Online Journal of JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
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2024 Volume 6 Issue 2 Pages 123-124

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研修概要

1. 研修施設名

北里大学病院

2. 研修期間

2024年1月26日~2月1日

報告

今回の研修における志望動機は,在宅栄養管理を充実するために急性期栄養管理の最前線を学び,在宅での患者の受け入れ,病院側での退院促進,入院前の代謝合併症の予防や重症化の予防に関連する栄養学的側面からのアプローチの検討である.現状の課題点として挙げられるのは,病院と在宅の違いをお互いに理解できていないという点であると考えている.

1. 実習内容

1日目:全体のオリエンテーションを受けた.その後,病棟内での診療科ごとの退院支援カンファレンスに参加した.医師,看護師,Social Worker,退院支援センター,理学療法士らが隊員に向けての課題などを話し合っていた.退院するにあたり在宅医療の導入が必要なケースは指導が必要であったり,安定した栄養摂取の確認ができるまでは退院できないという状況が散見された.その後,病棟の案内や施設内の見学をさせていただいた.院内はとても広く幅広い分野の診療科外来があり,人の数の多さにも驚いた.午後は,厨房見学をさせていただきクックチル方式の内容や実際の調理の場面を見学した.これまで知識としてはあったが,実際の厨房を見るとこれだけの規模の食事を提供することの大変さを目のあたりにした.その後,病棟で管理栄養士と看護師,薬剤師による病棟内Nutrition Support Team(以下,NSTと略)カンファレンスに参加した.北里大学病院栄養部の紹介などを含めたオリエンテーションも受けた.メニューの更新やコンテストによる調味料の検討など様々なところで積極的に改善を目指しており,検食でいただいた昼食もとても美味しかった.

2日目:消化器外科カンファレンスに参加した.上部消化管チームのカンファレンスで,上級指導医が医師へ鋭く質問していたり,英語でのプレゼンテーションを行い,学会発表の予演会のような取り組みをしており,常に診療の質を上げるための努力をされているように感じた.専従管理栄養士による病棟ラウンドへ同行した.病棟内の退院前カンファレンスも参加した.午後は病棟ラウンドの続きに同行し,専従の管理栄養士が病棟に浸透しており顔の見える関係がよくできていることを体感した.医師からも看護師からも通りがかりに話しかけられたり,ワゴンを引いてラウンドする姿はとても新鮮であった.定期評価だけではなく,気になる患者には積極的に声をかけ病棟内の状況を把握するため看護師と連携をとっている姿は病棟の栄養管理に間違いなく役に立つことでありタスクシフト・タスクシェアがうまくできていると感じた.

3日目:General Intensive Care Unit(以下,GICUと略)・Emergency Intensive Care Unit(以下,EICUと略)の見学を行った.EICUでは医師とメディカルスタッフのカンファレンスに参加し,意見交換されていた.そこでは医師が病態の状況と治療方針を話し合い,看護師,リハスタッフ,薬剤師,管理栄養士へ意見を求めチームで救命センターの患者に関わっていることを強く感じた.EICUでは関節熱量測定の患者がおり,測定の見学を行った.急性期で挿管下であっても関節熱量測定によって基礎エネルギー量の測定ができることはとても有利である.エネルギー量の設定と栄養投与の評価を行い,より質の高い栄養管理に繋がりそれを管理栄養士が行っており,病棟との連携も取れていた.その後,GICUの早期経腸栄養管理加算の実際を見学した.この加算の1番のネックは多職種が集まるということであると考えていたが,医事課と連携し算定要件なども細かく確認し効率の良い方法で回診をされており,定期モニタリングは全て管理栄養士が行っているとのことで驚いた.午後はNST回診に参加した.NST医師が緊急手術となり参加できず算定はできないとのことだが,管理栄養士が進行し検査技師,薬剤師,看護師,研修医が参加された.患者一人一人に各職種からコメントの確認をし,栄養管理の方針を確認していた.その後,外科病棟の病棟NSTに参加した.

4日目:婦人科病棟の見学.Total Sport Center(TSC)カンファレンスとその後に病棟NSTカンファレンスに参加した.外来栄養指導も見学し,飛び込みでの栄養指導の場面もあり,とても勉強になった.病棟専従管理栄養士への同行も行い,周術期,化学療法中の栄養管理も学んだ.

5日目:腎臓内科の専従管理栄養士とともにラウンドを回った.午後はまとめと事業紹介・成果報告会の場をいただき,懇親会で情報交換をさせていただき終了となった.

あっという間の5日間であったが,これまでのNSTや栄養管理の体制から,ときどき入院ほぼ在宅,地域共生社会の構築などの社会的な背景を受けて今後あるべき栄養管理体制や連携について考察することができた.病院と在宅との連携について顔の見える関係を築くことができ,病院でどういうことをしているのか,在宅ではどういうことができるのかなどの情報交換もできた.こういった機会がなければ,在宅のものが病院の実態を知る機会もなかっただろうし,在宅での現状をお伝えする機会もなかったと思うと,とても有意義な実習であると感じた.

最後に実習を受け入れてくださった北里大学病院栄養部の皆さま,今回の企画を運営していただいた将来構想委員会のメンバーの先生方,消化器外科カンファレンスでご指導いただき,検食もご一緒させていただいた比企理事長に深く御礼申し上げます.

写真1.カンファレンスへの参加
写真2.お世話になった栄養部の方々

 

掲載している写真は,被写体となった方から掲載への同意を得ています.

 
© 2024 Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition Therapy
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