2025 Volume 2025 Pages 149-178

2024年5月,民主進歩党(以下,民進党)の頼清徳が第16代総統に就任した。民進党は初めて連続3期目の政権を担うが,少数与党となった立法院で,中国国民党(以下,国民党)と台湾民衆党(以下,民衆党)が提案する法改正案をめぐりたびたび大乱闘が起きた。卓栄泰行政院長のもと閣議決定された予算案も審議先送りとなった。一方,国民党は中国との交流を進める動きを強めた。民衆党は柯文哲主席が収賄等の容疑で逮捕・起訴され,第三勢力としての将来が危ぶまれる事態となった。
2024年の経済成長率は4.59%で,人工知能(AI)関連の設備投資増加などが牽引した。また,各国における経済安全保障政策の強化,それに伴う半導体の安定供給の求めなどから,台湾積体電路製造(TSMC)海外工場の計画や建設が進んだ。中央銀行は不動産価格高騰への対応として,預金準備率を2度引き上げ,また住宅ローン関連規制を導入した。
対外関係は,ナウルとの断交により国交樹立国は12となった。頼総統は,パラオなどの太平洋諸国への初の外遊を行った。一方,欧米諸国からの超党派議員の訪台が続き,G7サミットなどさまざまな機会に台湾海峡の平和と安定の重要性が言及された。米国バイデン政権は7度の武器売却を決定し,比較的安定した台米関係が維持された。また,日本とは,新駐日代表の派遣など新しい関係づくりの動きもみられた。
2024年1月13日に投開票された第16代総統・副総統選挙は,有権者数約1950万人,投票率は71.8%であった。前回2020年の総統選挙の投票率74.9%を下回り,これまでの選挙のなかでも2番目に低い投票率となった。民進党の頼清徳は選挙戦で大きく支持を伸ばすことはなかったが,蔡英文総統の現状維持路線の継承を掲げ,優位を維持して558万6019票を獲得して当選した。一方,国民党の総統候補・侯友宜は,知名度の高い趙少康を副総統候補に指名し劣勢の挽回を図ったが,票は伸びなかった。1月の投票直前に馬英九前総統が,ドイツ公共メディアの取材で「両岸に関しては,習近平を信じる必要がある」と発言した。これに対し,侯は「自分の考え方は馬英九氏とは異なっている」と訂正するなど,陣営内の足並みの乱れも影響を与えた。民衆党の柯文哲は,SNSを活用した選挙戦を展開し,既成政党への不満をもつ中間層,特に若者の支持を大きく獲得して得票数を369万466票にまで伸ばした(表1)。

(出所)中央選挙委員会(https://web.cec.gov.tw/)選挙及公投資料庫より筆者作成。
立法委員選挙は,選挙区と比例区に分かれ,有権者は2票を投じる。表2のように,獲得議席はそれぞれ民進党51,国民党52,民衆党8,無所属等2となり,民進党は大幅に議席を減らして少数与党となった。民進党の得票率は前回から減っていないが,1人区の選挙区では区割りの影響もあり,結果として大きく議席を減らした。最終的に「棄保」は起きなかった。これは,三つ巴の選挙戦終盤で当選確率がより高い候補に支持を変える,あるいは特定候補の当選を阻止するため投票先を変える戦略的投票行動である。今回は「棄保」ではなく,総統選挙と立法委員選挙,または比例区と選挙区で,異なる政党に投票する分裂投票となった。この結果,いずれの党も過半数を獲得できず,比例区で8議席を獲得した民衆党がキャスティングボートを握った。比例区では,ほかに時代力量など13の政党が候補を立てたが,いずれも得票率5%を超えず議席獲得には至らなかった。

