2024 Volume 2024 Pages 521-544
2023年のスリランカは,前年から続く政治・経済的な混乱からの脱却という最大の課題を達成できなかった。2022年の実施が延期され,2023年3月に行われるはずだった地方議会選挙は中止された。これには敗北が濃厚であり,翌年の大統領選挙を見据えた与党の意向が働いた。また政府は反政府的な動きを抑制すべく法整備を進めたが,市民社会や国際社会からは人権侵害を懸念する声が高まった。一方で最高裁判所は,2019年のイースターテロや前年の経済危機の責任が現役政治家や軍・警察・銀行幹部らにあるとの画期的な判断を下した。
経済成長率は2年続けてのマイナスとなった。インフレは1桁台の水準に収まったものの,IMFから求められた電気料金引き上げが実施され,さらに生産・供給・流通へのコントロールができず特定の野菜などが一時的に極端に不足し価格が高騰するなど,一般家計を圧迫している。しかしデフォルトからの経済立て直しにはIMFの条件を満たさなければならず,増税や法制度改革などが進んだ。
対外関係では,危機にあったスリランカへの支援を足掛かりに連結性を強化しようとするインドと,インド洋での海洋活動を活発化させようとする中国との板挟みとなった。
2023年は翌年に実施が予定されている大統領選挙および国会議員選挙に向けて,各党の動きが活発になった。2022年の政治的混乱以降,政党や政治家個人の思惑が入り乱れ,政治勢力図は非常に複雑になっている。
2023年にまず問題となったのは,3月9日に実施予定であった地方議会選挙が行われなかったことである。本来なら2022年に実施予定であったが,理由は明らかにされないまま,地方議会の任期を1年延長する旨の官報が発行された。2023年に入り立候補者の登録受付も開始され,ラニル・ウィクレマシンハ大統領が統一国民党(UNP)立候補予定者を激励する姿もみられた。選挙管理委員会も選挙を実施する予定であった。
ところが1月初旬,大統領や政府関係者らは前例のない経済危機のさなかに選挙を実施することは不適切として疑問を呈し始めた。そして財務省が選挙実施に必要な予算措置ができないと,選挙管理委員会に通告した。選挙管理委員会は国庫から資金支出を求めたが,財務省が応じなかったため,投票用紙を期日までに印刷できなかった。選挙管理委員会はその後,選挙の延期を繰り返したが新たな日程は発表されていない。
確かに選挙には費用がかかるが,与党が敗北を避けたことが選挙が実施されない本当の理由とみられている。1月時点で最も支持率が高かったのは与党のスリランカ大衆党(SLPP)でも最大野党の統一人民の力(SJB)でもなく,現国会に3議席しかもたない政党連合の人民の力(NPP)であった。地方議会選挙とはいえ,2022年のゴタバヤ政権への抗議行動「アラガラヤ」後初の選挙であると同時に,2024年の大統領選挙とその前後に行われる見込みの国会議員選挙の前哨戦という重要な意味をもっている。かつて2014年のウヴァ州評議会選挙は3期目をねらうマヒンダ・ラージャパクサ大統領(当時)にとって翌年の大統領選挙の前哨戦と目されていたが圧勝できず,その後マヒンダは選挙で敗北した経緯がある。
そのため大統領や与党は,大統領選挙と国会議員選挙の実施時期や順序を慎重に判断しているようである。現職のラニル大統領は2022年7月にゴタバヤ・ラージャパクサ前大統領が辞任に追い込まれたため,憲法規定に沿って国民の直接選挙ではなく国会議員による投票で選ばれた。したがってラニルの任期は本来の5年ではなく,ゴタバヤが全うすべきだった2024年11月までとなる。そこから逆算し,事務手続きや選挙運動期間を考慮すると,大統領選挙は2024年9月16日から11月16日の間に実施されると予想される。一方国会任期は2025年8月までであるが,大統領は総選挙から2年半を過ぎればいつでも国会を解散できるため,国会議員選挙は2023年2月以降であれば実施可能となっている。
2024年中に大統領選挙と国会議員選挙が行われる可能性は十分あるが,実施時期は与党および大統領の判断次第だといえる。彼らの候補者が大統領選挙に勝利する見込みが高ければ,大統領選挙を先に行うだろう。その後に行われる国会議員選挙では,有権者は国会でのねじれを嫌うため,大統領の所属政党に投票する傾向がある。一方有力な大統領候補者が見つからない場合は,国会議員選挙を先に行うと考えられる。与党はNPPについて,世論調査での支持率は高いが単独で国会の過半数を獲得できないとみている。したがって選挙後にNPPと連立や協力関係を形成し,その後の大統領選挙に臨む方が得策である。
大統領選挙の正式な立候補登録は2024年の告示以降であるが,すでにマイトリパーラ・シリセーナ元大統領,ラニル現大統領,サジット・プレマダーサSJB総裁,アヌラ・クマーラ・ディサナヤケNPP党首らが立候補を表明している(2023年末時点)。ラニルは前年,自らが総裁を務めるUNPが国会に1議席しかもたないなか,ラージャパクサ一族が支配するSLPPの支持を集めて大統領に選出された(『アジア動向年報2023』参照)。したがってラニルがUNP総裁ではなく,SLPP候補として出馬する可能性も否定できない。一方でSLPPは,2022年の政治・経済の混乱を受けてラージャパクサ一族への批判が高まるなか,ラニルでもラージャパクサ一族でもないまったく別の人物を推挙する可能性もある。大富豪のダンミカ・ペレーラの名前も取りざたされている。SJB議員のなかには,総裁のサジットではなく以前に所属していたUNPのラニル支持を表明している人もいる。スリランカ自由党(SLFP)議員の一部がSJBと共同戦線を計画しているという報道もある。選挙にはまだ時間的余裕があるが,すでに各政党は活発な動きをみせている。
それに対してかつて隆盛を誇ったラージャパクサ一族は,2023年末にマヒンダ元首相がSLPPの党首に再選されたものの,弟のゴタバヤやバジルが年内に表立った政治活動をすることはなかった。
