Online Journal of JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
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2024 Volume 6 Issue 3 Pages 177-178

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研修概要

1. 研修施設名

愛知医科大学病院

2. 研修期間

2024年2月26日~3月1日

報告

2024年2月26日から2024年3月1日の5日間,愛知医科大学病院にて国内施設研修支援制度の研修を終えました.

今回,私が参加するきっかけとなったのは,自施設でもNutrition Support Team(以下,NSTと略)ラウンドに携わっているが,近年介入件数の伸び悩みや介入患者のアセスメントに自信がなく疑問を感じながら活動していました.そのような中で,日本栄養治療学会(旧:日本臨床栄養代謝学会)より,このような研修制度の機会を知り,最前線のNST活動を行っている施設で学べる機会を与えて頂きましたので報告します.

研修先である愛知医科大学病院は,世界の栄養学会が新しく低栄養の診断基準として設けたGlobal Leadership Initiative on Malnutrition(以下,GLIMと略)基準を用いた栄養アセスメントを取り入れた活動をされています.900床の急性期病院で,NST回診は,専従を置き,週4回のアセスメント回診・週1回のコンサルテーション回診から成り立っています.アセスメント回診は全成人入院患者に対し,65歳未満にはMalnutrition Universal Screening Tool(以下,MUSTと略),65歳以上の高齢者にはMini Nutritional Assessment Short-Form(以下,MNA-SFと略)を用い,栄養リスク症例を特定し,MUSTスコア2点,あるいはMNA-SFスコアが11点以上の栄養リスク症例はNST回診の対象となり,NSTチームがベッドサイドで栄養アセスメントを行っています.低栄養診断には,GLIM・ASPEN・ESPEN・悪液質の基準を用いて行うため,問診に加え,上腕皮下脂肪厚,下腿周囲長,握力,浮腫の評価といった身体測定も行っています.アセスメント結果に基づき,栄養ケアプランを提示しています.またSARC-Fを用いたサルコペニアのリスク判定も行っています.回診時に患者へ手渡す栄養治療計画書の裏面へ身体測定の結果を記載し手渡すことで,患者自身も低栄養の意識付けとなっているのが実感できました.コンサルテーション回診は,主治医よりNST介入の依頼があった患者さんを対象に,医師,歯科医師,管理栄養士,看護師,薬剤師,臨床検査技師,歯科衛生士でミーティング,回診,回診後記録を実施しています.その結果,2024年1月時の実績は,栄養スクリーニングは18歳以上の入院患者の95.4%に実施し,スクリーニングした内36.7%に低栄養のリスクがあり,NSTアセスメント回診と病棟管理栄養士アセスメントで72.0%の栄養評価を行っていました.

また研修中に緩和ラウンド・緩和外来にも参加させて頂きました.がん患者に対する栄養管理は,個々の状態に応じたケアプランが必要であり,治療期においては栄養摂取量の減少を防ぐ栄養プランやサルコペニア予防への取り組みを行っていました.

今回の研修は少人数での受け入れでしたので,質問しやすく,疑問点や不明点はその都度繰り返し教えて頂けました.また実際に身体測定を体験したり,報告書の作成にも関わることができ,短期間ではありましたが,研修を通して新しい知識と技術を習得することが出来,非常に学びの多いものになりました.早速自施設へ持ち帰り,チームで共有し取り入れたいと思います.何より愛知医科大学病院のNSTチームの雰囲気が良く,職域関係なく,回診以外にもメンバーが集まり,相談したり,アットホームな環境でした.今回このような貴重な機会を与えて下さった日本栄養治療学会(旧:日本臨床栄養代謝学会),並びにお忙しい中研修の受け入れをして下さった愛知医科大学病院の皆様に感謝いたします.今年だけに限らず,このような研修機会が続けてあることで,今後のNST活動の活性化につながるのではないかと思います.

 

掲載している写真は,被写体となった方から掲載への同意を得ています.

写真1.回診前のミーティング
写真2.患者の元へ回診
 
© 2024 Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition Therapy
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