2024 Volume 6 Issue 2 Pages 121-122
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
2. 研修期間2023年12月18日~12月22日
3. 講師森みさ子先生
初めに,当院は佐賀県小城市にある200床未満の2次救急医療機関である.地域密着型として,ひらまつ病院グループの関連施設も多くあり医療機関としての機能だけでなく,様々なスポーツ活動にも取り組んでいる.そこで私は外来看護師として勤務しており,毎週木曜日のNutrition Support Team(以下,NSTと略)回診に合わせてNST専門療法士としての活動を1日中行っている.普段は外来に所属しているため,病棟のリンクナースや入退院支援ナースと連携し情報収集を行っている.今回国内研修支援制度に応募した理由として,体が栄養不良の状態では,どんなに高度な治療を用いても患者さんの生命予後は不良になると私は思っている.物事の原点を知りたい,そして,新たな学びの場を別に設けて専門療法士として,看護師として出来ることを増やしたい.その思いが栄養療法の知識や技術向上を目指すきっかけとなり,今回の研修では自分自身への課題を知った.毎日充実した5日間の研修であったと感じている.私達看護師は常に患者さんの側で診療,療養上の世話を行っている.食事介助や清潔ケア,観察の他,疾患に関連するアセスメント能力も必要とされ,治療方針を理解し実施することから始まる.看護師は患者さんがどこから来ていて,どこへ帰るのかを常に考える.私は以前当院でのNST介入者の平均年齢を,算出し介入平均年齢が87歳であったことにとても驚いた記憶がある.それだけ高齢者による入院が多いと言うことに加え,ここで最も問題とするのは,疾患の治療が終わっても栄養不良により元居た場所への帰宅が出来ない高齢者が増えて来ていることである.「早く家に帰りたい.」看護師はほぼ毎日のようにその訴えを聞いている.私自身の勝手な考えやイメージでは3次救急病院は成人期が多いだろうと予測していた.しかし3次病院でも高齢者の入院や栄養不良が多いと知った時は意外であった.そこでの研修で最も驚いたことは,Activities of Daily Living(以下,ADLと略)拡大の判断基準を医師主体ではなくセラピストと呼ばれるPhysical Therapist,Occupational Therapist,Speech Language Hearing Therapistが共通する評価基準を元に主導して行っていたことだ.また回診でも患者さんのADLレベルの状況を説明し,その状況に合わせた栄養療法を皆で主導していた.さらには必要なスキルとする呼吸療法認定士などの資格もほぼ全員が持ち合わせている.ベッドサイドでの可動域訓練の実施よりも,患者を起こしてリハビリ室へ連れていく.その間に看護師はよりよい環境整備が行える.チームとしてのうまい連携である.高齢者に限らず患者さんは,ベッド臥床が長くなればなるほど,その弊害とするリスクは高くなり1日臥床することでの筋力低下は3~5%低下すると報告されている.それに加え栄養不良状態では,褥瘡形成や易感染のリスクが高まって治療が終わらないと言う負のスパイラルに陥ることもある.栄養不良を予防するための対策としていかにADL低下を防ぎ動かすかということが重要な要素となる.自分で動ける患者さんはまだいいが動くことが出来ない患者さんでは医療者側の対応で随分変わってくる.早期離床の重要性を考えさせられ自身の看護の振り返りとなった.次に感じたことは研修病院の学ぶ姿勢にある.常に教育病院としての機能があり,問題解決を行おうとする能力に長けていること,またそれぞれの専門看護師の知識や技術を生かして伸ばしそれを用いて情報の共有をしているところだ.自分への知識として,高めるだけでなく共有することに意味がある.目標を決め理解しあい仲間と協力する.個人での知識の理解だけでは終わらない.そのことを病院全体へ広めて行くことには時間がかかる.当院でもNST回診の日は,リンクナースがオレンジ色のスクラブを着て活動を行っている.この色に決めた理由としては,どこにいてもNSTの看護師を見つけて欲しい.全員が一致しNSTとしての自覚を持ち,リンクナースとしての役割を行うことが最も大事だと考えたからだ.いつも近くで,患者さんの観察を行う看護師は患者さんの様々な変化に気づきやすい.そしてその活動は意見交換の際の他施設から良いと褒められた部分でもあり,とても嬉しい気持ちになった.さらに重要な栄養管理業務での栄養士はプロであり,食品の進歩に伴い,栄養剤も改良されてきている.その選定や投与方法の工夫もかなり必要となっており,現在は病棟専従の管理栄養士もいて,すぐに相談出来る看護師同様に非常に身近な存在である.以前私は患者さんの部屋に訪問し,回診の挨拶を行うと「来るのが遅かったね.」と言われたことがあった.「どうして遅いと感じたのか」と尋ねたところ,その人は「食事を食べていないのは,患者のサインだ.私はとろみがついているのを食べたくない.歯があるからちゃんと噛んで食べたいんだよ.食事は患者の一番の楽しみ.何故残しているのか気付いて欲しい.それが看護師ではないのかな?」と.その方は94歳であり元々元気な方で私達看護師は,最初にも述べたようにいつも患者さんがどこから来ていてどこへ帰るのかを考えることが多い.そして又患者さん自身も安心して帰る場所を求めている.元の生活に戻りたい.いつまでも元気でいたい.病院は疾患の治療だけで終わりではない.その人にあった個別性のある看護が求められる.
2. 所感・感想今回研修したことの最大の学びは,何のためのチーム医療なのかという一言に尽きる.それは患者さん自身のため.私は足すよりも引くことも大事だといつも考えている.患者さんは食事を食べなくても薬だけは飲むことが多い.その薬を必死に飲ませようと工夫する.しかし意識せずに食べているが,食物を認識し口へと運び,咀嚼して飲み込む.その行動は様々な機能を使っている.また美味しい物を食べることは心も同時に満たす.何故食べられないのか,栄養不良の原因となる薬剤はないか,減量可能か,工夫出来ることはないか,嚥下機能は?ADLは?一番先に必要なことは,現状の振り返りである.そしてその内容を評価した上で患者さんが何を望み何を期待するのか,それぞれの専門性を生かすことが問題の解決へと繋がる.まずは自分自身が行動する.私が思うチーム医療はそれぞれが自分の出来ることをすることだ.

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