2019 Volume 61 Issue 8 Pages 1523-1537
原因不明の慢性炎症性疾患である炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease,IBD)はいまだ増加傾向が続いており,長期予後改善を目指した新たな治療戦略が必要である.具体的な治療目標を設定したtreat to target(T2T)に基づく治療戦略の重要性が唱えられている.内視鏡的寛解が標準的な治療目標として設定され,さらに組織学的寛解を治療目標とするべきかの検討も行われている.T2T治療戦略には適切なモニタリングも重要であり,便バイオマーカーであるカルプロテクチンや便潜血定量法が使用可能となった.さらにカプセル内視鏡や小腸バルーン内視鏡の発達により小腸病変雄モニタリングも可能になった.さらにcross sectional imagingも進歩し日常診療の診断・モニタリングツールとして使用されている.治療の面では,5-アミノサリチル酸製剤やブデソニド製剤の選択肢が増え,チオプリン製剤についてはNUDT15遺伝子多型を含めた新たなエビデンスが構築されつつある.さらに抗TNFα抗体製剤の成功によりIBDに対する分子標的治療薬がめざましい勢いで開発されつつある.
炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎とクローン病からなり,原因不明の慢性炎症性疾患である.もともとは白人に多い疾患と言われてきたが現在は日本をはじめとするアジア地域での急速な患者増加が認められる.根治を目指す根本的な治療方法は確立されていないが,抗TNFα抗体製剤の登場により分子標的治療が驚くべきスピードで開発されている.またこれに伴い内視鏡をはじめとする各種モダリティーやバイオマーカーの開発が進んでおり,これらを用いた新たな治療ストラテジーも提唱されてきている.本稿ではこれらについて概説する.
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)は潰瘍性大腸炎とクローン病に分類される.潰瘍性大腸炎は大腸において主として粘膜を障害し,しばしば潰瘍を形成する原因不明のびまん性非特異性の慢性炎症性腸疾患である.クローン病は全層性炎症を来す慢性炎症性疾患であり,そのため腸管狭窄,瘻孔を合併する.全消化管が標的となりうるが特に小腸,大腸が好発部位であり肛門病変も合併しやすい.IBD患者の症状は下痢,血便,腹痛といった消化器症状の他に,皮膚症状,関節症状などの腸管外合併症,小児では成長障害などを呈することもある.
2)炎症性腸疾患の病態解明の進歩両疾患とも原因は完全に解明されていないが遺伝学的素因,食事や衛生環境などの環境因子,が関与する多因子疾患と考えられている.近年のgenome wide association study(GWAS)の発展によりIBDにおいても200近い疾患感受性遺伝子が同定されている.疾患感受性遺伝子の機能からも推定できるように自然免疫応答や獲得免疫応答の制御異常がIBDの病態に関与していると考えられる.特に腸内細菌と宿主の免疫機構との相互関係が注目されている.
3)日本の状況厚生労働省特定疾患医療受給者数(現,指定難病)推移でみると1950年以降,炎症性腸疾患患者数は増加傾向にあり,いまだにプラトーに達していない 1).2014年の段階で潰瘍性大腸炎約18万人,クローン病約4万人が登録されている.その後指定難病制度が変更され軽症患者が受給対象からはずれたため医療受給者数からの推定は困難となった.現在の推定患者数は潰瘍性大腸炎20万人,クローン病6万人と見積もられている.特に潰瘍性大腸炎は指定難病の中で最も患者数が多く,世界的に見ても患者実数では米国に次いで第2位となっている.
4)炎症性腸疾患の自然史炎症性腸疾患の原因はいまだ解明されておらず根治を目指す治療は確立されていない.若年者に好発する難治性進行性の疾患であり,患者の長期的なQOLを大きく障害する.そのため臨床的寛解を維持することによって患者のQOLを改善し健常人と同じような日常生活を可能とすること,腸管機能障害や外科手術を防ぐこと,発癌リスクを下げること,が現段階での治療の目標となる.
クローン病では持続する全層性の炎症に伴い,腸管障害(狭窄,瘻孔)が出現し最終的には短腸症候群などの不可逆的な機能障害へ進行する.手術率再手術率も高く,その最も高い理由は狭窄である.潰瘍性大腸炎では大量出血,穿孔,中毒性巨大結腸症のような急性期の絶対的手術適応に加え,内科的治療抵抗例や炎症性発癌(dysplasiaを含む)合併例が手術適応となる.抗TNFα抗体製剤の登場を契機に炎症性腸疾患の診療は大きな転換期を迎え治療ストラテジーが大きく変化した.疾患概念の見直し,治療目標設定の推奨,モニタリング方法の開発などが行われ,IBD自然史の改善が期待されている.しかし,実際に抗TNFα抗体製剤の登場により炎症性腸疾患の長期予後が改善されたというデータは残念ながらまだ十分ではない.その理由の一つとして現在発表されているコホート研究はいずれも2000年代前半までの観察であり,その結果には抗TNFα抗体製剤登場の効果が十分反映されていない可能性が挙げられる.
