GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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ENDOSCOPIC FINDINGS USING WHITE LIGHT IMAGING AND NON-MAGNIFYING NARROW BAND IMAGING THAT CAN PREDICT THE PRESENCE OF MULTIPLE LUGOL-VOIDING LESIONS IN THE ESOPHAGUS
Eriko So TSURUKI Takashi KONDOYosuke MINODASyunsuke KOBAYASHIKenichi KONDAYukihiro NAKATANISeiichiro ABETaku SAKAMOTOSatoru NONAKAShigetaka YOSHINAGAHaruhisa SUZUKIIchiro ODAYutaka SAITO
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2019 Volume 61 Issue 2 Pages 141-150

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要旨

【背景・目的】ヨード染色は多発ヨード不染帯(まだら食道)の抽出に有用であるが患者の苦痛を伴う.まだら食道を予測する白色光(white light;WL)/非拡大narrow band imaging(NBI)所見を検討した.

【方法】候補所見1;白色隆起,所見2;水平模様,所見3;血管透見低下,所見4;境界を有さないbrownish area,所見5;点状血管を抽出し,3人の内視鏡医が食道癌内視鏡治療136例(2010-11年)の治療前画像を見直した.背景粘膜の候補所見の有無とヨード不染Grade(A/B/C)を評価し,まだら食道(C)に対する各々の所見,組み合わせ所見の感度/特異度を検討した(derivation).選定した所見について食道癌内視鏡治療125例(2014-15年)でvalidationした.

【結果】Derivationで「所見2または3」の感度/特異度(%)が78/47(WL),82/43(NBI)と検討の中では最も妥当であり,validationでは同所見の感度/特異度(%)は72/70(WL),78/59(NBI)であった.

【結論】水平模様または血管透見低下を認めた場合,まだら食道を予測する可能性が高く,ヨード染色を考慮する指標になる可能性がある.

Ⅰ 緒  言

食道粘膜におけるヨード染色は食道癌の検出 1)~3や診断,多発ヨード不染帯(以下,まだら食道)を抽出する有用な方法である.食道癌のリスク因子である飲酒・喫煙・フラッシャーであるかなどに加え 4)~7,まだら食道の存在は同領域の同時性・異時性多発重複癌の強力なリスク因子である 7.Field cancerizationで知られるように 8食道癌や頭頸部癌患者の食道スクリーニングやサーベイランス検査において,ヨード染色は重要であり,まだら食道は定期的内視鏡検査が必要な所見である 8)~11.一方,ヨード染色には患者の胸痛症状や不快感を伴うことが多く 12,染色後の中和剤の準備なども含めると通常スクリーニング検査では全例に施行することは躊躇される現状があり,まだら食道の有無を通常スクリーニング検査で拾い上げる手法は確立していない.

近年,画像強調観察の普及に伴い,食道においてはnarrow band imaging(NBI)による食道癌の検出がヨード染色に匹敵する報告も多く 13)~15,スクリーニングやサーベイランスにも有用であるとされているが,NBIを用いてのまだら食道の検出や診断に関する検討はPubMed,医学中央雑誌で‘multiple lugol voiding lesions’,‘iodine scattered’,‘speckled pattern’,‘まだら食道’,‘多発ヨード不染’,‘多発ヨード淡染’,‘まだら不染’をキーワードとして1990年から2017年までの期間で検索を行ったところない.

今回,通常白色光観察(white light;WL)に加え,スクリーニング検査時に使用が普及している非拡大NBIにおいて,まだら食道を予測するために有用な内視鏡所見を明らかにすることを目的とした検討を行った.

Ⅱ 対象・方法(Figure 1
Figure 1 

対象・方法のフローチャート.

対象:ステップ1,derivation study

2010年1月から2011年12月に当科で食道癌内視鏡治療を施行した152症例のうち,NBI画像のないもの,食道癌術後,化学放射線療法後を除外し,期間内に複数回治療歴のある場合は2回目以降の症例を除いた136症例を対象とした.内視鏡はオリンパス社製内視鏡GIFH260,GIFH260Z,GIFQ260,内視鏡システムはEVIS LUCERAを用いた.