(出所)表1に同じ。
2月1日に行われた立法院正副院長選挙では,1回目の投票で国民党,民進党,民衆党はそれぞれが擁立した候補に投票し,いずれも過半数を得られなかった。1位と2位での再投票で,民衆党の立法委員は棄権し,国民党の韓国瑜が院長に,江啓臣が副院長に選出された。
花蓮地震と迅速な危機対応4月3日午前7時58分,台湾東部花蓮県東方の沖合でマグニチュード7.2の地震が発生した。1999年の「9・21」地震に次ぐ規模の地震で,花蓮では震度6強を観測した。台湾全島で揺れを感じ,新北市,台北市でも震度5弱が記録された。花蓮から台北への主要道路で下清水橋が崩落し,観光地である太魯閣でも震度6強の揺れで被害が出た。死者18人,負傷者1155人,行方不明者2人,建物への被害も甚大であった。内政部消防署はすぐに中央災害対策本部(中央災害応変中心)を立ち上げ,当日頼清徳副総統が現地入りした。
2000年以降,災害対応力を強化してきた台湾では,官民をあげて迅速な対応が行われた。花蓮県長徐榛蔚はすぐに現場を視察したうえで,翌日には建築物の違法性の調査と2次被害防止・緊急解体を指示し,3日目からビル解体工事が始まった。1630の団体,236の企業が,災害対応ボランティアのために事前協定を締結しており,SNSを活用して情報交換が行われ3時間後には仮設避難所が立ち上げられた。復旧への動きも迅速に始まり,6日目には蔡英文総統も現地を訪れた。
しかし,余震が続いたこともあり,大きな被害を受けなかった花蓮の観光地からも観光客が遠のき,地域経済には大きな影響が出た。立法院国民党総召集人(会派トップ)傅崐萁は,花蓮県選挙区選出の立法委員で,4月15日に総額約300億台湾元(約1300億円)の「震災復興特別条例」草案を立法院に提出した。陳建仁行政院長,鄭文燦副行政院長のもとで被災地再建計画が策定され,既存の防災法に基づく政府の対応や支援が進んだこともあり,この草案は最終的に審議見送りとなった。新総統の就任を前に,陳行政院長は5月16日に総辞職を閣議決定し,蔡英文総統は42~45%の支持率を維持して8年の施政を終えた。
頼清徳総統の2つの演説と新政権の布陣頼清徳総統は,蔡英文路線の継承と現状維持を唱えながらも,中国との差異化を強調する姿勢をみせた。まず5月20日の第16代正副総統就任式で,頼清徳総統は「民主的で平和で繁栄した新台湾を建設しよう」と題して就任演説を行った。立法院で与野党が激しく衝突する状況を踏まえ,国民の利益第一の理性的な行動を訴えるとともに,より強靭な産業,社会,国防のための各方針を示した。演説の全体的なトーンは,中華民国の憲政体制のもとでの現状維持であり,「中華民国,中華民国台湾,あるいは台湾」いずれも「同じ響き」をもつとして国内の団結を強調した。さらに,「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」と言及した。これは,蔡英文総統が2021年の国慶節演説で掲げた「四つの堅持」のひとつである。また,「台南400年」という台湾の歴史の起点を喚起するなど,中国とは異なる存在であることを強く意識した内容でもあった。
もうひとつは,10月10日の113周年の国慶節で行った「台湾を団結させ,ともに夢を実現しよう」と題する演説である。そこで頼清徳は,2300万人の台湾の人々へ団結と台湾海峡の現状維持を呼びかけ,政府の進める産業・社会福祉等の政策を説明した。ここでも「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」,「中華人民共和国に台湾を代表する権利はない」と表明した。蔡英文総統がほとんど使わなかった「中国」の呼称が,就任演説の時と同様に多く用いられ,国際社会において台湾が中国とは異なる存在であると強くアピールした内容だった。この国慶節に先立ち5日に台北ドームで開催された「113年国慶節の夕べ」で,頼総統は「年齢についていえば,中華人民共和国は中華民国人民の祖国ではありえない。逆に,中華民国は中華人民共和国の75歳以上の民衆の祖国になりえるかもしれない」と述べた。中国で活躍する台湾の一部の芸能人らが,SNSで中華人民共和国の75周年の国慶節を祝い「祖国」の表現を使っており,そうした中国の「認知戦」への対抗であった。さらにその含意として,従来の台湾独立論とは異なり,中国大陸時期の中華民国の歴史を引き受ける歴史観としても注目された。
一方頼清徳政権の陣容は,外交・安全保障面での継続性重視と民間からの人材抜擢による刷新が特徴となった。自身と関係が近く調整能力の高い卓栄泰が行政院長に,副院長に鄭麗君が就任した。呉釗燮や林佳龍ら外交・安全保障のメンバーを残し,国家安全会議秘書長だった顧立雄は,2013年以来となる文民出身の国防部長となった。郭智輝経済部長ら民間からの抜擢や,党派性のない人物の起用などもみられた。また,総統就任から1カ月後には,産官学および民間との対話を重視して国の発展戦略を立てる姿勢を打ち出し,「国家気候変動対策委員会」(国家気候変遷対策委員会),「全社会防衛レジリエンス委員会」(全社会防衛靭性委員会),「健康台湾推進委員会」(健康台湾推動委員会)の3つの任務型委員会が設置された。
7月はじめ,蔡英文総統時代に副行政院長を務め,海峡基金会理事長に就任していた鄭文燦が,桃園市長時代の土地開発をめぐる収賄容疑で逮捕された。その行政能力の高さと人脈の広さから将来の総統候補の1人と目された人物であっただけに,民進党内に衝撃が走った。
いずれの党も過半数をもたない立法院の迷走ねじれ状態となった立法院では,法案や予算の審議が紛糾した。5月,野党が提出した5つの法改正からなる立法院改革法案が審議された。このうち,立法院職権行使法は,総統による報告や質疑応答の定例化のほか,官僚の立法委員への逆質問や資料提供の拒否を罰することなどが含まれていた。与党は,立法府と行政府の権限バランスの変更につながるとして強く反発した。7日に立法院で与野党の激しい乱闘が起こり,6人が病院に運ばれた。さらに,28日にも立法院職権行使法や刑法などの法改正案の採決をめぐりもみ合いとなった。立法院の権限拡大につながる法改正に反対して,「青鳥運動」と呼ばれる大規模な抗議運動も起こったが,これら法案は賛成多数で可決された。
しかし,一旦公布された立法院職権行使法について頼清徳総統は,行政院長,民進党の立法委員51人らとともに,憲法法廷に違憲審査と仮処分を申し立てた。7月の仮処分では,一部条項が暫定執行停止となった。その後,10月25日に憲法法廷は,改正部分の多数が違憲との判決を下し,該当部分は即日失効となった。
立法院で野党が提出した改正案をめぐって,再び審議が紛糾したのは12月であった。憲法訴訟法,選挙罷免法,財政区分法の3つの改正案が審議され,同月20日に可決された。このうち憲法訴訟法の改正は,憲法法廷の大法官の定数15人のうち,定足数を定数の3分の2の10人とし,最低9人の同意を必要とすることで,違憲判決のハードルを上げた。また,選挙罷免法も,現行では選挙区有権者の4分の1以上の同意票で罷免できるが,新制度では当選時に得た得票数を上回る同意票が必要となる。さらに,罷免投票を求める署名時に,身分証明書の表裏のコピー添付義務付けなど,リコールの条件が厳格化された。長年問題であった財政区分については,この改正で中央政府と地方自治体の税配分比率が変更され,地方への配分を25%から35%に引き上げた。
これらの改正案が可決された時点では,蔡英文総統時代に任命された大法官7人が任期を終えていた。これらの法案可決後に,頼総統が提案した7人の新たな大法官候補は,全員否決された。その結果,8人しかいない大法官では定足数を満たせず,違憲審査の機能は停止状態となった。
また,野党優勢の立法院で,予算審議も進まなかった。発足から101日目を迎えた8月28日,卓栄泰行政院長は「行動101策略」の始動を宣言した。アクティブ(A)+イノベーティブ(I)でAI内閣と標榜し,家庭負担の軽減や健康な台湾など,8つの施政目標を掲げた。施策実行の基盤となる2025年度予算案は8月に閣議決定され,前年度比7.7%増となる過去最大の約6470億元(約3兆770億円)の防衛費が計上された。しかし,9月20日から始まった立法院では,予算審議の見送りが決定された。卓行政院長は,韓国瑜立法院長や与野党の立法院団幹部との協議を行うなどし,11月8日にようやく各委員会での審議に入ることが合意された。本会議での予算審議は,結局通常の会期末である12月までには行われず,2025年1月に会期を延長して実施されることとなった。台湾社会では,十分な審議なく数の力で法案を採決する野党への批判がある一方,さまざまな問題を中国と結びつけイデオロギー対立化する与党への否定的な見方も強い。
柯文哲逮捕と民衆党の失速監察院の「政治献金公開リファレンス・プラットフォーム」が7月16日に公開されると,民衆党の総統選挙時期の会計報告に,資金の流れが不透明な点や不適切な取扱いがあることについて,社会の注目が集まった。イベント開催を請け負った企業2社から,支払ったと申告された合計916万元(約4203万円)を受け取っていないとの指摘があったほか,虚偽の記載などの問題点が明るみに出た。これについて,柯文哲は8月29日に記者会見で,チェック,監査体制が整っていなかったことや今後3カ月の職務停止などの発表をして謝罪した。
