GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2017 Volume 59 Issue 1 Pages 117-119

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概要

沿革・特徴など

当院の前身は1946年5月に健康保険宮城第一病院として,仙台駅東口に開設.1982年10月に現在地へ新築移転し,名称を東北厚生年金病院と改称.2012年10月には東北厚生年金病院として30周年を迎えたが,全国的な全社連関連病院の在り方の見直しの流れの中で,2013年4月より東北薬科大学へ譲渡され,全国の単科の薬科大学としては初めてとなる大学附属病院「東北薬科大学病院」として新たなスタートを切った.さらに,2014年8月に東北薬科大学に37年ぶりに医学部新設が認可されるのに伴い「東北医科薬科大学病院」へと名称を変更している.

組織

看護局外来部門の一部.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

検査室2室で稼働している期間が続いていたが,検査のニーズの増加に応えられる様に平成17年より順次,改築し,2014年8月より検査室5室で稼働している.食事を摂らないで来院された検査希望者は原則として当日中に検査する様にしている.鎮静の希望がある場合には,帰りの交通手段が確保された状態であることを条件に鎮静下での苦痛のない内視鏡検査を提供するよう心がけている.

スタッフ

(2016年7月現在)

医   師:指導医2名,専門医3名,その他スタッフ3名,研修医4名

内視鏡技師:Ⅰ種7名

看 護 師:常勤9名,非常勤1名

そ の 他:看護助手1名

備品・設備

(2016年7月現在)

 

 

実績

(2015年4月〜2016年3月まで)

 

 

指導体制・指導方針

当院は臨床研修指定病院であり,毎年数名の初期研修医を受け入れている.初期研修医は原則として内科研修期間のうち2〜3カ月,消化器内科を研修する事となっている.この期間中に消化器疾患に対する理解を深め,病棟で指導医と共に受け持つ患者の診療に当たり,診断・治療の流れを学んでもらっている.しかし,病棟業務に専念し,内視鏡室での業務は見学するのみで終わってしまっては,消化器内科を研修したというには足らないのではないかと考えている.当院では研修期間のうち最初の1週間は検査の合間に内視鏡に触れて,その操作方法や仕組みを学んで貰い,次の1週間で上部消化管モデルを用いたトレーニングを午後の時間を用いて,気の済むまで行って貰っている.ここまでの過程で比較的スムーズにスコープを操作出来る様になれば,3週目からは実際の検査においてスコープの引き抜きを行う.これもスムーズに行える場合には,指導医に対して実際に検査を行い,これを技量を見る目安としている.挿入からスクリーニングの撮影法までを事前のシミュレーション通りにほぼ出来る場合には次のステップとして,実際の検査において引き抜き時の撮影を行い,これも問題なく出来る場合には挿入から観察までを行って貰う.必要に応じて,指導医に対する内視鏡検査を再度行い,技量の習熟度を確認している.これを各人の習熟度に合わせながら丹念に繰り返すことにより,8割近くの研修医は上部消化管内視鏡検査のルーチン撮影は出来る様になり,初期研修期間を終えている.初期研修期間に内視鏡に興味をもってくれた研修医は2年目の自由選択の期間にもう一度2カ月程,消化器内科をローテートしてくれることが多い.その期間には1年目の経験を元にモデルで何回か復習した後に,より積極的に検査に取り組んでもらっている.2回目のローテートが終了する頃になるとほとんどのケースで指導医の見守りのもとスクリーニングの検査は先発で行えるようになる.所見があり詳細な観察が必要な場合や生検が必要な場合等に上級医に手を代わる様にしている.気をつけているのは初期研修医にも積極的に検査に取り組んでもらい,ただ見学して終わってしまうことの無い様にすることである.全例,指導医が1対1ですぐ横にいて見守り,観察出来ていない部位がないか,所見の見落としがないか確認している.こうして初期研修を積んだ者の中から,消化器内科を志す医師が現れれば,後期研修医として迎え入れている.現在の方針とした2007年度以降の初期研修医は毎年1〜2名が後期研修医として消化器内科を選択している.後期研修医になれば,各個人の技量に応じて下部消化管の検査や上部及び下部消化管内視鏡治療の介助にも入って貰う.医師3年目のうちに止血処置や大腸ポリープの切除,4年目のうちに胃の粘膜下層剥離術までは完遂出来る様に頑張ってもらっている.

現状の問題点と今後

・現状の最大の問題点は臨床研修医の確保である.東北厚生年金病院から東北薬科大学病院,そして東北医科薬科大学病院へと変革する時期に志望者が減少してしまった.現在は2016年4月から東北医科薬科大学としてスタートをきり,院内は活気に満ちている.市中病院の良さを持った大学病院として初期研修医,後期研修医を育成して行きたい.

・近年,より苦痛のない内視鏡検査への患者の要望や長時間に及ぶ内視鏡治療の増加により,内視鏡診療における鎮静の需要が増加しつつある.それに伴い,鎮静による偶発症に対する備えも必要となる.内視鏡医の鎮静薬に関する知識の向上や術中のモニタリングの工夫はもちろんだが,リカバリールームの充実も課題である.

 
© 2017 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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