2つの選挙の争点大統領選挙と国会議員選挙における争点は大きく3つある。第1は,国民の政治不信や懸念の払拭である。独立後のスリランカは基本的にUNPとSLFPの二大政党が交代して政権に就いていた。1990年代からは小規模な政党と二大政党が選挙連合を形成し,選挙に臨むことが一般的となった。2015年以降,SLFPがラージャパクサ一族を支持する一派(SLPP)とそれ以外に分かれ,UNPも2020年総選挙からサジット・プレマダーサを支持する議員らがSJBを結成した。これらの二大政党および二大政党から分裂した政党にとっては,汚職や不正に対する国民の怒りに対処し,伝統的な二大政党への不信感を払拭することが重要となる。特にSLPPは前年のアラガラヤで大きな国民不信を招いており,信頼回復の道のりは険しい。一方,既存政治への国民不信から支持率を高めている左翼政党の人民解放戦線(JVP)リーダーが率いるNPPには汚職や不正などの疑惑はない。しかし政権に就いた場合の政策立案能力への懸念がある。
第2は,経済状況の回復である。近年の経済状況の悪化と国民生活への影響を考えれば,経済問題が選挙の重要な争点になることはいうまでもない。一方で,経済状況とIMFへの対応は選挙の実施時期に影響を与える。後述するように,IMF融資は経済復興に必須だが,コンディショナリティの実現は国民の負担を強いる。与党にとってはIMFが求める構造改革を行いつつ,IMFの融資を得たタイミングで選挙を実施すれば有利に働き得票を増やせる可能性がある。
第3は,対印・対中政策である。どの政党もインドや中国と等距離を置くバランス外交を掲げると予想される。しかしSJBやUNPは,かつてSLPP党首のマヒンダが中国と密接な関係を築いた時代に実施した中国プロジェクトの不透明な取引,またハンバントタ港のような非効率なプロジェクトを批判するキャンペーンを展開すると考えられる。一方でSLPPは,インドとの連結性強化を推進する政策(後述)について,「インドにスリランカ人の職を奪われる」「国有資産がインド企業に売却される」,など従来からある国民の根深い反インド感情を煽ることで支持を獲得しようとするだろう。
人権侵害が懸念される法案の成立政府は反政府的な活動や発言を抑制するために,人権侵害が懸念される法案の整備を進めている。
2023年1月18日,リハビリテーション法案が国会を通過した。投票は議員225人のうち195人が欠席し,賛成23,反対6票で成立した。1988年に第14次憲法改正によって議席数が168から225に増加して以来,最も少ない賛成票で成立した法案となった。同法案は2022年9月に国会に提出されたが,社会活動家と野党議員が法案を違憲として申し立てを行い,同年10月に最高裁判所が違憲判断を下していた。立法過程での違憲判断はスリランカにおいて珍しくない。法案は修正が施された後「合憲」として提出されたものの,野党だけでなく与党議員を含む多くの議員が余りにも抑圧的な内容だと判断し,採決を欠席した。例えば,リハビリの対象は薬物中毒者だけでなく,「法律で規定されているその他の者」という曖昧な規定がみられる。リハビリセンターの運営が軍である点も問題とされている。明確な司法判断もなしに,反政府活動家や個人が軍の運営するセンターに送られ無期限に留め置かれる可能性がある。
2023年4月,翌月に国会に提出予定であった反テロ法案(Anti-Terrorism Bill)が法務大臣によって取り下げられた。これは,国連人権理事会でもしばしば懸念が表明されている1979年成立のテロ防止法(Prevention of Terrorism Act: PTA)に代わるものである。まず法案は「あらゆる警察官,軍関係者,または海上保安官」が令状なしでテロ容疑者を逮捕できる幅広い権限を規定している。これに対しては市民社会や国際社会から,恣意的な運用の可能性に懸念が示された。国連人権理事会により任命された特別報告者も,テロの定義が曖昧であり,悪用や恣意的運用とともに人権侵害をもたらす可能性があると指摘している。その後この法案は一部修正を経て9月15日に官報に掲載され,2024年1月10日に国会に提出された。
一方で,2023年9月の官報に掲載され,問題が指摘されていたオンライン安全法案(Online Safety Bill)は翌年1月に国会を通過した。同法案はSNSの情報に関して真偽を判断する委員会の任命権を大統領に付与しており,言論や思想の自由を侵害する恐れがある。11月に最高裁は同法案の31の条項を違憲と判断したが,修正が施されたうえで最終的に可決された。
一連の法案に対しては,国内外の人権団体や市民団体が定義の曖昧さや恣意的な運用に対して危機感を抱いている。特に2022年にマヒンダやゴタバヤを放逐したアラガラヤの活動家や,IMFの融資条件を履行する政府に反対するグループや労働組合・大学生団体など,当該法案の適用対象になりかねない人々は大きな懸念を表明している。
新警察長官の任命をめぐり大統領が苦悩新警察長官(IGP)の人事は約5カ月間の空白を経て決まるという異例の事態となった。
2023年6月26日,IGPのC.D.ウィクレマラトネの任期が終了した。彼はイースターテロの発生を防げなかったという理由で更迭されたプジット・ジャヤスンダラの後任であった。警察に対する国民の信頼はテロを境に大きく失墜しており,任命権限をもつ大統領は清廉で能力の高い人物を選ぶことを求められていた。通常ならば,現職IGPが在任中に後任が内定しており空白は生まれない。警察という組織の重要性を考えれば当然であろう。しかし国民が納得するような適任者がおらず,大統領はウィクレマラトネを暫定IGPとして再任し続けた。警察組織のなかでIGPの次に高位にあったのは,上級副長官(SDIG)のデーシャバンドゥ・テンネコーンであった。しかし彼はラージャパクサ一族に近いといわれ,アラガラヤ活動家への攻撃やジャーナリストへの脅迫に関わったとされており,弁護士協会(SLBA)などが求める「模範的かつ非の打ち所がない」警察官とは程遠い。候補の2番手とみられていた元国家情報局(SIS)長官ニランタ・ジャヤワルダナも,イースターテロの責任を指摘されている人物である。
