GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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ENDOSCOPIC RADIOFREQUENCY ABLATION FOR MALIGNANT BILIARY OBSTRUCTION
Tadahisa INOUE
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2021 Volume 63 Issue 9 Pages 1588-1602

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要旨

近年,悪性胆管狭窄に対するステント留置において,胆管内ラジオ波焼灼療法(RFA)の併用が注目されている.胆管内RFAは狭窄部の腫瘍組織を凝固壊死させ脱落を誘導し,その効果としては胆管ステント開存期間の延長や,胆管癌における生存期間の延長効果等が期待される.一方で,未だ発展途上の治療手技であり,解決すべき課題も多く,また現行のRFAデバイスでは症例を問わず十分な焼灼効果が得られるとは限らない.このため実臨床で施行する際には,現在のエビデンスを良く理解,把握した上で適用を判断する必要がある.今後のさらなる検討によって,胆管内RFAの有用性の確立と適応の明確化が必要であり,また様々な症例に対応可能なデバイスの改良も期待される.

本稿では悪性胆管狭窄に対する内視鏡的胆管内RFAの現状と課題,そしてその展望に関して概説する.

Ⅰ はじめに

悪性胆管狭窄の治療において,閉塞性黄疸や胆管炎のコントロールに胆管ドレナージは欠かすことのできない手技である.以前は主に経皮的ドレナージが施行されていたが,1980年代に内視鏡的胆管ステント留置術が登場し 1,その低侵襲性から,現在では多くの場面で第一選択として施行されている.ステンティングのストラテジーは病態によって異なるが,非切除例においては死亡時まで偶発症無くステント開存を得られることが理想であり,開存期間の点ではプラスチックステント(PS)に対してメタルステント(MS)に優位性がある 2.一方で,化学療法をはじめとする抗腫瘍療法の進歩もあり 3),4,MSを留置してもその開存期間より長期生存が得られる症例も少なくない.このためさらなるステント開存期間の延長が求められ,ステント形状や特性,素材の改良,あるいは補助療法の付加など様々な試みがなされてきた.その1つとして近年注目されているのが,ステント留置時における胆管内ラジオ波焼灼療法(RFA)の併用である 5.この胆管内RFAは生存期間延長効果も期待される有望な治療法であるが,一方で未だ確立された方法とは言い難く,解決すべき課題が多いのが現状である.このため実臨床で施行する際には,現在のエビデンスを良く理解,把握した上で適用を考える必要がある.本稿では悪性胆管狭窄に対する内視鏡的胆管内RFAの現状と課題,そしてその展望に関して概説する.

Ⅱ 内視鏡的胆管内RFAの手技とデバイス

RFAは既に肝細胞癌等において有用性が確立され,広く普及している治療手技であり,様々な臓器や病変においても適用が図られている.胆管病変に対しては,2000年代後半に胆管狭窄をターゲットとしたカテーテルタイプのRFAデバイスが登場した 6.本邦においても2019年10月に,この胆管内RFA用デバイスであるHabib Endo HPBカテーテル(Figure 1)がBoston Scientific Japanにより販売開始され,現在実臨床での施行が可能である.

Figure 1 

Habib Endo HPBカテーテル.

下段はHabib Endo HPBカテーテルの先端であり,8mmの焼灼用の電極が2つ,8mm離れて位置する構造となっている.

内視鏡的胆管内RFAは通常のERCP手技下で施行され,手技自体は非常にシンプルである.Habibカテーテルは8Fr径のガイドワイヤー誘導式のバイポーラカテーテルであり,胆管にカニュレーション後ガイドワイヤーで狭窄部を突破した後に,Habibカテーテルを追従させる.そしてカテーテル先端部の2つの電極を透視下で確認し,狭窄部に電極を位置させて焼灼を行う(Figure 2).RFA用のジェネレーターには,VIOシリーズ(ERBE社)やESG-100(Olympus社)などの,その他の内視鏡処置にて汎用されている高周波発生装置が使用可能である.各々の高周波装置によって出力設定は異なるが,使用頻度が高いと思われるVIO 200D/200S/300D/300Sを用いた場合には,7~10Wの出力にて90秒間の焼灼が基本となる.焼灼後は組織が不意に裂けることを防止する意味で,カテーテルを移動する前に60秒程クールダウンさせる.またHabibカテーテルの電極位置と構造からは焼灼長は概ね20~25mm程とされ 7,これよりも長い狭窄の場合には電極の位置が重複しない様にカテーテルを移動させて追加焼灼を行い,狭窄全長が焼けるようにする.また肝門部狭窄例において左右肝管共に狭窄が進行している場合には,左右にガイドワイヤーを挿入し,それぞれにHabibカテーテルを追従させて焼灼を行う(Figure 3).この際にも過剰な焼灼を防ぐため,各焼灼で電極の位置が重複しないように注意をする.焼灼終了後にはバルーンカテーテル等を使用して,壊死した組織を排出させると共に,胆管造影にて狭窄部の再評価と偶発症の有無の確認を行う.そしてRFA後は,焼灼した位置を越えて胆管ステントを留置する.

