Acta Phytotaxonomica et Geobotanica
Online ISSN : 2189-7050
Print ISSN : 0001-6799
On the Stag-horned variety of Drymoglossum piloselloides PRESL.
Z TERUYA
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1932 Volume 1 Issue 2 Pages 197-200

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Abstract

Comptoniphyllum は楊梅科の Comptonia に酷似せる化石植物にして東亞の古第三紀上部より新第三紀下部に亙りて産す,其葉は共に線状披針形なれども Comptonia は羽状に深裂し Comptoniphyllum は羽状に全裂するの差あり,裂片は共に卵状三角形にして先端は鋭形又は著しく鈍形なり,兩氏は第三紀東亞には二種の Comptoniphyllum が分布せし事を明にせり,一は Comptoniphyllum Anderssoni FLORIN で長葉柄を有し裂片は下部に漸々と小形となるのみならず先端著しく鋭形なり,北支那,滿洲,樺太に分布せり.一は Comptoniphyllum Naumanni NATH. (=C. japonicum NATH.) にして短太の葉柄を有し,裂片は鈍頭にして下部のもの上種の如く漸々と小形になることなし,北朝鮮,樺太,蝦夷島,本州に分布せり.化石楓(Liquidamber)は歐洲,北米の第三紀中上部に稀ならず,最古の化石は北米の始新世の初より發見されしものなり.日本にては蝦夷島の古第三紀上部以來新第三紀を通じて分布し,現世は臺灣と南支那に分布するのみ,日本産の化石種は二種で,一は Liquidamber formosana HANCE (楓)にして漸新世以來第三紀まで化石として出るが,東京の新第三紀中部よりも産せり,尚著者等は北米オレゴン州の第三紀や獨逸の第三紀にも之を産すと云ふ考なり.二は Liquidamber europaeum AL. BRAUN にして歐洲及北米の第三紀に普通なるものなるが日本の中新世初より鮮新世の終りまでにも之を産するが之を前者に比すれば頗る稀である.楓は強き陽樹なるを以て日本洪積世に於ける最初の氣候變動の際に絶滅したるか又は西南方に逃れたり.(小泉源一)

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© 1932 The Japanese Society for Plant Systematics
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