ポストの空白が長期間続くと大統領は選択を迫られ,11月29日にデーシャバンドゥをIGP代理に任命した。ラニルは,マヒンダ・ラージャパクサが党首を務めるSLPPの支持を得て大統領に就任している。したがってラージャパクサらの圧力に屈した人選とみられている。ラージャパクサ一族に近い人物が警察のトップに就任したことで,反政府活動家や野党への締め付けが強まることが予想され,2024年の選挙にむけてSLPPに有利な状況が作り出される可能性がある。
画期的な最高裁判決政府が人権侵害を懸念される法整備に動く一方,最高裁判所は2023年に3つの画期的な判断を下した。第1は,2019年4月のイースターテロは大統領や軍・警察幹部らが協力していれば防止できたとして,当時のシリセーナ大統領にテロ被害者へ総額1億ルピーの支払いを命じた2023年1月の判決である。これは,SLBA,被害者遺族,カトリック司教などの提訴に基づき審理された。このほか,元IGPのプジット・ジャヤスンダラ,元SIS長官のニランタ・ジャヤワルダナには7500万ルピー,ヘマシリ・フェルナンド元国防次官には5000万ルピー,元SIS長官シシラ・メンディスには1000万ルピーの支払いが命じられた。シリセーナは判決にしたがい,7月までに1500万ルピーを支払ったが,残りの8500万ルピーは10回に分けて支払うとしている。
第2は,国家を債務不履行に追い込んだ大惨事の責任者としてマヒンダ,ゴタバヤ,バジルのラージャパクサ兄弟,元中央銀行総裁のアジット・カブラールとW.D.ラクシマン,元財務省次官S.R.アッティガラ,元財務省次官であり元大統領秘書官P.B.ジャヤスンダラ,そして中銀の金融政策決定委員会・元外部委員のサマンタ・クマラシンハを認定した2023年11月の判決である。最高裁は,経済運営において国民の信頼を裏切り,憲法第12条第1項に違反するとともに国の経済危機を招いたと断罪した。そのうえで,ゴタバヤによる2019年の「軽率な」税制改正が「ドミノ効果」を引き起こし,信用格付け会社による格下げ,外貨準備高の枯渇,国際金融市場へのアクセスの喪失をもたらしたと指摘した。また,「人為的な為替レートの継続的な維持と,適時に減税措置を取り消してIMFに支援を求めなかったことも,総合的に経済の急速な悪化の一因となった」とされた。
この司法判断で注目されるのは国家政策と基本的義務の指令原則を扱った憲法27条が,サマンタ・クマラシンハに適用されたことである。これは,国家政策や基本的義務の履行を怠った公務員を罰することを定めているが,従来は「お飾り」とみなされていた。1月のシリセーナらに対する判決とは異なり,本件では申立人らは補償を要求していない。
第3は,党規約に反した議員を政党が除名できるという,最高裁が10月に下した判決である。スリランカムスリム会議(SLMC)の副党首で国会議員のナシール・アハマドが,党による除名処分の無効を最高裁に訴えた。同議員は,2021年12月の予算審議で党決定に背き賛成票を投じたことで,除名処分を受けた。しかし裁判を起こしてSLMCに留まり続け,2022年4月には環境大臣ポストを得ていた。スリランカは比例代表制を選挙制度として採用しているが,従来,国会議員が党籍替え(クロスオーバー)して任期中に所属政党を除名されても,議員資格は維持できた。というのは,除名処分を受けた議員が裁判に訴えると,党が必要な情報を期限までに提供しなかったなどの手続き上の些細な不備を理由に「除名は無効」との判決が下るのが常であったからである。そのため,多くの政党は,党の規律や決定に反する議員がいても何もできない状態にあった。ところが今回は,ナシールがSLMCの方針を理解する十分な時間と機会があったこと,裁判所が再三にわたりナシールに背景説明を求めたにもかかわらず応じなかったことから,最高裁は除名を有効と判断した。政党による党の規約や決定に反した議員の除名が法的に有効と認定されたことは,少なくとも20年以上はみられず,スリランカの政界にとっては歴史的だったとスリランカ・タミル国民党党首のM.A.スマンティランは述べている。なお今回の判決により,ナシールは議員資格を失い,バティカロア選挙区の空席は同党のアリ・サーヒル・モウラナが繰り上がり当選した。
この20年あまりスリランカの政界ではクロスオーバーが,頻繁かつ時には大量に発生してきた。なぜなら,どの政党も政権の樹立や維持,あるいは野党として政府を打倒するには,議員の数が必要だからである。したがってクロスオーバーは必要悪とみなされてきた。しかし今後も同様の判決が下されるとは限らず,またクロスオーバーの対価として得られる要職は政治家にとって非常に魅力的であることに変わりはない。
最高裁はイースターテロや経済危機に関して政治家らの責任を認めたが,彼らは逮捕されず,また今回の判決がクロスオーバーの抑止になるかも疑問はのこるものの,最高裁判決は政治の暗部にメスを入れ,汚職や無責任体質に対して厳しい内容であった。スリランカ社会の健全化に向けて政府に忖度せず,司法は役割を果たしたといえる。
2022年の国内総生産(GDP)成長率は深刻な外貨危機や農業生産の落ち込み,海外送金の低迷を受けて-7.8%であった。2023年は海外送金や観光業が回復したものの農業部門は2.6%増,工業は-9.2%,サービスは-0.2%となった。農業はコメ生産がマハ期に39.6%増となり,それが成長に寄与した。GDP成長率は全体で-2.3%ほどとなる見込みである。
貿易収支赤字は2010年以来最低の49億ドルに抑えられた。前年比でわずか3億ドルほどの減少であるが,外貨危機にあるスリランカにとっては大きな数字である。輸出額は全体で前年比9.2%減となり,131億ドルから119億ドルに縮小した。主要な輸出品である衣類は主な輸出先である欧米での需要減を背景に対前年比19%減と前年に引き続き大きく減少した。一方,衣類に次ぐ主要輸出品の紅茶は4.1%増となった。輸入は対前年比12.5%減で183億ドルから160億ドルに低下した。世界的な物価高とスリランカ・ルピー安の影響を受けて消費財の輸入額が8.2%増えたものの,中間財と投資財がそれぞれ-11.5%,-9.4%であったことから,貿易収支赤字を縮減できた。中間財のなかでは布類や肥料など衣類製造や農業に必要なモノの輸入が減っており,外貨獲得に寄与する輸出や国民生活そのものに影響が及んでいる。ただし燃料輸入は倍以上に増えている。また,観光収入が対前年比82%増の20億ドル超えとなり,海外送金も前年の37.89億ドルから59.7億ドルに57.6%増加し,経常収支は前年が28.06億ドルの赤字だったのに対し,一転して28.26億ドルの黒字となった。
