懸案対応方案」を発表。
15日尹大統領,中国の習近平主席と会談。
22日韓国のNATO政府代表部,業務開始。
29日政府,貨物連帯による再度のストライキに関し,セメント業界の運送業者に対して業務開始命令を発動。
30日女性家族部廃止法案(政府組織法改正案),国会行政安全委員会法案審査第1小委員会に上程。
  12月
2日文前大統領,北朝鮮による公務員射殺の捜査を批判する立場文を発表。
9日ソウル中央地検,北朝鮮による公務員射殺と関連し,徐薫・前大統領府国家安保室長と金洪熙・前海洋警察庁長を起訴。
11日国会,李祥敏・行政安全部長官に対する解任決議を可決。
16日ハンファグループ,大宇造船海洋の買収で本契約を締結。
21日政府,「 ‘新成長4.0戦略’ 推進計画」を発表。
22日検察,城南FC疑惑に関連し,李在明・民主党代表に出頭を要請。
23日国会,2023年度予算案を可決。
26日北朝鮮の無人機5機が領空侵犯。韓国軍,撃墜に失敗。
27日政府,李明博元大統領などに28日付で特別赦免を決定。
29日ソウル中央地検,黄海上での公務員射殺事件と関連し,朴智元・前国家情報院長と徐旭・前国防部長官を起訴。

参考資料 韓国 2022年
① 国家機構図(2022年12月31日現在)

(注)*個人破産や企業倒産,民事再生などを専門的に扱う司法機関。

(出所)大韓民国政策ブリーフィング(https://www.korea.kr/introduce/deptIntroduce.do)などから筆者作成。

② 国家要人名簿(2022年12月31日現在)

主要統計 韓国 2022年
1 基礎統計

(注)1)求職期間4週基準の数値。2)終値の平均値。

(出所)韓国統計庁 国家統計ポータル(http://kosis.kr)。

2 支出項目別国内総生産(実質:2015年固定価格)

(出所)表1に同じ。

3 産業別国内総生産(実質:2015年固定価格)

(出所)表1に同じ。

4 国(地域)別貿易

(注)受理日基準の数値。1)2020年以降のEUにはイギリスは含まれない。

(出所)韓国貿易協会ウェブサイト(http://www.kita.net)。

5 国際収支

(注)IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。したがって,金融収支の符号は(+)は資本流出,(-)は資本流入を意味する。1)各勘定の数値は純資産ベースでの増減を表す。

(出所)表1に同じ。

6 国家財政

(出所)韓国企画財政部ウェブサイト(http://www.mosf.go.kr)。

 
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