2017 Volume 59 Issue 4 Pages 487-489
当院は,昭和22年に財団法人東京社会保険協会が管理する「山手病院」として発足.昭和27年に社会保険中央病院,その後社会保険中央総合病院の名称となった.昭和62年に現在の土地に新築移転.肛門疾患,炎症性腸疾患が全国的にも知られている.平成26年4月独立行政法人地域医療機能推進機構への運営移管に伴い,病院名も一新,歴史と実績に基づいて,「東京山手メディカルセンター」となった.
内視鏡室は建設当時は2階にあったが,平成9年8月病院4階に内視鏡センターとして新設され,現在に至っている.肛門疾患,炎症性腸疾患で有名であることから,検査件数も下部内視鏡検査が上部を大きく上回っていることが大きな特徴である.同じ階に健康管理センターがあり,検診や人間ドックの内視鏡検査もセンターで行っている.検査を担当する医師は,上部消化管では外科,大腸内視鏡では炎症性腸疾患内科や大腸肛門科の医師が多数の検査に関わっているというのも大きな特徴である.
組織平成26年4月独立行政法人地域医療機能推進機構への運営移管に伴い,院内組織の編成の変更があり,正式な組織としての内視鏡センターは無くなったが,院内規定として内視鏡センターは存続しており,その機能もそのまま継続している.看護師の配置は外来部門の管理下にある.
検査室レイアウト

内視鏡センターは健康管理センターと同じ4階に位置し,検診や人間ドックの患者さんの移動がスムーズとなっている.透視室は新設当時から確保されていたものの透視装置がなく,2010年12月にCアーム型多目的デジタルX線TVシステムが設置された.
総面積は447.7m2で,内視鏡検査室52.4m2,前処置スペース80.4m2,リカバリー室27.6m2,カンファレンス室31.0m2,待合室227.4m2と平成9年8月に増設された当時は余裕のある造りであったが,検査件数や治療手技の増加に伴い,手狭になってきている.
(2016年10月現在)
医 師:指導医2名,専門医3名,その他スタッフ 消化器内科3名,後期研修医2名
内視鏡技師:Ⅰ種2名
看 護 師:常勤5名,非常勤1名
事 務 職:2名
そ の 他:看護助手2名,内視鏡洗浄2名
(2016年11月現在)

(2015年4月~2016年3月まで)

1.研修の基本方針
当院の消化器内科は,消化管内科,肝臓内科,炎症性腸疾患内科で構成されており,それぞれが高度の医療を展開している.特に炎症性腸疾患の患者数は日本有数であり,大腸肛門病センターとの協力により手術も含めた総合的な診療を行っている.
内視鏡検査・治療を中心とした基本的な手技は,主に後期研修に入ってから開始される.同時に,病棟患者も多く受け持ち,消化器疾患全般を網羅する知識と経験を身につけることを主眼としている.
2.研修の内容
消化器内視鏡検査・治療技術の習得,消化器癌の診断と治療を中心に,その他消化器疾患全般の症例を広範囲に経験.
1)上部消化管内視鏡
原則として3年目(後期研修1年目)以降で実技を開始し,前期の半年で基本的な手技を習得する.
通常検査(前方視鏡),色素内視鏡,生検,マーキングなどのテクニック,一般的な上部消化管病変の所見の取り方と診断.
ポリペクトミー,EMR(内視鏡的粘膜切除術),ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)などの治療内視鏡の助手および術者.
2)大腸内視鏡
原則として3年目(後期研修1年目)以降で実技を開始するが,上部内視鏡を約3カ月程度経験してから開始する.
挿入と観察,直腸内反転観察,色素内視鏡,大腸腫瘍性病変の診断と治療,炎症性腸疾患の鑑別診断,ポリペクトミー,EMR,クリッピングなどの止血処置など.
3)十二指腸・胆・膵内視鏡など
原則として4年目(後期研修2年目)以降で実技を開始する.
十二指腸鏡(側方視鏡)の取り扱い方,基本的な十二指腸・胆道・膵臓病変の鑑別診断,ERCPにおける造影剤注入手技,乳頭部の切開手技(EST),胆石除去手技,胆道ドレナージの基本手技と応用手技(ENBD,ERBD,メタリックステント)など.
当院の特徴として,炎症性腸疾患,大腸肛門科疾患がかなり多いことから,内視鏡検査についても下部消化管,その中でも炎症性腸疾患の症例が多く,消化器癌などの腫瘍性病変の診断,治療に関しては設備の整備やスタッフの充実が十分になされていないのが現状である.ESDも含めた腫瘍性病変に対する内視鏡治療の件数はある程度維持はしているものの,EUS-FNAなどの高度診断技術に関しては,設備も未設置で中堅スタッフの不足もあり導入に至っておらず,カプセル内視鏡も小腸病変の症例が多いにもかかわらず,件数は未だに少ないままである.
内視鏡技師,看護師などのスタッフの不足も深刻な問題であるが,病院全体でも厳しい状況であるため,内視鏡センターのみが改善できる見込みは少ない.
今後の展望としては,大腸肛門疾患と炎症性腸疾患という特殊な疾患に強みを持っていたこれまでの当院の特長の維持,発展を目指していくという方向性と,当院の設置母胎が,JCHO(独立行政法人地域医療機能推進機構)となり地域医療機能の推進というミッションの遂行が最重要課題であるという方向性,時代の流れと経営の観点から検診部門の内視鏡検査の増加を図っていく必要性などとのバランスを,いかにうまく取っていくかが病院全体とともに今後の内視鏡センターのあり方にも大きく影響していくと思われる.