Figure 2 

遠位胆管狭窄に対するRFA.

遠位胆管狭窄部に電極を位置させRFAを施行後(A),UMSを留置した(B).

Figure 3 

肝門部胆管狭窄に対するRFA(文献より引用改変).

左右に2本ガイドワイヤーを留置後(A),左肝管狭窄部(B)と右肝管狭窄部(C)にそれぞれRFAを施行した.RFA後にside-by-side法にて両葉にUMSを留置した(D).

一方で通常のERCP以外に,バルーン小腸内視鏡下ERCP(Figure 4)やEUSガイド下順行性アプローチ(Figure 5)においても胆管内RFAは施行可能である 9)~11.しかし,バルーン小腸内視鏡下ERCPでは,Habibカテーテルの全長は1,800mmであることから,処置用のショートタイプダブルバルーン内視鏡(EI-580BT:有効長1,550mm)や,ショートタイプシングルバルーン内視鏡(SIF-H290S:有効長1,520mm)を使用する必要がある.ショートタイプを使用した場合でも,肝門部~肝内の狭窄ではデバイス長が不足する可能性があり,適用を検討する際には注意が必要である.EUSガイド下アプローチでは通常の順行性ステント留置術と同様に,まずは経胃あるいは経空腸的に肝内胆管を穿刺した後に,ガイドワイヤーで狭窄部を突破する.その後瘻孔を拡張した後にHabibカテーテルを挿入し,狭窄部に電極を接触させて焼灼を行う.しかし,Habibカテーテルは柔軟性が低く,先端テーパリングも乏しいことから,瘻孔部や肝門部屈曲部,狭窄部の突破がしばしば難しいことが指摘されている 11.瘻孔拡張後に時間を費やすと,腹腔内への胆汁漏出増加も懸念されるため,状況に応じて柔軟に判断する必要がある.

Figure 4 

小腸内視鏡下ERCPにおけるRFA(文献より引用改変).

幽門側胃切除術Roux-en-Y再建症例.ショートタイプシングルバルーン内視鏡(SIF-H290S)を挿入し,肝門部狭窄に対してRFA後(A),stent-in-stent法にてUMSを留置した(B).

Figure 5 

EUS下アプローチによるRFA(文献11より引用改変).

左肝内胆管を穿刺後ガイドワイヤーを留置し(A),順行性に下部胆管狭窄に対してRFAを施行した(B).RFA後順行性にUMSを留置し,総肝管から胃内にかけて専用プラスチックステントを留置した(C).

Ⅲ 悪性胆管狭窄に対する内視鏡的胆管内RFAの現状

悪性胆管狭窄に対する内視鏡的胆管内RFAは,2011年にSteelらによって初の人を対象としたpilot studyが報告された 12.RFAは組織学的な効果として胆管壁と周囲の凝固壊死と細胞死,また組織の脱落を誘導することが報告されている 13)~15.この点からは胆管狭窄部の腫瘍を壊死させて除去できれば,胆管ステント留置は不要とも思われるが,現状の胆管内RFA技術では詳細に焼灼範囲と深度をコントロールすることは難しく,強く焼灼された部位はびらんと潰瘍を形成し,その後瘢痕化して狭窄を来たすと考えられている.実際にChoら 16は生体ブタを用いた動物実験にて,全例RFA後4週間内で瘢痕狭窄を呈したことを報告し,現状では基本的にステント留置を組み合わせる治療法としてRFAは位置づけられている.このため胆管内RFAに期待される主な役割としては,ステント開存期間の延長と,生存期間延長の2つとなる.RFA施行のタイミングとしては,ステント留置時(あるいは交換時)の同時施行に加え,MS留置後閉塞に対する使用も報告されている.

