Folia Pharmacologica Japonica
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Review: New Trends in Drug Discovery Research
Advancing the drug discovery ecosystem for innovative medicines
Masayuki IiTakahiro Tanaka
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2024 Volume 159 Issue 4 Pages 235-240

Details
要約

Axcelead Drug Discovery Partners株式会社(Axcelead DDP)は,日本では初となる統合型創薬ソリューションプロバイダーである.創薬経験豊富な研究者が,武田薬品工業から継承した創薬プラットフォームや専門知識を駆使し,最新のサイエンスと技術も活用しながら,顧客と協業することにより,革新的な医薬品の創出に貢献している.本稿では,製薬業界の環境変化や創薬研究の新たなトレンドに触れながら,Axcelead DDPの提供するサービスや保有する独自の強み,そして顧客に提供できる価値(ソリューション)を紹介する.さらに,日本のバイオコミュニティの現状を概観し,日本における真の創薬エコシステムの発展に果たすべき役割や,取り組みについても述べる.

Abstract

Axcelead Drug Discovery Partners (Axcelead DDP) Inc is the first integrated drug discovery solution provider in Japan. Leveraging drug discovery platforms and knowledge inherited from Takeda Pharmaceutical Company, Ltd. alongside the latest science and technology, our experienced scientists with rich track records promote drug discovery research and contribute to co-creation of innovative drugs together with customers. In this article, we provide an overview landscape of the pharmaceutical industry and emerging trends in drug discovery research, and introduce Axcelead DDP’s services, its unique strengths, and the value (solutions) delivered to customers. Furthermore, we describe the current state of Japan’s bio-community and the roles and challenges for the development and enhancement of a true drug discovery ecosystem in Japan.

1.  はじめに

新規医薬品を創出するためには,10年以上の長い年月と多大なコストが必要であるが,創薬の成功確率は低下するとともに研究開発費は増加の一途をたどっており,製薬企業にとって生産性の向上が課題となっている13).近年は,創薬研究の環境が急速に変化しており,新薬の開発に向けた取り組みも前例のない速さで進んでいる.細胞,核酸,遺伝子など治療モダリティの多様化やAIなどの技術革新が目覚ましく,製薬企業はこれらの最新技術を取り入れることにより創薬研究能力を高め,生産性の向上を目指している.しかし,多様な最新技術を製薬企業各社が幅広く抱えることは極めて困難であり,各社が自社の強みを正確に把握し,自社で保有するコア領域を戦略的に選択した上で,外部のユニークな技術や知見を積極的に活用することで研究生産性を向上し,革新的医薬品を創出することが求められている.実際,多くの企業が自前主義からの脱却を図っているが,自国内外の様々なネットワークを通じて社外の多様な技術や専門性を受け入れ,自社での研究「インターナルリサーチ」と,それを補完・補強する「エクスターナルリサーチ」を戦略的に組み合わせ,いかに活用できるかが成功の鍵になる.

エクスターナルリサーチは,企業の戦略やニーズによって異なるアプローチが取られているが,

①個々の企業が魅力的な創薬シーズや技術を有するアカデミアやベンチャー企業等へのアクセスを目的とした提携,共同研究

②特定のテーマに対して,大学や研究機関,ベンチャー等から幅広く共同研究や協業,ライセンス提案を募る公募プログラム

③複数の研究機関や製薬企業が知見や技術を持ち寄り,共同で新たな技術基盤を構築・活用するコンソーシアム型協業

④研究のスピードやコスト効率を向上させるため,幅広‍いあるいは特定の実験技術を提供するContract Research Organization(CRO)へのアウトソーシング

などが挙げられる(図1).これらの従来の方法に加えて,創薬経験の豊富なサービスプロバイダーであるPartnership Research Organization(PRO)との共同作業が注目を集めている.PROは,キャパシティや技術を補完する従来型のCROとは異なり,創薬のプラットフォームをベースに顧客のパートナーとして,イノベーションを共創する役割を担っている(図2).委託者とPROが共にアイディアを出し合い,イノベーションを追求する共創型の協業は,日本ではまだ一般的ではないが,海外では広く浸透しつつある.これらのエクスターナルリサーチは,製薬企業の事業の選択と集中が迅速に進む中,柔軟な研究予算の活用や生産性の向上が推進されており,急速に拡大している.特に,アウトソーシング市場は年平均10%の成長率を維持しており,今後ますますの成長が期待されている4).スピードや効率性を追求するだけでなく,イノベーションを求める協業への需要も高まっており,創薬研究における新たなトレンドの形成が進行している.

