2024 Volume 33 Issue 3 Pages 61-66
5 度目の妊娠中の 3 歳のチワワが重度の非再生性貧血を呈し,妊娠 36 日目に他院から紹介来院した。胎児への影響を考慮し無治療で経過観察したが,第 8 病日に貧血の進行を認め,全血輸血後に全身麻酔下で人工中絶および 骨髄検査を実施した。骨髄検査の結果,赤血球系前駆細胞の重度低形成を認め赤芽球癆(PRCA)と診断した。第 17病日よりプレドニゾロンによる治療を開始したが,治療反応は乏しく第 24 病日にシクロスポリンを追加した。また,第 24 病日と第 36 病日に全血輸血も実施した。全血輸血はこれまでに 4 度実施し,いずれも赤血球寿命が非常に短いものであった。特に第 24 病日に 3 度目の輸血を行った 12 日後の第 36 病日には急激な貧血の進行を認め,遅発性溶血性輸血反応(DHTR)を疑った。その後は貧血の改善を認め,プレドニゾロンとシクロスポリンにより,第 314 病日現在,治療継続中である。