1)胆管内RFAによるステント開存期間延長効果

Steelらによる報告から,現在まで内視鏡的胆管内RFAの主な単群試験は14報(Table 1 8),11),12),17)~27報告されており,それぞれで主要評価項目は異なるが,いずれもRFAの有用性を示唆する内容となっている.Figueroa-Barojasら 17やWangら 22などは,RFAによって狭窄部の有意な拡張が得られることを示し,RFAによるステント開存期間延長効果の根拠の1つとして報告している.単群試験の内訳は後方視的研究が8つ 8),18)~23),26,前方視的研究が6つ 11),12),17),24),25),27であり,そのステント開存期間は中央値あるいは平均値にて91.5日~276日となっている.一方でわれわれが胆管ドレナージとして一般に使用しているステントはPSとカバードMS(CMS),アンカバードMS(UMS)に大別される.これらは同じ胆管ステントでもその特性は異なり,主な閉塞要因はPSはsludge,CMSはsludgeあるいはmigration,UMSはingrowthとなる 28.このためRFAの効果を検証する上では,少なくともこれら3つのステント種類毎に分けて考える必要があると思われる.

Table 1 

悪性胆管狭窄に対する内視鏡的胆管内RFAの単群試験.

内視鏡的胆管内RFAの主な比較試験としては,現在まで7報(Table 2 29)~35が報告されており,無作為化比較試験(RCT)が3,後方視的研究が4である.ステント開存期間に関しては後方視的研究の1つ 33が言及していないが,RCTを含む残り6研究で検討されている.Sharaihaらの検討 29はRFAによるステント開存期間延長を示していないが,この検討ではCMSとUMS,PS使用例が混在しており,評価が難しい.このSharaihaらの検討を除くと,PSはYangら 32とGaoら 35の2つのRCTで使用されている.Yangらは,平均ステント開存期間が6.8カ月対3.4カ月(P=0.02)と有意にRFA使用群で延長することを示したのに対し,Gaoらの報告ではステント開存期間中央値は3.7カ月対4.1カ月でRFA施行の有無で有意差を認めなかった(P=0.674).このようにPSに関しては2つのRCTで相反する結果となっているが,詳細を見るとYangらの検討では3カ月毎にステント交換が施行されており,純粋なステント開存期間の評価とはなっておらず解釈が難しい.一方でGaoらはRFAとPS留置(ステント単独群ではPS留置のみ)を行った3カ月後に,RFA群では再RFAとPS交換,ステント単独群はPS交換を行い,この2回目に留置したPSの開存期間を比較した結果となっている.以上のことから,現在までのエビデンスよりRFAのPS開存期間への影響を評価することは難しく,現時点では少なくともRFAがPSの開存期間を延長させるという有力な根拠は乏しいと思われる.

Table 2 

悪性胆管狭窄に対する内視鏡的胆管内RFAの比較試験.

次にMSに関しては,Kallisら 30とDuttaら 31の後方視的研究2つと,Kangら 34のRCTにて検討されている.KallisらとKangらはUMSを使用し,DuttaらはCMSとUMS使用例が混在している.RFAは前述した通り胆管狭窄部の腫瘍組織を凝固壊死させるため,狭窄部における腫瘍の増生,すなわち主にingrowthの抑制が期待される.このため各ステントの主要な閉塞要因を考慮すると,理論的にはPSやCMSではなく,UMSとの組み合わせが最も有望と推察される.しかしながら,これら3つの研究のうちRFA使用群で有意なステント開存期間延長を示したのは,CMSとUMS使用例が混在しているDuttaらの報告のみである(ステント開存期間ではなくintervention-free survivalとして検討されている)(220日 vs. 106.5日,P=0.025) 31.UMSのみを使用したKallisらは,開存期間中央値は472日対324日(P=0.669)でありRFA使用群で長い傾向があるものの有意差は認めなかったと報告し 30,KangらのRCTにおいても132日対116日(P=0.440)で両群に有意差は示されなかった 34

