2023 Volume 65 Issue 2 Pages 183-186
昭和18年に前橋医学専門学校の附属施設として附属医院が設置され,昭和19年3月に当院が開院した.昭和23年2月に前橋医科大学が設置され,附属医院は附属病院と改称された.昭和24年5月に国立学校設置法により,前橋医科大学が群馬大学医学部となり,群馬大学医学部附属病院となった.北関東有数の拠点病院として高度先進的な治療を提供している.
2000年以前は中央検査部門の一部として内視鏡部が設置されていたが,2000年に光学医療診療部として独立し,2009年に中央診療棟の新築に伴い現在の内視鏡室が建設された.当院の光学医療診療部の特徴として以下の点が挙げられる.
① 当初から検査室が個室になっており,洗浄機はバックヤードの1カ所に集中していて,使用後スコープの導線が明確である.
② 患者さんにとって満足度の高い内視鏡医療を提供するため,最先端の内視鏡機器を積極的に導入している.
③ 内視鏡システムは,オリンパス社と富士フイルム社の2社製品を有しており,いずれも最新モデルが導入されている.
④ 最新の技術及びデバイスを駆使して最善の低侵襲治療を提供している.
⑤ 内視鏡室に併設して機能検査室が配備されており,食道内圧検査や食道内インピーダンス/pHモニタリングなどの機能検査も行っている.
また,当院では医療安全に重きを置いており,光学医療診療部の運営委員には各診療科や各部門の委員に加えて,医療の質・安全管理部の医師も参加し,医療安全に取り組んでいる.
なお,光学医療診療部の基本方針として,以下の3つの方針を掲げている.
① 個々の患者さんに対応した,安全かつ適切な高度の内視鏡医療を提供する.
② チーム医療を推進し,内視鏡医療の質を向上させる.
③ 人間性豊かな内視鏡医,メディカルスタッフを育成する.
組織光学医療診療部は医学部附属病院中央診療施設の独立した部門である.
光学医療診療部の医師のスタッフとして,現在消化器・肝臓内科の教授が部長を兼任しており,専属の准教授(公募中)と助教,医員の1人ずつが配置されているが,内視鏡検査及び治療には光学医療診療部のスタッフだけでなく,消化器・肝臓内科と消化管外科,小児科,呼吸器・アレルギー内科の医師が携わっている.
看護師は中央診療部に所属しており,中央診療部の看護師長が看護業務を管理している.専任看護師もいるが,ほとんどの看護師が中央診療部の他の部署の業務も兼任している.
また,おもに内視鏡業務に従事する検査部所属の臨床検査技師1名と常勤の事務職1名が配置されている.また,洗浄員は外部業者に委託しており,2名が勤務している.看護師のうち7名が内視鏡技師の資格を有している.
検査室レイアウト

検査室4室に加え,内視鏡治療室,内視鏡透視室各1室を備える.内視鏡治療室に加えて検査室を使用することで,内視鏡治療の並列での実施も可能.
中待合には,患者さんの腸管洗浄剤服用スペース,更衣室,問診ブースを備える.
総面積:440m2
(2022年4月現在)
医 師:消化器内視鏡学会 指導医7名,消化器内視鏡学会 専門医14名,その他スタッフ38名,レジデントなど7名
内視鏡技師:Ⅰ種7名
看護師:常勤10名,非常勤3名
事務職:1名
その他:3名
(2022年4月現在)

(2021年4月~2022年3月まで)

上部消化管内視鏡検査及び大腸内視鏡検査,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP),気管支鏡検査を学習できる内視鏡シミュレーター(Immersion Medical社製)を配備しており,実際に患者に検査を行う前に内視鏡トレーナーや内視鏡シミュレーターを用いて基本的な内視鏡操作を行うことができるように指導している.また,検査や治療を行う前に,介助を経験し,治療の流れや注意点などを把握した上で,実際の検査や治療に臨むようにしている.
実際の内視鏡検査または内視鏡治療に関する指導については,各診療科の研修システムに従って指導を行っているのが現状である.各科に共通する方針としては,初級医が検査や治療を行う際には必ず上級医が立ち会い,安全を確保するとともに,個々の症例に応じた細やかな指導を行うことができるようにしている.また,必要に応じて検査・治療を交代し,上級医がどのように困難な局面を打開したのかを直接みて学習するようにしている.なお,内視鏡関連学会や研究会主催のハンズオンセミナーに積極的に参加して,手技の向上を図っている.なお,群馬県外の内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)エキスパートを招聘して「ぐんまESDハンズオンセミナー」を年1回開催しており,このセミナーは日本消化器内視鏡学会の認定ハンズオンセミナーとなっている.
以下,消化器・肝臓内科の指導について具体的に記載する.
後期臨床研修医は3年間の内科研修のうち半年から1年間大学病院で研修することになっている.大学のプログラムと関連病院のプログラムで大学病院研修前の内視鏡検査経験は異なるが,大学病院での研修中に上部消化管内視鏡検査を行うことができるようになるように指導している.まずは上級医の検査を見学することから始め,検査の介助を行いながら,検査の流れや内視鏡診断について勉強する.実際の患者に検査を行う場合には,まずは上級医が挿入した後に,観察を行う.また,鎮静下での検査時に挿入を勉強し,慣れてきたら非鎮静下での検査を行うように段階的に研修を行っている.内視鏡診断については,教科書やアトラスを用いた自己学習に加えて,内視鏡治療症例を検討する内視鏡カンファレンスに毎週参加し,内視鏡所見の読み方や診断を学習している.また,週1回関連病院でも内視鏡検査のトレーニングを行っている.大学病院での研修後には一般病院で消化器内科医として勤務することになるため,大学病院での研修中に上部消化管内視鏡検査は行うことができるようになることを目標に指導している.なお,研修医・専攻医によって到達できるレベルは異なるが,大学病院での期間内に上部消化管内視鏡検査ができるようになった場合には,上級医の監視下で大腸内視鏡検査を開始できる場合もある.ESDやERCP,超音波内視鏡検査(EUS),内視鏡的静脈瘤結紮療法/内視鏡的静脈瘤硬化療法(EVL/EIS)などの治療内視鏡については,介助を通して治療の流れや注意点などを学習しているが,十分に内視鏡操作が慣れていると上級医が判断した場合には,上級医の指導の下に胃ESDの周囲切開や剥離操作,EVL/EISを行うこともある.
なお,日本専門医機構が定める機構専門医を取得できるように,関連病院と連携して教育プログラムを準備している.
リカバリールームが設置されていなかったことから,鎮静下での内視鏡検査が困難な状況であったが,2021年に4床のリカバリールームとモニタリングシステムを設置した.また,透視が使用できる検査室が1つのみとなっていることから,透視下の検査・治療が多い場合には,放射線科の透視室に移動式の内視鏡システムを設置して検査・治療を行っている.こうしたハード面での問題点を改善できるように今後取り組んでいく方針である.