Online Journal of JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
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2024 Volume 6 Issue 2 Pages 119-120

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研修概要

1. 研修施設名

尾道市立総合医療センター 公立みつぎ総合病院

2. 研修期間

2023年11月6日~11月10日

報告

この度,幸運なことに参加者として選定され,広島県にある公立みつぎ総合病院で研修を受けることが出来た.私がこの公立みつぎ総合病院を希望したのは「地域包括ケアシステム」を基盤として活動され,病院・介護施設・在宅部門それぞれに栄養サポートチームが設置され,部門間で連携し入院中だけでなく,退院後も継続した支援を実施しているということで,介護老人保健施設やグループホームなどの介護施設がある当院でも即実践に活かせるのではないかと思ったためである.

当方の研修要望が『施設間の栄養管理連携について』ということであったため,その要望にお応え頂き,病院だけでなく施設や在宅での活動状況について広くカリキュラムを組んで頂いた.

公立みつぎ総合病院は病院から在宅までの一貫した医療やケア提供および予防医療の確保にも取り組まれており,さらにその中で栄養ケアも展開させ支援を行っている.在宅Nutrition Support Team(以下,NSTと略)・院内NST・施設NSTとどの場面においてもNST支援があるということが分かる.しかも在宅・施設だけでなく院内でも加算のとれない回復期や地域包括病棟などでも回診に積極的に多職種で行っていた印象であった.中でも,回復期病棟においてNST医師とは別にリハ医師が参加され,食べることを重要視されているということに管理栄養士として非常に嬉しく思った.

公立みつぎ病院では在宅NSTは入院時にNST支援していた方へのフォローを継続することが目的であったが,訪問看護や訪問リハに栄養士が帯同し在宅の食事フォローをして多職種でカンファレンスを行い,是正を目指していた.このカンファレンスにもNST医師が参加される.さらに施設NSTにも病院より医師が参加しており,施設NST参加スタッフが元々病院スタッフであったこともあり場所が異なっているだけで内容は病院と差異が無いという印象であった.施設入所時より栄養問題を抽出し早期にNST支援を開始しており,施設生活を長く続けるための基盤となっていると感じた.

研修期間中,私はしつこいように加算の有無を尋ねていたがほぼ「無い」という回答が多かったように思う.もちろん訪問栄養指導など加算を取っているところもあるが割合としては「加算が無い」方が多かった.しかし在宅生活を長く続けるために食事・栄養は不可欠であり加算に囚われず必要なところに向かうことが重要だということを体現されているのだと感じた.

公立みつぎ総合病院は病院に入ってすぐに「地域包括ケアシステム」を図式化されたものが大きく掲げられていた.これは地域住民の方々にもこの地域包括ケアシステムがどういったものであるかということが分かるものとなっている.在宅介護に直面した時にどういった支援やサービスがあるのかということを事前に知っているか,いないかでは向き合い方が異なってくるように思う.この図を目にしておくだけでも在宅介護のイメージを頭の片隅に留めることは出来るように思った.

今回,在宅で経腸栄養で過ごされている方に触れ合う機会があった.これまでも全く皆無であったわけではないが,極少数であった.しかし,ここでは当たり前のように在宅経腸栄養の方がいた.(訪問栄養やデイサービスでの栄養評価など栄養士のサポート有り)さらにNST回診時にも今後の想定として在宅経腸栄養管理のお話もされていたため,在宅経腸栄養・在宅介護は非常に身近なものであるということが印象付けられた.このシステムを作り上げられた大きな要因は医療だけでなく行政まで巻き込んでいることだと思われる.病院と隣接して行政機関である保健福祉センターがあり,退院後の情報共有やサービスの調整がし易いのだと感じた.

この研修を終え現状を振り返り,病院所属であることもあるが,栄養管理が入院生活だけで完結してしまっていたと反省する機会となった.退院後の関わり方としてまずは在宅低栄養患者へのアプローチを開始しようと思った.より長く在宅生活を継続するために,栄養状態の維持は必須であるためである.退院後の継続した栄養アプローチを受け入れてくれるような環境づくりを行い,その後様々な連携へ発展していけるように頑張りたいと思った.

今回このような機会を与えてくださった日本栄養治療学会(旧:日本臨床栄養代謝学会),研修で受け入れて頂いた公立みつぎ総合病院に感謝いたします.

写真1.「地域包括ケアシステム」の図式化
写真2.ご教授頂いた先生方と

 

掲載している写真は,被写体となった方から掲載への同意を得ています.

 
© 2024 Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition Therapy
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