為替と外貨準備高は若干の改善がみられた。スリランカ・ルピーの対ドル相場は年初に1ドル365ルピーほどとなり前年のルピー安を引きずっていたが,2023年2月末以降改善し,6月は1ドル302ルピーまで上昇した。その後再び下落傾向となったが,年平均では1ドル320ルピーほどに落ち着いた。外貨準備は,2022年12月末の時点ではわずか19億ドルであったが,2023年末には44億ドルにもちなおした。ただし,これには中国人民銀行の提供する14億ドル相当の人民元建のスワップラインが含まれている。
政策金利は年間を通じて大きく引き下げられた。中央銀行は3月に政策金利を1ポイント引き上げ,15.5%となった。しかし5月末には一気に2.5ポイント引き下げ,その後は7月に2ポイント,10月,11月と1ポイントずつ引き下げた。最終的には年初から5.5ポイント下がり,9%となった。このような大幅引き下げの背景には,インフレの懸念が緩和されているという中銀の認識がある。
確かに2022年の危機的レベルは抜け出したようにみえるが,2月15日には電気料金の66%引き上げが行われ,燃料価格も高止まり傾向にある。それを受けてバス運賃,パン価格など,多くのモノの価格が上がり,生活に重大な影響を及ぼしている。バス運賃の高騰に見合う賃金が得られないとして,就労をあきらめる例もあるという。貧困層に分類される人口は新型コロナウイルス感染症拡大前と比べるとほぼ2倍となり,人口の約25.6%が1日3.65米ドルの貧困線以下で生活している。インフレの緩和,為替レートの安定,中央銀行による外貨準備バッファーの再構築など,マクロ経済安定化の暫定的な兆しはあるものの,実質所得の減少により社会的緊張は依然として高い。
債務再編スリランカは深刻な外貨不足により,2022年5月に債務不履行(デフォルト)を宣言した。債務は国内債務,二国間融資,ソブリン債発行による商業融資に分類される。国内債務の再編についてはスリランカのすべての国内銀行預金の保護を規定した国内債務再編(DDR)案が2023年7月に国会で成立した。
二国間融資に関しては中国を始め22カ国が融資を回収できないリスクに直面した。スリランカはおよそ366億ドルの対外債務を抱え,うち二国間債務は109億ドルほどである。もっとも多いのが中国への債務69億ドルであり,日本は27億ドルとなっている。
IMF理事会は2023年3月に拡大信用供与措置(EFF)プログラムを承認し,スリランカは約30億ドルのうち初回分の3億3300万ドルの支援を得た。EFFは,構造的な問題から慢性的かつに深刻な国際収支問題に陥っている国を対象に,IMFが長期的支援を行うプログラムである。現在スリランカは,同プログラムの下で債務問題解決に取り組んでいる。
IMFの融資を受けるためにはいくつか条件があり,パリクラブでの債務再編もそのひとつである。パリクラブとは主要債権国が債務返済困難な債務国の救済措置を話し合う会合を指し,22カ国からなる。債務再編で最も重要なことは,債権者間の公平性であるが,それを実現するのは容易ではない。今回の場合,非パリクラブ国も債権者に名を連ねており調整が困難とみられていた。しかし,3月14日,スリランカは大統領名で債務再編に関して透明性を確保することを確約する公開書簡を発表した。これにより債務再編への信頼度は一気に高まり,2023年4月13日,パリクラブと非パリクラブ国インドはスリランカ債権国会合の発足を発表した。日本,インド,フランスが共同議長国を務める。しかし最も債務額の多い中国は,中国輸出入銀行に対する債務返済の2年間猶予と借り換えという条件をスリランカに提示するなど,パリクラブの方針と折り合いがつかずオブザーバーとして出席した。
債権者国会合は,IMFと世界銀行の総会が行われる2023年10月に合わせて債務再編案を取りまとめることを目指して交渉を重ねた。しかし,この10月会合では,パリクラブは金利や返済期間などの債務整理の方法について債権国の理解と合意を得ることはできなかった。債権国会合の調整にもかかわらず,中国が自国の利益だけを考え共通の債務整理方法に従わないのではないかとの懸念が債権国にあったからである。実際に会合のさなかに中国輸出入銀行が債務処理についてスリランカと暫定合意したというニュースが報じられた。スリランカ財務省のプレスリリースによれば,中国輸出入銀行とスリランカが42億ドルの未払い債務の処理について主要原則で合意に達したという。これは大統領名の公開書簡を反故にするもので,IMFやインドなどの債権国は落胆し,中国とスリランカの合意の透明性の欠如に不満を表明した。しかし11月末には債権者国会合とスリランカは債務措置の主要な諸条件に合意し,これをきっかけにIMFから第2回分の支援として3億3000万ドルの融資を得ることとなった。
中央銀行法案成立中央銀行(中銀)法は,IMFの救済パッケージを得るために課された,説明責任・法の支配・透明性の強化など16項目の条件のひとつに対応するもので,2023年9月に発効した。この法律により中銀が政府から独立して,柔軟なインフレ目標の下で物価安定を優先し,不人気ではあるが不可欠な決定を行う権限が付与された。ナンダラール・ウィーラシンハ中銀総裁は,2020年以降,財政当局の過度の干渉によりインフレが制御不能になったことを指摘し,新法に期待を表明した。
このほか,中銀は一次オークションで売れ残った財務省証券の強制購入から解放され,その結果,インフレの主な原因となっている紙幣の印刷も抑制される。中銀が現在保有している財務省証券の在庫は2兆7500億ルピーに達しており,その大部分は過去2~3年間に蓄積されたものである。
スリランカは2023年もインドによる積極的外交攻勢を受けた。インドは「近隣第一」を掲げ,スリランカが外貨危機のさなかにあった2022年1月から7月の間にクレジットライン,通貨スワップ協定,輸入支払いの繰り延べなどにより,約40億ドルの迅速な支援を提供したことを強調し,デリーで2023年9月に開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議や要人との会談などでインドが信頼できる隣国でありパートナーであると繰り返した。