デンマークの1962-2005年代のコホート研究では過去50年間のクローン病の長期的予後にはあまり変化がなく 2),西ハンガリーの1977-2009年にかけてのinception cohortでは手術率の減少が認められアザチオプリンの使用が因子として抽出されたが1998年から承認された抗TNFα抗体製剤は因子として抽出されなかった 3).UKの1986-2003年にかけてのコホート研究でも4世代に分けた場合にはより近年になり手術率は低下しており,早期のチオプリン製剤の使用が手術率低下の因子として抽出された 4).Swedenの1963-2005年代を対象としたコホート研究でも複雑なクローン病の外科手術率が低下しており,その原因として治療の変化だけでなく炎症主体の状態で診断可能となったことが原因と考察されている 5).1991-1998年代と,1999-2005年代を比較したSouth Limburgのコホート研究でも入院率や手術率は低下傾向にあるが,その改善は免疫調節薬や生物学的製剤の使用とは関係が認められなかった 6).さらに1935-2008年のPubMedをもとにした文献的考察においても免疫調節薬や生物学的製剤の使用がクローン病の自然史に影響を与えたかどうかは証明されなかった 7).
潰瘍性大腸炎の臨床経過にははっきりとした再燃と寛解を繰り返すもの,慢性に炎症が持続するもの,初期に強い炎症を示すがその後穏やかな経過をたどるものなど様々なパターンが存在する 8).臨床症状の改善とともに,長期的なアウトカムとして外科手術の回避が目標となる.さらに慢性炎症は大腸癌(colitic cancer)のリスクとなるため,発癌リスクの軽減も重要な治療目標である.そのリスクは発症10年で2%,20年で8%,30年で18%におよぶという報告 9)も認められる,いっぽう最近ではそのリスクは減少してきているという報告もある 10).このように発癌リスクの数値は報告により異なるが,コントロール不良の全大腸炎型で罹患年数が長くなるほど発癌のリスクが上昇することは間違いなく発症後7年を過ぎた患者ではサーベイランス大腸内視鏡が推奨されている.
抗TNFα抗体製剤の登場によってIBDの診療は根本から大きく変化した.最も強調されるべき点は臨床症状の改善のみでなく長期的アウトカムを改善することを目的として診療するべきであるということが再認識されたことにある.
1)長期予後改善を目指したtreat to target ストラテジー抗TNFα抗体製剤の登場以前は目の前の患者の臨床症状を軽減することが治療目標となっていた.しかし,それだけでは患者の長期的アウトカムが変化しないことは前述のクローン病に関する多くのコホート研究で手術率が変化しなかったことが示している.現在,慢性疾患ではその長期的予後の改善のために具体的な目標を設定し治療を行っていくtreat to target(T2Tと略される)という治療ストラテジーが導入されるようになった 11).例えば糖尿病のHbA1cや高血圧症の目標血圧などがそれにあたる.目標のHbA1cをクリアしていくことで将来の心血管イベントや合併症を防ごうとするものである.T2Tにおいては長期的アウトカムを改善するために短い期間で達成できる“target”が設定される.一定期間のモニタリングのちその“target”が達成されたかどうかを評価し,達成されていなければ治療強化を行い,達成されていれば治療のステップダウンを考慮する(Figure 1).IBDと同じ慢性炎症性疾患である関節リウマチ治療においてこのT2Tの概念が導入され不可逆的な骨破壊への進行を防ぐ戦略がとられている.IBDにおいてもこのT2Tに基づいて診療し不可逆的な腸管機能障害への進行を阻止するべきであるという考えが提唱されている 12).関節リウマチにおけるT2Tでは長期予後改善とは関節機能障害を阻止することであり,そのtargetとしてはX線や関節エコーにおける関節破壊の予防という客観的評価が設定されている.しかしIBDにおいては腸管機能を評価する客観的な指標が存在しないため長期的アウトカムとして設定することは難しい.現段階では実臨床レベルでは外科手術の回避が長期的アウトカムということになる.外科手術を回避するための“target”として提唱されているのが“粘膜治癒(mucosal healing)”である.ただし,もともとの粘膜治癒の意味には後述する組織学的寛解(histological remission)の意味も含まれていたが 13),現在臨床で使われている“粘膜治癒”は“内視鏡的寛解(endoscopic remission)”を意味することが多い.本稿でも混乱を避けるために粘膜治癒という言葉を使用せず,内視鏡的寛解,組織学的寛解を区別して使用する.
潰瘍性大腸炎におけるT2T戦略.
