GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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CONTRAST-ENHANCED EUS FOR GALLBLADDER DISEASES
Takuya ISHIKAWA Eizaburo OHNOHiroki KAWASHIMA
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2022 Volume 64 Issue 6 Pages 1211-1220

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要旨

EUSはCTやMRIと比較して空間・時間分解能に優れており,胆囊疾患の診断において有用な検査である.胆囊疾患では,大きさや形態に基づいて良悪性の鑑別を行うのが一般的であるが,形態学的診断には限界がある.超音波造影剤を用いた造影EUSは,EUS観察下にリアルタイムな血行動態の評価を可能にした.特に第二世代超音波造影剤を用いた造影ハーモニックEUSの登場によって,造影効果をより詳細かつ長時間にわたって観察することができるようになった.この総説では,これまでの文献的報告をもとに胆囊疾患に対する造影EUSの有用性について解説した.胆囊疾患における造影EUSは存在診断のみならず,質的診断,病期診断,さらにはEUS-FNAにおける補助といった役割も果たす.ただし,胆囊疾患に対する造影EUSに関する大規模な研究はこれまでに行われておらず,さらなる知見の蓄積が望まれる.

Abstract

Compared to CT and MRI, EUS has superior spatial and temporal resolutions and is useful for diagnosis of gallbladder diseases. Although we generally differentiate between benign and malignant gallbladder diseases based on the size and morphology, morphological diagnosis has its limitations. Contrast-enhanced EUS has enabled real-time hemodynamic evaluation under EUS observation. Particularly, with the advent of contrast-enhanced harmonic EUS using the second-generation ultrasound contrast agents, contrast effects can be observed in greater detail for a longer time. This review describes the usefulness of contrast-enhanced EUS in gallbladder diseases based on previous literature. In gallbladder diseases, contrast-enhanced EUS plays a role not only in differentiation between biliary sludge and neoplastic lesions, but also in qualitative diagnosis between benign and malignant, in staging, and assistance in EUS-FNA. However, there have been no large-scale studies of contrast-enhanced EUS in gallbladder diseases, and further research with a high level of evidence is awaited.

Ⅰ はじめに

超音波内視鏡(EUS)はCT,MRIなどの他検査と比較して空間・時間分解能に優れており,消化管内から近接して膵臓や胆道の観察が可能であることから,胆膵疾患の精査において有用な検査とされている.しかし,EUS単独では血行動態や血流の多寡を評価しにくいという制限もある.一方,超音波造影剤を用いた造影EUSはリアルタイムな血流評価を可能にする 1.特に近年,第二世代超音波造影剤を使用した造影ハーモニックEUS(Contrast-enhanced harmonic endoscopic ultrasonography:CH-EUS)によって良質な造影画像が得られるようになった.しかしながら,胆囊疾患の診断におけるEUSの役割は多くの研究で報告されている一方,造影EUSを用いた研究の多くは膵病変に焦点を当てており,胆囊疾患における造影EUSの報告は限られている.

この総説は,胆囊疾患の診断における造影EUSの役割をこれまでの文献的報告に基づいてまとめることを目的とした.そのため,PubMedデータベースに掲載されている,1995年から2021年の間に発表された英語論文を,「EUS」に以下のキーワードを組み合わせて検索し,特に造影EUSに関連する内容を検証した:gallbladder(胆囊),gallbladder polyp(胆囊ポリープ),gallbladder thickening(胆囊壁肥厚),adenomyomatosis(腺筋腫症),gallbladder carcinoma(胆囊癌),contrast-enhanced ultrasound of gallbladder(胆囊の造影超音波),staging gallbladder carcinoma(胆囊癌病期診断),gallbladder EUS-FNA(胆囊超音波内視鏡下穿刺吸引法).同定された論文の参考文献についても関連する可能性のあるものを調べた.ただし,本稿は参考とした論文がメタアナリシスとして発表できるほど系統的に検索されてはいないため,ナラティブレビューとなる.