2023年,インドのジャイシャンカル外相は1月と10月の2回スリランカを訪問した。同外相は1月にラニル大統領と会談した際,特にエネルギー,観光,インフラへのスリランカ投資の拡大を奨励すると述べた。観光やビジネスを促進するためにインドの電子決済システムの利用を提案したほか,北部3島をカバーする再生可能電力プロジェクトの覚書に署名した。このプロジェクトはもともと中国企業が実施予定だったが,インドが安全保障上の懸念を表明したことを受けて2021年12月にスリランカ政府によって中止された。2005年には,ノロッチョライ石炭火力発電所建設をインド国営火力発電公社に発注することが同年2月に閣議決定していたにもかかわらず,同年4月の温家宝首相(当時)来訪後に覆ったことがあった。閣議決定や入札結果が他国の働きかけで覆ることは,今後の外資誘致に悪影響を及ぼしかねない。またジャイシャンカルは10月の来訪の際に,融資に付随する「隠れた計画,実行不可能なプロジェクト,持続不可能な債務など」を受け入れることに内在する危険性について,スリランカおよび他の環インド洋連合(IORA)諸国に警告を発した。名指しはしなかったものの,中国の「一帯一路」プロジェクトを意味することは明らかである。
一方ラニル大統領は7月20日にインドを公式訪問し,モディ首相と会談した。会談後「連結性の促進,繁栄の触媒:インド・スリランカ経済連携ビジョン」と題した共同声明が発表された。また再生可能エネルギー分野における協力に関する覚書が署名された。連結性に関しては,大統領が1月に行った政策声明でも触れられており,スリランカの経済回復および発展にとって重要な意味をもつ。最も期待されるのは観光業である。2023年はインドとスリランカ北部を結ぶ船舶や航空便が増加した。インドのアライアンス航空が2022年12月に再開したインドのチェンナイとスリランカのジャフナを結ぶ航空便は,7月に週4便から毎日運航されることになった。10月にはインドのタミル・ナードゥ州ナーガパッティナムとジャフナ半島の北端カンカサントライ(KKS)を4時間で結ぶフェリーの運航が始まった。このような就航増に対応するため,パラーリ空港やKKS港が改修された。その結果2023年のインド人来訪者は,前年比2.5倍ほどに増加し,海外観光客数の20%ほどを占めた。インド人観光客はいまやスリランカ観光業界にとって重要な顧客となっている。
連結性を高めようとする機運は,エネルギーや電力部門や貿易・金融面でも高まっている。前者ではすでに述べた再生可能エネルギー・プロジェクトのほか,二国間を結ぶ大容量の送電網の確立も検討されている。
中国:インド洋での活動を活発化前年のアラガラヤ後の政治・経済的な混乱を収束させるという困難な責務を担ったラニル大統領は,外交面でもインドと中国の狭間で引き続き厳しい判断を迫られた。先述のようにインドは経済危機のスリランカに大規模な支援を迅速に行った。一方で中国は最大の債権国でありスリランカにとって重要な国である。そして両国ともインド洋の要衝のひとつであるスリランカにおける存在感を高めようとしている。
中国は2022年の衛星追跡艦「遠望5号」のハンバントタ入港に続いて,2023年8月には科学調査船「実験6号」のコロンボ入港を求めてきた。遠望5号が上空の調査・追跡を行うのに対して実験6号は海底の形状を調査する水路調査船である。スリランカ国立水産資源研究開発庁(NARA)および中国の大学と提携しているルフナ大学海洋学部も実験6号と共同海洋調査と研究に取り組むとされた。しかしインドは,中国がインド洋での潜水艦航行に必要な情報を収集する目的があると疑っている。
2023年9月,ラニル大統領は,国連総会の傍らで開催された「海洋国家:第3回インド太平洋諸島対話」で外国の船舶や航空機がスリランカに寄港し,領海内で活動を行う際に従うべきガイドラインを定めた標準運航手順(SOP)を間もなく発表すると語った。SOPは特にインドの懸念を受けて策定されたもので,インドの提案も盛り込まれた。ラニルの発言は,実験6号の入港を実質的に認めるものと捉えられたが,9月末,アリ・サブリ外相が許可はいまだに下りていないと述べた。最終的に実験6号は10月25日にコロンボ港に入港したものの,海洋調査の許可は30日と31日のみ認められた。しかしその後スリランカ政府は2023年12月,2024年1月より外国調査船の入港を1年間禁止することを宣言した。そして過去10年間にスリランカ水域に調査船舶を派遣したすべての国に対しSOPを送付した。インド洋における中国の存在感の高まりは近隣諸国の安全保障上の問題に発展する懸念がある。2024年に大統領選挙と総選挙を控えるスリランカは,対処が難しい問題を避けたといえる。
一方中国は,2023年12月7~8日に雲南省昆明市で開催された海洋コミュニティに関する会議の公式文書で,従来インド洋地域(IOR)と呼ばれていた地域を「中国・インド洋地域」(CIOR)と呼び始めた。中国がインド洋地域にますます進出する動きと認識でき,2024年に発足する新政権は難しい舵取りを迫られるだろう。
10月,ラニルは大統領就任以来初めて中国を訪問し,17~18日に北京で開催された第3回「一帯一路」国際協力フォーラムに出席するとともに,「一帯一路」構想に参加する決意を改めて表明した。11月には来訪した中国特使の諶貽琴との会談で大統領は,スリランカが「一帯一路」構想の第2段階に参加する準備があること,中国・ミャンマー経済回廊プロジェクトにスリランカが参加する意思があることを伝え,中国と関係を強化する方向性を明確にした。インドとの連結性強化と「一帯一路」構想への参加が両立できれば,スリランカの経済成長に大きな助力となるだろう。