IBDにおいては臨床症状と内視鏡的所見が乖離することが知られている.したがって臨床的寛解であっても必ずしも内視鏡的寛解に至っていない患者が存在する.そのような患者では密かに腸管障害が進行している可能性がある.特に小腸型クローン病では臨床症状に乏しい患者が存在しそのまま狭窄へ進行してしまうといったケースは珍しくない.臨床的寛解の一つ上の治療標的として現在受け入れられているものが内視鏡的寛解である 14).特に内視鏡による全大腸観察が可能である潰瘍性大腸炎では内視鏡的寛解を“target”とすることは広く受け入れられている.内視鏡的寛解が累積非再燃率や累積非手術率に関係するという後向き解析の結果は日本を含めて数多く報告されている 15),16).また多くの新薬の大規模臨床試験においても内視鏡的寛解が副次評価項目に設定されており,アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)は薬の有効性の客観的指標として内視鏡的寛解を重要視している.Shahらはメタ解析を行い内視鏡的寛解は潰瘍性大腸炎の長期的な臨床的寛解,大腸切除術からの回避,ステロイドフリー臨床的寛解と相関すると結論付けている 17).
しかし,潰瘍性大腸炎における内視鏡的寛解の取り扱いについて課題も残されている.一つはその定義であり,前述の新薬の臨床試験においてはほとんどがMayo内視鏡サブスコア(Mayo endoscopic subscore;MES)1以下(0または1)を内視鏡的寛解と定義し採用している.しかし,MESはvalidationされた指標ではない.また内視鏡スコアにはエキスパート同士であっても観察者間のバイアス(inter-observer bias)が存在することも報告されている 18).また,実臨床においてはMES=1の患者にMES=0を目指した治療介入が必要かどうかはまだ明らかになっていない課題である.MES=1以下でも良好な非再燃寛解維持率を得ているという多くの報告が存在するいっぽう,MES=0とMES=1の間には長期予後に差があるとする報告 19),20)もある.
MESのinter-observer biasを改善するために新たに作成されたのがUlcerative Colitis Endoscopic Index of Severity(UCEIS)で,Erosion/Ulcer,Vascularity,Bleeding,の3因子から構成されている 18).十分とは言えないがvalidationも行われている内視鏡スコアでありこれを用いた長期予後の検討も報告されている 21),22).
内視鏡的寛解という概念の実臨床への導入はクローン病においてより困難を伴う.クローン病ではすべての消化管臓器が標的となり,観察が容易ではない小腸は好発臓器の一つである.病変は非連続性のskip lesionを特徴とするため,クローン病のすべての病変を内視鏡的に評価することは難しい.後述するバルーン小腸内視鏡やカプセル内視鏡が開発された今日でも小腸病変の評価は日常臨床では課題として残されている.また組織学的にはクローン病の炎症は全層性炎症を特徴とするため内視鏡で観察できる粘膜表層だけでは真の疾患活動性を評価できていない可能性がある.また活動性の肛門病変が存在する場合,消化管病変が内視鏡的に寛解に至ったとしても疾患活動性が治まっているとは言い切れない.また内視鏡所見のスコアリングシステムにおけるvalidationの課題も残っている 23).しかし,クローン病の長期予後における内視鏡的粘膜治癒の重要性を示唆するデータも蓄積しつつある.Beppuらは後ろ向き解析により終末回腸病変の内視鏡的寛解が長期的な臨床的寛解に関係すると報告している 24).腸管切除を受けたクローン病患者を対象にした多施設ランダム化比較試験(POCER試験)では術後6カ月後に内視鏡所見をもとに治療を強化する介入群と内視鏡を行わない標準治療群で比較した場合,18カ月後の内視鏡的再発率,内視鏡的寛解率においては内視鏡所見をもとに治療介入した群で優れていた 25).この臨床試験では18カ月後の内視鏡的再発率の差が本当にさらなる長期予後(再手術率など)に影響するのかは示されていないが,腸管切除歴のあるハイリスク患者において積極的な内視鏡観察の重要性を示唆したものであると言える.