対象:ステップ2,validation study

2014年4月から2015年12月に当科で食道癌内視鏡治療を施行した171症例中,上記と同様の症例を除外後の125症例を対象とした.内視鏡はオリンパス社製内視鏡GIFH260,GIFH260Z,GIFH290,GIFH290Z,GIFQ260,内視鏡システムはLUCERA ELITEを用いた.

方法:ステップ1,derivation study

内視鏡医1名(T.K.)が対象症例の画像を見直し,WLと非拡大NBIにおいて,食道癌を有する食道の背景粘膜,まだら食道を予測する可能性があると思われた候補内視鏡所見を5つ抽出した(Figure 2-a~h).所見1;白色隆起(数,大きさ問わず),所見2;水平模様(蠕動運動によるものや輪状溝とは異なる粘膜表層に認める水平ラインで,全周性のもの),所見3;血管透見低下(樹枝状血管の消失した所見,食道胃接合部が写っていない上部~中部食道画像を評価対象),所見4;境界を有さないbrownish area(癌を疑う境界明瞭なbrownish areaとは異なる所見),所見5;点状血管(びまん性に複数観察される点状の血管),の5つである.所見1-3はWLとNBIによる所見,所見4,5はNBIのみによる所見である.また所見3に関しては,評価者は通常の典型的な血管透見像の食道粘膜画像を手元に置き,比較が可能な状態で所見の有無を評価した.

Figure 2 

候補内視鏡所見.

a:所見1,白色隆起(WL)(矢印).

b:所見1,白色隆起(NBI)(矢印).

c:所見2,水平模様(WL).

d:所見2,水平模様(NBI).

e:所見3,血管透見低下(WL).

f:所見3,血管透見低下(NBI).

g:所見4,境界を有さないbrownish area(NBI)(矢印).

h:所見5,点状血管(NBI)(矢印).

内視鏡医3人(Y.M.,S.K.,K.K.)が所見1-5の定義についてレクチャーを受けた後,臨床情報の詳細は伏せた対象症例の治療前内視鏡画像の見直し診断による検討を行った.3人の内視鏡医はWLと非拡大NBIによる食道背景粘膜における5つの候補所見(所見1-5)の有無の評価後,ヨード不染帯のGrade分類(A/B/C)を評価した.ヨード不染帯分類はKatadaらの報告に準じ 16,食道粘膜に見られるヨード不染帯の程度を3段階(Grade A:明らかなヨード不染なし.Grade B:AにもCにも属さないもの,1視野に10個未満.Grade C:背景食道粘膜のヨード不染帯の程度を最もよく反映する画面においてヨード不染帯が10個以上存在するもの)に分類したものを使用した.まだら食道はGrade Cに相当する.検討に際して2%ヨード染色液を使用した.

ヨード不染帯分類の評価においては,3人中2人以上の内視鏡医の評価結果が一致したものを用い,まだら食道(Grade C)に対するそれぞれの単独所見の感度/特異度,次に組み合わせ所見の感度/特異度を検討し,まだら食道を予測する所見を選定した.感度/特異度は,3人のコンセンサスによる診断ではなく,症例数×3人の診断結果より計算した.3人の結果の完全一致率も検討した.

方法:ステップ2,validation study

同じ内視鏡医3人がステップ1で選定した所見の定義について再度レクチャーを受けた後,ステップ2対象症例の治療前内視鏡画像の見直し診断による検討を行った.3人の内視鏡医はWLと非拡大NBIによる食道背景粘膜における選定した所見の有無の評価後,ヨード不染帯のGrade分類(A/B/C)を評価した.Grade Cに対する,選定した所見の感度/特異度を検討した.

Ⅲ 結  果

ステップ1,derivation study

136症例の臨床病理学的特徴は性別;男性/女性=112/24,平均年齢;69歳,Grade Cは78症例(57%),Grade AまたはBは58症例であった.Grade分類別の性別,年齢,同時性および既往の食道内多発病変や頭頸部癌を有する症例数をTable 1に示す.それぞれの候補所見において,所見あり,なしのいずれかで3人の評価者の結果が完全一致した割合は所見1;74%(WL),78%(NBI),所見2;46%(WL),47%(NBI),所見3;32%(WL),27%(NBI),所見4;47%(NBI),所見5;57%(NBI)とばらつきを認めた.

