GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2022 Volume 64 Issue 7 Pages 1386-1388

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概要

沿革・特徴など

当院は,昭和36年4月1日に,普通科総合病院であった旧墨田病院と伝染科病院の旧本所病院とを統合し,墨東地区における唯一の公的医療機関として開設された.昭和60年11月に現在の診療棟(外来,検査科等に使用)がオープンし,平成11年6月に新病棟(現在の病棟:内視鏡室や病室等に使用)がオープンした.それに合わせて都立築地産院(大13開設)を統合し,総合周産期母子医療センターが開設された.最近では平成26年4月に新棟が竣工しER・救命救急センター,化学療法室,感染症病棟の機能強化が行われ,平成30年2月には内視鏡室を2室増床し,内視鏡センターとして改称オープンした.現在は地域がん診療連携拠点病院(平成29年4月指定),地域医療支援病院(平成30年8月指定)等に指定され東京都区東部医療圏における基幹病院(一般病床719床(うち消化器内科66床))としての役割を担っている.

組織

内視鏡センターは診療部門の一つとして独立している.主に消化器内科の医師が消化器内視鏡検査・治療を行っており,一部の検査を外科の医師が担当している.内視鏡センターの看護師はER(救急外来)と兼務しており,24時間365日常駐していることから,夜間・休日を含めていつでも緊急内視鏡検査がスムーズに行える体制になっている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡センターは病棟3階にあり,総面積は362.65m2である.主に通常の上下部内視鏡検査を行う検査室が4室(検査室②③⑤⑥),内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)等の治療内視鏡を行う検査室が1室(検査室①),透視室が2室(消化器専用,気管支鏡専用1室ずつ)の計7室の検査室からなっている.

スタッフ

(2021年12月現在) 

医師:消化器内視鏡学会 指導医4名,消化器内視鏡学会 専門医7名,その他スタッフ2名,後期研修医7名

内視鏡技師:Ⅰ種10名

看護師:常勤23名,非常勤3名,

事務職:2名

その他:4名

設備・備品

(2021年12月現在)

 

 

実績

(2019年4月~2020年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

初期研修医は2年の間に2カ月消化器内科をローテートして病棟診療や内視鏡検査・治療の見学を中心に研修を行っている.後に消化器内科を専門とすることを希望する者をはじめ,希望者にはトレーニングモデルを用いた内視鏡操作の研修も行っている.

後期研修医はまずトレーニングモデルによる内視鏡操作のトレーニングを開始し,基本的なアングル操作を習得した段階で,実際の検査を開始する.開始に当たっては上級医の監視のもと,鎮静下での上部消化管内視鏡検査から開始し,上達具合により無鎮静の上部消化管内視鏡検査→大腸内視鏡検査の順に研修を進めていく.ESDなどの高度な治療内視鏡は消化管グループでの研修中に見学・介助を行うことから開始し,実際の動画視聴やトレーニングキットや豚の切除胃でのハンズオントレーニングを併用しながら術者としての研修を進めている.胆膵内視鏡に関しては胆膵グループでの研修中に内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP),超音波内視鏡(EUS)関連手技について見学→介助→術者の順に研修を進める.上下部内視鏡検査については研修期間を通じて研修を継続する.

消化管出血に対する研修機会が多いことは当院での研修の特徴の一つである.まずは上級医の止血術を見学することから開始し,次いで介助(止血鉗子やクリップの操作,高周波装置の設定等)を行う.通常の上下部内視鏡検査が独力で施行が可能になった後に術者として止血術を担当する.まずは平日日中の症例から開始し,上級医の指導の下で行う.独力で止血術が可能と判断された後期研修医は止血術を担当する消化器内科当直として勤務し,夜間休日の止血術を行うことで研鑽を積んでいる.

内視鏡診断や治療方針の検討のため,週2回月曜日と木曜日の夕方に内視鏡カンファレンスを施行している.病理検査で悪性所見や興味深い所見が得られた症例,治療方針に迷う症例を中心にディスカッションを行っている.

学会発表や論文執筆も積極的に行うように指導している.低学年の後期研修医は支部例会での症例報告から開始し,高学年の後期研修医は総会での発表や論文執筆を目標としている.

現状の問題点と今後

平成29年に検査室が2室増室し,全5室→7室へと拡張されたが,平成11年に設計された内視鏡室が基本となっていることもあり,増室部以外は設計が古く,全体的にスペースが不足している.最も重要な課題は,急速に増加している鎮静下での内視鏡検査の需要増大への対応である.現状6台のリカバリーベッドを活用して対応するほか,病棟の日帰り手術センターのベッドも借りるなどして対応しているが,十分なキャパシティーが確保できていない.他にも前処置用のスペース確保,プライバシーに配慮した待合スペースの確保,更衣室・トイレの拡張,インフォームドコンセントや病状説明を行うための診察室の設置など必要と思われる課題も多く,可能なものから対処することとしている.

当院は都立病院であり,人材の確保に一定の制限があるため,内視鏡専属の内視鏡技師を確保することが難しく,内視鏡技師資格を取得した看護師が救急外来と兼務しながら内視鏡技師の役割を担っている状況が続いている.常勤の看護師は内視鏡技師資格を保有しているかどうかに関わらず看護部の人事異動により定期的に配置変換が行われるため,内視鏡技師として育成しても長期間活躍してもらうことが難しい.2022年に都立病院の独立行政法人化が予定されていることから,柔軟な人材採用ができるようになる可能性もあり,専属の内視鏡技師の確保についても検討している.

 
© 2022 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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