軽量軌道交通(LRT)プロジェクト再開にむけた日本との関係スリランカ政府は,かつて実施途中で突如終了を命じた日本支援によるLRTプロジェクトの再開に動き出した。2020年9月21日,ゴタバヤ政権はすでに日本の資金援助で建設が始まっていたLRTプロジェクトの即時終了を命じた。その後2023年3月に事業継続が困難になったとして三菱商事がコロンボ事務所を閉鎖し,バンダラナイケ国際空港拡張工事を行っていた大成建設も撤退した。しかし,前年9月の故安倍晋三首相の葬儀参列に続き2023年5月に訪日したラニル大統領は,LRTプロジェクトの再開を示唆する発言を行った。コロンボの渋滞解消,および日本との関係修復を期待したと思われる。岸田文雄首相との会談で大統領は,同プロジェクト中止に関して日本政府に遺憾の意を表明し,二国間の大規模プロジェクトが両国の合意なしに停止または中止されないよう,将来的に議会で法案を制定すると強調した。LRTに関しては,7月4日に大統領が閣議にプロジェクト復活の提案を提出し,承認されたものの,日本はプロジェクトを再開する以前に,未払い金の返済を求めている。
一方,7月28~29日には林外務大臣がスリランカを訪問して,日本が債権者国会合の共同議長国になっていることから,債務再編に関して透明性と公平性が重要である点について確認した。
2024年には大統領選挙が実施される。選挙の時期を決めるのは,制度的には大統領であるが,実質的には大統領の後ろ盾であるSLPPのマヒンダ・ラージャパクサらが,彼らにとって都合の良い時期を選ぶだろう。マヒンダ寄りの人物がIGPに就任し,人権侵害が懸念される法律も国会で承認された。2023年をとおしてマヒンダやラージャパクサ一族が政治の表舞台に現れることは少なかったにもかかわらず彼らの選挙運動に有利な状況が作られた。アラガラヤ後に行われる初の大統領選挙は,不正の横行する選挙になるのではと危惧される。
2023年のマクロ経済状況は,危機から脱したようにみえ,年末にはIMFの第2回目の支払いも受け,回復に向かって動き出したといえる。しかし,今後もIMFの融資条件を満たすために補助金などが削減されるならば,貧困層に与える影響は甚大で,選挙の結果も左右することになるだろう。
スリランカをめぐるインドと中国の勢力争いは,両国によるインド洋の覇権をめぐるものに発展しつつある。政府がSOPを策定し外国の調査船のスリランカ入港を1年認めない方針を発表したため,2024年に中国船の寄港問題は発生しないと考えられる。しかし,中国は意図的にインドを刺激するような行動をとり始めているように見える。スリランカは両国と連携を取りながら大きな問題を引き起こさないよう備える必要がある。
(地域研究センター)
1月 | |
5日 | 2022年の反政府運動「アラガラヤ」の活動家ランディマル・ガマゲ,バンダラナイケ国際空港で逮捕。 |
10日 | カナダ政府,内戦中の「重大かつ組織的な人権侵害」を理由にマヒンダ・ラージャパクサとゴタバヤ・ラージャパクサを含む4人のスリランカ人に制裁を科す。 |
12日 | 最高裁判所(最高裁),マイトリパーラ・シリセーナ元大統領にイースターテロ犠牲者へ1億ルピーの支払いを命じる。 |
14日 | 中国共産党国際部の陳周ら,来訪。ディネシュ・グナワルダナ首相と債務再編について会談。 |
18日 | リハビリテーション法案,賛成23,反対6で可決。 |
19日 | インドのジャイシャンカル外相,来訪。 |
19日 | 選挙支出規制法,賛成97,反対36で可決。 |
19日 | 28歳のジーヴァン・トンダマン,最年少で水供給・農園インフラ開発大臣に就任。 |
31日 | シリセーナ元大統領,2024年大統領選挙に再度出馬すると発表。 |
2月 | |
1日 | ビクトリア・ヌーランド米国務次官,来訪。最大の二国間債権者として中国はIMFと歩調を合わせるべきと発言。 |
4日 | 独立75周年式典,開催。野党の統一人民の力(SJB)はボイコット。 |
8日 | ラニル・ウィクレマシンハ大統領,政策声明発表。2026年までに破産状態から抜け出すと宣言。 |
11日 | 全セイロンタミル会議(ACTC)国会議員セルバラジャ・カジェンドレンら17人,裁判所命令に反して抗議活動を行ったとしてジャフナで逮捕される。 |
15日 | 電気料金66%引き上げ。IMFの長期融資制度EFFを受ける条件が整う。 |
20日 | 選挙管理委員会(EC),3月9日予定の地方議会選挙を延期すると発表。 |
23日 | スリランカ大衆党(SLPP)国会議員のランジット・バンダーラ議員,公共企業委員会(COPE)委員長に任命される。 |
24日 | SLPP所属で運輸国務大臣のラサンタ・アラギヤワンナ,公会計委員会(COPA)委員長に任命される。 |
3月 | |
2日 | 中央銀行,外国為替取引バンドとドル強制売買規則を廃止。 |
3日 | 中銀,政策金利を1ポイント引き上げて15.5%に。 |
3日 | パンデミック後,初の中国人団体観光客受け入れ。 |
7日 | EC,地方議会選挙を4月25日に実施すると発表。 |
20日 | IMF理事会,30億ドルの救済パッケージを承認。 |
22日 | 反テロ法案を官報に掲載。 |
24日 | ベンガル湾の海洋安全保障シンポジウム,コロンボで開催。 |
4月 | |
6日 | ウィジェダーサ・ラージャパクサ法務大臣,反テロ法案の国会提出を延期すると発表。 |
8日 | ラニル・ウィクレマシンハ大統領が再選に立候補することを発表し,2024年初めに大統領選挙が行われる可能性があることを示唆。 |
11日 | EC,4月25日の地方議会選挙を延期すると発表。 |
13日 | 日本,フランスやインドとともに共同議長として債権国会合を発足。 |
16日 | SJB総裁のサジット・プレマダーサ,2024年の大統領選に立候補すると発表 |
27日 | 米国務省,深刻な人権侵害を理由に北西部州知事のワサンタ・カランナゴダとその妻の入国を禁止すると発表。 |
28日 | 国会でIMFの拡大信用供与措置(EFF)に関する決議。賛成120,反対25で可決。 |
5月 | |
3日 | 政府,資金不足のため運輸・幹線道路省の道路建設にかかわる「マガ・ネグマ」とその関連機関4つを閉鎖。 |
17日 | ワールドラグビー評議会,スリランカラグビー協会のガバナンスと政治的介入に関するワールドラグビー規約違反への懸念から,同協会の加盟資格を即時停止。11月4日に一時停止を解除。 |