3)疾患活動性モニタリングツールの進歩T2Tを実践するためには疾患活動性を正確に定期的にモニタリングし,治療が有効かどうかを評価しなければならない.Ileocolonoscopyによる終末回腸を含めた全大腸の内視鏡的評価はゴールドスタンダードであるものの,患者の負担,術者の負担,コストなどの点から制限を受ける.さらにクローン病において深部回腸病変はileocolonoscopyでは評価できない.これらを背景に非侵襲的で簡便な活動性モニタリングに使用できるバイオマーカーの開発が熱望されていた.その中で便中カルプロテクチンや便潜血定量検査(fecal immunochemical tests:FITs)が内視鏡のサロゲートマーカーとして期待されている.カルプロテクチンは好中球が産生する抗菌ペプチドであり,便中のカルプロテクチン濃度は好中球浸潤を反映していると考えられる.室温でも数日間安定であり,採取部位による違いや連日採取における違いも少ない 26),27).便中カルプロテクチンは内視鏡的活動性と優れた相関性を示し,特に潰瘍性大腸炎では内視鏡的寛解評価のサロゲートマーカーとして期待されている 28)~30).日本では便中カルプロテクチンとしてカルプロテクチン モチダⓇ(適応:潰瘍性大腸炎の病態把握の補助),エリアカルプロテクチン2(適応:炎症性腸疾患の診断補助および潰瘍性大腸炎の病態把握の補助)が使用可能である.残念ながら現在日本ではクローン病の活動性評価に便中カルプロテクチンを用いることは承認されていない.便中カルプロテクチンを使用する際に注意するべき点がいくつか存在する.まずIBD以外の疾患でも上昇することがあり,疾患特異性は高くはない.特に大腸癌で陽性になりうることは念頭に置く必要がある.また,年齢や肥満,NSAIDs内服によっても影響を受ける.便中カルプロテクチンのカットオフ値にも注意する必要がある.検査法やキットの違いによって設定は異なる.さらに臨床的寛解,内視鏡的寛解,組織学的寛解のどれを目指すかによってカットオフ値は異なってくる 31).著者は実臨床で用いる場合はカットオフ値で陽性陰性を判定するのではなく,同一の患者で治療経過を追跡するのが適切な使い方と考えている.便潜血定量検査も便カルプロテクチンと遜色ないレベルで内視鏡所見との相関があることが報告されている 32),33).便カルプロテクチン,便潜血定量検査ともに潰瘍性大腸炎の罹患範囲による違いやクローン病における有用性など明らかにするべき課題は残されているが非侵襲的なモニタリングツールとして期待されている.アダリムマブ治療中のクローン病患者を2群に分けて前向きに追跡すると,臨床症状に加えてカルプロテクチンと血清CRPをモニタリングツールとしてT2Tストラテジーに基づいて治療強化をした群では臨床症状のみを判断基準に治療を強化した群よりも良好な成績が得られることが明らかとなった(CALM study) 34).
新たなバイオマーカーの開発も進んでいる.軽症の潰瘍性大腸炎患者では血清CRPが動かないことはしばしば経験する.潰瘍性大腸炎の新たな血清バイオマーカーとして期待されるのが血清leucine-rich alpha-2 glycoprotein(LRG)である.血清LRGは関節リウマチ患者の治療前後で変化する蛋白質をスクリーニングすることから同定された 35).その後,潰瘍性大腸炎における疾患活動性と非常に高く相関することが明らかとなっている 36),37).特に内視鏡的活動性を有するが血清CRPが正常値の患者であっても血清LRGは変動することからより正確なモニタリングが可能ではないかと期待されており,保険承認が待たれる.
4)組織学的寛解は“target”となりうるか?潰瘍性大腸炎では組織学的寛解が治療目標となりうるかが検討されはじめている(全層性炎症のクローン病ではあまり議論されない).もともとの“粘膜治癒”の定義には組織学的寛解が含まれていたように 13),組織学的寛解は潰瘍性大腸炎の治療評価において以前より重要視されてきた.WrightとTrueloveは1966年の段階で,将来の臨床的再燃の予測として組織学的炎症の持続がおそらく内視鏡所見より重要である,と予測している 38).実際,内視鏡的寛解に至った粘膜からの生検であっても組織学的に炎症所見が残っていることが多いことはすでに明らかとなっており 39),組織学的寛解が内視鏡的寛解よりも厳しい基準であることは確かであろう.組織学的所見と再燃のリスクという観点から作成されたのがRiley スコア 40)である.またBittonらはbasal plasma cytosisが独立した再燃リスクとなりうることを報告した 41).
内視鏡的寛解(MES=0)をさらに組織学的所見から分類できるかが最も重要な点であるが,Ozakiらは複数の所見の中からmucin depletionが再燃予後に関与することを報告している 42).組織学的な炎症が発癌リスクとなりうるという報告もあり 43),44),組織学的寛解を達成することでより良好な長期的アウトカム(再燃率の低下,ステロイド治療後の無症状期間の延長,入院リスクの低下,手術率の低下,colitic cancer発癌リスクの低下)が期待される.しかし,日常臨床で組織学的寛解をT2Tのtargetとして採用するには多くの課題が残されている.まず,組織学的寛解の定義自体が定まっていない.潰瘍性大腸炎の組織学的スコアはMatts スコア 45),Riley スコア 40),Geboes スコア 46),Nancy histological index 47),など様々なスコアリングシステムがある.各スコアの構成因子は多様であり,細胞浸潤を主体に評価するスコアや腺管構造異型を因子に含むものまで様々である.目的もRiley スコアのように予後因子としての組織学的所見を検討したものから,実臨床に使用しやすいように簡便化したNancy histological indexまで様々である.どの指標を用いて何をもって組織学的寛解とするかを定義しなければならない.組織学的所見の場合,病理医間のinter-observer biasも問題になる.各指標間の相関性は高く,専門病理医間のbiasについても少なかったとする報告 48)もあるが,日常診療で一般病理医が診断する場合スコアリングの煩雑さと病理医間のバイアスはやはり課題である.実際に日常臨床においてT2Tとして組織学的寛解を達成するのは困難であるという報告もあり 49),組織学的寛解を日常臨床の治療目標とするには方法論の確立やエビデンスの構築など解決されるべき課題が多い 50).