また,柯文哲が台北市長時代に,複合商業施設「京華広場」の容積率を不正に上げる便宜を図ったとの汚職疑惑について,5月に告発を受けた台北地方検察署(地検)は捜査を開始した。2021年に当初560%の容積率を840%にまで上げたことについて,その口利き依頼をしたとされる国民党応暁薇台北市議会議員が,身柄を拘束された。そして,8月31日未明,柯文哲が逮捕された。9月5日台北地裁は贈賄汚職防止条例(貪汚治罪条例)の不正利益供与罪が濃厚であると判断して,柯の拘留および接見禁止を決定した。4カ月の拘留後,12月26日に,台北地検は柯文哲を収賄,不正利益供与などの罪で起訴した。
民衆党は,立法委員の黄国昌が中心となって柯を擁護する立場をとり,立法院で民進党との対決姿勢を強めた。しかし,選挙期間中に柯文哲個人のカリスマ性とクリーンなイメージを強く打ち出していただけに,民衆党へのダメージは大きく,支持率は6%程度にまで下がった。
馬英九,傅崐萁らの訪中と国民党現在の国民党の基本方針は,馬英九政権以来一貫して「親米,友日(日本との良好な関係),和陸(中国との平和的交流,協力)」である。2024年も複数の党員がそれぞれの考えに基づき訪中し,結果として「和陸」部分が突出した。第1に,馬英九前総統の訪中である。4月1日から11日にかけて,馬は2度目の訪中を行い,10日には北京の人民大会堂で習近平総書記と会談した。12月には,3度目の訪中で黒竜江省パルビン,四川省成都などを訪れ,宋濤国務院台湾事務弁公室(国台弁)主任と面会した。
第2に,経済的利害関係に基づく訪中も続いた。4月26日から28日,立法院国民党総召集人である傅崐萁が同党の立法委員16人を率いて訪中し,北京で政治協商会議トップの王滬寧らと会談した。傅らの滞在中,中国は13項目の「恵台措置」を発表し,福建省住民の馬祖への観光解禁や台湾産ブンタンの条件付き輸入再開などを提示した。また,8月には金門県議会の議長等国民党の立法委員が北京を訪問し,中国は9月2日に,福建省住民の金門旅行解禁や台湾産ブンタンの輸入再開を発表した。
第3に,前年と同様に国民党副主席夏立言が訪中した。2月には上海で,また8月に再度訪中して江西省廬山で宋濤と会見した。夏副主席は4月に米国を訪問し,米国の議員らに朱立倫主席の「親米友日和陸」方針を説明して米国との関係を重視する立場を伝えた。このほか,9月に副主席の連勝文が訪中した際は「92年コンセンサス」に言及したが,11月に元立法院長王金平が宋濤と会見した際には,「両岸のコンセンサス」と述べ異なる姿勢を見せた。
(清水)
2024年の経済成長率は4.59%であった(速報値)。民間消費は前年の7.9%増から低下し2.81%増であるが,前年の基数の高さを鑑みると堅調な成長を遂げた。実質賃金の安定成長や株価の上昇がプラスの影響をもたらしたとみられる。資本形成はAI関連の需要増を見込んで半導体の先進製造工程や先端パッケージングなどの分野での設備投資がなされ,前年の10.13%減から一転し12.45%増となった。また,輸出が8.71%増(前年4.08%減),輸入が11.41%増(前年5.49%減)と大幅に成長した。経済成長率への寄与度は,民間消費が1.37%,政府消費が0.34%,資本形成が3.05%,純輸出が-0.16%であった。
消費者物価指数の上昇率は2.18%と前年の2.49%から低下したが,3年連続で2%を超えた。前年まで続いた鶏卵の品不足の影響は解消されたが(鶏卵類の上昇率-13.59%),台風による農作物への影響で引き続き食品類が3.69%上昇となった。また,3月に衛生福利部が全台湾統一の診察料(取掛号費)の上限規定を撤廃したことから医療費が4.7%上昇したほか,家賃も2.45%上昇した。賃金をみると,2024年の名目経常性賃金(基本給に残業手当を除く定額の諸手当,毎月支払われる業績給等のボーナスを加算)の中央値は前年比3.29%増の3万7274元であった。物価上昇分を差し引いた実質経常性賃金(2021年基準)の中央値は前年比1.09%増の3万4574元とプラス成長であった(いずれも速報値)。
貿易統計をみると,輸出総額は前年比9.85%増の4749億9571万ドル,輸入総額は前年比12.15%増の3943億6530万ドルであった。主要輸出品は電子製品1772億ドル(前年比15億ドル減),情報通信機器1325億ドル(前年比491億ドル増),機械241億ドル(前年比1億ドル減)であった。電子製品のうち半導体輸出は1650億ドル(前年比16億ドル減)と2年連続で前年比減少となり,輸出全体に占める割合も34.7%と前年の38.5%から減少した。一方,米国でのAIサーバー需要や中国でのPC買い替え需要などにより,コンピューターおよびその付属ユニットの輸出が846億ドル(前年比459億ドル増)と大幅に成長した。主要輸入品は電子製品1043億ドル(前年比229億ドル増),機械357億ドル(前年比20億ドル減),情報通信機器335億ドル(前年比96億ドル増)であった。
中央銀行による政策金利は,台湾元安による輸入インフレへの警戒などを背景とし,3月22日に0.125ポイント引き上げられ2%になった。6月以降の3会合ではインフレ率が2%以下となることが見通せたなどとして政策金利を据え置いた。一方で,不動産価格高騰への対応として,6月と9月の2会合連続で預金準備率の0.25ポイント引き上げを決定したほか,住宅ローン規制を行った(後述)。
半導体関連産業の動向世界半導体統計(WSTS)の予想値によると,2024年の半導体市場は6268億ドル(前年比19%増)と大幅な回復をみた。車載半導体は低迷したが,2024年もAI関連需要は堅調であり,先端半導体製造最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の売上高も大幅に上昇した。2024年の連結売上高は2兆8943億元(前年比33.9%増)で,純利益は1兆1733億元(前年比39.9%増)であった。特に,AIサーバーなど高性能コンピューティング(HPC)向けチップの収益は前年比58%増で,2024年収益の51%を占めた。AIサーバー需要は電子機器製造受託サービス(EMS)各社の業績にも影響を与え,鴻海,インベンテック,クアンタ,ウィストロンなどAIサーバーを手がけるEMS大手の売上高はいずれも前年を超えた。
TSMCは台湾内での新たな工場建設計画についても相次いで発表した。1月18日には高雄工場の3基目を2ナノメートルの先進半導体工場とする計画を,3月18日には嘉義サイエンスパークに2基の先端パッケージングCoWoS(Chip on Wafer on Substrate)工場を建設する計画を,それぞれ発表した。
また,海外での工場建設についても進展があった。2月6日には熊本工場について,6/7ナノメートルの半導体製造技術を導入する第2工場を着工し,2027年末の操業開始を目指す計画を発表した。これに対して,経済産業省は7320億円の補助金を拠出する。さらに,12月には第1工場での量産が始まった。米国アリゾナ工場についても,4月8日には第2工場に2ナノメートルの半導体製造技術を導入することや,2ナノメートルあるいはそれよりもさらに先端の半導体製造技術を導入する第3工場の建設を発表した。米国商務省は11月15日,CHIPSおよび科学法に基づいてTSMCアリゾナに対して最大66億ドルの補助金の拠出を確定した。欧州でもドイツのドレスデン工場が8月20日に着工し,欧州委員会は欧州半導体法に基づいてドイツ政府による50億ユーロの補助金を承認した。
背景には,各国が経済安全保障の観点から自国内で半導体サプライチェーンを構築しようとしている動きがある。日米独政府はそれぞれ巨額の補助金を拠出して,TSMCによる投資を誘致した。また,TSMC側にとっても顧客との関係を拡大し,注文を確保するというメリットがある。そのため,顧客の多い米国以外の日本とドイツでは,それぞれの子会社に,当地の顧客も出資している。
海外への分散を加速させる台湾側要因もある。台湾における土地・水・電力・専門人材・労働力の不足という「五缺」が懸念されており,特に,年初の時点で唯一運転中であった台湾第3原子力発電所1号機が7月27日に,2号機も2025年5月17日には運転終了となるなど,電力需給の逼迫が懸念される。
郭智輝経済部長は,TSMCサプライヤーの海外における集積の円滑化を助けようという方針(「境外関内」)を示した。このほか,米国の各州知事が続々と訪台し,台湾からの投資誘致を図っている。
住宅価格高騰への対応台湾の住宅価格は2023年後半から急騰した。信義房屋不動産企画研究室が公表する信義住宅価格指数をみると,全台湾で2024年第1四半期は前期比5.46ポイント増の158.9,第2四半期は同5.65ポイント増の164.55,第3四半期は同3.95ポイント増の168.5と上昇し続けた(図1)。