以上をまとめると,内視鏡的胆管内RFAがステント開存期間を延長する積極的な根拠は,PS,CMS,UMSいずれのステントにおいても現状では乏しいと考えられる.一方で,悪性胆管狭窄に対する胆管内RFAは経皮的アプローチでも近年報告が増加しているが,この経皮的アプローチの結果も参照すると事情が異なってくる.経皮的アプローチに関しては6報の後方視的な比較試験 36)~41が報告されているが,その6報すべてがUMS併用時のRFAによるステント開存期間延長効果を示している(Table 3).また,Sofiら 5は経皮的アプローチと内視鏡的アプローチの両方を含めてメタアナリシスを行い,RFA施行によって有意なステント開存期間延長が得られる結果を報告した.これらのエビデンスをどう解釈するかによって,RFAによるステント開存期間延長効果の判断は異なると思われるが,いずれにしてもRCTが少なく,また原疾患や狭窄部位,使用したステント種類等が混在している報告が多いため,背景を統一した上でさらなる検討を行う必要があると思われる.また,近年の報告ではデバイスに由来する問題によって焼灼効果が安定せず,RFAの評価に影響を及ぼしている可能性も示唆されており 42,その点に関しては「Ⅳ 内視鏡的胆管内RFAの課題と展望」の項で後述する.

Table 3 

悪性胆管狭窄に対する経皮的胆管内RFAの比較試験.

2)胆管内RFAによる生存期間延長効果

次に生存期間とRFAの関連であるが,胆管内RFAは腫瘍量の減少,ステント開存期間延長による二次的効果,また抗腫瘍免疫の誘導 43),44などから生存期間延長効果を発揮すると考えられている.しかしステント開存期間延長効果と同様に,肯定的な結果と否定的な結果が混在しており,明確なコンセンサスは得られていない.先に示した内視鏡的胆管内RFAの7つの比較試験中,生存期間延長効果を示した報告は5つ 30)~33),35,示していない報告は2つ 29),34であり,結果は約7対3の比率となっている.しかし生存期間を検討する上では,少なくとも原疾患の統一が必要と考えられるが,約半数の報告は複数の癌種が混在しており,生存期間延長効果の解釈を困難としている.

前述の通り現在まで胆管内RFAのRCTは3つ報告されているが,このうちKangら 34の報告は様々な疾患が混在している.一方でYangら 32とGaoら 35は対象が肝外胆管癌に統一されている(Gaoらの検討では一部乳頭部癌も含む).それぞれの結果は,KangらがRFA使用群における生存期間の延長を示さなかったのに対し,肝外胆管癌に統一された2つの研究では,Yangらが平均生存期間13.2カ月対8.3カ月(P<0.001),Gaoらが生存期間中央値14.3カ月対9.2カ月(P<0.001)で,共にRFA使用群で有意に生存期間が延長することを報告した.またYangらはその後,RFA+PS+S-1群とRFA+PS群のRCTも報告し 45,生存期間中央値は16.0カ月対11.0カ月でRFA+PS+S-1群が有意に長く(P<0.001),RFA施行例における化学療法の上乗せ効果も示した.これらのRCTの結果を踏まえると,現時点で肝外胆管癌に対しては,RFAによる生存期間の延長を期待できると考えられる.しかし,注意すべき点としてYangらの先行研究 32とGaoらの研究 35は局所進行例と遠隔転移例が混在し,YangらのS-1との併用試験 45では遠隔転移例が除かれているため,各病期とRFAの有効性の関連に関してはさらなる検討が必要と思われる.またYangらは,先行研究では3カ月毎にERCPを行い,IDUSにて胆管壁が6mm以上であればRFAをその都度施行し 32,S-1との併用試験ではステント閉塞時に同様の基準でRFAを追加で行っており 45,共にRFA施行回数が中央値3回を越えている.またGaoらは初回とその3カ月後の計2回RFAを行うストラテジーとしている 35.これらを踏まえると,肝外胆管癌においてRFAによる生存期間延長効果を得るためには,少なくとも2回以上のRFAが必要となる可能性があり,単回の焼灼で同等の効果が得られるかは不明である.