Table 1 

ヨード不染帯Grade分類の評価と臨床的特徴(derivation study,n=136).

Grade Cに対するそれぞれの単独所見の感度/特異度をTable 2に示す.所見1-3においてWLと非拡大NBIの診断精度はほぼ同等であった.所見1の感度は高いものの,特異度が低かった.非拡大NBIのみの所見4,5は感度が低く50%未満であった.感度が高かった所見1-3の組み合わせに関して検討した(Table 3).「所見1かつ所見2.」,「所見1かつ所見3」,「所見2かつ所見3」は感度が低く,特異度が高かった.「所見1または所見2」,「所見1または所見3」は感度が高く特異度が低かった.「所見2または所見3」の組み合わせがWLにおいて感度/特異度(%)は78/47,非拡大NBIにおいて感度/特異度(%)は82/43であった.拾い上げ診断の際には,感度が当然高く,特異度もある程度高いことが必要とされるため,感度/特異度が検討の中で最も妥当と考えられた「所見2;水平模様または所見3;血管透見低下」の組み合わせ所見を選定した.

Table 2 

まだら食道(Grade C)に対する単独所見の感度,特異度(derivation study,n=136).

Table 3 

まだら食道(Grade C)に対する組み合わせ所見の感度,特異度(derivation study,n=136).

ステップ2,validation study

125症例の臨床病理学的特徴は性別;男性/女性=99/26,平均年齢;68歳,Grade Cは80症例(64%),Grade AまたはBは45症例であった.Grade分類別の性別,年齢,同時性および既往の食道内多発病変や頭頸部癌を有する症例数をTable 4に示す.Grade Cでは男性の割合,食道内多発病変や頭頸部癌を有する症例が多かった.Derivation studyで選定した「水平模様または血管透見低下」所見のあり,なしのいずれかで3人の評価が完全一致した割合は125例中50%,Grade C80例では61%であった.「水平模様または血管透見低下」所見のまだら食道に対する感度/特異度(%)は72/70(WL),78/59(NBI)であった(Table 5).

Table 4 

ヨード不染帯Grade分類の評価と臨床的特徴(validation study, n=125).

Table 5 

まだら食道(Grade C)に対する「水平模様または血管透見低下」の感度/特異度(validation study,n=125).

Ⅳ 考  察

食道粘膜の診断において,逆流性食道炎の診断は確立しているものの 17日常,内視鏡検査医が遭遇する,それ以外の慢性食道炎や食道癌の背景食道粘膜に関する評価の検討は少ない 18),19.逆流性食道炎は食道腺癌のリスク因子であり 20),21食道扁平上皮癌においても胃酸・胆汁による炎症が関与している可能性があるとの文献が散見されるものの 22),23,食道扁平食道癌においては飲酒,喫煙がハイリスク因子 24である他,アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の関与 25,TP53突然変異 16,DNAメチレーション 26などの関与の報告が主である.

まだら食道に関しては,Urabeらの検討 27では,まだら食道(speckled pattern)の併発率は単独食道癌において27%(24/74),同時性多発食道癌において50%(5/10),異時性多発食道癌においては83%(10/12),Mutoらは,まだら食道を有する頭頸部癌患者の55%(214/389)が同時性食道癌を併発 6,まだら食道の存在は多発癌の独立リスク因子である 7),10),16と報告しており,まだら食道の存在は同領域の同時性・異時性多発重複癌の強力なリスク因子として知られている.一方,ヨード染色は食道癌の検出 1)~や診断,まだら食道を抽出する有用な方法であるが,患者の胸痛症状や不快感を伴うことが多く 12,近年NBIによる食道癌の検討がすすんでいる 13)~15.早期食道癌患者320人を対象としたMutoらの報告 28ではNBIの感度97.2%,正診率88.9%とWLの感度55.2%,正診率56.5%より高く,頭頸部癌患者142人を対象にしたTakenakaらの報告 13ではNBIの感度90.9%,特異度95.4%,正診率95.1%,ヨード染色の感度100%,特異度84.7%,正診率85.9%と,特異度と正診率は有意差を認めてNBIの方が高かった.Morita FHAらのReview 29ではNBIによる1患者あたりの感度88%,特異度94%,1病変あたりの感度88%,特異度65%に対し,ヨード染色による1患者あたりの感度92%,特異度82%,1病変あたりの感度82%,特異度37%とNBIが特異度において有意差を認めて高かった.一方,NBIを用いてのまだら食道の把握に関しての報告はない.

