GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2021 Volume 63 Issue 9 Pages 1670-1672

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概要

沿革・特徴など

当院は,安芸郡府中町にあり,1938年に東洋工業医務室からスタートし,1961年に東洋工業附属病院として現在の地,安芸郡府中町に建設された.1984年に現在のマツダ株式会社マツダ病院に改称し,従業員とその家族の医療と健康増進を担いつつ,広島市東部の基幹病院として,地域医療向上に努めてきた.企業立病院ではあるが,利用者の86%は地域の皆さんが占め,今では地域の病院として認めて頂いている.病院建物は老朽化していたが,2013年1月に新しい入院棟が開院し,それに引き続き,存棟(外来棟)の耐震化・改修工事を行い内視鏡室(透視室)もスペースが広くなり,以前にもましてゆったりと安心して検査や治療を受けて頂けるようになった.

組織

内視鏡室は診療部門の一部として位置づけられており,主に消化器内科の常勤医師が上下部消化管内視鏡検査・治療,ERCPなどを行っている.また,一部の曜日には広島大学病院より非常勤医師の応援を仰ぎながら下部消化管内視鏡検査を行っている.画像診断科の看護師,臨床工学技師,事務職員らで協力し円滑な内視鏡診療を行っている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室は以前は手狭であったが,2013年に新入院棟が開院し,旧病棟の改修工事を行い,スペースが広くなった.外来棟とは同じ棟にあり移動がスムーズであるが,救急外来,入院棟は別棟にあり移動にやや時間を要する.内視鏡ブース,咽頭麻酔室,リカバリールーム,大腸前処置室,更衣室,トイレ,診察室で構成される.内視鏡対応の透視室は主に,下部消化管内視鏡検査,ERCPを行っている.上部消化管内視鏡治療,下部消化管内視鏡検査・治療にはCO2送気を用いている.内視鏡画像はファイリングシステムで管理しており,院内の電子カルテより閲覧可能である.

スタッフ

(2020年12月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医2名,消化器内視鏡学会 専門医2名,その他スタッフ1名,研修医など1名

内視鏡技師:Ⅰ種3名

看護師:常勤14名,非常勤1名

事務職:1名

その他:1名

設備・備品

(2020年12月現在)

 

 

実績

(2019年1月~2019年12月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は初期臨床研修制度基幹型研修指定病院であり,消化器内科に初期研修医が1~2名程度ローテーションしている.研修時は内視鏡モデルを用いた指導を行いつつ,研修1年目では検査の見学,介助を中心に行い検査,治療の適応,内視鏡所見についての理解を深める.2年目での研修,また消化器内科志望者には,指導医の監督下で実際に上部消化管内視鏡検査の引き抜き操作から開始し,進達状況によっては挿入,観察まで行う.後期研修医は週2回,指導医の監督のもと上部消化管内視鏡検査を行う.最終的には一人で安全に上部消化管内視鏡検査を行えること,診断能の向上,正確な生検,所見の記載が出来ることを目標としている.熟練度に応じて消化管出血に対する止血処置,また,胃のESDの介助から開始し,前庭部等の比較的難易度の低い病変からESDの施行を考慮する.下部消化管内視鏡検査については,内視鏡モデルで練習後,初めは引き抜き操作より開始し,徐々に挿入も行う.挿入時間15分を目安に難渋する場合や疼痛を訴える場合は速やかに上級医に交代する.最終的には挿入困難例を除く挿入とポリペクトミー/EMRが出来ることを目標とする.ERCPも乳頭へのカニュレーションに時間がかかる場合はすぐに上級医に交代し,最終的には選択的な胆管・膵管挿入が出来ることを目標としている.いずれの検査,処置も技術の習得より,安全かつ偶発症が起きないことを最優先としている.カンファレンスは週1回の内視鏡読影と月1回,外科と合同で,内視鏡診断と外科切除後の病理診断のディスカッションを行うためのカンファレンスを行っている.新専門医制度の施行に合わせてJEDへの参加も完了している.

現状の問題点と今後

問題点としては,内視鏡検査を行う個々の医師が,予期せぬ急患対応や入院患者の対応などを同時に行うため人員が足りない状況が慢性的に生じている.2017年度より広島市,安芸郡府中町の胃がん検診における胃内視鏡検査が実施されたこともあり上部消化管内視鏡検査数が増加している.2020年度は新型コロナウイルスの影響でやや検査数が減少したが,今後再び検査数増加が予想されることもあり内視鏡診療に従事する専門医師の確保が必要である.また,近年は鎮静下での内視鏡を希望される患者の増加により,リカバリースペースが足りず,検査が滞ることがあり,スペースの確保の調整を行っているが,なかなか難しいのが現状である.患者の高齢化に伴い,重篤な基礎疾患を有する症例,抗血栓薬内服下での検査,治療が増加しており,情報の共有や技術の獲得が必要である.今回の新型コロナウイルスの流行により内視鏡診療時の感染防護対策について,学会や院内ICTからの助言を参考に日々診療を行っている.

 
© 2021 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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