23日 | 全セイロンムスリム会議(ACMC)国会議員のアリ・サブリ・ラヒーム,金3.5キロを密輸した容疑でバンダラナイケ国際空港にて逮捕。 |
24日 | スリランカ公共事業委員会(PUCSL)のジャナカ・ラトナヤケ委員長の解任動議,可決。 |
24日 | 大統領,日本訪問(~27日)。岸田文雄首相と会談。包括的パートナーシップのさらなる発展や両国間関係の深化を希望。 |
28日 | スタンドアップコメディアンのナターシャ・エディリソーリヤ,仏教,イスラム教,キリスト教について攻撃的な発言をした後,犯罪捜査局(CID)により逮捕。 |
29日 | ソーシャルメディアで有名な僧侶ラジャンガネ・サッダラタナは,「宗教の調和を乱す可能性がある」物議を醸す発言をした後,アヌラーダプラの警察により逮捕。 |
31日 | 中銀,政策金利を2.5ポイント引き下げて13%に。 |
6月 | |
1日 | 大統領,国民に向けて経済政策について演説。 |
1日 | プラスティック製品の生産,輸入,販売,使用が禁止。 |
4日 | スリランカ,第78回国連総会の副議長に満場一致で選出。任期は2023年9月から2024年9月まで。 |
7日 | ACTC国会議員のガジェンドラクマル・ポンナンバラム,警察官の職務妨害の容疑で逮捕。 |
26日 | 野生動物・森林資源保護省,スリランカの固有種で絶滅危惧種であるトクザル10万頭を中国に輸出する計画を中止。 |
27日 | スリランカ弁護士協会(SLBA),26日に空席になった警察長官(IGP)ポストについて,警察に対する国民の信頼を回復できる人物でなければならないと大統領に書簡。 |
7月 | |
1日 | 国会で国内債務再編(DDR)案を賛成122,反対62で承認。 |
4日 | 内閣,大統領提出の軽量軌道交通(LRT)プロジェクトを承認。 |
5日 | 中銀,政策金利を2ポイント引き下げて11%に。 |
16日 | インドのアライアンス航空,チェンナイ=ジャフナ間の毎日の定期運航を開始。 |
18日 | SJB,ハリン・フェルナンド観光・土地大臣とマヌーシャ・ナーナヤッカラ労働・海外雇用大臣を党から追放。 |
20日 | 大統領,就任後初のインド訪問。再生可能エネルギー分野における協力覚書などに署名(~21日)。 |
20日 | SLPP所属のケヘリヤ保健大臣に野党から不信任動議が提出される。 |
22日 | 袁家軍・中国共産党中央政治局員,来訪。首相および大統領と会談。 |
26日 | 大統領,全政党会議を開催。州評議会への権限移譲について話し合い。 |
28日 | 林芳正外務大臣,来訪。翌日大統領に表敬。 |
29日 | フランスの大統領として,マクロン大統領がスリランカを初来訪。ラニル大統領と会談。 |
8月 | |
2日 | SJBを脱退したハリン・フェルナンドとマヌーシャ・ナーナヤッカラ,統一国民党(UNP)に再加入。 |
10日 | 中国の軍艦海洋24号,コロンボ港に到着。 |
15日 | 政府,外貨不足を理由に2020年に始まった自動車輸入禁止の一部を解除し,バスとトラックの輸入を許可。ただし,自動車,オートバイ,三輪スクーターの輸入禁止は外貨準備高が改善するまで継続。 |
21日 | 大統領,シンガポール訪問。 |
29日 | 人民の力(NPP),党首アヌラ・クマーラ・ディサナヤカを2024年選挙の大統領候補として発表。 |
9月 | |
5日 | スリランカ自由党(SLFP),ダヤシリ・ジャヤセーカラ書記長を解任。 |
7日 | イギリスのテレビ局チャネル4,2019年のイースターテロに関する番組を放映。ラージャパクサ一族の自作自演という内容。 |
8日 | ケヘリヤ保健大臣の不信任案,反対113,賛成73,棄権39で否決。 |
15日 | 中央銀行法発効。 |
18日 | オンライン安全法案,官報に掲載。 |
27日 | IMF,スリランカへの第2回分支援の実行を延期すると発表。 |
10月 | |
1日 | 大統領,モルディブのモハメド・ムイズ新大統領に祝意。 |
3日 | オンライン安全法案,国会に提出。 |
4日 | 中銀,政策金利を1ポイント引き下げて10%に。 |
5日 | 最高裁,ナシール・アハマドを党員から追放するというスリランカムスリム会議(SLMC)の決定は法的に有効であると判決。 |
6日 | 大雨によりコロンボ中心部を走行中のバスに大木が倒れ,5人死亡。 |
6日 | 占星術師のインディカ・トタワッタ,民族や宗教間の調和を損なう発言をしたとして逮捕。 |
11日 | インドのジャイシャンカル外相,スリランカに対して「一帯一路」構想に基づく中国の開発融資受け入れに内在する危険性について警告。 |
11日 | SLMC,ナシール前大臣の国会議員資格剥奪を受けてアリ・サーヒル・モウラナをバティカロア県選挙区の国会議員に任命。 |
12日 | スリランカ,中国輸出入銀行と債務処理の主要原則で合意。 |
14日 | インドのタミル・ナードゥ州ナーガパッティナムとジャフナのカンカサントライ(KKS)との間のフェリー運航開始。 |
15日 | 大統領,中国に向けて出発。17~18日開催の第3回「一帯一路」国際協力フォーラムに出席。共同声明でスリランカは,「一帯一路」構想に積極的に参加し続けることを改めて表明。 |
20日 | 大統領,中国の習近平国家主席と北京の人民大会堂で会談。 |
20日 | セイロン電気局(CEB),電気料金を即日18%引き上げると発表。 |
21日 | 大統領,UNP党大会で大統領選挙は2024年に実施すると語る。 |
23日 | 内閣改造。SLPPのケヘリヤ・ランブクウェラが環境大臣,SLPPのマヒンダ・アマラウィーラが農業・プランテーション産業大臣,SLPPのラメシュ・パティラナが保健大臣に就任。 |
25日 | 中国の科学調査船「実験6号」,コロンボに入港 |
31日 | 内閣,全会一致で2024年1月より付加価値税(VAT)を15%から18%に引き上げる決定を承認。 |
11月 | |
1日 | 第15回人口・住宅国勢調査,コロンボの大統領事務局で始まる。 |