本検討は,まだら食道の有無を,ヨード染色を施行しない段階で把握,通常スクリーニング検査で拾い上げることを目的として,まだら食道を予測するWLや非拡大NBIにおける内視鏡所見の検討をしたところ,食道粘膜における「水平模様または血管透見低下」所見の有無が有用であると考えられた.

これまで既報がないため,まず食道癌の背景粘膜を見直し,本検討に関与すると考えられた背景粘膜の所見を抽出したところ候補内視鏡所見は5つであった.食道背景粘膜の病理学的検討は行っていないが,候補内視鏡所見のうち,単独所見でも感度が高値であった白色隆起に関しては,生検を施行すれば,その多くがglycogenic acanthosisに相当すると予測される.Glycogenic acanthosisはグリコーゲンを含む扁平上皮の過形成であり,大きさは2-10mmで多発することが多く,一般的には年齢と共に数は上昇し,臨床的意義が少ないと考えられている.スクリーニング内視鏡患者でのglycogenic acanthosisの所有率は3.5~28.3% 30),31との報告,また進行食道癌患者70人のうち93%(65/70)がglycogenic acanthosisを有していた一方,慢性食道炎(speckled pattern)を併発していた割合は16%(11/70)であった報告 19もある.門馬らの報告 32では前癌病変,dysplasiaの特徴の1つに白色隆起をあげている.本検討における白色隆起所見の食道癌背景粘膜,食道炎,まだら食道への関与に関しては再検討の余地があると考える.水平模様所見に関しては,水平模様を部分的に認める背景食道も多々あった中,今回は全周性のものを所見ありとし,また水平模様を形成しているそれぞれの線は,波打つものからシャープなものまで細かな違いを認めた.好酸球性食道炎で認める輪状溝や,粘膜筋板の変化である畳目模様とは異なり,水平模様所見は凹凸を伴わず,より表層の粘膜変化を表しているもので炎症による変化と考える.血管透見低下所見は食道の炎症による粘膜肥厚,浮腫を反映していると考えられ,樹枝状血管の消失と共に日常検査においても下部食道で見られることも多く,この所見に関してのみ,今回は食道胃接合部が写っていない画像での評価とした.Derivation studyの際の水平模様と血管透見低下の評価者の一致率よりvalidation studyの際の一致率が10-20%程度高くなっていることからは,所見の評価に関しては学習効果がある可能性が示唆される.さらにそれぞれの所見を程度別に評価することで,一致率の向上につながる可能性もあり,今後の検討の際に考慮したい.また今回検討した候補所見5つのうち,境界を有さないbrownish areaと点状血管は,食道癌の前段階状態や,異型上皮の状態を推測していると考え,当初はまだら食道を予測する有力候補所見ではないかと予想していたが,感度が低い結果であった.食道癌や異型上皮の診断に至るbrownish areaとその他炎症などによるbrownish 変化などの鑑別の検討は今後も課題の1つである.

Katadaらの検討 16では食道癌の内視鏡治療歴のある患者においてヨード不染分類Grade Cの占める割合が32%(106/331)であるのに対し,本検討ではGrade Cの割合が57-64%と高かったのは,対象に累積した多発食道癌の既往を有する患者と,頭頸部領域の重複癌患者が多く含まれていたことによると考える.

今回の検討のlimitationとしては,単施設,retrospective,内視鏡静止画像の評価による研究であること,対象が食道癌を有する患者であること,また患者の飲酒,喫煙などの生活習慣歴,ALDH2の把握ができていないことがあげられる.現在はJapan Endoscopy Database Project委員会主導の「消化器内視鏡に関連する疾患,治療手技データベース構築」研究(UMIN000016093) 33に参加しており,聴取による患者の生活習慣歴の把握が可能である.これらの情報集積が今後の臨床検討の際にも有用であると考える.感度/特異度は一般に有病率に左右されず,今回の検討で得られた所見による感度/特異度は非食道癌症例においてもそれほど影響を受けないと思われるが,今後,非食道癌症例を含めたスクリーニングセッティングにおけるさらなる検討が必要である.