尚,現時点では超音波造影剤の適応は経腹壁超音波(Transabdominal ultrasonography:TUS)による肝腫瘤性疾患に限られていることに留意が必要である.当院における造影EUSは,倫理委員会承認の上,十分な説明と同意に基づいて行っている.

Ⅱ 超音波造影剤の変遷

超音波造影剤は,歴史的には,いわゆる第一世代超音波造影剤であるLevovist(Bayer Schering AG, Germany)が経腹壁造影超音波検査(contrast-enhanced ultrasonography:CE-US)に広く使われていた.Levovistの基本構造は,ガラクトースの殻に囲まれた気泡である.レボビストを使用すると,メカニカルインデックス(MI)値の高い超音波により,マイクロバブルが破壊された時に受信される高調波信号によって,造影画像が得られる.そのため,継続して観察するためには,造影剤の注入と破壊を繰り返す必要があった.またEUSでLevovistを使用するにはMI値の高いカラードプラモード下での観察が必要なため,詳細な血流の評価は困難であった.一方,第二世代の超音波造影剤であるSonoVue(Bracco Inc., Milan, Italy)やSonazoid(GE Healthcare, Little Chalfont, United Kingdom)は,六フッ化硫黄やペルフルオロカーボンを含む安定したマイクロバブルで構成されている 2.これらの造影剤のマイクロバブルは,MI値の低い超音波で破壊されることなく共鳴し,高調波信号を生成することが可能であり,CH-EUSに適している.造影ハーモニックイメージングは,超音波造影剤から得られる信号を選択的に描出することで,微小血管と実質内灌流の両方を評価し得る新しい技術であり,第二世代の超音波造影剤では,造影効果をより詳細かつ長時間にわたって観察することができるようになった 3

Ⅲ 経腹壁超音波検査とEUSの比較

EUSは一般的には優れた安全な手技であると考えられているが,患者の立場からすると,EUSは必ずしも楽な検査とはいえず,鎮静剤の投与や人手と時間を必要とする 4.TUSの画像診断技術は年々進歩しており,胆囊隆起性病変の鑑別診断において高解像度のTUSとEUSの診断精度は同等であったとの報告がある.1cm以上の胆囊隆起性病変を有し,隣接臓器への明確な局所浸潤の証拠を認めなかった144名(115名[79.8%]が良性胆囊ポリープ,29名[20.2%]が胆囊癌)の患者を対象とした前向き盲検比較試験 4において,悪性腫瘍の診断感度は,TUSで90%,EUSで86%,CTで72%であった.このことから胆囊疾患において,症例によってはTUSでEUSと同等の診断能を得られる可能性がある.しかしながらTUSでは肥満や消化管ガスなどの患者条件や胆囊底部など病変部位によっては描出不良となるのも事実であり,そのような症例ではEUSが有用と考えられる 5)~7.腹部領域の超音波検査においてはTUSが基本であり,TUS下に造影も可能であるため,胆囊疾患診断の際には,EUSの適応となるかどうかはよく検討して決める必要がある.

Ⅳ 形態による胆囊疾患の鑑別

様々な画像処理技術の発達により,胆囊隆起性病変の検出率は着実に向上しており,現在では,健常者の4-7%に指摘される 8)~11.一般に,大きさが10mm以下の胆囊ポリープは,悪性のリスクが低いため,経過観察となることが多い 12),13.広基性の形態をとるものは腫瘍性病変であれば癌の可能性が高い.有茎性の形態をとる胆囊癌では表面は平滑-不整,内部エコーは均一整でやや低エコーを呈するとされているが,腺腫,過形成性ポリープ,コレステロールポリープとの鑑別は時に困難である.このように胆囊疾患では,大きさや形態学的所見に基づいて良悪性の鑑別を行うのが一般的であるが,これらの所見だけでは診断に迷う症例もしばしば存在し,そのような症例において,造影超音波検査の有用性が期待される.

