2024 Volume 66 Issue 6 Pages 1430-1432
当院は,1982年2月に循環器を中心とした急性期病院として開設された(病院名:記念塔病院).2022年8月に新さっぽろ駅周辺地区へ新築移転するとともに,医療機関名を「交雄会新さっぽろ病院」へ変更.新築移転と同時に内視鏡センターを新設した.
当院は新さっぽろ駅周辺開発地区の一角に位置し,JR・地下鉄の駅から当院までは連絡通路で繋がっているため,アクセスが良好である.
組織当センターは消化管内視鏡検査・治療に特化したセンターであり,内視鏡内科医師2名,消化器内科医師3名が内視鏡検査および治療を担当している.また,内視鏡技師4名(看護師3名,臨床検査技師1名)および看護師2名の合計6名が専属スタッフとして配置されている.
内視鏡室は外来と同じ2階に位置し,臨時内視鏡にも対応しやすい配置となっている.総面積は151.17m2で,検査室は4部屋ある.受付には各検査室の状況を把握できるモニターを設置しており,看護師リーダーがモニターを確認しながら部屋の振り分けや次検査の準備をすることが可能となっている.検査室の中で1部屋(内視鏡室1)は室面積20.69m2と広めに作られており,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)などの内視鏡治療や緊急内視鏡にも対応できるように設計されている.また,同部屋は光源やモニターを天吊りとしており,レイアウト調整が容易であるほか,大きいサイズのベッドも入れることが可能であり,日常生活動作が低下している患者の移乗を最小限にして検査・治療をすることも可能である.検査室の照明はブルーライトに切り替えることが可能であり,状況に応じて調節している.患者出入口とは別にスタッフ専用の出入口があり,患者の動線と交わらないように配慮している.また,各部屋,洗浄室およびカンファレンス室はスタッフ専用通路のみで行き来することが可能である.カンファレンス室には各部屋の内視鏡システムと繋がるモニターがあり,各部屋の検査・治療をモニタリングすることができる.当院では鎮静剤・鎮痛剤を使用した検査が多いことから,リカバリー室にはリクライニングソファ10台と移動型電動ベッド1台を常備し対応している.
スコープは主にオリンパス社製を使用しているが,内視鏡部門システムは富士フイルムメディカル社NEXUSを導入し電子カルテと連動させている.
その他,昨今のインターネットの普及を鑑みて,ホームページから内視鏡内科の外来web予約を導入し,気軽に検査を受けられる環境を整えている.
内視鏡室レイアウト
(2023年8月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医4名,消化器内視鏡学会 専門医1名
内視鏡技師:Ⅰ種4名
内視鏡センタースタッフ
(2023年8月現在)
1年間(2022年8月~2023年7月まで)
当院は,内視鏡を担当する医師5名全員が本学会専門医/指導医(指導医4名,専門医1名)の資格を有しており,非専門医への指導体制は整っているが,現時点で研修医は在籍していない.当センター開設とともに,内視鏡先進施設で勤務してきた内視鏡技師および看護師が入職しており,今後はメディカルスタッフとも協議しながら教育・指導体制を整備していきたいと考えている.
当センターは開設されて約1年と日が浅く,医師とメディカルスタッフが協力しながらよりよい内視鏡センターを目指して基礎作りを行っている段階である.札幌市内だけではなく市外の医療機関からの御紹介もあり内視鏡検査・治療件数は増加傾向にあるものの,われわれの目標にはまだ到達できておらず,今後も近隣医療機関との連携を強化しながら質の高い内視鏡診療を提供していきたいと考えている.
また,当センターで検査・治療に従事する医師は全員本学会専門医・指導医を取得していることを生かし,将来的には専門医や指導医を目指す若手医師の教育・育成を行っていきたいと考えている.そのためには,本学会指導施設の取得が必須であり,現在指導施設認定に向けて準備を進めている.