Ⅴ 結  語

通常白色光観察および非拡大NBIにより水平模様または血管透見低下を認めた場合,まだら食道を示唆する可能性が高く,ヨード染色を考慮する指標になる可能性がある.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:なし

付 記

-近藤崇医師の応援をよろしくお願い致します-

国立がん研究センター中央病院 内視鏡科一同

本研究を開始した近藤崇医師は現在療養中であり,少しでも応援になればと思い,日本消化器内視鏡学会の一員,近藤崇医師について紹介させて頂きます.

近藤崇医師は2008年に昭和大学医学部卒業後,国立国際医療研究センター病院に勤務,2011年7月より国立がん研究センター中央病院内視鏡科に任意研修として勤務していました.既に国立国際医療研究センター病院消化器内科で鍛えられた内視鏡技術の腕も良く,順調に検査・治療をこなし,これまで検討の数が多くない, “まだら食道” に注目しデータをまとめ始めていたところのことでした.同年12月(当時28歳),椎骨動脈解離による脳硬塞を発症し,その後,出血性脳梗塞,水頭症のため4カ月間,意識が回復せず,左半身全麻痺,右半身右脳失調,聴神経障害,複視,嚥下障害,体温調節機能障害を残すこととなりました.長期臥床のため廃用症候群を伴ったものの,ご家族,友人,医療関係者からのたくさんの励ましを受け,リハビリに専念し右手指でタッチパネルの操作がなんとか可能となり,1年5カ月の入院生活から自宅療養となりました.近藤医師の好きな言葉,「人生一度きり」と前向きに自身の身体と向き合い,長い闘病生活の様子や,今後の夢などについてFacebookで発信を始めたところ,一気に35万の “いいね!” まで到達しました.そして,はじめの目標であった書籍 “僕の声は届かない。でも僕は君と話がしたい。”1)を出版するに至りました.医師が患者側の立場になって体感したこと,閉じ込め症候群の絶望感と恐怖,激変した生活に向き合っていく強い精神,そして希望などが記されています.またこの間,研究途中であった “まだら食道” に関するデータを引き継ぐ上でのやり取りも紙面上で確認したり,LINEを使用し行っていました.しかし,その後,敗血症性ショック,一時心肺停止,低酸素脳症のため,以前のように意思表示,発信することが難しい状況となりました.身体機能を改善・補助・拡張・再生することができるサイボーグ型ロボット,CYBERDYNE社のHAL®(Hybrid Assistive Limb®2)を今後試してみたいという期待,また再生医療の発展に希望を見出していた矢先のことでした.今回,近藤医師の業績の一つとして研究の論文化,本誌への掲載に至ることができましたことは喜ばしく思います.再び,近藤医師がこれまでも大事にしてきたコミュニケーションをとれる日が来ること,再生医療の発展に期待し,私達は応援し続けます.現在は顔の筋肉を少しずつ動かせる状況でありますので,最近新たに開発された,人の動作意思を生体電位信号として検出し,身体を動かせない状態でも機器の操作や意思伝達を可能にするCYBERDYNE社の CyinTM(サイバニックインタフェース)3)の実用化をご家族と共に内視鏡科一同,切望しております.最後に付記にご配慮頂きました本誌編集委員長 藤田直孝先生に感謝申し上げます.日本消化器内視鏡学会会員の皆様もどうぞ応援よろしくお願い致します.

 

 

1. 近藤 崇.「僕の声は届かない。でも僕は君と話がしたい。」.角川書店,東京,2015.

2. 中島 孝.神経・筋疾患に対するサイバニクス治療.日内会誌 2018;107:1507-13.

3. 中島 孝.難治性神経・筋疾患に対するコミュニケーション支援技術:透明文字盤,口文字から最新のサイバニックインタフェースまで.保健医療科学 2017;66:491-6.

文 献
 
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