小腸型クローン病患者では臨床症状が乏しく,血清CRPなどの炎症マーカーの上昇も目立たない症例が存在する.いっぽうで小腸病変は狭窄や瘻孔を形成し腸管切除術のリスク因子であり小腸型・小腸大腸型クローン病患者においては小腸病変の正確なモニタリングが治療方針の決定や治療効果の判定に極めて重要である.これまで欧米を中心に終末回腸まで観察するileocolonoscopyが客観的なクローン病の疾患活動性評価法のゴールドスタンダードとされてきた.しかし,深部回腸の病変はileocolonoscopyでは観察することはできない.粘膜面の評価や病変の全体像の把握には今もって小腸造影検査が有力であるが,被曝の問題,技術を有する放射線技師や医師の減少などを理由に施行する施設が減少してきている.小腸バルーン内視鏡の開発により真の意味での全小腸の内視鏡観察および組織生検が可能となりクローン病診療においても小腸の内視鏡的活動性を評価することが可能となった 51).さらに小腸バルーン内視鏡はクローン病治療にも大きな変革をもたらした.クローン病患者の手術理由で最も多いものは小腸の狭窄病変であり,腸管切除はクローン病患者の長期予後低下の大きな要因となる.小腸内視鏡を用いた内視鏡的バルーン拡張術の導入はこれまで腸管切除や狭窄形成術といった外科的治療しか方法がなかった小腸狭窄病変に対して大きな期待が持たれている 52),53)(Figure 2-a~c).本邦の多施設オープンラベル前向きコホート研究の成果が発表され,95名の解析対象のうち手技不成功は6名(6.3%),66名(69.5%)に短期的な臨床症状の改善を認めた 54).最も重要な内視鏡的バルーン拡張術の長期予後については,Hiraiらが初回内視鏡的バルーン拡張術後の累積手術回避率は2年間で79%,3年間で73%であり,成功例では有意差をもって手術回避率が高かったと報告している 55).
クローン病患者小腸狭窄病変に対する小腸内視鏡を用いた内視鏡的バルーン拡張術.
クローン病患者回腸の狭窄病変.
a:拡張前.
b:バルーン拡張術.
c:拡張術施行後.
欧米では小腸バルーン内視鏡の普及が遅れているために,深部回腸の狭窄病変に対する内視鏡的評価や治療の論文は少なく回盲部切除後の吻合部狭窄に対する報告が主となっている.Lianらは回盲部切除後の吻合部狭窄病変に対しての後方視的研究を行い,外科的切除のほうが内視鏡的バルーン拡張術よりも再手術リスクは低かったが内視鏡的バルーン拡張術は2回目の手術を遅らせる可能性があり疾患進行リスクの低い患者では第一選択となりうると報告している 56).
2)カプセル内視鏡の開発小腸の内視鏡的観察におけるもう一つの大きな進歩はカプセル内視鏡の開発である.本邦ではパテンシーカプセルの承認により狭窄を生じうるクローン病を含めた炎症性疾患にも施行可能となった.現在は,PillCamTM SB 3カプセル(コヴィディエン社)が用いられている(Figure 3-a,b).組織生検や内視鏡治療が不可能な小腸カプセル内視鏡のクローン病診療の中での位置づけは診断と疾患活動性モニタリングとなる.まず初期診断においては狭窄症状がないクローン病が疑われる患者やIBD unclassified(IBDU)の患者における小腸病変の検索が良い適応と考えられる.しかし,カプセル内視鏡所見に基づいたクローン病診断基準が確立されておらず,IBDU患者でアフタ様びらんなどの微細病変が検出された場合や不整形潰瘍が散発性に認められる場合などは確定診断が困難であり,validationされたカプセル内視鏡クローン病診断基準の確立が必須であろう.実臨床で小腸カプセル内視鏡が最も力を発揮すると期待されているのは低侵襲の内視鏡的疾患活動性モニタリングツールとしての役割である.狭窄症状のない小腸型あるいは小腸大腸型クローン病患者での薬物治療効果判定や術後再発のモニタリングに有用であると考えられる.小腸カプセル内視鏡に関する報告は欧米から数多くなされており,クローン病患者で用いられる小腸カプセル内視鏡スコアとしてはLewisスコアとcapsule endoscopy Crohnʼs disease activity index(CECDAI)が提唱されている 57),58).Lewisスコアはクローン病に特化した内視鏡所見ではなくNSAIDs小腸潰瘍などにも用いられる.CECDAIはクローン病に特化したスコアであり,多施設研究によってinter-observer biasについてはvalidationされている 59).筆者はどちらのスコアが優れているかという議論よりもカプセル内視鏡をどのように日常臨床のT2T戦略の中で使用していくかというストラテジー確立のほうがより重要であると考えている.小腸カプセル内視鏡をT2Tにおけるモニタリングツールとして用いた前向き試験はまだ報告されていない.カプセル内視鏡の利点は低侵襲であるということであり,X線被曝の心配もない.そのため小児クローン病患者のモニタリングには特に有用性が高いと考えられる 60).
