Online Journal of JSPEN
Online ISSN : 2434-4966
REPORT OF CONFERENCE
Overseas conference participation supported by the 2024 JSPEN future research project
Chiharu Uno
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2025 Volume 7 Issue 1 Pages 45-46

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 はじめに

このたび,2024年度未来研究プロジェクト海外学会参加費助成に採択をいただき,2024年9月7日から10日にかけてイタリア・ミラノで開催されました,第46回欧州臨床栄養代謝学会学術集会(The 46th ESPEN Congress on Clinical Nutrition and Metabolism;以下,ESPENと略)に参加いたしました.文化芸術面では世界最大級の大聖堂を中心とした数々の歴史遺産が多い地域であり,豊かな食文化を有する魅力あふれる街である,北部イタリア最大の都市といわれるミラノで開催されました.私は,はじめてのヨーロッパ訪問ということもあって,マルペンサ空港に到着後の移動の際に目にした歴史的な建造物や日本とは異なる街並みすべてがとても新鮮で,どの瞬間も写真に収めておきたいほど感動の連続でした.国内での学会参加にはない国際学会に参加するという独特な不安や緊張がありましたが,一気に,この地でどのような新たな学びや経験を得ることができるのだろうという楽しみに変わりました.

 ESPEN Congress 2024の会場の雰囲気と研究内容について

学会会場には,ヨーロッパを中心に,128か国,4,820人もの研究者が世界中から集まり,発表数は1,200件を超え,会場は活気にあふれ,大変にぎわっていました.ESPENには今回がはじめての参加であった私にとって,世界最先端の臨床栄養に関して直接学ぶことが出来る大変貴重な充実した4日間になりました.私は,3日目のポスターセッションで,Association between Malnutrition Assessed by the Global Leadership Initiative on Malnutrition Criteria in community-dwelling older adultsというタイトルの研究成果を発表させていただきました.現在,本邦だけでなく世界規模で高齢化が急速に進展するなかで,健康寿命の延伸と人生100年時代を見据えた社会の実現が求められ,一人ひとりの健康づくりや疾病の発症予防と重症化予防が今後ますます重要となってくると考えられています.住み慣れた地域で適切な医療や介護を安心して受けられる社会の構築が必須であり,地域包括ケアシステムの一層の推進を図る必要があると言われています.そのなかで喫緊の課題として,生活習慣病の増加,低栄養,フレイル対策等があげられており,これらの課題を解決するために,栄養状態の維持・向上,適切な栄養ケアが必要不可欠とされています.このような背景から,地域における栄養ケアの推進に向け,地域在住の高齢者の栄養状態を,Global Leadership Initiative on Malnutrition基準を用いて評価を行い,フレイルとの関連を検証しました.広大なポスター会場で,多くの優れた研究に囲まれながら,自分の研究が展示され,世界中から集まった専門家たちがポスター発表に熱心に目を通している様子をみて,大変光栄であり,胸が躍る思いでした.ポスター発表の形式は,指定された時間にポスターの前に立ち,質問者と英語でフリーディスカッションを行うという方法でした.そのディスカッションの時間には,地域における栄養ケアの実態について複数の研究者と議論することができました.しかし,今回の学会への参加に向けて研究の方法や内容については準備していたものの,決して語学が得意とは言えず英語でのディスカッションは苦手なこともあり,私の拙い語学力では思うように伝えることが出来ず,自身の能力不足を痛感し,英語力の向上の必要性を再認識しました.

 ESPEN Congress 2024を終えた今

海外学会に参加することで,世界各国の研究者のシンポジウムや口演を拝聴することでき,多くの学びを得ることができました.また,日常とは異なる訪れた国の風土や慣習に触れ,新たな環境や人との出会いなどから広い視野を手に入れることができたと感じています.ディスカッションを行った研究者とは連絡先を交換し,学会終了後の現在もメールでの交流が続いています.海外学会に参加することで得られた国際的な交流と新たな知見を得られたことは,海外の学会に参加しないと経験できない何にも代えられない大変貴重な機会になりました.

未来研究プロジェクト海外学会参加費助成の募集を学会事務局からのメールで知ったものの応募には躊躇していました.2015年の国際学会での発表が研究活動のスタートであり,これまで多くの先生方にご指導いただきながら研究を続けています.今回の参加費助成採択の連絡をいただいたときは,驚きもありましたが,大変光栄であり,これからも研究へのモチベーションにもなりました.海外学会参加を通じていただいた学びを忘れずに,これからの研究活動に活かしていきたいと思います.また,今回の経験を少しでも学会に還元できるように励んでいきたいと考えております.このたびは誠にありがとうございました.

 謝辞

このたび海外学会への参加の機会を与えていただきました,一般社団法人日本栄養治療学会理事長の比企直樹先生,未来研究プロジェクトワーキンググループグループ長の鍋谷圭宏先生はじめ,未来研究プロジェクト海外学会参加費助成委員会の先生方に御礼申し上げます.

写真1. ESPEN congress会場前にて
写真2. 会場にて
 
© 2025 Japanese Society for Parenteral and Enteral Nutrition Therapy
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