2023 Volume 65 Issue 3 Pages 303-306
1925年12月に帝国女子医学専門学校の付属病院として開院し,1947年に東邦医科大学付属病院(病床数120床)が開設された.1971年に東邦大学医学部付属大森病院,2005年に東邦大学医療センター大森病院に改称され現在に至っている.当院は特定機能病院として高度先進医療の研究・開発を促進するのみならず,良き医療人を育成し,患者に優しく質の高い地域医療を提供することを理念とし,地域の基幹病院として重要な役割を担っている.
内視鏡部は,以前は消化器内視鏡検査・治療およびX線透視下検査・治療を行う消化器診断センターとして運営されていたが,2003年に診療科再編成臓器別診療体制への移行により,内視鏡部と名称変更された.本院は1次から3次まで対応する救急病院であることから緊急内視鏡も多く,救命救急センタースタッフと連携しながら,消化器内科スタッフを中心に24時間365日対応するようにチーム医療体制を敷いている.
組織内視鏡部は中央診療部門の一つとして位置づけられている.消化管および胆道・膵臓の内視鏡検査・治療およびレントゲン下の診断・治療,気管支鏡による診断・治療を担当している.
部長(消化器内科)および助教(消化器内科4名,消化器外科2名),シニアレジデント(消化器内科2名)が内視鏡部に出向・併任し運営している.通常の診療では消化器内科,消化器外科,呼吸器内科と連携して行い,内視鏡部は内視鏡業務の運営と安全管理を行っている.
検査室レイアウト

内視鏡室は患者,医師,看護師の動線を重視して設計された.上部内視鏡では,患者の前処置室の前に検査室を配置した.また,スコープ洗浄などの動作が円滑に行えるように洗浄装置を配置し,専属のスタッフが洗浄を行っている.さらに,緊急内視鏡・治療室は,廊下からストレッチャーが直接搬入できるように入り口が設置され,迅速な対応が可能となっている.
下部内視鏡は,更衣室と前処置室を近くに設置し,さらに洗面所を内視鏡室内に設置することで患者のプライバシーに配慮した.検査台は設置せずにストレッチャーで内視鏡検査・治療を行うことで,リカバリーコーナーへの移動は容易に行えるようにしている.
近年,鎮静下上部内視鏡検査の増加に伴い,リクライニングチェアーを活用しリカバリーベッドを8床に増床した.安全面での対策として,リカバリー患者をセントラルモニターで一括管理し,アラームへの対応を迅速に実施している.さらに患者への配慮として,苦痛を軽減するために全例CO2送気で行っている.また,緊急内視鏡・治療室では天吊り型の大型モニターを導入し,より安全で正確な処置を機能的に行うことが可能となっている.
(2022年4月現在)
医 師:消化器内視鏡学会 指導医7名,消化器内視鏡学会 専門医21名,その他スタッフ11名,研修医など3名
内視鏡技師:Ⅰ種5名
看護師:常勤8名
事務職:3名
その他:2名
(2022年4月現在)

(2021年4月~2022年3月まで)

内視鏡医の育成において,まずは医学部学生に内視鏡検査・治療に興味を持ってもらうことが大切と考えている.消化器内科では医学部学生の臨床実習で,コンピューターシミュレーターを用いた実習を行い,実際にスコープに触れ操作することとしている.実際に医学部学生からは高評価を得ている.
上部消化管内視鏡は,初期研修1年目では主に見学と介助に従事するとともに,コンピューターシミュレーターを用いた研修を行っている.初期研修2年目では上級指導医とともに検査に参加し,各自の技量に応じ指導医が観察後に,胃内を観察してからスコープを抜去している.後期臨床研修では消化器内科もしくは消化器外科を専攻した医師が対象となり,指導医がマンツーマンで指導を行っている.検査の後に指導医とスコープ操作法や観察法など振り返りを行っている.さらに,各検査枠で責任上級指導医を配置し,ファイリングシステムでダブルチェックを行い,適切な所見の記載法など指導している.これらを元に6カ月で1連の操作を習得することを目標としている.
下部消化管内視鏡の習得は,後期臨床研修で消化器内科もしくは消化器外科を専攻した医師が行う.上部消化管内視鏡で基本的なスコープ操作の習得後,コンピューターシミュレーターを用いた大腸内視鏡検査のトレーニングを開始する.次に介助や盲腸からの抜去と観察を約2カ月間行い,次いで指導医の下で挿入法を学ぶ.患者が苦痛を訴えた場合や,挿入時間が15分を超過した場合は速やかに指導医に交代し,患者に負担のないよう,段階的に挿入技術の習得を行っている.
内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)は膵胆道疾患の診断・治療を専攻する医師が行う.ERCP関連手技は多種多様であることから,3カ月助手もしくは介助者となり,必要な物品や検査・治療の手順を習得する.その後,十二指腸スコープの挿入を開始し,乳頭へのカニュレーションを習得する.検査後には振り返りを行い,問題点や疑問点をその場で解決できるようにしている.
当科では消化器内科医師が中心となり,週に1回,治療症例や診断困難例を中心とした内視鏡画像カンファレンスおよび膵胆道カンファレンスを行い,治療方針の検討を行っている.これによりレジデントのみならず中堅医師の診断能力の向上にも寄与している.
また,当院は1次から3次まで対応する地域の基幹救急病院であることから,緊急内視鏡治療の機会が多い.消化器内科スタッフを中心に24時間365日,消化器内視鏡指導医もしくは専門医と若手医師がセットとなりオンコール体制を敷いている.コメディカルのマンパワーの問題もあるため,若手医師はスコープや関連周辺機器の準備などにも対応できるように指導している.
大学病院の内視鏡部であるため,専門性の高い高度な医療を提供するとともに良き内視鏡医を育成することが必要不可欠である.それには指導できる医師やコメディカルの充足が必須である.内視鏡部の看護師は外来部門に属しているが,慢性的な看護師不足が問題となっている.近年,内視鏡検査数の増加に伴う検査・治療枠の拡充が必要となっている.さらに鎮静下での上部消化管内視鏡検査を希望する患者の増加や,近年では拡大内視鏡検査など精査内視鏡の件数も増えていることから,リカバリーベッドのさらなる増床を検討しているが,看護師の負担も増しており医療安全の面から難しい.看護部にも協力してもらい人員を確保しているが,まだ十分とは言えない状況である.そのため病院運営側に人員確保の交渉を行いつつ,現状においてより安全で患者に優しい質の高い医療を提供するために,人員配置や改善策についての検討を,月1回部内カンファレンスを多職種で行っている.
また,消化器内視鏡関連手技は,上下部消化管の内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD),小腸内視鏡関連手技,超音波内視鏡検査(EUS)関連処置など多種多様化が進んでいる.若手医師のみならず,看護師や放射線技師も含めて手技の目的や方法などの理解を深めることが必要である.そのため定期的に勉強会を開催するなどコメディカルに対する教育的配慮も検討している.
近年,消化器内科に入局する医師が増加し,内視鏡医を希望する医師も増えてきている.よりハイレベルな医療を提供する優れた医師を育成していくためには,指導医の研鑽も必要である.若手医師だけではなく指導医も積極的に学会参加や論文投稿を行うことで,お互いに高いモチベーションを維持しつつ切磋琢磨し,日々努力していきたいと考えている.