図1エクスターナルリサーチの形態
図2Partnership Research Organization(PRO)の特徴

2.  Axcelead Drug Discovery Partners株式会社(Axcelead DDP)とは

Axcelead DDPは,2017年7月に武田薬品工業の創薬研究プラットフォームを引き継ぎ,日本の製薬業界において,初めての統合型創薬ソリューションプロバイダーとして,事業を開始した.『創薬に携わる人々に寄り添うベストパートナーとして,画期的な医薬品の創出に貢献する』ことをミッションとして掲げ,『すべての企業,ベンチャー,アカデミアや公的研究機関に選ばれ続ける創薬ソリューションプロバイダー』,『基礎研究から臨床応用研究への橋渡しを行う,創薬エコシステムのハブ』を目指している.スクリーニング,化学,薬理・生物,薬物動態,安全性など,創薬に不可欠な研究機能を一拠点に集約し,がん,中枢疾患,免疫疾患,心循環・代謝性疾患をはじめとした,幅広い疾患領域をカバーし,ターゲット探索から臨床開発までの長い創薬過程で生じる様々な課題に対するソリューションを提供している.

Axcelead DDPでは,研究技術・機能の幅広さだけでなく,豊富な創薬知識と100を超える臨床試験実施申請(IND),20を超える新薬承認申請(NDA)に携わった経験豊富な人材が多数在籍している.革新的な医薬品の創製には,単に高い技術やスキルを有するだけではなく,創薬経験の豊富な専門家集団が自身の専門領域を越えて連携し,INDやNDAに向けて多面的な角度から課題解決に取り組むことが不可欠である.Axcelead DDPのサイエンティストの多くは,国内外の製薬企業で長年にわたり創薬に従事してきた創薬のプロフェッショナルであり,顧客とも議論を重ねながら,顧客のパートナーとしてシナジーを生み出すことにより,最適な解決策を見出している.また,約150万化合物からなる世界最大級の化合物ライブラリーや膨大な創薬研究データを有していることは,他に類を見ないAxcelead DDPの大きな特長である.事業を開始するまでの武田薬品工業時代に集積した創薬データにアクセスすることが許可されており,個々のサイエンティストに紐づく技術・知識・経験のみならず,客観的な創薬データを参照することにより,創薬を進める上で生じる様々な課題に対して解決策を提案,提供することが可能である.創薬研究は成功確率が極めて低い事業であるため,過去の成功例だけでなく,多くの失敗例からも学ぶことは,成功確度の向上や生産性の観点で非常に重要と考えている.

3.  創薬支援体制

Axcelead DDPは,創薬に必要な5つの主要機能,すなわち,スクリーニング,化学,薬理,薬物動態,安全性の部門(ビジネスユニット)から成り立っており,ターゲット探索から臨床開発までの創薬過程の全てを機能別にカバーするとともに,顧客がアクセスしやすく,ベストパートナーとして密接に協働できるよう,オペレーショナルエクセレンスを実行する創薬支援体制を整えている.

スクリーニング部門においては,業界最大級の創薬用化‍合‍物ライブラリーを活用し,目的に合わせた適切なスクリーニング戦略の立案・評価系構築を行う.そして,高度に自動化されたシステムによる迅速なHigh Throughput Screening(HTS)を実行し,シームレスで統合的なプロセスによりヒット化合物を取得する.化学部門では,スクリーニングで得られたヒット化合物群から,メディシナルケミストが有望なケモタイプを選別のうえ,他部門とも密に連携しながら,リード化合物の創製と最適化,すなわち「モノづくり」を主導している.Axcelead DDPでは,「モノづくり」においては,低分子及びペプチド創薬に豊富な経験と強みを有している.薬理,薬物動態,安全性部門では,各種疾患領域のin vitro,in vivoの薬理,薬物動態,安全性評価に加えて,低分子やペプチドに限らず,各種モダリティや創薬コンセプトの統合的かつ多面的な評価・検証を実現する.具体的には,がん,中枢疾患,免疫疾患,心循環・代謝性疾患等の幅広い疾患領域の専門性と,バイオインフォマティクス・オミックス・病理解析機能・遺伝子改変動物作製といったバイオロジープラットフォームを融合させ,低分子化合物に留まらず,核酸・細胞治療など様々なモダリティの評価だけでなく,疾患と関連性の高い創薬ターゲットの同定や妥当性の検証,さらには難易度の高い疾患モデルの構築を実施している.