一方で膵癌に対象を限定した検討もKallisら 30が後方視的研究を報告している.この報告では生存期間中央値は226日対123.5日(P=0.010)であり,有意にRFA使用群で長期の結果が得られることを示した.またSharaihaら 46は,RFAを施行した膵癌19例をがん登録データベースと比較し,平均生存期間14.6カ月対5.9カ月(P<0.0001)で有意に長期生存であることを報告した.しかし膵癌を対象とした主な検討はこれら2報のみであり,RCTを含めたさらなる検討が必要と思われる.

以上をまとめると,現在のエビデンスからは,肝外胆管癌におけるRFAの生存期間延長効果は有望性が高く期待されると言える.しかし仮に複数回焼灼が必要な場合は,抜去して再焼灼が可能なPSを基本的に留置することになると思われ,ステント開存期間延長を狙う使用方法とは相容れない可能性がある.またどれくらいの間隔で,何を目安に何回まで焼灼するのか,といった点も現状では明らかではない.また病期(特に遠隔転移の有無)による効果の違いと治療戦略も検討課題であり,S-1以外の抗腫瘍療法との併用効果も確認する必要がある.一方で膵癌をはじめとした肝外胆管癌以外の癌種に関しては,有効性を示唆する報告は認めるものの,エビデンスが乏しく現時点では判断がつかない.

3)胆管内RFAとPhotodynamic therapyの比較

悪性胆管狭窄に対する局所治療としては,胆管内RFAの登場以前からphotodynamic therapy(PDT)の有用性が報告されている 47),48.PDTに関してはRCTを含むいくつかの報告において,胆管癌に対して生存期間の延長が得られることが示され,メタアナリシスやシステマティックレビューにおいても,ステント留置にPDTを併用することによって有意に生存率が改善することが示されている 49),50.一方で手技の煩雑さやコストの問題,また特徴的な偶発症である光線過敏症の問題などから,広く一般に普及するには至っておらず,より簡便に施行できるRFAがその後登場してきた.

胆管内RFAとPDTの比較としては,現在まで後方視的研究が2つ 51),52行われている.Strandら 51は胆管癌を対象に,RFA16例とPDT32例を比較検討し,生存期間中央値は9.6カ月対7.5カ月(P=0.799)で有意差を認めなかったと報告した.一方でSchmidtら 52は胆管癌を対象に,RFA14例とPDT20例の短期成績を比較し,3カ月以内にステント再留置を要した症例は有意にPDT群で多く(29% vs. 68%,P<0.01),偶発症は有意ではないもののPDT群で高い傾向を認めたと述べている(21% vs. 40%,P=0.277).手技の簡便さという点ではRFAに分があるようにも思われるが,果たしてRFAとPDTは同等の効果が得られるのか,あるいは優劣があるのかに関しての判断は現状では困難であり,この点もさらなる検討が必要と考えられる.

4)MS閉塞に対する胆管内RFA

ここまでステント留置(あるいは交換)と同時タイミングでのRFAに関して述べてきたが,その他にMS留置後の閉塞(ingrowth)に対するRFAも報告されている(Figure 6).MS留置後の焼灼で懸念されるのは,ステント金属との兼ね合いによる過剰焼灼等であるが,Yoonら 54はin vivo,in vitroにおいて,MS内でバイポーラカテーテルにて焼灼した際には,むしろMSによって焼灼効果が減弱され,MSを越えての焼灼は起きにくいことを示した.またMS自体への焼灼によるダメージも認めなかったと報告している.以上のことからingrowth部を中心とした焼灼が期待でき,MS閉塞に対するRFAも有用と考えられている.

Figure 6 

UMS留置後ingrowth閉塞に対するRFA(文献53より引用改変).

肝門部胆管狭窄に対してside-by-side法にてUMS留置後,ingrowth閉塞を来たした症例(A).左右にガイドワイヤーを留置後,右UMS内(B),左UMS内(C)でそれぞれingrowth部に対してRFAを施行した.RFA後バルーンカテーテルにて壊死したingrowth組織を排出し,ステント管腔の再開通が得られた.

