GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2023 Volume 65 Issue 6 Pages 1175-1177

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概要

沿革・特徴

当院は昭和16年6月輪西製鉄所の事業所病院として開設し,その後,昭和33年11月に「総合病院」の認可を受け,昭和44年4月一般市民の診療開始となった.昭和45年4月八幡・富士の合併により新日本製鉄(株)の企業病院となり,平成4年3月医療法人として独立(医療法人社団 新日鐵総合病院)した.平成20年3月に内視鏡センターを開設.平成23年3月社会医療法人認定,医療機関名を「製鉄記念室蘭病院」へ変更し,平成25年4月北海道がん診療連携指定病院,平成28年4月地域災害拠点病院指定となり,北海道西胆振地区における高度専門医療,救急医療,がん医療の基幹病院としての役割を担っている.

組織

内視鏡室は診療部門の一部門として位置づけられており,消化器内科が消化器内視鏡検査を,呼吸器内科が気管支鏡検査を行っている.また,看護師25名,医療クラーク3名であるが,放射線科と兼任しているため,検査担当となるのが輪番制となっており,日常業務として内視鏡室に担当となるのは看護師8名前後,クラーク1,2名となっている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室は救急外来と同じ1階に位置し,緊急内視鏡に対応しやすい状況となっている.総床面積は174.43m2で,受付,待合・大腸前処置室,回復室,更衣室,洗浄室,検査室(内視鏡室1,2,4),研修シミュレーション室(内視鏡室3)が存在する.洗浄室は一番奥の部屋となっているが,患者出入口とは別にスタッフの移動可能の出入口があり,患者の移動ルートと交わらないように配慮している.各検査室は完全個室となっており,プライバシーが保たれている.また,各検査室で血圧,呼吸状態がモニタリングでき,安全性にも配慮している.大腸前処置室は10名用の机椅子とトイレ3室が設置されている.内視鏡部門システムは富士フイルムメディカル社NEXUSを導入し,電子カルテと連動させている.昨今のCOVID-19感染予防対策として,アクリルボックスを使用し,感染対策として,洗浄管理システムを導入し,ガイドラインに準拠した洗浄と,専用洗浄機を使用した機械洗浄・高レベル消毒を行っている.

スタッフ

(2022年8月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医2名,消化器内視鏡学会 専門医2名,その他スタッフ5名,研修医など2名

内視鏡技師:Ⅰ種1名,Ⅱ種1名

看護師:常勤21名,非常勤4名

事務職:クラーク3名

その他:看護助手4名

 

内視鏡室スタッフ(医師,看護師)

設備・備品

(2022年8月現在)

 

 

実績

(2021年4月~2022年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は消化器内視鏡学会認定指導施設であるとともに基幹型臨床研修病院であり,消化器内科には毎月1-2名の初期研修医がローテートしている.ローテーション初期にシミュレーターを使用して内視鏡下の解剖の理解,スコープの操作方法などを学習する機会を設けている.また,実際の検査にも見学参加し,検査のイメージがついたところで,実際の検査における生検や処置の介助にも希望に応じて参加してもらっている.消化器内科に興味のある者や,選択で消化器内科を長くローテートする研修医にはセデーション下の患者で,指導医の見守りのもと,上部消化管内視鏡検査から内視鏡操作を行い慣れていってもらっている.最終的には一人で検査を完遂できる状態まで指導している.

専攻医については,上部・下部内視鏡のスクリーニング検査,生検手技の習熟具合を確認しながら,EMR(内視鏡的粘膜切除術),ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)などのより侵襲的な処置を行ってもらっている.胆膵内視鏡についても,超音波内視鏡,側視鏡の挿入,観察から開始し,FNA(穿刺吸引),EST(内視鏡的乳頭切開術)などの処置を行ってもらっている.

毎週火曜日に外科,放射線科,病理臨床検査室,メディカルスタッフ合同でCancer boardを行っており,消化器疾患に関する診断,治療方針の考え方のトレーニングの良い機会となっている.

現状の問題点と今後

・近年,内視鏡検査時にセデーションを行う機会が多くなっているが,回復室が狭く,多くの人数を一度に検査することができない.内視鏡室で休むことができなければ外来処置室や救急外来で使用可能なベッドを探し移動させなければならず,スタッフの負担となっている.安定した検査運営,患者の苦痛を取り除くため,回復室の拡大や他部署でのベッドの確保が必要と考えられる.

・現在,内視鏡室担当看護師には専属のスタッフがおらず,放射線や血管造影室などと兼務しローテーションする配置となっている.内視鏡室では鎮静剤使用やモニター管理が必要な患者が多く,また,処置時の介助も携わるため,内視鏡診療に関わる知識や安全管理に対する意識が必要であるが,その習熟が不十分であるため,スタッフの教育が必要である.

 
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