GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2017 Volume 59 Issue 3 Pages 366-368

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概要

沿革・特徴など

日本海員掖済会は,前島密,赤松則良ら,海軍関係の官民代表が発起人となり,明治13年に創立された.その後,長崎,神戸,名古屋など,日本各地の港を中心に次々と病院が開設され,昭和19年に小樽掖済会病院が開設された.

消化器病センターは,当時増えつつあった検査件数に対応するため2007年7月に設立.その後,2015年12月に新築移転となり,面積は209.3平方メートルから382.6平方メートルに拡張された.

組織

消化器病センターとして独立しており,内視鏡室専任の看護部主任を配置している.検査,治療は,当院消化器内科医と検診担当医師が行っている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室は病院2階にあり,フロント,ロビー,更衣室,トイレ,洗腸室,全処置室,リカバリースペース,内視鏡室,専用透視室,カンファレンスルーム,スタッフルーム,機器洗浄スペースから構成されている.

特徴1

北海道の冬は長く厳しい,札幌に比較的近い小樽も例外ではない.吹雪になると陸の孤島になる.そのため,吐血,下血,黄疸(胆管炎)など,緊急対応は,すべて自前で行わなければならない.特に小腸出血は,出血を認めた時点から,時間が経つほど出血源特定が難しくなる.したがって当センターでは,緊急小腸内視鏡(カプセル,ダブルバルーン式内視鏡)をいつでも施行できるように体制を整えている.

特徴2

ダブルバルーン式内視鏡を安全に施行するために,内視鏡専用の透視室を用意している.この透視装置には,内視鏡,透視同時に録画できるシステム(日立メディカル,picture in picture)が組み込まれており,研修医教育,学会などのプレゼンテーションに有用である.

特徴3

各内視鏡室天井に監視カメラを設置,さらに内視鏡画像と連動させ,リアルタイムで,カンファレンスルームの大型モニタにライブ中継している.これにより内視鏡室での現場スタッフの動き,内視鏡の様子などが一目で把握可能である.さらにこれらの動画は,すべてカンファレンスルームで録画可能である.

特徴4

リカバリールームは,常時sedation患者の観察を行えるようにフロント横に設置し,スタッフ2名(受付事務+看護婦)を配置している.

特徴5

トイレは,5室あり,全室ウォシュレット付きとなっている.さらに,洗腸状態の良くない患者さんのために,簡易ベッド付き,トイレ付きの広い洗腸室を設けている.

特徴6

画像ファイリングシステムは,富士フィルムメディカル社製のネクサスを導入している.

スタッフ

(2017年1月現在)

医   師:指導医2名,専門医3名,研修医2名

内視鏡技師:1種6名

看 護 師:常勤9名

臨床工学士:2名

そ の 他:クラーク1名,機器洗浄担当助手3名

設備・備品

(2017年1月現在)

 

 

実績

(2015年4月~2016年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は,北海道東北有数のESD実施施設であり,常時見学者を受け付けている.

また,定期的に国内著名内視鏡医を招いた内視鏡ライブ(NBI,BLI拡大観察やESD)も行っている.

研修医に対しては,それぞれのレベルに対応し臨機応変に指導している.

まず最初に,スコープの構造の理解や基本操作の習得,検査の手順,後片づけや洗浄・消毒方法の知識の習得はもちろんの事,さらにコロンモデルを用いた挿入手技を学んでもらう.その後,指導医(3名)とのマンツーマン体制で,上部内視鏡→下部内視鏡→ERCPの順で挿入手技を習得してもらう.その後,生検や止血,ポリペクトミー,EMRなどの基本手技を習得,最後に,ダブルバルーン式小腸内視鏡,上部下部ESDの習得へと進む.

学会発表も活発に行っており,地方会発表をはじめとして,全国学会→海外発表へと場数を踏んでいただく.

現状の問題点と今後

年々増加する内視鏡治療件数に対応して,新しい内視鏡室を設計したつもりであった.しかし,ESD手技が並列で行われると,残りの内視鏡室ですべての検査を賄わなければならず,内視鏡室数,スタッフ数がまだまだ足りていないことが理解できた.さらなる内視鏡室の拡張と人員の配置が必要であると考えている.

 
© 2017 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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