GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2022 Volume 64 Issue 11 Pages 2434-2437

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概要

沿革・特徴

当院は松下電器産業(株)(現パナソニック(株))の創業者,松下幸之助氏の発意により,1940年(昭和15年)11月に設立された松下病院(病床数13床)が始まりである.地域社会へ貢献することを目的に診療部門を拡大し,1958年(昭和33年)から総合病院となり,1986年(昭和61年)3月に現在の地に移転して,松下記念病院と改称された.2009年に,地域医療支援病院および大阪府がん診療拠点病院の指定を受けている.がん診療においては,ドック健診センターでのがんの早期発見,放射線治療も含めた集学的治療,緩和ケア病棟での緩和医療まで,「がんのトータルマネジメント」ができることが当院の最大の特長である.

組織

内視鏡室は独立しており,消化器内視鏡を消化器内科医が,気管支鏡を呼吸器内科医が行っている.看護師は,放射線科に所属しており,各科の外来と兼務している.経験を積んだ看護師が内視鏡技師を取得している.透視関連の検査は放射線科透視室で行っており,放射線技師を配置してもらっている.

検査室レイアウト

 

 

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室:134.20m2

内視鏡リカバリー室:41.77m2

内視鏡洗浄室:30.54m2

第1透視撮影室:23.31m2

第2透視撮影室:20.28m2

第3透視撮影室:31.27m2

総面積:281.40m2

内視鏡室で,上部消化管内視鏡検査,超音波内視鏡検査および穿刺吸引細胞診,内視鏡的粘膜下層剥離術などを,透視撮影室で,下部消化管内視鏡検査,小腸内視鏡検査,胆膵内視鏡検査,経皮経肝ドレナージ術,気管支鏡検査などを行っている.

内視鏡室は2階に,透視撮影室は1階にあり,内視鏡室のシステムはフジフイルムメディカル社,透視撮影室のシステムはオリンパス社のものを使用しており,適宜使い分けている.

鎮静の希望にはなるべく応じており,内視鏡室での検査後は内視鏡リカバリー室か外来処置室,透視撮影室での検査後は外来処置室に移送し,1時間観察後に外来で結果説明するか帰宅させている.

スタッフ

(2022年4月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医1名,消化器内視鏡学会 専門医3名,その他スタッフ6名

内視鏡技師:(看護師と重複)Ⅰ種7名

看護師:(各科外来と兼務)常勤14名,非常勤4名

事務職:5名

看護助手:3名

設備・備品

(2022年3月現在)

 

 

実績

(2021年1月~2021年12月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は臨床研修指定病院であり,初期研修医が1名ずつローテートしてくる.初期研修医には,何科に進んでも活かせる知識が得られるように,検査適応や,検査結果からどう判断するのかなどの理解を促し,意義のある検査見学ができるように指導している.また,生検の介助ができるようになれば,止血やポリペクトミーといった手技の介助も指導医のもとで行っている.消化器内科志望の研修医には,胃のトレーニングモデルでの研修後,指導医のもとで鎮静下の患者の引抜から行い,挿入から一通りの観察ができることを目指して指導している.

専攻医(後期研修医)は入院患者を主治医として受け持つが,指導医と二人体制で担当してディスカッションを行いつつ,治療方針の決定から患者への説明と同意の取得までできるように指導している.また,消化器内科全体で,毎朝のミーティングと週に1回のカンファレンスを行い,新入院患者や重点症例について,病状,治療方針などを相談している.消化器内科を専攻して2年目からは外来も担当するため,専攻医は外来前に予習して指導医と治療方針を決めている.

また,手技においては,まず腹部超音波検査や上部消化管内視鏡検査などの基本的な検査から指導医のもとで研修し,個々の習熟度に応じて一人でのルーチン検査を許可している.下部消化管内視鏡検査も引抜から行い,1年間で通常の上下部消化管内視鏡検査は一人で行えることを目指している.胃食道の内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD),食道静脈瘤治療,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP),超音波内視鏡検査(EUS)関連手技などは,必ず指導医の監督下で行っており,偶発症を生じないように細心の注意を払っている.処置の時間がかかったり,安全な処置が困難な場合は適宜交代しているが,なるべく術者としての経験が積めるように技術指導をしている.

現状の問題点と今後

当院には例年1~2人の消化器内科専攻医が入職してくれており,3年間の専攻医期間で消化器内科医として一通りの知識,技術を習得してから,大学院進学など各々の進路に進むことが多かった.新内科専門医制度が始まり,専攻医期間のうち他院での研修が必須になったことにより,消化器内科専門領域の研修期間を3年間確保できなくなった.そのため,専攻医3年間終了時に消化器内科医として独り立ちできるかが課題である.また,他院へのローテーション制度だけでなく,シ ーリング制度により内科全体での専攻医数の調整が必要になったことも相まって,消化器内科の若手医師を安定して確保することが難しくなってきている.医師の働き方改革も進んでいるため,如何に時間外労働時間を増やさずに,救急も含めた地域医療支援病院としての責務を果たしていくかが大きな課題である.

当科では,従来は主治医制で診療を行っており,夜間,休日もなるべく主治医で対応していたが,時間外労働を減らすためにオンコール制に切り替え,時間外の対応はオンコール医に一任している.時間外労働削減のために開始したオンコール制ではあるが,当科での連携が強化され,重症患者を全員で診療する意識が生まれ,引いてはより多くの症例を経験できるようになったことなども良い変化であった.

コロナ禍での診療体制変化に翻弄された2年間であったが,これからもスタッフ一同でお互いに協力し合って,若手医師を育成し,過剰な時間外労働がなく働きやすい職場環境を維持しつつも,地域医療に貢献していけるように励んでいきたい.

 
© 2022 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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