現在までのMS閉塞に対する内視鏡的胆管内RFAの検討は2つ報告されている(経皮的アプローチは3報)(Table 4 55)~59.それぞれの検討で原疾患や狭窄部位は様々であるが,RFA後の開存期間は102.5日~234日と報告されており,一般的なMS閉塞後のreinterventionの開存期間と,同等以上の結果が示されている.唯一の比較試験であるKadayifciらの検討 57では,MS閉塞に対してRFAを施行した25例とPSを留置した25例を比較検討しており,開存期間は119.5日対65.3日(P=0.034)で有意にRFA使用群が長期であったと報告している.このようにMS留置後ingrowth閉塞に対する胆管内RFAも期待値の高い治療法と考えられ,ステント追加留置の必要がなくなればコストの面でも有利となる可能性がある 55.一方でKadayifciらはRFAによって十分な改善(ステント内腔の80%以上の改善と定義)が得られたのは56%の症例に留まったとも述べている.その原因として原疾患や狭窄部位に関連する可能性が考察されているが,明確な要因ははっきりしておらず,今後の検討課題と考えられる.

Table 4 

メタルステント留置後閉塞に対する胆管内RFAの報告.

5)胆管内RFAの安全性

内視鏡的胆管内RFAの偶発症率は4.2~35% 8),11),12),17)~27),29)~35と報告されている.各報告で偶発症の定義が異なるため一概に高低の判断はできないが,RFA施行群と非施行群で偶発症率を比較している5つの報告では,いずれも両群に有意差を認めていない 29),31),32),34),35.偶発症の内容としては腹痛,発熱,胆管炎,胆嚢炎,膵炎,高アミラーゼ血症,肝膿瘍,敗血症,胆道出血等が報告されているが,基本的には重篤な偶発症は少なく安全な手技として報告されている.しかし稀ではあるが,RFAとの関連が否定できない出血による死亡例 20や,肝梗塞 19,胆管穿孔 60などの重篤な偶発症も症例報告されている.またGaoらのRCT 35では全体の偶発症率にRFA施行群と非施行群で有意差は認めなかったものの,胆嚢炎発症率は10.3%対0%(P=0.003)で有意にRFA施行群が多かったと報告している.RFAによる胆嚢管分岐部への炎症波及や浮腫により胆嚢管閉塞を来たしたためではないかと考察されており,特に胆嚢管分岐部近傍を焼灼する場合は注意を要すると考えられる.また安全性の面で特に問題と思われるのが,胆管内RFAは手技中透視下でしか観察できないことであり,焼灼中の温度やインピーダンスのモニタリングもできないことから,偶発症の発見が遅れる懸念がある.このためRFA後の胆管造影による偶発症の確認と共に,必要に応じて追加のモダリティにより評価するなど,術後のフォローも含めて慎重に対応すべきである.

Ⅳ 内視鏡的胆管内RFAの課題と展望

ここまで述べてきたように胆管内RFAは近年徐々にRCTも登場し,エビデンスが蓄積されてきているが,それぞれの結果は一定せず未だコンセンサスは得られていない.前述のように各研究で原疾患や病期,狭窄性状,アプローチ法,留置ステント種類などが混在していることが1つの要因と考えられ,これらの背景が統一され良くデザインされた臨床研究を行い,真のRFAの有用性,あるいは有効となる対象を明らかにする必要がある.そしてもう1つ結果の不均一性に関連する問題として考えられているのが,デバイスに由来するlimitationである.

