GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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2023 Volume 65 Issue 7 Pages 1245

Details

 

症例は64歳,女性.パーキンソン病で通院中であり,レボドパ・カルビドパ,イストラデフィリン,モサプリド,オメプラゾール,メコバラミン,ガバペンチン,ブロチゾラム,ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液を服用中.一年前の大腸内視鏡検査で大腸腺腫に対して内視鏡的切除を実施したほか,上行結腸に孤発性の粘膜下腫瘍を指摘された.今回,大腸内視鏡検査の再検を行った.

上行結腸の粘膜下腫瘍は,一年前には孤発性であったが,今回は複数の腫瘤となっていた(ビデオクリップ1).質的診断のため,超音波内視鏡検査を行ったところ,粘膜下層に無エコー域を認め,その左側には多重反射と,音響陰影(acoustic shadow)を伴う高エコースポットがみられ,腸管嚢胞様気腫症を疑った(Figure 1).生検鉗子(Radial Jaw,Boston Scientific社製)を用いて水浸下でボーリング生検を行うと,生検部位から気泡の流出が確認でき(Figure 2),腸管嚢胞様気腫症と確定診断した.

ビデオクリップ1

腸管嚢胞様気腫症はCT検査での腸管壁内の類円形透亮像,注腸透視での類円形隆起病変や腸管外縁の無構造ガス像などに基づいて診断される 1.病理組織学的には粘膜下または漿膜下に嚢胞様気腫を認めるが,内視鏡生検では組織採取量が不十分となる可能性が高いと考えられる.本症例では,超音波内視鏡検査により粘膜下層に無エコー域と,多重反射および音響陰影を伴う高エコースポットを認めたため,水浸下で生検を行うことにより気腫の流出を確認し,内視鏡検査中に簡便に確定診断し得た症例であった.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:なし

電子動画

ビデオクリップ1 大腸内視鏡検査.

上行結腸の粘膜下腫瘍は数が増加しており,質的診断のため超音波内視鏡検査およびボーリング生検を実施した.

Figure 1 超音波内視鏡検査.

粘膜下層に無エコー域を認め,その左側には多重反射と,音響陰影を伴う高エコースポットがみられ,腸管嚢胞様気腫症を疑った.

Figure 2 水浸下でのボーリング生検.

水浸下でボーリング生検(Radial Jaw,Boston Scientific社製)を行い,生検部位から気泡の流出を確認し,腸管嚢胞様気腫症と確定診断した.

文 献
 
© 2023 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
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