さらには,「モノづくり」で創製された候補化合物を,非臨床開発や当局への申請や交渉に豊富な経験を持つサイエンティストが,申請業務やガイドラインに関する深い知識を活かしてIND用試験内容やデザイン等のマネジメントや,コンサルテーションを行う事で,開発候補化合物を迅速に臨床へと導いている.

4.  Axcelead DDPの提供するソリューション

このような体制で我々が提供する創薬ソリューションは,大きくは「創薬サービス」及び「プラットフォームサービス」の2つに分けられる.

1) 創薬サービス

HTSを通じたヒット化合物の同定から始まり,リード化合物の創製・最適化,候補化合物の選定,さらにはIND申請用試験など,創薬における幅広いプロセスをカバーし,海外を含めて様々な顧客から創薬プロジェクトとして受託し,革新的医薬品の創出に貢献している.このような創薬プロジェクトの推進には,イノベーションとオペレーショナルエクセレンスの両方が欠かせない.より迅速に,より優れた候補化合物を創製すべく,研究者の独創的なアイディアを引き出すことを促進し,個々の研究プロセスを効率化・短縮化する取り組みを進めている.たとえば,ヒット探索の段階では,試験のミニチュア化や自動化を進めることにより,年間30本以上のHTSを実施することを可能としている.また,多様なターゲットやフェノタイプに対する700以上のHTSの経験に基づき,創薬ターゲットや作用機序に応じた多様なフォーカスライブラリーも有しており,多様なHTSプラットフォームを駆使して,90%以上の確率でヒット化合物を同定している.

リード創製・最適化の初期段階では,自動合成装置を活用したパラレル合成により,短時間で多数の化合物を合成して構造活性相関(SAR)を取得できる.また,独自のドラッグデザインインシリコツールである「A-CODE」や,高速化された物性,吸収・分布・代謝・排泄・毒性(ADMET)‍などの評価機能を活用し,質の高い「デザイン-合成-評価-解析(DMTA)」サイクルをスピーディーに回すことにより,トータルとしてのタイムラインを大幅に圧縮させることを可能としている.さらには,効率化,迅速化を目指して,AIによる各種パラメーターの予測モデルや構造生成モデルの構築,活用を進め,取り組んでいる.

リード化合物の最適化により得られた開発候補化合物に対しては,国内以外の申請業務や当局対応の経験を活かして,最適な申請用データパッケージをデザインし,適切な試験マネジメントを通じて迅速にデータを取得することにより,非臨床開発期間の短縮や適切な意思決定に貢献している.さらに,臨床での適切な投与量や薬物動態・薬効を予測するにあたっては,ファーマコメトリクスを得意とするLAP & P社との連携により,非臨床から臨床ステージまでのシームレスなPK/PDモデリング&シミュレーションも可能となっている.

2) プラットフォームサービス

プラットフォームサービスにおいては,例えば,高度に自動化された化合物保管倉庫や高速なADMETデータ取得を可能にするHigh Throughput-ADMET(HT-ADMET)など,大規模なシステムが創薬のオペレーショナルエクセレンスを実現する.具体的には,溶解度や代謝安定性などの化合物の物性プロファイルの評価では,自動化システムを活用して毎週数百の化合物を評価し,数日で評価結果を提供することが可能である.このようにして,圧倒的な効率性と迅速性を兼ね備え,20年以上のスクリーニング経験によって洗練された技術で得られる堅牢なデータを通じて,顧客に高速なDMTAサイクルを提供している.