(注)2016年第1四半期を100とする。「新竹」とは新竹市と新竹県を合わせたもの。
(出所) 信義房屋股份有限公司(https://www.sinyinews.com.tw/quarterly)を基に筆者作成。
こうしたことを受け,中央銀行は投機的な不動産取引への対応(打炒房)を行った。6月の理監事会では,特定地域における自然人による2戸目の住宅購入ローンについて貸付限度額を銀行鑑定価格の70%から60%に引き下げることを決定した(6度目の選択的信用管理措置)。また,預金準備率を0.25ポイント引き上げ,不動産市場への資金流入を抑制しようとした。しかし,第3四半期でも住宅価格が上昇しつづけ,住宅購入ローンの年間成長率は8月末には11%と2006年5月以来の高水準となったほか,全銀行の総融資に占める不動産ローンの比率も8月末には37.5%と市場最高点の37.9%に接近する水準となった。9月の理監事会では,2会合連続で預金準備率を0.25ポイント引き上げたほか,以下のようにより踏み込んだ措置を導入した(7度目の選択的信用管理措置)。
(1)不動産を既に所有する自然人が,最初の住宅購入ローンを借りる場合でも寛限期間(利息のみを支払い,元金の返済を猶予する期間)の設定を禁止する。
(2)自然人による2戸目の住宅購入ローンについて貸付限度額を銀行鑑定価格の60%から50%に引き下げ,適用範囲を全台湾とする。
(3)会社法人による住宅購入ローン,自然人の高額住宅購入ローンおよび3戸目以上の住宅購入ローンについて貸付限度額を銀行鑑定価格の40%から30%に引き下げる。
(4)販売前住宅を担保にしたローンについて貸付限度額を銀行鑑定価格の40%から30%に引き下げる。
これらの措置により,建物売買棟数の年間成長率は10月にマイナス成長となった。一方で,全銀行の総融資に占める不動産ローンの比率や,住宅価格は高止まりの状態となった。12月の理監事会では,新たな措置を講じなかったものの,今後も不動産市況を注視し,選択的信用管理措置の効果を見極めるとしている。
中国による野党を通じた利益誘導総統および立法委員選挙後,中国は野党を通じた利益誘導を再び重視しはじめた。立法院国民党団総召集人に就任した傅崐萁は4月26日から28日まで,国民党立法委員16人を率いて訪中した。中国は,福建省住民による馬祖への旅行の再開や,台湾産ブンタンの輸入再開などの「お土産」を訪中団にもたせた。
また,8月22日には国民党籍の洪允典金門県議会議長や陳玉珍立法委員(金門県選出)などが観光業者を率いて訪中し,中国人観光客による金門島への旅行再開を宋濤国台弁主任に求めた。福建省は9月27日,福建省戸籍あるいは居住証をもつ住民による金門県への個人旅行と団体旅行を再開した。
同時に,中国は民進党政権に対し,経済的措置を用いた「懲罰」も示そうとした。中国商務部は4月19日,台湾から輸入するポリカーボネートに対して反ダンピング関税を発動させることを発表した。中国国務院関税税則委員会は6月15日から,台湾製の石油化学品など134品目について海峡両岸経済枠組み協定(ECFA)に基づく関税優遇措置を取り消した。また同委員会は9月25日から,台湾産の農水産物34品目の関税免除措置を停止した。
これらの措置は,石油化学品や機械の対中輸出については一定の影響があるとされた。中国は1月8日に発表した「経済貿易分野において福建が海峡両岸融合発展の新路を探索することへの支持に関する若干の措置の通知」で,石油化学メーカーや機械メーカーによる福建省への投資を奨励する方針を示していた。対中投資を呼び込みたい産業に対して,あえて貿易障壁を設けているとも読み解ける。
心理的な影響は別として,台湾経済全体への影響はいずれもそれほど大きくない。台湾経済への影響が大きい経済的威圧行為は,中国にとっても返り血が大きいものであり,選択できないという事情もある。また,台湾にとって中国経済は依然重要であるが,徐々に相対化されつつある。台湾の対中輸出は前年比13億ドル増の970億ドル,輸入は前年比91億ドル増の793億ドルとどちらも増加したが,輸出はピークの2021年と比べて289億ドル低い水準となった。総額に占める割合は輸出で前年比1.73ポイント減の20.41%,輸入が前年比0.13ポイント増の20.1%となっている。対中直接投資についても,経済部投資審議司による統計で,金額は前年比6億ドル増の37億ドル,件数で前年比18件減の310件となっている。中国を除く対外投資では,金額は前年比214億ドル増の449億ドル,件数で前年比214件増の782件であり,中国以外への分散が進んでいる。
(吉田)
中国は,台湾島を取り囲み「封鎖」を可視化する大規模な軍事演習を2度行った。中国国台弁は,頼清徳総統就任式当日に「台湾独立は破滅への道」だと強く反発し,5月23~24日には陸・海・空・ロケット4軍種による大規模な総合演習「聯合利剣‐2024A」を行った。また,6月21日には,最高人民法院,最高人民検察院,公安部,国家安全部,司法部が共同記者会見を行い,「台湾独立の頑迷分子による国家分裂,国家分裂扇動の犯罪を法に基づいて処罰することに対する意見」を公表した。
2度目は10月国慶節の頼総統演説に反発する形で,14日午前5時から午後6時まで,軍事演習「聯合利剣‐2024B」を実施した。台湾島を包囲する形の演習としては,通算3回目となる。その目的は主要な港湾や地域の封鎖であり,中国軍のSNSでは「挑発が増せば,締めつけはきつくなる」と威嚇した。このほか,中国の艦船や軍機などによる台湾海峡の中間線越えの常態化や航空路の変更など,力による一方的な現状変更が続いた。
中国の動きに対し,欧米諸国は,「台湾海峡の安定と平和の重要性」等に言及することで高い関心を示し中国をけん制するとともに,台湾海峡の航行によって国際航路としての実態維持に努めた。「台湾海峡の平和と安定の重要性」,「両岸関係の平和的解決」,「台湾の国際組織への有意義な参加支持」の表明は,イタリアのプーリアで開催されたG7サミットの共同声明をはじめとして多くの機会でなされた。日米をはじめ,マレーシア,韓国,ニュージーランド,オーストラリアなどの二国間の首脳会談や,国連総会での一般討論演説など,さまざまな機会において,台湾海峡の平和と安定の重要性への高い関心が表明された。また,国際航路としての台湾海峡の実態を維持するため,米国をはじめカナダ,ドイツなどの海軍の艦隊が台湾海峡を航行した。近年,フランス,イギリスなどのフリゲート艦の航行がみられたが,2024年は6月にオランダ,7月にカナダ,9月には22年ぶりにドイツのフリゲート艦と補給艦が北上した。米国海軍の艦隊は7月,8月に,台湾海峡を航行したことを明らかにした。さらに,9月には,日本の海上自衛隊護衛艦が台湾海峡を初めて通過し,続いてオーストラリア,ニュージーランドの艦隊が航行した。10月の中国の軍事演習後には,米海軍ミサイル駆逐艦,カナダ海軍フリゲート艦,フランス軍艦が通航するなど,台湾海峡の「封鎖」と国際航路としての維持をめぐるせめぎ合いが続いた。
中台関係の緊張とエスカレートの抑制2月14日,金門島東方の北碇島付近で違法操業をしていた中国漁船が,第12巡防区艦隊分署第9海巡隊の追跡から逃走中に転覆して4人が落水し,全員救助され病院に搬送されたが,2人が死亡する事故が発生した。国台弁報道官朱鳳蓮は,「民進党当局が取り締まりを口実に危険なやり方で大陸の漁民に対応した」と非難した。翌日,行政院大陸委員会は,事故に遺憾の意を表明し,海巡署員は法に従って適切に職務執行をしたと説明したが,巡隊は現場で映像を撮影していなかった。
事故直後から中国海警局は,金門島周辺海域や馬祖周辺での巡視活動を強化しはじめた。台湾の観光船に臨検を行うなど実効支配強化の動きを強め,いわゆる「禁止水域,制限水域」を無効だと主張した。2月から3月にかけ,中台間で15回にわたる協議が行われたが,合意に至らなかった。7月30日に,台湾の海巡署は当日の追跡映像を撮っていなかったことを謝罪し,死亡した漁師の遺族に1人当たり600万台湾元(約3000万円)を超えるとみられる見舞金を支払うこと,死亡した乗組員2人の遺体と漁船を返却することで合意した。一方,7月2日に中国海警局が福建省付近で中国の休漁期間中に違法操業をしたとして台湾漁船の乗組員5人を拿捕したが,うち4人が8月に解放され,船長は11月に罰金を支払い解放された。
軍事演習だけではなく,こうした離島周辺海域での中国によるパトロール強化や民間航路の一方的変更など,台湾への圧力はさまざまな形で強められ,緊張状態が続いた。しかし,具体的な問題の処理にあたっては,中台ともに対立を一気にエスカレートさせることなく,実務的な妥協点を見出し自制的に対応した。
