GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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Comparison of Underwater vs Conventional Endoscopic Mucosal Resection of Intermediate-Size Colorectal Polyps 1).
[in Japanese]
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2020 Volume 62 Issue 1 Pages 101

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【背景と目的】大腸ポリープの切除法として粘膜下局注を行う内視鏡的粘膜切除術(以下EMR)は確立された手技であるが,10mmを越える大きさのポリープでは一括切除率が低下する.分割切除になると局所再発リスクは高くなる.無茎性大腸ポリープの有効な治療法である水浸下EMR(UEMR)について,従来のEMR(CEMR)に対する優越性を調査した.

【方法】日本の5施設による多施設ランダム化試験を行った.10-20mm大の無茎性大腸ポリープを有する患者が無作為にUEMR群とCEMR群に振り分けられた.最も近位側にある病変のみが対象とされ,UEMRでは腸管内に水を充満し粘膜下局注なしに切除された.UEMR群108個のポリープとCEMR群102個のポリープが解析された.R0切除は組織学的に断端陰性の一括切除と定義され,プライマリーエンドポイントは両群間でのR0切除率の差とされた.

【結果】R0切除率はUEMR群で69%(95%CI:59%-77%),CEMR群で50%(95%CI:40%-60%)(P=.011)で,一括切除率はUEMR群で89%(95%CI:81%-94%),CEMR群で75%(95%CI:65%-83%)(P=.007)と有意にUEMR群の手術成績が良好であった.治療時間の中央値および合併症発生率には両群で差がなかった.

【結語】多施設無作為化試験の結果から,10-20mmの無茎性大腸ポリープに対してはCEMRよりも明らかにR0切除率が高いUEMRが推奨される.(UMIN000018989).

《解説》

これまでUEMRは10mm未満の大腸ポリープを対象に行われてきたが,10-20mm大のポリープに対してもCEMRより治療成績(一括切除率とR0切除率)が良好であることが示された.対象には粘膜内癌やごくわずかにSM癌も含まれていたため,今後長期予後の報告が待たれる.UEMRを10-20mm大のポリープ切除に適用するにあたっては,術前の内視鏡診断で悪性を除外することがより重要になる

文 献
 
© 2020 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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