各企業も同様の機能や効率化を目指した研究基盤を構築しているが,このような設備を所有するためには,導入や維持に対する投資だけでなく,人件費なども含めて大きな固定費が必要となる.また,その研究基盤に必要なスキルや知識を保有する人材の獲得が困難な場合もある.そこで,Axcelead DDPのプラットフォームを戦略的に活用することで,必要な試験を必要なボリュームで,必要なタイミングで実施することができる.これにより,研究基盤への投資を固定費から変動費にシフトさせることが可能となり,生産性の向上だけでなく,研究期間の短縮による研究の効率化も期待できる.例えば,HT-ADMETの機器を自社で稼働させる場合は,効率を考慮すると評価すべき化合物がある程度集まってから評価する,すなわち評価結果を得られるまでの時間が長くなる.一方,Axcelead DDPでは多くの顧客から依頼いただくため,HT-ADME等の機器が常に稼働しており,タイムリーに評価結果が得られ,次の新しい化合物デザインに迅速に活かすことが可能である.

このように自身の強みを活かした様々なサービスを提供しているが,顧客のニーズはそれ以上に多種多様であり,科学技術も日々進歩しているため,Axcelead DDPでは,これらに柔軟に応えるため,先端的技術を保有する10社以上のパートナーとの戦略的提携を活用している.これにより,核酸や再生医療といった新たなモダリティやAIやiPS細胞などの最先端の技術の顧客提供を可能にしている.例えば,AI企業のFRONTEO社との協業では,FRONTEO社の有する独自の自然言語解析AIを用いて見出されたユニークな創薬ターゲットや対象疾患(仮説)に対して,Axcelead DDPの多様な検証プラットフォームやツールを用いてシームレスに検証し,さらにはそれらのターゲットに対して創薬を進める事により,革新的な医薬品を効率的に創製することが可能になる.また,当社が保有するマルチオミックスプラットフォームとのシナジーにより,他に例を見ない創薬ターゲット・メカニズム探索も可能になる.これ以外にも,新たな技術・サービス開発にも力を入れており,特に初期モノづくり機能や多様なモダリティの評価機能を中心に,創薬基盤の強化に積極的に取り組んでいる.代表的なものとして,新たな低分子医薬品のモダリティであるTargeted protein degrader(TPD)やRNA標的創薬がある.両者とも,Axcelead DDPが保有する約150万の化合物ライブラリーからTPDやRNA標的創薬用に選択したフォーカスドライブラリーや,RNAスプライシングを指向したオリジナルの新規化合物ライブラリー(RNA splicing-focused library)をベースに,従来の低分子では難しかった創薬ターゲットについてもヒット化合物の探索を行うものである.ライブラリーだけではなく,AS-MS(Affinity Selection Mass Spectrometry)等を用いたスクリーニングプラットフォームやヒット化合物の各種プロファイリングプラットフォームも整備し,新たなTPDやRNA創薬の統合的支援サービスを整備している.また,iPSC等を用いたフェノティピックスクリーニングの拡大や,そのヒット化合物のターゲット同定にも力を入れており,化合物と薬理情報が紐づいたアノテーションライブラリーの併用に加え,プローブによる化合物のラベル化を行い,化合物と結合したタンパク質をLiquid Chromatography Mass Spectrometry(LC-MS)により検出・分析することで直接ターゲットを同定するケミカルプロテオミクスや,化合物によって誘導される遺伝子発現変動を次世代シーケンサーにより分析し,特定の遺伝子発現パターンからターゲット/パスウェイを予測するフィンガープリンティングを実施し,ターゲット同定,作用機序探索も可能としている.こうしたアプローチにより,ヒット化合物と共に真に疾患に関連した質の高い創薬ターゲットを提供し,顧客のニーズに応えることを目指している.