議員交流の継続的発展5月の正副総統就任式には,米国,日本,シンガポール,カナダ,欧州議会など国交のない国からの来賓を含め,200人にのぼる海外からの来賓が参列した。米国バイデン政権は,元国家経済会議議長のブライアン・ディーズ,元国務副長官リチャード・アーミテージ,ブルッキングズ研究所上級研究員リチャード・ブッシュ,現米在台協会(AIT)理事長ローラ・ローゼンバーガー,第70代国務長官マイク・ポンペオを非公式の代表団として派遣した。公式行事への参加以外に,1~5月半ばまでの蔡英文総統時期と5月半ば以降の頼清徳総統時期のいずれも,国交のない国々から多くの議員団が台湾を訪問した。こうした議員団の訪問によって,台湾への高い関心と共通の価値に基づく連帯が示され,蔡政権の現状維持政策を継承するとした頼清徳政権への国際的な信頼も維持された。
米国議会との関係は,1月9日に兪大㵢駐米代表と会談したマイク・ジョンソン下院議長(共和党)が「米議会は台湾とともにある」と述べたように,超党派での議員交流を基盤に安定したものとなった。9月9日には,米議会下院で「台湾紛争抑止法」が全会一致で可決された。この法案は,2023年に共和党フレンチ・ヒルと民主党ブラッド・シャーマン両議員が共同で提出したもので,中国が台湾へ侵攻した際,中国高官が世界中にもつ不正資産を公開し,資産を凍結するなどの制裁措置を可能とする内容であった。
2月EU欧州議会は,共通外交・安全保障と共通安全保障・防衛政策の執行報告書を可決した。このなかで,中国が台湾を領土とする主張には国際法上の基礎がまったくないことや,台湾と中国は互いに隷属しない,台湾において選挙で選ばれた政府のみが台湾の人民を代表することができるなどの内容が盛り込まれた。「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」との認識は,台湾や各国指導者の言及の如何にかかわらず,西側諸国で共通する現状認識となっている。チェコ,ルーマニア,イギリス,オーストラリア,コソボ,イスラエル,ニュージーランド,ドイツ,カナダ,アイルランド,リトアニア,オランダ,フィンランド,欧州議会などから,数多くの議員団が台湾を訪問した。超党派の議員団との交流は,台湾と各国議会との安定的な関係につながっている。
一方,台湾要人の海外訪問としては,3月に蕭美琴次期副総統が欧州議会,チェコ,ポーランド,リトアニアなどを訪問した。また,10月には蔡英文前総統がチェコ,フランス,ベルギーを訪れたが,イギリス訪問は実現しなかった。11月,林佳龍外交部長が欧州議会,リトアニア,ポーランドなどを歴訪した。蔡英文総統時代に進んだ,チェコ,リトアニアや欧州議会らとの関係強化が継続された。
米国バイデン政権との安定的関係と大統領選挙米国バイデン政権との安定的な関係は継続し,2024年の1年間にバイデン政権が台湾への武器供与を決定したのは7回,バイデン政権のもとでは通算19回となった。2月,米国製先端戦術データリンク・システムなど総額7500万ドル(約112億5000万円)相当の兵器供与の決定にはじまり,12月には19回目となる3億ドル近くの武器・装備売却が議会に通知された。また,10月,前年に続き2回目となる「大統領在庫引き出し権限」(PDA)で,最大5億6700万ドル(約817億円)の軍事支援をすることも発表され,同月30日にもPDAの枠組みで最大5億7130万ドル(約894億円)の軍事支援が発表された。12月には台湾の自己防衛力維持支援「台湾安全保障協力イニシアティブ」等を含む2025会計年度の国防権限法が可決された。
7月,AIT台北事務所の新所長に,レイモンド・グリーンが就任した。グリーン所長は,直前まで駐日大使館の駐日首席公使を務めた知日派だが,それ以前に台湾滞在歴も2度ある。就任後は,野党優勢の立法院の状況や米大統領選挙をふまえ,さまざまな機会に台湾の自己防衛力強化の重要性やインド太平洋地域での連携の必要を語った。10月には中国語でインタビューに答え,「誰が大統領に当選しても,米国の対台湾政策は変わらない」と発言し,台湾の一部で提起されている米国への不信の払しょくに努めた。
一方,頼政権は米大統領選挙の結果にかかわらず安定した米国との関係継続を目指し,民進党秘書長林右昌らを8月末から訪米させたほか,12月初旬には国家安全会議副秘書長林飛帆,徐斯倹らがワシントンを訪問した。米国新政権誕生前に,意思疎通が試みられた。
頼清徳総統の初外遊と正式な国交樹立国との関係強化1月15日,ナウルとの外交関係の断絶により,国交を有する国は12カ国となった。これらの国交のある国々とは,大統領就任式への参列など,公式行事を通じた相互訪問が行われた。1月,グアテマラのベルナルド・アレバロ新大統領就任式典には,呉釗燮外交部長が総統の特派大使として参列し,マーシャル諸島のヒルダ・ハイネ大統領就任式には田中光政務次長が特使として参列した。2月にはエスワティニ王国ポリレ・シャカントゥ外務・国際協力大臣ら一行が訪台したほか,グアテマラ共和国の森林火災に台湾から30万ドル相当の物質供与など,協力と連携が維持された。
5月の頼清徳総統就任式には,パラグアイ,パラオ,ツバルなど8カ国の首脳が参列した。こうした国交樹立国のうち9カ国が,9月に台湾の国連参加を支持する共同書簡を国連事務総長宛てに送り,またパラグアイは個別に書簡を送るなど,台湾が参加していない国際組織への呼びかけが継続された。10月23日から,林佳龍外交部長は,グアテマラ,セントビンセントおよびグレナティーン諸島,セントルシアなど5カ国を訪問した。続いて頼総統は,11月30日から12月6日にかけてマーシャル諸島,ツバル,パラオなど太平洋地域3カ国を歴訪した。これは総統就任後の初の外遊である。この外遊の往路にハワイのホノルルに2日間滞在し,復路で米領グアムに立ち寄り,米下院議長マイク・ジョンソン(共和党)らとテレビ電話会談を行った。しかし,米国本土は経由できなかった。
国連決議2758関連の決議と実務的活動の成果1971年の国連総会で,中華人民共和国を中国の代表として承認した2758決議(アルバニア決議)への正確な理解を求める活動が強化された。国際的な議員連盟である「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)は,香港問題を契機に2020年6月4日に設立されたものだが,現在40カ国以上の250人を超える国会議員により構成されている。7月に台北で開催されたIPAC第4回サミットには24の国・地域から49人が参加し,民進党の范雲立法委員と民衆党の陳昭姿立法委員が共同代表を務め,与野党双方からの参加を求めるIPACの条件を満たしたため台湾の正式な参加も認められた。台北サミットで「国連決議2758に関するIPAC声明」が出された後,8月以降オーストラリア上院,オランダ,欧州議会,カナダ,英国議会,チェコ下院などで国連決議2758に関連する動議が可決された。
11月15~16日にペルーのリマで開催されたAPEC首脳会議には,経済部長,行政院副院長を歴任した総統府資政の林信義が出席した。林は,政府主導の投資会社・台杉投資管理顧問公司の董事長でもあり,陳水扁政権でも代表としてAPECに参加したことがある。当初元副総統の陳建仁の派遣を打診したが,ペルー政府からの同意が得られなかった。林は,APECで台湾の食品ロスなどへの具体的な取り組みを紹介し,APEC域内の食糧安全保障の強化についての貢献をアピールした。石破茂首相とも,50分にわたり会談し,半導体産業分野や防災での連携強化,環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(TPP11/CPTPP)加盟への台湾の強い意志を伝えた。また,米バイデン大統領とも非公式の対話を行った。
11月に英国グラスゴーで開催された国際刑事警察機構(インターポール)第92回年次総会では,70カ国の参加者から台湾の加盟を支持する声があがったが,加盟実現には至っていない。しかし,実質上の成果としては,新たな進展がみられた。海外を拠点として特殊詐欺に関与した罪で指名手配され,ポーランドで身柄を拘束された男性が,2024年1月15日に台湾側に引き渡された。これは,ポーランドとの「刑事司法合作協定」に基づき,法務部経由で引き渡し請求と交渉を行った結果,実現した。外国政府からの引き渡しに成功した初事例となった。また,2月には,薬事規制当局国際連携組織(ICMRA)が,台湾の衛生福利部食品薬物管理署の準会員としての加入を認めた。
関係基盤の拡大で安定化する日台関係日台関係は,災害時における支援をはじめ,超党派の議員交流なども活発に行われ,頼清徳総統就任後も安定的な関係が維持された。1月1日に能登半島地震が発生すると,4日に外交部は復興支援として政府から日本に6000万円の義援金を提供すると発表した。5日から19日の2週間のみ開設された義援金口座には,台湾の市民や団体から5億4000万元(約25億円)の寄付が集まった。