Ⅴ 胆囊疾患に対するCE-US

超音波造影剤を用いたCE-USは,胆囊疾患の診断に有用な方法として多くの報告が見られる 14)~29.SonoVueを用いたCE-USの多施設共同研究では,良性病変と比較して,悪性病変では造影剤投与後35~36.5秒以内の早期にwashoutされ,分岐した,または直線的な病変内血管と不均一な造影効果を示したとしている 18),23.またこの研究では,胆泥と癌の鑑別に造影が最も効果を発揮し,病変の特徴の識別,腫瘍の進展と血管の評価,および肝臓への浸潤の評価にも役立ったとしている.このCE-USでの早期のwashoutパターンは,他の研究でも確認されている 25.また胆囊壁の不連続性は,多くの研究において,悪性腫瘍の重要な所見であった 18),23),25.これらのCE-USにおける所見については,理論上は造影EUSでも同様の所見が得られるはずである.

Ⅵ 胆囊疾患に対する造影EUS

Ⅵ-1 第一世代超音波造影剤による造影EUS

1997年と1998年にHirookaらは 30),31,第一世代の超音波造影剤であるAlbunex(Shionogi, Osaka, Japan)を用いた造影EUSによって胆囊癌が造影されることを報告した.これらの研究では,胆囊癌の患者12例中11例(91.7%)に造影効果が見られたが,腺扁平上皮癌やコレステロールポリープの患者にはそのような効果は見られなかった.胆囊疾患に対して第一世代超音波造影剤を用いた造影EUSの報告は他になく,以降は第二世代超音波造影剤を用いたCH-EUSの報告となる.

Ⅵ-2 ガイドラインにおける位置づけ

造影EUSについて,これまでにヨーロッパ超音波医学会(The European Federation of Societies for Ultrasound in Medicine and Biology:EFSUMB)とアジア超音波医学会(The Asian Federation of Societies for Ultrasound in Medicine and Biology:AFSUMB)からガイドラインが提唱されている.2011年に発刊されたEFSUMBの造影超音波ガイドラインでは,造影EUSについては膵疾患について少し触れられているものの,胆囊疾患については言及がなく,TUSによるCE-USは良性と悪性の胆囊ポリープの鑑別には役立たないとしている 32.しかし,その後2017年に改訂されたEFSUMBガイドライン2017では,悪性胆囊ポリープおよび壁肥厚の診断において,CH-EUSはB-mode EUSよりも優れていると述べられており 33,胆囊疾患の診断における造影EUSの認知度は徐々に上がってきているものと思われる.このガイドラインでは,胆囊の悪性腫瘍(隆起性病変と壁肥厚症例)では,不均一な造影パターン,灌流欠損の存在,不規則な腫瘍血管がCH-EUSの典型的な特徴であることがわかったとして後に紹介するいくつかの文献を引用している 34)~37.また2021年にAFSUMBから提唱された造影EUSのガイドライン 38では,胆囊疾患に対してCH-EUSは有用か?というクリニカルクエスチョン(CQ11)に対して,胆泥と他の血流のある胆囊病変との鑑別および胆囊ポリープの良悪性鑑別における有用性が弱い推奨として提唱されている.

Ⅵ-3 胆囊疾患に対するCH-EUSの有用性

胆囊疾患に対する造影EUSの有用性について,前述の第一世代超音波造影剤を使用した報告を含めてこれまでに6つの原著論文での報告がある(Table 1).いずれも後ろ向き研究であるが,良悪性の鑑別において比較的高い感度と特異度を示している.胆囊疾患の診断における造影EUSの役割としては大きく分けて存在診断(胆泥と腫瘍の鑑別),質的診断(良悪性の鑑別),病期診断(深達度,転移診断),EUS-FNAにおける補助,といったものが挙げられる.以下にこれまでの報告を参考にしながら解説を加えていく.

