GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2022 Volume 64 Issue 1 Pages 97-100

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概要

沿革・特徴など

2002年(平成14年),内視鏡により病変を早期に発見および治療し,消化管癌を減少させることを目標に,院長・豊島治の出身地でもある世田谷区成城に開設された.当初は,30坪の診療所として,一般内科診療も行っていた.Sedationを使用した「苦痛の少ない内視鏡」の需要増加(Figure 1)に伴い,2016年(平成28年)1月に近隣に地上2階のクリニックを新築移転し,施設名を「とよしまクリニック」から「とよしま内視鏡クリニック」と変更し,現在に至る.

Figure 1 

年間内視鏡検査件数推移

2020年(令和2年)より副院長・吉田俊太郎が加わり,精度の高い内視鏡診療を実施している.胃・大腸内視鏡検査件数は年間約10,000件,大腸内視鏡手術(大腸ポリープ切除)は年間約2,500件実施している.

最寄り駅は東京都世田谷区の小田急線「成城学園前駅」で,新宿や渋谷まで電車でおよそ20分という立地であるものの,近隣は閑静な住宅街である.内視鏡受診者は首都圏より来院しているが,近隣のかたの受診が多い.

組織

内視鏡室はクリニックの診療部門の一つとして運営されている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡検査室は2階に3ブースあるが,午前は主に上部内視鏡を2ブースで,午後は主に下部内視鏡を3ブースで行っている.リカバリーは9ブースある.当院の特徴は,きわめて精度の高い内視鏡を目標とし,診療から得られた知見を学会や論文で報告し,内視鏡医療界に情報発信することである.そして,報告することで得られた知識を臨床に(患者さんに)feedbackする,というのが当院のpolicyである.主な研究課題は①胃炎の京都分類を含む内視鏡的胃炎 1,②胃癌(特に除菌後) 2,③腺腫発見率(adenoma detection rate: ADR)などの内視鏡のquality indicator,④大腸癌 3,⑤内視鏡(特にsedation)の偶発症である.毎週,オンラインで研究会を行っている.このように,実地診療を行いながら学術活動も行っているのが当院の特徴である.

2020年より始まったCOVID-19感染拡大に対しては,日本消化器内視鏡学会のガイドラインや欧米のガイドラインを参考に,院内での感染拡大対策を徹底し,検査を継続することで,限られた医療リソースのなかで患者さんの診断を遅らせないためのセーフティーネットとしての役割も担っている 4

スタッフ

(2021年6月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医5名,消化器内視鏡学会 専門医5名,その他スタッフ7名

内視鏡技師:Ⅰ種2名,その他技師2名

看護師:常勤9名,非常勤5名

事務職:15名

その他:3名

 

 

設備・備品

(2021年10月現在)

 

 

実績

(2020年6月~2021年5月まで)

 

 

指導体制,指導方針

日本消化器内視鏡学会の指導連携施設(施設No. 20180028)に登録されており,院内の指導は,指導医が内視鏡所見と病理所見をチェックし,直接指導している.技術が不足しているものに対しては,指導医の内視鏡手技を見学するよう推奨している.検査の質を担保するために,ADRなどのquality indicatorについては,常勤医だけでなく非常勤医師にもfeedbackしている.渡辺英伸先生が病理診断を行っており,内視鏡医と病理医の相互理解を深めることができる環境となっている 5.コメディカルの教育については,定期的に院内で勉強会を開催することで,疾患への理解を深めている.

現状の問題点と今後

全体の傾向として,検査件数が増加しているがため,検査ブースの稼働限界にきている状況であるものの,検査の質を担保しながら稼働ブースを増加させることに苦慮している現状がある.今後は,効率的な検査前後の退出管理システムの構築も含めた対策も念頭に,安全で質の高い内視鏡検査をより多くのかたに提供できる努力が必要である.研究面では,内視鏡診断および治療に限らず,内視鏡治療の周術期管理を含めた視点でデータベース解析を行うことも検討したい.また,データが単施設であることの弱みもあるため,同じような志をもった施設とのコンソーシアムを構築して,多施設でのデータ発表などにつなげたい.このCOVID-19感染拡大のなかで,十分な職員教育ができていない現状も,改善すべき重要な課題と考えている.

文 献
 
© 2022 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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