日本からの訪問も活発であった。1月から5月までの間に,日本台湾交流協会大橋光夫会長,日華議員懇談会(日華懇)古屋圭司会長をはじめ多くの要人が,蔡英文総統と頼清徳副総統への表敬訪問に台湾を訪れた。国民党のホープと目される蒋万安台北市長は,5月に国際会議参加のために日本を訪問して小池百合子都知事や麻生太郎自民党副総裁らと会談を行った。超党派の議員連盟である日華懇は,頼清徳総統就任式に,これまでで最多となる31人の国会議員で参加し,頼総統は就任式当日に昼食会を開催した。古屋圭司会長は,その前日夜,退任する蔡英文総統の夕食会に故安倍晋三元首相の妻である安倍昭恵とともに参加したほか,韓国瑜立法院長とも昼食会を開き,超党派での連携を進めた。10月の国慶節祝賀式典には,日本の衆議院選挙のために古屋会長らは参加できず,山東昭子前参議院議長を団長として滝波広文ら5人の参議員が参加した。
8月13日,石破茂元幹事長,前原誠司,中谷元,長島昭久ら6人が,超党派議員グループ「日本の安全保障を考える議員の会」として訪台した。同月21日には,外交部と財団法人両岸交流遠景基金会共催の「ケタガラン・フォーラム:2024インド太平洋安全保障対話」で,野田佳彦元総理が基調講演を行った。自民党と立憲民主党は9月に党首選挙を行い,石破,野田がそれぞれ党首に選出された。石破が総理大臣に就任すると,中谷元が防衛大臣に任命され,訪台をしたメンバーが重要な役職につくことになった。
江啓臣立法院副院長は,超党派の訪問団を組織して積極的な議員外交を行い,最初の訪問先として日本を訪れた。江副院長は14人の超党派議員団を率いて3月に来日し,「日本・台湾・パラオ国会議員交流会2024」,「アジア太平洋国会議員連合(APPU)第52回総会」に参加したほか,日華懇メンバーとも面会した。台湾側では4月に立法院で第11期「台日交流聯誼会」が設立され,100人を超える議員連盟となった。8月には,江啓臣副院長率いる超党派の立法委員12人が大分を訪れ,日本台湾親善協会会長の衛藤征士郎ら超党派の議員と国会議員同士による初のサッカー親善試合を行うなど,超党派での議員外交が積極的に行われた。
日本との広い交友関係をもつ頼清徳総統は自分の信頼する人物を要所に配置するなど,日本との新たな関係づくりに向けた動きがみられた。8年間駐日代表を務めた謝長廷が退任し,後任には前考試院副院長の李逸洋が指名され9月に着任した。李逸洋は日本との関係はほとんどないが,内政部長,総統府資政などを歴任し,頼総統の信頼が厚い人物である。また,頼総統が台南市長だった時期に,台南市の外交顧問を担ったことがある台南在住の野崎孝男を,8月1日付けで行政院政務顧問に任命した。12月には,民進党秘書長林右昌らが大阪と東京を訪問し,日本維新の会のメンバーや高市早苗前経済安全保障担当相,森山裕自民党幹事長ほか,立憲民主党野田代表,国民民主党古川元久代表代行,玉木雄一郎議員らとも会談して,各党との意見交換を行った。
(清水)
行政院主計総処は2024年4月29日,30年ぶりに「家庭財富分配統計(2021年度版)」の公表を再開した。2021年の五分位階級(各家計の所得を少ない順から並べて人口で5等分したもの)の最上位と最下位の差は66.9倍,家計ジニ係数は0.606となった。半導体および情報技術関連産業は活況だが,これらの産業に従事する労働者とそれ以外の労働者との間での所得格差が指摘されており,中長期的な懸念事項となりえる。
対外関係では,米国トランプ政権との安定した関係構築が最重要の課題となる。立法院での予算案削減や政局運営の難しさが,米国との関係構築のうえでも大きな重荷になると考えられる。さらに,欧州諸国と米国の関係の揺らぎやウクライナ戦争の停戦をめぐる動き,米中関係の展開など,大きな情勢の変化が予想され,それらが台湾にどのような影響を与えるか,緊張感の高い1年となる。
(清水麗:麗澤大学外国語学部教授)
(吉田知史:博士[政治学][同志社大学])
| 1月 | |
| 1日 | 「交通部台湾鉄路管理局」を会社化し,「国営台湾鉄路股份有限公司」が設立。 |
| 13日 | 総統選挙・立法委員選挙,投開票。 |
| 13日 | 呉釗燮外交部長,総統特使としてグアテマラ新大統領就任式に参列。 |
| 15日 | ナウルと断交。 |
| 15日 | 民主進歩党元主席・施明徳氏死去(83歳)。 |
| 17日 | 田中光外交部政務次長,総統特使としてマーシャル諸島新大統領就任式典に出席。 |
| 18日 | 台湾積体電路製造(TSMC),高雄において3つ目となる2ナノメートルの先進半導体工場の建設計画を発表。 |
| 2月 | |
| 1日 | 立法院,院長に中国国民党の韓国瑜,副院長に江啓臣選出。 |
| 7日 | 交通部観光局,中国がM503航路の運行方式を変更したことを受け,旅行業者による中国への団体旅行の募集取りやめを要請。 |
| 7日 | 小池百合子都知事訪台。蔡英文総統,頼清徳副総統,蒋万安台北市長らを表敬訪問。 |
| 14日 | 金門島東方の北碇島付近で,違法操業をしていた中国船が,海巡署第12巡防区艦隊分署第9(金門)海巡隊に追われ逃走中に転覆,2人死亡。 |
| 16日 | 台印移民労働者協力に関する覚書(MOU),署名。 |
| 16日 | 財政部,住宅保有税の2025年5月からの比率引き上げを発表。 |
| 22日 | 行政院会議,国家発展委員会による「大シリコンバレー計画」を承認。 |
| 24日 | TSMC熊本第1工場,操業開始。 |
| 26日 | 国民党副主席夏立言訪中。29日には上海で国務院台湾事務弁公室(国台弁)主任宋濤と会見(~3月3日)。 |
| 27日 | 経済部投資審議会,独自動車部品大手ZFフリードリヒスハーフェンとの合弁会社の立ち上げなどを含む鴻海による3件の投資案を承認。 |
| 29日 | インド政府,タタ・エレクトロニクスと力晶積成電子製造(PSMC)によるグジャラート州での半導体工場設立計画,承認。 |
| 3月 | |
| 4日 | 衛生福利部,全台湾統一の診察料(取掛号費)上限規定,廃止。 |
| 12日 | 東京開催のアジア太平洋国会議員連合第52回総会に,江啓臣立法院副院長を団長とする14人の議員団が参加。 |
| 14日 | 東亜経済人会議第51回台日双方代表合同会議開幕。 |
| 14日 | 第10回台日漁業委員会開催。従来の操業ルール継続に合意。 |
| 17日 | 蕭美琴次期副総統,チェコ,ベルギー,ポーランド,リトアニアを訪問(~23日)。ベルギーでは,欧州連合(EU)欧州議会カラス第一副議長と会談。 |
| 18日 | 鄭文燦行政院副院長,TSMCが嘉義サイエンスパークに2つのCoWoS先端パッケージング工場を建設すると発表。最初の工場は5月に着工,2028年量産開始予定。 |
| 21日 | 加権指数の終値,2万199.09ポイント。史上最高値を更新。 |
| 22日 | 経済部,4月1日から平均電気料金の約11%引き上げを発表。 |
| 22日 | 中央銀行,政策金利を0.125ポイント引き上げ,2.0%に。 |
| 4月 | |
| 1日 | 馬英九前総統訪中。広東省,陝西省を回り,10日には北京の人民大会堂で習近平総書記と会談(~11日)。 |
| 3日 | 花蓮東部沖でマグニチュード7.2規模の地震が発生。死者18人,負傷者1155人,行方不明2人。 |
| 8日 | TSMC,2ナノメートル以下の先進半導体を生産するアリゾナ第3工場の建設計画を発表。 |
| 19日 | 中国商務部,台湾から輸入するポリカーボネートに対して,4月20日から反ダンピング関税発動を決定。 |
| 22日 | インド台湾商工会議所,発足。 |
| 26日 | 傅崐萁立法院国民党総召集人率いる17人の国民党立法委員訪中,王寧滬らと会談(~28日)。 |
| 29日 | 行政院主計総処,30年ぶりに「家庭財富分配統計」を公表。2021年の家計資産ジニ係数は0.606。 |
| 29日 | 米台貿易イニシアチブ第2段階,台北で2回目の対面交渉(〜5月3日)。 |
| 29日 | 自民党青年局長鈴木貴子衆議院議員を団長として11人来訪(~5月3日)。 |
| 5月 | |
| 2日 | 行政院会議,「0403震災復興プラン」,決定。 |
| 9日 | 「大綬景星勲章」を垂秀夫・在中国前日本大使に授与。 |
| 15日 | 立法院,戸籍登記や旅券申請で,原住民族言語による原住民名の単独表記を可能とする「姓名条例」改正法案可決。 |
| 15日 | 台北市長蒋万安,東京訪問(~18日)。 |
| 20日 | 民進党頼清徳,第16代総統就任。副総統に蕭美琴就任。 |
| 23日 | 中国軍事演習「聯合利剣-2024A」実施(~24日)。 |
| 24日 | 鴻海,米テキサス州ヒューストン工場に1400万米ドルの増資を行うと発表。 |
| 31日 | 中国国務院関税税則委員会,台湾製の石油化学品など134品目について,6月15日から,海峡両岸経済枠組み協定(ECFA)に基づく関税優遇措置を取り消し。 |
| 6月 | |
| 4日 | 台北国際コンピューター展(COMPUTEX)が開催(〜7日)。 |