5.  社員の成長支援

Axcelead DDPでは,サービスの強化だけでなく,それを提供する従業員の顧客志向性や主体性の養成,それを育む風土の醸成,そして社内外への情報発信にも積極的に取り組んでいる.社名やロゴマークの決定には,社内公募による提案とその想いを募り,従業員全員参加による投票を行った.また,事業計画の策定に際しては,サイエンスに限らず人事関連や事業全体を俯瞰しながら,Axcelead DDPとして真に取り組むべき課題とその解決策を従業員全員から募り,経営層による協議・選別の上,事業計画に織り込んでいる.そこには,情報管理の徹底や顧客満足度の向上なども含まれている.

個人と会社の双方の成長を促進するための個別のプログラムとしては,複数の部門から集まったメンバーが,ワンチームとして,全社レベルで解決すべき課題の発掘と選定をするとともに,解決策を合わせて策定するAction Learning Programを行っている.また,課題発掘や課題解決策提案力の向上をベースとする価値創出力向上プログラムや,新規技術・サービス開発に関するアイディアについて社内サポーターを募ってインキュベーションするプログラム等,職位や組織を超えて一緒に考えチャレンジするこれらの取り組みにより,個人と会社の成長を促している.

6.  日本のバイオコミュニティへの貢献

新しい産業や技術の創出を促進し,イノベーションを推進するための取り組みの一環として,日本政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と宣言し,ヘルスケアやバイオを成長産業の一つとして認識し,国家戦略として積極的な取り組みを行っている.世界最高水準の研究成果が期待できる大学を育成し,その研究成果を活用するため,「10兆円ファンド」が設けられ,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)では,「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」が推進され,認定ベンチャーキャピタル(VC)制度も導入された.これに伴い,創薬プレーヤーや民間VCの数や規模が増加している.しかし,欧米と比較すると,独自性の高い創薬シーズや技術の社会実装がまだまだ進んでいないという課題がある.欧米では,アカデミアが基礎研究を行い,コンセプトの検証や実用性を示す役割を担い,ベンチャー企業が実用化の権利を取得し,非臨床研究を通じてアセットの取得および有効性・安全性を示す役割を担う.そして,製薬企業が有望なアセットをM&Aで取得し,臨床試験を実施して上市へつなげる「創薬リレー」が主流である.日本でも,エコシステムの強化を図る中でこのような枠組みを構築する必要があり,そのためには,創薬プレーヤーの役割分担の一層の明確化やインキュベーター機能が極めて重要である.実際に,政府主導の「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」では,創薬力強化の具体策として,スタートアップを支援するインキュベーター機能を担う「先端創薬機構」が提案されている.

インキュベーターの発展には,以下の5つの要素が必要不可欠である.

①創薬研究のクライテリアやビジネスに熟知したCEO/CSOを担う人材

②規模が大きく循環性のある資金

③質の高いサイエンスに基づく独自性の高いアセット

④インキュベーターの醸成の場としての環境

⑤創薬研究に必要な質の高く幅広い技術

近年の日本では,人材の流動性が増すとともに,「10兆円ファンド」のような大規模な資金調達が期待されている.また,湘南アイパーク,京都リサーチパーク,かながわサイエンスパークなど,産業の研究開発・ベンチャービジネス支援を目的するサイエンスパークの活性化も進んでいる.このような環境改善が,インキュベーターの発展に必要な要素の整備につながっている.

Axcelead DDPは,創薬経験豊かなソリューションプロバイダーとしてPROの役割を率先して果たすべく,包括的な創薬プラットフォームや戦略的提携を活用しながら,創薬シーズのインキュベーションを多面的に支援している(図3).2024年4月1日にアクセリード株式会社と帝人株式会社の合弁会社としてAxcelead Tokyo West Partners株式会社が発足し,アクセリードグループとしても創薬支援を強化している.魅力的な創薬コンセプト・シーズの技術検証や実用化などを通して,日本の質の高いサイエンスからの革新的医薬品の創出に貢献し,また,製薬企業,ベンチャー,アカデミア,政府,VC,創薬支援企業との連携を強化し,コミュニティのハブになることで真の創薬エコシステムの構築を牽引し,あらゆる創薬プレーヤーとともに,全世界に向けて発信しうる創薬イノベーション創造の一翼を担いたいと考えている.

図3Axcelead-DDPの目指す姿

利益相反

伊井 雅幸,田中 崇裕(Axcelead Drug Discovery Partners株式会社).

文献
 
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