GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
[title in Japanese]
[in Japanese] [in Japanese]
Author information
JOURNAL FREE ACCESS FULL-TEXT HTML

2024 Volume 66 Issue 5 Pages 1276-1279

Details

概要

沿革・特徴

1905(明治38)年 日本赤十字社和歌山支部病院として開院.

1943(昭和18)年 和歌山赤十字病院に改称.

1995(平成7)年 日本赤十字社和歌山医療センターに改称.

2011(平成23)年 高度救命救急センター指定,消化器内視鏡センター設置.

2019(平成31)年 地域がん診療連携拠点病院(高度型)指定.

2021(令和3)年 がんセンター開設.

許可病床数は2011(平成23)年に最大873床となったが,2023(令和5)年4月現在700床となっている.

組織

2011(平成23)年,本館増改築に伴い消化器内視鏡センターが設置され,その後独立した部門として運用しており,専任の看護師・事務員・助手などが配置されている.また消化器内視鏡による検査処置はすべて消化器内科医が施行している.当院では健康管理センターも設置しており人間ドックを提供しているが,その中で上部消化管内視鏡検査も経口あるいは経鼻で毎日約35件施行しており,その検査も消化器内科医が担当している.

当内視鏡室の特徴・レイアウト

内視鏡検査処置室は7室,X線透視室(TV室)2室で検査・治療を行っている.内視鏡検査処置室では消化器内科医師が検査処置を担当している.TV室は,消化器内科・外科・小児外科・整形外科などが共用している.各検査処置室には炭酸ガス配管が完備され,電子カルテ端末は2台(医師用・看護師用),検査台周囲にはモニターが4台(内視鏡観察用モニター3台,電子カルテ所見確認用モニター1台)を設置している.消化器内視鏡センターに7床,健康管理センター内に5床,リカバリーベッドを用意しており,鎮静剤を使用した場合には,一般外来の被検者は消化器内視鏡センターで,健診の被検者は健康管理センターで,鎮静後観察している.緊急内視鏡はすべて消化器内視鏡センターで行っており,365日24時間オンコール2名体制で救急対応している.病床再編に伴い確保できた別病棟のスペースに下部消化管内視鏡検査用の前処置室を設置し,2024年4月に運営開始予定となっている.

内視鏡室レイアウト

(総面積:635.3m2

 

 

前処置室レイアウト

 

 

 

スタッフ

(2023年7月現在)

医師:23名(指導医5名,専門医4名,その他スタッフ14名)

内視鏡技師:Ⅰ種5名

看護師:12名(常勤・パート込.他部門と適宜互いに応援あり)

臨床検査技師:1-2名

洗浄助手:2-3名(非専属)

 

内視鏡室スタッフ

設備・備品

(2023年7月現在)

 

 

実績

(2022年1月-2022年12月まで)

 

 

指導体制

当院は日本消化器内視鏡学会認定の指導施設であり,JED projectにもtype 1で参加している.

消化器内科医は,午前は外来担当医および腹部超音波検査担当医以外,午後は外来担当医以外,すべて内視鏡センターで業務を担当している.そのため,初学者から上級医に至るまでセンター内に常駐しており,初学者は常に指導が受けられる状態にある.当院では卒後3年目の専攻医でも消化器内科志望者には早期より積極的に内視鏡研修を行っている.また当院は臨床研修指定病院でもあり常時1-2名の初期研修医がローテートしているが,当科志望者には腹部超音波検査は勿論,消化器内視鏡にも早期から触れてもらっている.最初は内視鏡練習モデル(人形)も用いながら基本操作を学んだ後,鎮静剤使用患者,上達すれば鎮静剤なしの患者へと進む.多くの場合,研修開始から半年程度で通常の上下部消化管内視鏡は実施可能となる.この間に,並行して止血術・ポリペクトミー/内視鏡的粘膜切除術(EMR)・内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)・超音波内視鏡検査(EUS)・その他救急処置なども介助経験を経ながら実施も開始している.さらに,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)やEUS下処置も主には研修2年目以後,介助経験や技量を勘案しながら徐々に経験していく.研修3年目終了時にはたいていの検査処置は経験していることとなる.

また当院は高度救命救急センターを有する地域の基幹病院であるため急性期の症例も多く,入院患者の4-5割は救急入院となっている.夜間休日には救急オンコールは専攻医1名・上級医1名の2名体制としており,消化管・胆道系ともほとんどの処置は実施可能であり,専攻医も多くの急性期疾患・救急処置を経験することとなる.また,入院患者カンファレンス,内視鏡画像カンファレンス,抄読カンファレンスも各々週1回行っており,学習機会としている.さらに院外での研究会等参加や学会発表も推奨しており,積極的に取り組んでもらっている.

現状の問題点と今後

消化器内視鏡検査処置は年間2万件程度であるが,その半数程度は専攻医が担当している状況にある.また365日24時間のオンコール体制も専攻医1名・上級医1名の2名で行っている.そのため,当科では専攻医が減少すると途端に業務遂行が困難になる可能性があることが大きな課題である.内科専門医制度が開始されたが,和歌山県はシーリングが設定されており採用できる専攻医にも限りがあるため,当科志望の専攻医を十分に確保するのが難しくなってきていることが懸念される.加えて,2024年から働き方改革が医師にも適用される点も心配される.特に専攻医は学習の必要もあり時間外院内滞在時間が長時間になることが多い.検査数・時間外入院が相当量あるなか,時間外勤務の上限までの時間で業務遂行が可能かという点と,加えて専攻医の学習や経験数の減少による成長の遅れを来さないか,という点も懸念される.

現状,下部消化管内視鏡の前処置スペースが確保できておらず,自宅で前処置薬の内服を済ませてから来院してもらっていたが,2024年4月から前処置スペースが確保できることになった.今後はより安全かつ良好な前処置が可能となることが期待される.また2室あるTV室には,2024年度中に新規のデジタルX線TVシステムが導入される予定となっており,低被ばく線量で高画質な検査処置が可能となると期待される.

 
© 2024 Japan Gastroenterological Endoscopy Society
feedback
Top