| 4日 | 鴻海,NVIDIA GB200サーバーを核とする先進コンピューティングセンターを高雄に建設する計画を発表。2026年完成予定。 |
| 4日 | TSMC,劉徳音董事長が退職,魏哲家総裁が董事長兼総裁に就任。 |
| 5日 | 日本の農林水産省,台湾産の赤肉種や紫赤肉種のドラゴンフルーツの輸入解禁。 |
| 10日 | 海巡署,淡水河河口に侵入した小型ボートの中国籍男性を逮捕。 |
| 13日 | 中央銀行理監事会,7月1日から,住宅ローンに対する6度目の選択的信用管理措置,および預金準備率0.25ポイント引き上げ,決定。 |
| 19日 | 頼清徳総統,「国家気候変動対策委員会」「全社会防衛レジリエンス委員会」「健康台湾推進委員会」の設置を発表。 |
| 21日 | 郭智輝経済部長,セレクトUSA投資サミットへの参加などで企業家を率いて訪米。 |
| 7月 | |
| 6日 | 鄭文燦,桃園市長時代の収賄容疑で逮捕,海峡両岸基金会理事長辞任(7日)。 |
| 8日 | 新世代スパコン「創進一号」(Forerunner 1),サービス開始。 |
| 15日 | 経済部エネルギー署,「2023年度全国電力資源需給報告」を発表。2023年の再エネ比率は9.5%。 |
| 15日 | 労働基準法第54条が改正。労使協議後に満65歳になっても定年延長可能に。 |
| 18日 | 「行政院経済発展委員会」が設置され,第1回委員会議を開催。 |
| 26日 | EU,台湾の洋上風力発電の域内調達要求を不当としてWTOに提訴。 |
| 27日 | 台湾電力第3原発1号機,運転免許が満期となり運転停止。 |
| 30日 | 「対中政策に関する列国議会連盟」(IPAC)台湾特別議会年次総会開催。 |
| 8月 | |
| 8日 | 国家気候変動対策委員会,第1回会議開催。 |
| 13日 | 石破茂自民党元幹事長ら超党派議員グループ6人訪台。頼総統を表敬訪問。 |
| 15日 | 行政院会議,国家発展委員会による「国家発展計画(2025〜2028年)」を承認。 |
| 20日 | TSMC,ドイツ・ドレスデン工場の着工を発表。欧州委員会,欧州半導体法に基づいてドイツ政府による50億ユーロの補助金を承認。 |
| 20日 | 金門県議会議長洪允典ら北京訪問。 |
| 21日 | 経済部,AMDによる台南と高雄での研究開発拠点の設置計画を発表。 |
| 21日 | 台北市内ホテルで,「ケタガランフォーラム:2024インド太平洋安全保障対話」開催,野田佳彦元総理ら基調講演。 |
| 21日 | 中国福建省公安庁,福建省戸籍あるいは居住証を持つ住民による連江県(馬祖列島)への個人旅行と団体旅行を解禁。 |
| 27日 | 龔明鑫行政院秘書長,劉鏡清国家発展委員会主任委員,呉誠文国家科学及び技術委員会主任委員,陳正祺経済部政務次長,「半導体投資配置視察団」としてチェコを訪問(〜31日)。 |
| 28日 | 国民党副主席夏立言,江西省廬山で宋濤中国国台弁主任と会見。 |
| 28日 | 卓栄泰行政院長,「行動101策略」発表。 |
| 29日 | 環境部,「炭素費用徴収弁法」「自主削減計画管理弁法」および「炭素費徴収対象の温室効果ガス削減指定目標」(炭素費用3子法)を発表。 |
| 31日 | 柯文哲台湾民衆党主席,逮捕。 |
| 9月 | |
| 2日 | 中国海関総署,台湾産ブンタンの輸入再開。 |
| 2日 | 経済部台米産業協力推進オフィス,アリゾナ州台湾貿易投資オフィスとMOUを締結。 |
| 3日 | 国際半導体製造装置材料協会(SEMI),産官学研で「SEMIシリコンフォトニクス産業連盟」(SiPhIA)を設立。 |
| 3日 | 行政院経済発展委員会第1回顧問会議,開催。 |
| 4日 | 労働部,2025年1月1日から最低賃金を約4.08%引き上げると発表。 |
| 5日 | 国家発展委員会,「5大信頼産業推進プラン」の詳細を発表。 |
| 9日 | 前考試院副院長李逸洋,駐日代表着任。 |
| 10日 | 経済部,「台湾卓越無人機海外商機連盟」(無人機連盟)の成立を発表。 |
| 14日 | 海巡署,新北市林口海岸付近で中国からゴムボートで来た男性1人を発見,確保。 |
| 18日 | 中国国務院関税税則委員会,9月25日から,台湾産の農水産物34品目の関税免除措置停止を発表。 |
| 18日 | 国家発展委員会,海外スタートアップ拠点設置計画における最初の拠点としてTOKYO HUBを設立。 |
| 19日 | 中央銀行理監事会,10月1日から,住宅ローンに対する7度目の選択的信用管理措置,および預金準備率0.25ポイント引き上げを決定。 |
| 24日 | 郭智輝経済部長,訪日。TSMC熊本工場視察後,木村敬熊本県知事と会談。 |
| 25日 | 衛生福利部,5県(福島県・茨城県・栃木県・群馬県・千葉県)の野生鳥獣肉・きのこ類・コシアブラについて,放射性物質検査報告書および産地証明書の添付を条件に輸入停止を解除。5県以外の放射性物質検査報告書の添付義務を撤廃。 |
| 25日 | 国民党副主席連勝文,瀋陽市で宋濤中国国台弁主任と会見。 |
| 26日 | PSMC,タタによるインドでの12インチウエハー工場建設へ協力する内容の契約を締結と発表。 |
| 27日 | SBIホールディングス,宮城県で新設する計画の半導体工場につき,PSMCとの提携解消を発表。 |
| 27日 | 中国福建省公安庁,福建省戸籍あるいは居住証をもつ住民による金門県への個人旅行と団体旅行を解禁。 |
| 30日 | 経済部,10月16日から,産業用電気料金の平均12.5%引き上げを発表。 |
| 10月 | |
| 7日 | 環境部,炭素費用の基本徴収率を1トン当たり300元とすると発表。2025年から制度を導入し,2026年から徴収開始。 |
| 7日 | 総統府資政27人,国策顧問76人,無任所大使10人に招聘状授与。 |
| 9日 | 中央銀行,3大協力措置を発表し,住宅ローンに対する第7波選択的信用管理措置の調整を実施。 |
| 10日 | 国慶節113周年記念式典。 |
| 12日 | 蔡英文前総統,チェコ,フランス,ベルギー訪問(~19日)。 |
| 13日 | 基隆市長謝国梁,リコール投票実施,リコール不成立。 |
| 14日 | 中国軍事演習「聯合利剣-2024B」実施。 |
| 17日 | TSMC,熊本第2工場について,2025年1〜3月に着工と発表。 |
| 21日 | 台湾炭素取引所,「国内減量額度取引プラットフォーム」での取引を正式開始。 |
| 21日 | 台湾電力第3原発2号機,大規模点検を開始(〜11月30日)。台湾内の全原発が稼働停止に。 |
| 23日 | 林佳龍外交部長,グアテマラなど5カ国歴訪(~11月2日)。 |
| 24日 | 第5回米台経済繁栄パートナーシップダイアログ(EPPD),開催。 |
| 25日 | 憲法法廷,立法院職権行使法を一部合憲,一部違憲判決。 |
| 11月 | |
| 8日 | 経済部,洋上風力発電の開発事業者に対する現地調達要求を緩和。これを受けEU,WTOへの提訴を停止。 |
| 12日 | 林信義APEC特使,APEC首脳会議参加のためペルーへ渡航(〜19日)。 |
| 15日 | 米商務省,CHIPSおよび科学法に基づくTSMCアリゾナ工場への66億ドルの補助金を確定したと発表。 |
| 15日 | 林佳龍外交部長,欧州議会,リトアニア,ポーランドなど欧州歴訪(~25日)。 |
| 18日 | 元立法院長王金平,厦門で宋濤中国国台弁主任と面会。 |
| 30日 | 頼清徳総統,マーシャル諸島,ツバル,パラオ3カ国歴訪。往路はハワイに2日間滞在,復路は米領グアム経由(~12月6日)。 |
| 12月 | |
| 6日 | 交通部観光署,2024年の訪台旅行客数が延べ700万人を超えたと発表,うち日本からの訪台者が最多で約118万人。 |
| 7日 | 林右昌民進党秘書長,訪日(~10日)。 |
| 10日 | 「米台貿易イニシアチブ」第1段階協定,発効。 |
| 12日 | 呉志中外交部政務次長,総統府特使としてソマリランド訪問,大統領就任式典参列。 |
| 14日 | 郭智輝経済部長,ブリュッセルを訪問し,ザビーネ・ウェイアンド欧州委員会貿易総局長と「台湾・EU貿易及び投資対話」(TID)を,マイヴ・ルテ欧州委員会成長総局と「台湾・EU産業対話会議」(IPD)をそれぞれ開催。 |
| 17日 | 米商務省,CHIPSおよび科学法に基づくグローバルウェーハズへの最大4億600万ドルの補助金を支払ったことを発表。 |
| 18日 | 郭智輝経済部長,独ドレスデンとチェコを訪問(~19日)。「台湾・チェコ産業発展協力MOU」締結。 |
| 18日 | 元総統馬英九,3度目の訪中。ハルビンで宋濤中国国台弁主任と面会。 |
| 20日 | 立法院,憲法訴訟法,選挙罷免法,財政区分法を可決。 |
| 27日 | 熊本県,TSMC熊本第1工場の量産開始を発表。 |

