2018 Volume 60 Issue 12 Pages 2542-2544
気仙沼市立病院は1880年(明治13年)5月21日 本吉郡気仙沼村に県立宮城病院(現東北大学病院)の気仙沼分局として開設され,その後様々な名称変更等を経た後,1964年(昭和39年)5月 気仙沼市田中に新築移転し,公立気仙沼総合病院と改称された.2006年(平成18年)3月 気仙沼市と本吉郡唐桑町の合併に伴い,気仙沼市立病院の名称となったが,経年劣化著しく,さらには2011年(平成23年)の東日本大震災の影響もあり,2017年(平成29年)10月29日 気仙沼市赤岩杉ノ沢に新築移転し現在新病院にて診療を行っている.
気仙沼市は宮城県沿岸最北端に位置し,しばしば「陸の孤島」と揶揄される地域の特性上,当院は良くも悪くも自己完結型の医療を求められており,三陸沿岸地域,岩手県南地域の基幹病院として地域住民の健康保持と多様化する医療のニーズに応えるため,地域に根ざした医療の充実と向上に努めている.
組織1988年に内科外来の1部門として内視鏡室が開設され,2013年消化器内視鏡センターと改称されて現在に至っている.現在当センターは独立部門であり,2018年4月より筆者がセンター長を務めている.
検査室レイアウト

(2018年5月現在)
医 師:指導医2名,専門医2名,その他スタッフ4名,研修医2名
内視鏡技師:Ⅰ種4名
看 護 師:常勤6名,非常勤2名
事 務 職:2名
そ の 他:1名
(2018年5月現在)

(2016年4月~2017年3月まで)

当院では毎年5〜6名の臨床研修医を受け入れており,その中の1〜3名程度が消化器内科を初年度は2〜3カ月,2年目も多くが複数月ローテートし消化器疾患全般について研修を行っている.
指導を行うスタッフは現在上級医が7名,レジデントが2名で,主に東北大学病院消化器内科出身者によって構成されており,上下部消化管や肝臓などの専門医・指導医が常勤している.
内視鏡に関しては,トレーニングモデルを使用した操作訓練を行った後,多くの場合1カ月目の後半からは検査の途中などから実際に内視鏡検査に携わることを開始し,3カ月終了時点で50〜100件程度の内視鏡検査を経験する.
指導体制としては,ローテート中決まった指導医について研修を行うが,検査に関してはその日の検査担当医より指導を受けるシステムとしており,常に複数の指導医による指導を受けることが可能となっている.
当地方における総合病院は当院のみであり,歴史的に多くの外来患者を抱えてきた事情から午前中の外来業務が多忙となっており,治療内視鏡を中心とした午後の内視鏡検査・処置の開始が遅れることがしばしばある.そのためどうしても終了が遅い時間となり,看護師等スタッフの業務終了時間も遅くなりがちである.長年の積み重ねであるため一朝一夕には改善できないが,この問題が解決されれば,より多く,より多岐にわたる検査・治療を行うことが出来る可能性があると考えている.