Table 1 

胆囊疾患に対する造影EUSの過去の報告(原著論文).

Ⅵ-4 胆泥と腫瘍の鑑別

胆石や胆泥の多くは通常観察で音響陰影や可動性を認めることや血流を認めないことから診断は容易である.しかし胆泥が胆囊壁に付着し可動性が妨げられているものや広基性の形態をとるものでは胆囊癌との鑑別が困難となることがある.そのような場合,CH-EUSによって血流の有無を確認することで診断は可能となる(Figure 1).Kamataら 39による限局性胆囊病変125例の検討では,胆囊の腫瘍性病変と胆泥の鑑別において,通常のEUS観察では感度,特異度,正診率がそれぞれ82%,100%,95%であったのに対し,CH-EUSの感度,特異度,正診率は100%,99%,99%であった.

Figure 1 

胆泥の造影EUS画像(自施設経験症例).

A:EUSで胆囊体部に20mm大の広基性病変を認める.通常観察だけでは腫瘍性病変との鑑別は困難である.

B:Sonazoid投与後のカラードプラモードによる観察では病変内に血流シグナルを認めず,胆泥と診断可能である.

Ⅵ-5 胆囊隆起性病変の良悪性鑑別

EUSは,胆囊の描出において,TUSよりも優れていると考えられており,高解像度の画像が得られる 5)~7.しかしながら,前述のように形態学的所見のみでの良悪性の鑑別には限界があり,造影所見に基づく様々な鑑別が試みられている 34)~37),39.これらの報告では,不均一な造影パターン,灌流欠損の存在,不規則な腫瘍血管は,胆囊悪性腫瘍を強く示唆する所見とされている(Figure 2).

Figure 2 

胆囊癌の造影EUS画像(自施設経験症例).

A:EUSで胆囊頸部に15mm大の表面平滑な隆起性病変を認める.通常観察では基部は不明瞭である.

B:Sonazoidによる造影ハーモニックEUSでは腫瘤は胆囊床側から徐々に全体的に造影され,内部は不均一な造影効果を示す.

C:造影後のパワードプラモードでは基部から樹枝状の血流シグナルを認め,基部が胆囊床側に存在することが明瞭となる.有茎性の病変であり,MPまでの早期胆囊癌と考えられる.本症例は胆囊摘出術が行われ,最終病理診断は「Well differentiated adenocarcinoma,pT1a(M),ly0,v0」であった.

Sugimotoら 37とKamataら 39は,本邦からSonazoidを用いたCH-EUSの有用性について報告している.Sugimotoらの10mm以上の胆囊隆起性病変24例の診断における,EUSのB-mode観察と比較したCH-EUSを用いた研究では,造影されない病変と均一に造影された病変を良性,ブラインド状に造影された病変を悪性とした場合,悪性度予測の感度,特異度,正診率はそれぞれ100%,94.4%,95.8%であった 37.Kamataらの限局性胆囊病変125例における検討では,EUS通常観察を用いた,腫瘍の大きさや形状に基づく癌の診断は,感度,特異度,正診率がそれぞれ61-87%,71-88%,74-86%であったのに対し,CH-EUSにおける不規則な腫瘍血管や不均一な造影パターンに関する追加情報は,癌の診断に対する感度,特異度,正診率をそれぞれ90%,98%,96%に上昇させたとしている 39

Choiら 34とParkら 36は,SonoVueを用いたCH-EUSの有効性について述べている.Choiらによる研究では,造影パターンはびまん性造影,灌流欠損,造影効果なしに分類され,不規則な腫瘍血管と灌流欠損は悪性を示していた.CH-EUSで観察された不規則な腫瘍血管の悪性診断における感度と特異度はそれぞれ90.3%と96.6%であったと報告している.さらに,灌流欠損は,感度と特異度がそれぞれ90.3%と94.9%であり,悪性ポリープの効率的な診断に利用できるとしている.EUS通常観察による感度と特異度は90.0%と91.1%であったのに対し,これらの所見を併せたCH-EUSでは,それぞれ93.5%と93.2%であった 34