(注)1)「山地原住民区」は例外的に「地方自治団体」とされ,また「区民代表会」が設置される。
(出所)総統府(https://www.president.gov.tw/),行政院(https://www.ey.gov.tw/),司法院(https://www.judicial.gov.tw/),考試院(https://www.exam.gov.tw/),監察院(https://www.cy.gov.tw/)ウェブサイトより作成。

(注)1)*は女性。2)下線に加え,6直轄市の市長は行政院会議(閣議)に列席可能。また,行政院と総統府の連携強化のため,総統府副秘書長を閣議への招致が可能。3)国立故宮博物院長は閣議への出席は行政院会議議事規則で求められていない。

(注)*は女性。

(注)1)2020年2月にソマリランドと二国間協定を締結し,相互に国家承認した。ただし,台湾のほかにソマリランドを国家承認している国はない。2)1)を除き,台湾と正式に国交を締結している国は12カ国。

(注)人口は年末時点。労働力人口は年平均。為替レートは年平均。
(出所)人口・労働人口・失業率:内政部ウェブサイト(https://manpower.dgbas.gov.tw/),消費者物価指数:行政院主計総処ウェブサイト(https://www.dgbas.gov.tw/),為替レート:中央銀行ウェブサイト(https://www.cbc.gov.tw/)。

(注)2024年11月に国民所得統計における各定義や算出方法が改定された。2018年から2023年はすべて修正値。2024年は暫定値。
(出所)行政院主計総処ウェブサイト(https://www.dgbas.gov.tw/)。

(注)2024年11月に国民所得統計における各定義や算出方法が改定された。2018年から2023年はすべて修正値。2024年は暫定値。
(出所)表2に同じ。

(注)2023年は修正値。2024年は暫定値。
(出所)財政部ウェブサイト(https://www.mof.gov.tw/)。

(注)2019~2023年は修正値。2024年は暫定値。IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。したがって,金融収支の符号は(+)は資本流出,(-)は資本流入を意味する。
(出所) 中央銀行ウェブサイト(https://www.cbc.gov.tw/)。

(注)2024年は法定予算。歳入および歳出には中央政府債発行に伴う収入と償却費が含まれないため,歳入と歳出は一致しない。債務費は中央政府債の利子支払いである。また,この数値に特別予算に対する決算は含まれていない。2020~2023年は審計部によるチェック後の数値に修正。
(出所)表2に同じ。

(注)承認ベース。建設業,卸売・小売業,情報通信業,金融・保険業はいずれも修正値。
(出所)経済部投資審議司ウェブサイト(https://www.moea.gov.tw/Mns/dir)。