現在胆管内RFAに使用されているHabibカテーテルは,前述の通り先端に焼灼用の電極が2つ付いたバイポーラカテーテルであるが,各々の電極は8mm長で,電極間も8mmとなっている(Figure 1).電極間長が比較的長いことから,電極が接触する部分が相対的に強く焼灼され,焼灼深度にムラができることが指摘されている 42.また狭窄長が短い場合には2つの電極が十分に接触しないため有効な焼灼ができず(Figure 7 8),42),61,この場合に無理に焼灼すると本来焼灼する必要の無い非狭窄部の胆管を焼いてしまうこととなる.先に示したChoらの動物実験 16の通り,非狭窄胆管に対して焼灼を行った場合,概ね1カ月以内で同部位に瘢痕狭窄を呈すると考えられ,不必要な焼灼は狭窄範囲を拡張し,ステント閉塞のリスクを高めかねない.InoueらはRFAの効果に関連する因子の検討 8を行い,実際に狭窄長がステント開存期間に関与する有意な因子となることを明らかとし,狭窄長>15mm例が狭窄長≦15mm例よりも有意に開存期間が長い(P=0.015)ことを報告した.狭窄長以外にも,狭窄部が柔らかい,あるいは緩やかな場合などは電極の接触圧が低下し焼灼効果が減弱する可能性が想定される(Figure 8).いずれにしてもRFA施行中は透視下のみの観察となるため十分に焼灼されたかどうかを判断することができない.RFA前後に胆道鏡を施行することによって胆管内腔の焼灼状況は観察可能だが 23,現在までの多くの報告は各症例で十分な焼灼が得られたかどうかや,電極の接触が不十分な症例を除外したといった記載は無く,様々な焼灼具合の症例が含まれている可能性がある.以上のことから,正しくRFAの効果を判定するには,十分に焼灼された症例に絞っての検討,あるいはどのような狭窄でも安定した焼灼効果が得られるデバイスを用いた上での評価が求められる.

Figure 7 

狭窄長が短い場合のRFA模式図.

電極が2つ狭窄部に接触せず焼灼できない.あるいは非狭窄部を焼灼してしまう.

Figure 8 

狭窄が柔らかい(あるいは緩やかな)場合のRFA模式図.電極は一方向にしか接触せず,腫瘍(狭窄)全周を焼灼することができない.

この問題点に対して,海外では新型RFAカテーテル(ELRA;STARmed社)(Figure 9)が登場し,近年このカテーテルを用いた報告が増加してきている.このELRAカテーテルは電極間が詰められ,また焼灼長が11mm,18mm,22mm,33mmと異なる4サイズがラインナップされており,様々な狭窄長に対応可能となっている.また電極部に温度計が設置され焼灼中の温度確認も可能となり,温度上昇の有無によって有効に焼灼されているかある程度判断することが可能と推察される.一方でカテーテル径はHabibカテーテルが8Frであるのに対し,ELRAカテーテルは7Frとなっている.このためHabibカテーテルよりも,前拡張などを行った場合に電極が狭窄全周に接触し難くなる可能性が想定されている.例えば,7Fr以上のPSあるいはENBDなどでプレドレナージを施行した際に,電極の接触低下から焼灼効果が減弱する懸念があり,今後の検討課題と考えられる.既にELRAカテーテルを使用した内視鏡的胆管内RFAの比較試験も1つ 34報告されているが,まだまだエビデンスが不足しており,さらなる治療成績の検討が待たれると共に,Habibカテーテルとの直接比較,そして本邦への早期導入も期待される.

Figure 9 

ELRAカテーテル(本邦未発売).

下段はELRAカテーテルの先端であり,電極長と電極間長が異なる4サイズがラインナップされている.それぞれの焼灼長は11mm,18mm,22mm,33mmとなり,様々な狭窄長に対応可能となっている.

さらなる将来展望としては,動物実験段階ではあるものの,様々な狭窄病変に全周性に接触することが可能な,バルーンカテーテルベースのRFAデバイスも登場しており,実際に既存のカテーテルRFAよりも安定した焼灼範囲と深度が得られることが報告されている 42),62.このような次世代のデバイスが今後臨床に登場することによって,さらに胆管内RFAの適応や対応可能範囲が広がり,安定した焼灼と治療成績の向上も期待される.

Ⅴ おわりに

悪性胆管狭窄に対するRFAに関してその現状と課題,展望を概説した.RFAは胆管内局所治療法として,非常に有用なオプションとなる可能性をもつが,未だ発展途上の治療手技である.現時点では,UMSとの併用によるステント開存期間の延長(ingrowth閉塞に対する使用も含め),肝外胆管癌における生存期間の延長,の2つが期待される効果ではあるが,不明確な点も多く,個々の症例の状況に応じて適応を良く判断する必要がある.少なくともデバイスの構造上2つの電極が十分に狭窄に接触しなければ,適切な治療効果は得られないことを念頭に置く必要がある.今後さらなるエビデンスの蓄積と共に,有用性の確立と適応の明確化が必要であり,また様々な症例に対応可能なデバイスの改良も期待される.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:なし

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