クローン病患者回腸のカプセル内視鏡像(PillCamTM SB 3).
a:縦走潰瘍.
b:不整形潰瘍.
本邦を中心に大腸カプセル内視鏡の開発も進んでおり,すでにPillCamTM COLON 2(コヴィディエン社)が使用されている(Figure 4).大腸カプセル内視鏡をIBD診療にどのように使用していくかは潰瘍性大腸炎を中心に検討が始まっている.前処置の方法 61),スコアリングシステム 62)も提唱されており,今後は多施設でのvalidationが行われる必要がある.さらに,やはり最大の課題は潰瘍性大腸炎診療の中でどのような患者に何を目的として使用するかというストラテジー確立にあると筆者は考えている.組織学的治癒が注目される時代だからこそ生検を必要としない大腸カプセル内視鏡の実用性を確立することは重要であろう.
潰瘍性大腸炎患者の大腸カプセル内視鏡像(PillCamTM COLON 2).
慶應義塾大学医学部内視鏡センター 細江直樹 先生のご厚意による.
粘膜の浮腫,粘液付着が観察でき,活動期であることが判断できる.
腺管構造をより詳細に観察できる超拡大内視鏡が開発され,IBD領域でも内視鏡的粘膜治癒の評価や組織学的所見との相関性について研究が進んでいる.HundorfeanらはConfocal Laser Endomicroscopyを用いた潰瘍性大腸炎患者の粘膜評価スコア(endomicroscopic MH score)を提唱し,組織学的スコアやMESとの相関を検討している 63).Nakazatoらは潰瘍性大腸炎患者におけるendocytoscopy所見と組織学的所見との相関性について報告している(Figure 5) 64).これらの超拡大内視鏡は日常臨床で用いられるのはまだ先と考えられるが,潰瘍性大腸炎患者の組織学的治癒の重要性の検証には有用なツールになると考えられる.
潰瘍性大腸炎患者直腸粘膜のendocytoscopyによる拡大観察.
腺管の配列の乱れが観察できる.
慶應義塾大学医学部内視鏡センター 細江直樹 先生のご厚意による.
MR enterography(MRE),CT enterography(CTE),超音波検査などのcross sectional imagingは腸管壁の肥厚などの情報に加えて,腸管外の情報,腸管全体の病変分布,全層性炎症の評価などに有効である.この中で最も飛躍的に進歩したのが MREである.機器の画像解像度の改良により腸管壁の描出も可能となり,放射線被曝がないこと,全層性の炎症の評価が可能なことなどから海外では推奨度が高い.RimolaらはMREについての客観的スコアリングシステム(MaRIA;Magnetic Resonance Index of Activity)を提唱し,内視鏡スコアであるCDEIS(Crohn’s disease Endoscopic Index of Severity)との高い相関を報告している 65).深部小腸における内視鏡との相関もMaRIAスコアはSES-CDスコアと相関を示した 66).いっぽうでMREにも得意不得意がありMREは小腸の活動病変の描出に優れているが狭窄などの腸管合併症の検出については小腸内視鏡に劣るとする報告もある 67).Naganumaらはこれらを踏まえてMREは抗TNFα抗体製剤治療を受けたクローン病患者の臨床的再燃などの予後予測に有用であろうと報告している 68).MREを実臨床で用いる際の障壁は一定以上の性能を有するMR機器が必要なこと,一人にかかる検査時間が長く収益性が低下すること,患者にとって前処置が決して楽ではないこと,読影放射線科医の育成が必要なことなどが挙げられ,一般的な施設において標準検査としてクローン病患者をMREでモニタリングすることは現状困難であろう.米国でもMREは高額で医療経済的な問題から一般には普及しないという事情もある.いっぽう各施設で普及しているCTは解像度にも優れ一人にかかる検査時間も少ない.CTEと便中カルプロテクチンを組み合わせることによりクローン病小腸病変が評価可能である 69).最も問題となるのはX線被曝であり,若年者のIBD患者を頻回のCT検査でモニタリングすることは好ましくない.初診時,手術前診断,などに使用は限定するべきであろう.超音波検査も再評価されている検査方法の一つで,粘膜下の炎症の評価,瘻孔の評価,狭窄部位の評価も可能で,侵襲も少ない.したがって治療後の効果判定や定期的な経過観察には適している 70),71).ただ腸管ガスや体形による描出困難例も存在する.そして超音波検査の普及において最大のハードルは十分な技量をもった施行者の育成という点にある.
