GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2017 Volume 59 Issue 11 Pages 2658-2660

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概要

沿革・特徴など

当院は1877(明治10)年に公立広島病院として創立された.1879(明治12)年から病院名は『広島県病院』に改称された.

1945(昭和20)年には原子爆弾による焼失という惨禍を乗り越え,1948(昭和23)年から県立広島病院として再発足し,地域医療はもとより,広島県の基幹病院として高度先進医療や政策医療を積極的に実施し,良質で安全な医療の提供に取り組んでいる.

センター化による医療の集約を実践し(消化器センター,呼吸器センター,腎臓総合医療センター,脳心臓血管センター,成育医療センター,緩和ケア支援センター,放射線センター,救命救急センター),現在の病床数は712床である.

組織

消化器センターの内視鏡部門として独立している.内視鏡検査と治療は内視鏡内科,消化器内科医師が担当している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

2004年に開設した新東棟の1階フロアに内視鏡室は位置する.総面積479m2で4部屋の検査室,大腸洗浄室,回復室,大腸前処置室,診察室があり,所見室では各検査室の検査画像をモニターすると同時に回復室と検査室の様子をカメラでモニターして安全管理に配慮している.ERCPやダブルバルーン小腸内視鏡などの透視下の検査や治療は別棟の放射線科透視室で行っている.

咽頭麻酔室,大腸前処置室,回復室,検査用トイレを集中配置することでスタッフの動線を短くし目の届きやすくなるように配慮している.

スタッフ

(2017年5月現在)

医   師:指導医7名,後期研修医5名

内視鏡技師:Ⅰ種2名

看 護 師:常勤4名,非常勤2名

事 務 職:1名

その他(洗浄員):1名

設備・備品

(2017年5月現在)

 

 

実績

(2016年1月~2016年12月まで)

 

 

指導体制,指導方針

初期研修医は卒後1年目に1カ月半のローテーションで内視鏡内科,消化器内科に所属し内視鏡検査や治療の見学を主体に実施する.内視鏡モデルを使用して内視鏡の取り扱いを経験する.希望者には卒後2年目に更に1カ月単位でローテーションを追加して,上部内視鏡検査を経験し種々の内視鏡治療の介助を行い,その手技,方法を習得する.

後期研修医(レジデント)は医員として卒後3年目からの3年間を内視鏡内科もしくは消化器内科に所属し,上級医師(全員が内視鏡学会指導医)指導のもとに各種検査と治療を以下のタイムスケジュールを目安に研修している.

【1年目】

1.内視鏡検査装置,洗浄器および高周波装置などの使用方法を習得し,使用できるようになる.

2.上部内視鏡検査,下部内視鏡検査の挿入と観察,生検などの処置が行えるようになる.

3.ERCPやFNA,ポリペクトミー,止血術などの内視鏡検査・治療の介助を行い,その手技,方法を習得し,自身で処置も行えるようになる.

4.ESDの介助につき手技,方法を習得する.

5.カプセル内視鏡の検査,読影を行う.

6.ダブルバルーン内視鏡の介助につき手技,方法を習得する.

【2年目】

1.上部内視鏡検査,下部内視鏡検査の挿入と観察,生検などの処置が確実に行えるようになる.

2.ERCPを経験する.

3.ポリペクトミーや止血術などの内視鏡治療が確実に行えるようになる.

4.EMRやEST,FNAなどを経験する.

【3年目】

1.ポリペクトミーや止血術などの内視鏡治療が確実にできるようになる.

2.EMRやEST,FNAなどが行えるようになる.

3.ESDなど高度な内視鏡治療を経験する.

4.ダブルバルーン内視鏡が行えるようになる.

現状の問題点と今後

問題点は他の多くの施設と同様であると思われるが,検査件数の増加や治療内視鏡の増加に対応する医師やパラメディカルのマンパワーの不足が顕著である.また2004年の内視鏡室開設当初には想定されていなかった大腸内視鏡検査数の増加やダブルバルーン内視鏡,大腸ステント,ERCPやその関連治療手技に対応できる検査室や検査準備室の不足に加えて放射線透視室が別棟にあることで人員配置や検査に関連する時間が非効率的となっている.また,内視鏡単独で見れば採算性の高い部署ではあるが,病院全体の会計に繰り入れられ,機器の更新が非常に遅れているため,多くのスコープが10年前後のものとなり修理費がかさむ結果となっている.このように最新の機種は少ないが,検査医は指導医の比率が高く上部・下部消化管,小腸,胆道系とすべての検査が可能であり,5名の後期研修医と複数名の初期研修医に内視鏡手技の指導を行っている.特に胆道系の検査,治療件数は2004年当時の5倍強と大幅に増加しており,従来の内視鏡手技に加えて今後さらに発展してゆく分野であると思われる.

 
© 2017 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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