Parkらは胆囊腺腫とコレステロールポリープはEUS通常観察では同じような形態を呈する腫瘤であるが,CH-EUSで腺腫は均一に造影されるのに対し,コレステロールポリープは不均一に造影されたと報告している.胆囊腺腫の鑑別診断における,感度,特異度はそれぞれ75.0%と66.6%であった 36

またLeemら 40は胆囊145病変の検討において,膵臓の充実性腫瘤とは異なり,胆囊悪性腫瘍には特異的な造影効果やエコーパターンは見られなかったため,エコー輝度と造影所見(均一か不均一か)を用いて,良悪性を鑑別したとしている.この検討では,通常のEUSで不均一なエコー像を悪性腫瘍とした場合の感度は77.1%,特異度は82.7%であったのに対し,CH-EUSを用いた場合,感度は97.1%に上昇したものの特異度は55.5%に低下した.この結果,超音波検査の他のパラメータと合わせて分析した場合,CH-EUSはAUROC 0.939でその臨床的価値を示したが,通常のEUSに対する優位性は証明されなかった(P=0.2383).

これらのことから,胆囊隆起性病変の造影EUS所見について,ある程度共通の見解が示されていると思われるが,膵癌と違い,コレステロールポリープを始めとした良性腫瘍と悪性腫瘍のいずれにおいても病変内にそれなりに血流が存在するため,現時点では造影所見をもってしても,明確な良悪性の鑑別は難しいといえるかもしれない.過去の報告に基づく胆囊疾患における主な造影EUS所見をTable 2に示す.

Table 2 

胆囊疾患における造影EUS所見.

Ⅵ-6 胆囊壁肥厚の良悪性鑑別

胆囊壁肥厚の鑑別診断にTUSを用いた研究は多いが,EUSの役割についての研究は限られている 17),24),35),41

TUS,CT,MRIと比較した胆囊壁肥厚の診断におけるEUSの有用性を検討した研究では,EUSの胆囊壁層の描出能力は他の検査より優れており,層構造が失われた胆囊の肥厚は胆囊癌を示唆し,良性の胆囊壁の肥厚ではこれらの層構造が維持されていたとしている 42.Imazuらの胆囊壁肥厚症例に対するCH-EUSの研究では,良性の胆囊壁肥厚は,動脈相,門脈相ともに,Rokitansky-Aschoff sinusに代表される明瞭な非造影領域を伴い,周囲と同等の造影効果を示した(Figure 3).反対に,不均一な造影パターンは悪性の胆囊壁肥厚を示唆するとされている 35.同研究では,通常のEUSとCH-EUSにおける悪性胆囊壁肥厚診断の全体的な感度,特異度,正診率は,それぞれ83.3%対89.6%,65%対98%(P<0.001),73.1%対94.4%(P<0.001)であった.

Figure 3 

胆囊腺筋腫症の造影EUS画像(自施設経験症例).

A:EUSで胆囊底部に壁肥厚を認める.通常観察では肥厚した壁内のRokitansky-Aschoff sinus(RAS)ははっきりしない.

B:Sonazoidによる造影ハーモニックEUSでは肥厚した壁は均一な造影効果を示し,内部のRASと考えられる無エコー域が明瞭に描出されている(矢印).