本邦のIBDの治療においても基本治療薬の充実が進んでいる.5-アミノサリチル酸製剤としては,時間性徐放剤ペンタサⓇ,pH依存性徐放剤アサコールⓇに加えてマルチマトリックス徐放システムを採用したリアルダⓇが承認され3種類の5-アミノサリチル酸製剤を使用することができる.また,ペンタサⓇには顆粒製剤も登場し内服アドヒアランス改善策として期待されている.ステロイド製剤も全身への影響の少ないブデソニド製剤がついに本邦でも使用可能となり,クローン病に対する経口ブデソニド(ゼンタコートⓇ),潰瘍性大腸炎に対するブデソニド注腸フォーム剤(レクタブルⓇ)が承認された.
2)チオプリン製剤をどう使いこなすか?IBDの治療は寛解導入療法と寛解維持療法から成立している.チオプリン製剤は寛解維持療法として従来から使用されてきた免疫調節薬である.しかし,チオプリン製剤には長期的副作用として易感染性,悪性腫瘍リスク,短期的副作用として白血球減少症,肝障害,脱毛などがある.非メラノーマ性皮膚癌や肝脾T細胞性リンパ腫を含めたリンパ増殖性疾患リスクについてはほぼ欧米からの報告であり 72)~74),日本人患者では認められていない 75).実臨床で最も懸念されるのが急性白血球減少症と全脱毛であり内服開始後数週間で発症する.日本人の約1%に起こりうるとされていたが,近年その原因がNUDT15遺伝子の多型にあることが明らかとなった 76),77).NUDT15遺伝子の139番目のコドンがCys/Cysの場合ほぼ100%で急性白血球減少症と全脱毛が起こりうる.この遺伝子多型判定キットが2019年2月から保険承認され実臨床で使用可能となったことは非常に大きい.クローン病における抗TNFα抗体製剤とチオプリン製剤の併用の可否についてはインフリキシマブについてはSONIC試験 78)の結果や,抗製剤抗体誘導を抑える目的で併用が推奨されてきた.アダリムマブについては本邦で生物学的製剤と免疫調節薬ナイーブの中等症から重症のクローン病患者を対象としたアダリムマブ単独療法対アダリムマブとチオプリン製剤併用療法のランダム化前向き比較試験(DIAMOND試験)が行われた 79).その結果主要評価項目である26週時点での臨床的寛解率には両群で有意差を認めなかったが,抗製剤抗体誘導や内視鏡的所見の改善については併用群で良好な傾向を認めた 80),81).このことはアダリムマブにおいても一部の患者では併用療法のメリットが存在することを示唆している.興味深いことにDIAMOND試験では併用群でチオプリン製剤の副作用を懸念して早期に試験脱落する患者が多く,いっぽう単独治療群では疾患活動性上昇による後期の脱落が多かった 82).このことは試験に参加したエキスパートの医師たちでさえもチオプリン製剤による急性白血球減少症に敏感になっていることを示しており,やはりNUDT15遺伝子多型の検査キットの保険承認の持つ意味は大きい.
3)分子標的治療薬の開発状況抗TNFα抗体製剤であるインフリキシマブ(レミケードⓇ クローン病と潰瘍性大腸炎に適応)成功はIBDの複雑な病態においても,たった一つの分子を標的とする治療法が成立することを証明した.これによりIBDに対する分子標的治療薬の開発が驚くべき速さで進んでいる(Table 1).初代の抗TNFα抗体であるインフリキシマブはキメラ型抗体であったため抗製剤抗体を誘導し効果減弱が出現するという課題を持っていた.そのため次世代の抗体製剤の開発においては免疫原性をいかに低下させ抗製剤抗体の誘導を抑えるかが焦点であった.ファージディスプレイ法やトランスジェニック法という新たな手法で作成された抗体製剤は一般に免疫原性が低く抗製剤抗体を誘導しにくい.抗TNFα抗体製剤としてはファージディスプレイ法で作成されたアダリムマブ(ヒュミラⓇ クローン病と潰瘍性大腸炎に適応),トランスジェニック法で作成されたゴリムマブ(シンポニーⓇ 潰瘍性大腸炎に適応)がある.
主なIBDに対する分子標的治療薬の開発状況(治験は本邦で行われているもの).