3日 | スリランカ・クリケット協会(SLC),クリケット・ワールドカップでスリランカがインドに302失点の惨敗を喫したことを受け,コーチングスタッフと選考委員全員に緊急かつ包括的な説明を求める。 |
4日 | スポーツ大臣のロシャン・ラナシンハは,SLCの実行委員会と選考委員会に対し,即時辞任するよう要請。 |
7日 | ACMC,アリ・サブリ・ラヒームの党員資格剥奪。 |
8日 | 米国際開発金融公社(DFC),コロンボ西側港開発に5億ドル投資で合意。 |
9日 | 国会,SLCの役員を解任する決議を全会一致で承認。 |
10日 | 国際クリケット評議会(ICC),SLCへの政治的介入を理由に会員資格停止処分。 |
13日 | 大統領,兼務する財務大臣として2024年予算案を国会に提出。 |
14日 | 最高裁,マヒンダ,ゴタバヤ,バジルのラージャパクサ兄弟などを経済危機を招いた責任者と認定。 |
16日 | スリランカ,2023年から2027年までの国連教育科学文化機関(ユネスコ)の理事会に選出。 |
20日 | 中国特使の諶貽琴来訪。大統領,首相らと会談。大統領,スリランカは「一帯一路」構想の第2段階に参加する準備があると語る。 |
22日 | 大統領,大統領選挙と国会総選挙は2024年に実施すると明言。 |
23日 | 中銀,政策金利を1ポイント引き下げて9%に。 |
27日 | 大統領,SLC問題を理由にSLPPのロシャン・ラナシンハ・スポーツ大臣を解任。UNPのハリン・フェルナンド観光・土地大臣がスポーツ・青年問題大臣に就任,SLPPのパヴィトラ・ワンニラッチ野生動物・森林資源保護大臣が灌漑大臣に就任。 |
29日 | 大統領,警察庁上級副長官(SDIG)デーシャバンドゥ・テンネコーンをIGP代理に任命。 |
29日 | スリランカ政府と債権国,返済期限の延長や金利の引き下げなどを含む債務再建案に関し基本合意。 |
12月 | |
2日 | 議会,ダヤナ・ガマゲ―と2人のSJB議員の資格停止を承認。 |
7日 | ウクライナ防衛国際軍団に所属していたスリランカ人3人,ロシアのウクライナへの砲撃で死亡 |
9日 | システム障害により全土で停電。 |
12日 | IMF,スリランカへの第2回分支援(3億3000万ドル)を承認。 |
13日 | 2024年予算案が賛成122,反対81で可決。数日後にSLPPが税制改正を批判。 |
14日 | 最高裁,2011年の不当逮捕・拘留・および拷問事件について,IGP代理のデーシャバンドゥらに200万ルピーの支払いを命令。 |
15日 | SLPP全国大会,開催。マヒンダ・ラージャパクサがSLPP党首に再選。 |
18日 | 元保健省長官のジャナカ・チャンドラグプタ,物議を醸しているヒト免疫グロブリン輸入問題でCIDによって逮捕。 |
19日 | アリ・サブリ外相,2024年1月より外国の調査船入港を1年間禁止すると地元メディアに語る。 |
23日 | 薬物取引などに関する大規模な全島一斉捜査「ユクティヤ作戦」により,1万3666人を逮捕。 |
(出所) 大臣秘書室ウェブサイト掲載閣僚名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=25&Itemid=23&lang=en)
大臣秘書室ウェブサイト掲載国務大臣名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=41&Itemid=74&lang=en)
(注)Sanath Nishanthaは2024年1月25日に交通事故で死去。
(出所)大臣秘書室ウェブサイト掲載閣僚名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=25&Itemid=23&lang=en)。
大臣秘書室ウェブサイト掲載国務大臣名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=41&Itemid=74&lang=en)。
(出所)大臣秘書室ウェブサイト掲載閣僚名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=25&Itemid=23&lang=en)。
大臣秘書室ウェブサイト掲載国務大臣名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=41&Itemid=74&lang=en)。
(注) 1)暫定値。2)労働力人口は15歳以上。3)基準年は2021年。年平均。4)改定値。
(出所) Central Bank of Sri Lanka,Annual Economic Review 2023,KEY ECONOMIC INDICATORS.
(注) 1)改定値。2)暫定値。
(出所) Central Bank of Sri Lanka,Annual Economic Review 2023, STATISTICAL APPENDIX, TABLE 1などより作成。
(注) 1)改定値。2)暫定値。
(出所) 表2に同じ。
(注) 1)暫定値。
(出所) Central Bank of Sri Lanka,Annual Economic Review 2023, STATISTICAL APPENDIX, TABLE 6, 7などより作成。
(注) IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。したがって,金融収支の符号は(+)は資本流出,(-)は資本流入。1)改定値。2)暫定値。
(出所) Central Bank of Sri Lanka,Annual Economic Review 2023, STATISTICAL APPENDIX, TABLE 10, 11などより作成。
(注) 1)暫定値。2)2021年以降のEUはイギリスを含まない。
(出所) Central Bank of Sri Lanka,Annual Economic Review 2023, STATISTICAL APPENDIX, TABLE 8, 9より作成。