LiangとJingは,CE-USとCH-EUSを用いた胆囊の悪性腫瘍の診断に関するメタアナリシスを2020年に報告しており 43,CH-EUSのプールされた感度と特異度は,それぞれ92%と89%であった.このメタアナリシスではCH-EUSでは,不均一な造影は,悪性病変を示す可能性があり,感度と特異度はそれぞれ94%と92%で悪性病変の指標となり得るとしている.しかし,胆囊疾患におけるCH-EUSに関する大規模な研究はこれまでに行われていないため,さらなる知見の蓄積が望まれる 44

Ⅵ-7 胆囊癌の病期診断

胆囊壁はEUSで観察すると一般的に内側から低エコー,高エコーの2層構造として描出される.内側低エコー層には粘膜,粘膜固有筋層および漿膜下層の線維層が含まれ,外側高エコー層には漿膜下層の脂肪層および漿膜が含まれることが知られている 45.EUSで有茎性の病変であることが確認されれば,深達度は粘膜内または固有筋層内に留まる早期癌と診断できる.B-mode画像だけでは有茎性か広基性か判断が難しい症例があるが,造影を行うことで基部の明瞭な観察が可能となる.一方,病変が広基性の場合には病変部の胆囊壁の詳細な観察を行い,外側高エコー層に変化が生じているか否かで深達度診断を行うことが可能である 46.造影を行うことで胆囊壁の層構造の認識が明瞭となり,深達度の予測に有用であると考えられている.Imazuら 46は,胆膵領域の悪性腫瘍のTステージングにおいて,通常のEUSとCH-EUSを比較し,CH-EUSの診断精度(92.4%)が通常のEUSの診断精度(69.2%)よりも有意に高いことを示した(P<0.05).特にCH-EUSは門脈所見同定の特異性において,通常のEUSよりも優れていた.またHirookaら 30の報告では,通常のEUSでは14例中11例(78.6%)で腫瘍浸潤の深さが正確に評価されたのに対し,造影EUSでは14例中13例(92.9%)で正確に評価できたと報告している.

Nステージングについては,Kanamoriら 47が造影剤を用いたドップラEUSで良性と悪性のリンパ節の特徴を比較し,造影欠損の有無によって感度100%,特異度82%で悪性リンパ節を診断できたとしている.通常のEUSによる形態分類に基づく感度,特異度はそれぞれ88%,77%であり,造影剤を用いたドップラEUSの診断能力は,通常のEUSよりも優れていた.

Ⅵ-8 EUS-FNAにおけるCH-EUS

EUS-FNAは胆囊腫瘤性病変の診断に必要な組織を採取するのに有用であるといわれている 48),49.しかし,胆囊腫瘤に対するEUS-FNAは,胆汁漏や液体貯留腔穿刺による播種のリスクがある.近年,胆囊疾患に対するEUS-FNAの際にCH-EUSを併用する,EUS-FNA with contrast-enhanced harmonic imaging(EUS-FNA-CHI)という手技が報告された 50),51.これらの報告では,EUS-FNA-CHIが施行された8人の胆囊癌患者全例において,病理学的証拠となる十分な組織を得ており,胆汁漏や播種などの重大な合併症はなかったとしている.CH-EUSは胆囊腫瘍と液体貯留腔の境界線を明確にすることにより,液体貯留腔を避けた穿刺ラインの決定に役立つとされている.これらのことから,現時点では少数例の検討に留まるが,CH-EUSを用いたEUS-FNAは,胆囊病変から正確かつ安全に組織を採取するのに有効な可能性がある.

Ⅶ おわりに

胆囊疾患に対する造影EUSの有用性について,これまでの知見に基づき解説した.第二世代超音波造影剤を使用することで胆囊疾患のより詳細な観察が可能となった.特に広基性病変において,通常観察のみでは診断が困難な症例でも造影により胆泥などの非腫瘍性病変との鑑別が可能となった.また質的診断のみならず,造影によって病変の基部,胆囊壁の層構造が明瞭となり,胆囊癌の病期診断における有用性も期待される.しかしながらこれまでの報告はエビデンスレベルの低いものばかりであるため,胆囊疾患における造影EUSの役割を評価するためには,さらなる研究が必要である.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:なし

文 献
 
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