他のサイトカインに対する抗体としては抗IL-12/23p40抗体であるウステキヌマブ(ステラーラⓇ)がクローン病に対して承認され,潰瘍性大腸炎に対しては国際共同治験が終了し有効性が報告されている.IL-12(p35とp40の二量体)とIL-23(p19とp40の二量体)はメモリーT細胞の機能的分化に重要なサイトカインであり,ウステキヌマブは共通分子であるp40に結合することでIL-12とIL-23を阻害する.さらに現在IL-23p19に特異的な抗体製剤の治験も行われている.
新たな作用機序の分子標的治療としてはリンパ球の腸管へのホーミングを阻害する抗接着分子抗体の開発が進んでいる.末梢血中を流れるリンパ球は表面上に発現するインテグリンと血管内皮細胞上の接着分子が結合することで血管内皮から組織中へ侵入できる.インテグリンはα鎖とβ鎖で構成されておりその組み合わせで相手方の接着分子が決定する.当初α4インテグリンに対する抗体として開発されたナタリズマブ(タイサブリⓇ)はクローン病に対する治験中にJCウイルス活性化による進行性多巣性白質脳症(Progressive Multifocal Leukoencepharopathy,PML)が副作用として発現した.α4インテグリンは脳を含む多くの臓器にホーミングするリンパ球に共通の分子であったため,脳をサーベイするリンパ球のホーミングまで阻害してしまったことが原因と考えられた.そのため腸管特異的にリンパ球のホーミングを抑制する抗体製剤の開発が進んだ.腸管粘膜にホーミングするリンパ球のインテグリンはα4β7の二量体であり血管内皮上のMAdCAM-1と結合する.ベドリズマブ(エンタイビオⓇ)はα4β7に特異的な抗体製剤で理論上は腸管にホーミングするリンパ球だけに作用するため全身の免疫への影響は少ないと考えられている.本邦でも潰瘍性大腸炎に対して適応承認され,クローン病に対しては承認申請中である.腸管特異的な抗接着分子抗体製剤としては,β7分子に対する抗体製剤,MAdCAM-1に対する抗体製剤の治験も行われている.
抗体製剤は高分子の蛋白質であるため抗製剤抗体の誘導,薬物動態が複雑,経口投与できない,コストがかる,などの欠点を有する.そのため,経口投与可能な低分子化合物の開発も急速に進んでいる.経口低分子化合物の場合,薬物動態は理論的に推測可能で他の因子の影響を受けにくい.また,抗製剤抗体を誘導することがないため効果減弱も起きにくいと考えられる.トファシチニブ(ゼルヤンツⓇ)は細胞内シグナル伝達分子であるヤヌスキナーゼ(Janus kinase,JAK)を阻害する経口低分子化合物として開発され,関節リウマチに続き潰瘍性大腸炎でも適応承認された.IFN,IL-6,IL-23などの炎症性サイトカインは受容体の下流のJAK-STAT pathwayを介して生理活性を発揮する.JAKはサイトカイン受容体とSTAT分子の両者をリン酸化することでシグナルを伝達している.JAKファミリーにはJAK1,JAK2,JAK3,Tyk2の4分子があり,STAT分子にはSTAT1-6の6つの分子が存在する.トファシチニブはJAK1,JAK2,JAK3,に親和性を持つことからpan-JAK阻害剤とも呼ばれる.JAK-STAT経路は様々な生理活性に関与し,炎症だけでなく細胞増殖,抗ウイルス免疫,さらにエリスロポエチンやG-CSFなどの造血シグナルにも関与する.そのためより特異性の高い選択的JAK阻害剤の開発も進んでおり,JAK1選択的阻害剤の治験がすでに始まっている.
IBD領域の分子標的治療としては,クローン病に対しては抗TNFα抗体製剤2剤(インフリキシマブとアダリムマブ)とウステキヌマブが使用可能となり,潰瘍性大腸炎に対しては抗TNFα抗体製剤3剤(インフリキシマブ,アダリムマブ,ゴリムマブ),カルシニューリン阻害剤である経口タクロリムス,抗接着分子抗体であるベドリズマブ,低分子JAK阻害剤トファシチニブが使用可能となった.今後も続々と新たな分子標的治療薬が登場すると考えられており,選択肢が広がることへの期待とともに実臨床での混乱も予想されている.これら分子標的治療薬は高価であり乱用は避けなければならない.作用機序に基づいた適正使用と安全性モニタリングが今後の課題である.
IBDの診断と治療の進歩について概説した.今後も多くの分子標的治療薬が登場すると予想されるが,新薬を使いこなすためにもT2Tストラテジーに基づいた計画的治療が長期的予後改善には重要である.
本論文内容に関連する著者の利益相反:久松理一(田辺三菱製薬,EAファーマ,AbbVie,武田薬品,持田製薬,ファイザー,日医工,セルジーン,杏林製薬,ヤンセン,アルフレッサ,JIMRO,第一三共)