GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2022 Volume 64 Issue 12 Pages 2544-2546

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概要

沿革・特徴

国立がんセンターに15年勤務後,2003年(平成15年)国立がん研究センター中央病院との医療連携を念頭に東銀座で胃と大腸の内視鏡専門クリニックを開業しました.拡大内視鏡など最新の内視鏡機器や処置治療器具を使用し診療を行っていましたが,診療並びに時間制約のない内視鏡診療を行いたいとの思いから2009年(平成21年)自由診療での診療を始めました.一人の診療に十分な時間を設けるために内視鏡検査枠は4例/日に制限しています.20mmを越える大きな腫瘍性病変でも十分な時間をとることが可能となり,拡大観察での内視鏡治療の適否が判断でき,すべて日帰りでの手術を行っています.内視鏡治療後の出血などの事態に備え,私の携帯電話番号を伝え24時間の対応をしています.さらに消化管内視鏡によるがん検診以外でも画像専門クリニック(CT・MRI・PET-CTなど)と医療連携を行い,がん検診を勧め他臓器への早期癌発見に取り組んでいます.また,がん以外の疾患についても患者の採血などのデータを分析し各種専門医を積極的に紹介しています.

日常の診療以外に学会参加並びに研究活動も積極的に続けています.内視鏡検査のデータベースを作りました.入力した内視鏡検査結果をEXCELのデータベースに変換し,必要なデータを検索抽出できる当院独自のシステムがあります.これにより,様々な学会,研究会,論文などに活用できる環境が整えられ,2005年頃から2019年まで日本のみならず米国DDWや欧州UEGWなど,多くの学会で発表する機会を得ることが出来ました.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡検査室は見取り図にある第二検査室,22.3m2(4.37×5.1m:6.8坪)と広く設計しています.内視鏡室には,内視鏡光源システムのオリンパスELITE X1,4Kモニター二台(上・下部内視鏡用各1台),液晶モニター1台(上部内視鏡検査,患者視聴用),UV殺菌消臭器(NITRIDE,LED PURE AF1)1台,内視鏡洗浄消毒装置(OER-6)1台,超音波洗浄機(オリンパス),内視鏡保管庫(TAIHO)1台を設置しています.

回復室はすべて個室で大,中,小の大きさで3部屋あり,腸管洗浄液服用の前処置室と検査後の回復室で,全室にリクライニングベッド,TV,ロッカー,アメニティーを設置,大の部屋には付き添い用のソファも設置しています.

トイレも3室で1室は洗面台付き女性専用トイレ,残る2室は,男女兼用トイレですが,現在は,コロナ感染対策としてトイレ指定を行い患者一人専用に使用いただいています.回復個室は,内視鏡検査を受けられる方のプライバシー保護とリラクゼーションを重視するために設けましたが,受診者は個室と専用トイレの使用のみで他の患者との交わりがなく,コロナ感染対策につながっています.

待合室は,ほぼ全面がガラス張りの明るく広い(6.55×7.28m;14.4坪)空間であり,生花と絵画を飾りBGMを流し,リラックスできる雰囲気を提供しています.

スタッフ

(2022年5月現在)

医 師:1名

看護師:3名

事務職:6名

設備・備品

(2022年5月現在)

 

 

実績

(2021年4月~2022年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は,私,一人で診療を行っており,日常における医師への教育や指導はありませんが,聖路加病院からの研修医ローテーションや希望の見学医の来院があった場合,内視鏡検査見学をはじめマンツーマンでのスライドを用いた教育指導を行います.

クリニックでは毎朝9時から15分間のスタッフ全員参加のミーティングを行います.

これは業務改善内容をはじめリスクマネージメントについての話し合い,スタッフ間の交流を図ることは勿論ですが,スタッフ全員への教育指導の場であると考えています.

外来診察並びに内視鏡検査などすべてが完全予約制のため,スタッフが患者情報を把握して,ミーティングで発表を行えます.検査当日の患者の基礎疾患,前回までの内視鏡検査の問題点,また当日使用の器材,薬剤などについてスタッフ全員が詳細な情報が共有でき,検査を安全に行うための偶発症予防対策を講じています.専門的な内視鏡用語や前日の内視鏡検査における貴重な病変など,内視鏡画像や図示を用いて解説し教育の一環としています.

現状の問題点と今後

当院も開業し約20年を迎え,患者の高齢化が目立つようになってきています.80歳以上の高齢者に対しては,入院施設のある病院での内視鏡検査を勧めていますが,当院で検査を希望される方も少なくありません.長寿大国である日本では高齢者の大腸癌も増加傾向にあり,大腸癌死亡率抑制に向けて,高齢者の大腸内視鏡検査も無視できない状況にあります.偶発症対策を十分とした安全で安心な大腸内視鏡検査を行うことは当然ながら,負担の少ない大腸内視鏡検査の工夫も考えていきたいと思います.

最も検査が必要とされる40歳以上中高年者においては,便潜血テストをはじめ大腸内視鏡検診など大腸癌検診の受診率は未だに低い傾向です.大腸癌の罹患・死亡率抑制に向けて,これらの検診受診率を高めていくことが重要です.特に大腸内視鏡検診の普及が最も必要と考え,初めて経験する初回の大腸内視鏡検査を重要視したいと考えています.初めて受けた大腸内視鏡検査で苦痛を経験すると,次の検査は敬遠され,悪評となり大腸内視鏡検査普及の妨げになります.初めての検査では無痛検査を第一に行うこと,さらに腺腫性ポリープの数,大きさから大腸癌のリスク判定を行うことが大切です.

今後,求めていくべきことは,まず大腸内視鏡検査の受診者数を増やし,大腸がん検診で一番有効な検査が大腸内視鏡検査であることの衆知徹底を図ること,私達内視鏡医は苦痛のない内視鏡検査を行い「命が助かるがん」である大腸がんの早期発見,早期治療に努めていくこと,これらを普及していけるよう内視鏡医の先生方と努めていきたいと思います.

 

内視鏡室のスナップ写真

 
© 2022 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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