2024 Volume 66 Issue 8 Pages 1642-1645
金沢大学附属病院は,1862年に加賀藩が開設した種痘所を祖とし,1949年に金沢大学医学部附属病院となり,2008年には金沢大学附属病院と改称された.最高の医療を提供するとともに,人間性ゆたかな優れた医療人の育成に努めることを基本理念としている.
内視鏡部門は1984年に内視鏡部として設置され,1996年に光学医療診療部となり,2023年9月に内視鏡センターに改組された.石川県の拠点病院として,高度な消化器内視鏡診療を提供し,内視鏡医を育成する役割を担っている.
組織内視鏡センターは中央診療部門の一つであり,センター長を中心に運営されている.内視鏡画像システムとしては内視鏡センター透視室のほか,救急部・集中治療部および泌尿器科・産婦人科外来の内視鏡機器も接続されている.消化器内視鏡診療の多くは消化器内科医師が担当し,ほか小児科,消化管外科,腫瘍内科医師が一部の症例を担当している.消化器内科医局とは密に連携し,おもに6名の指導医・専門医が午前午後に派遣され,専攻医も加わって診療の中心となっている.夜間や休日も消化器内科医師がオンコール体制で救急内視鏡診療にあたっている.
メディカルスタッフは,看護師9名,臨床工学技士1〜2名,洗浄員5名,補助員1名,事務員1名が従事している.臨床工学技士は交代で派遣される体制である.看護師6名,臨床工学技師3名が消化器内視鏡技師資格を有している.
2005年に中央診療棟が完成し光学医療診療部も移転し,独立した7室となった(レイアウト図1).メイン通路のほかにスタッフ通路も設けている.リカバリースペースには,リクライニングチェアーが8台あり,看護師1名が常駐している.洗浄室はフットスイッチ付きの自動扉を備え,空調・換気も含めて独立している.電子カルテと内視鏡レポートシステムは同じ端末で開くことが可能で,各内視鏡室に設置されている.モニター記録室には端末6台のほか,各内視鏡室の画面と室内を同時に映し出せる2台の大型液晶モニターがあり,検査状況の管理に役立てている.また高精細プロジェクターとスクリーンがあり,症例検討と教育に活用している.内視鏡に関する器材や設備は比較的充実しており,とくに拡大内視鏡を多数揃え,上下部消化管内視鏡のほぼ全例に用いており,診断能の向上と教育に努めている.X線透視室は内視鏡センター内になく,廊下をはさんだ放射線部にある.各科共用であるが,午後からは2部屋をほぼ使用しており,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP),小腸内視鏡,Interventional EUSなどを並列で行っている.また被曝軽減のための防護シールドを備えている.
内視鏡室レイアウト1(現在)


(2023年12月現在)
医師:消化器内視鏡学会指導医7名,消化器内視鏡学会専門医16名,その他スタッフ4名,専攻医4名
消化器内視鏡技師(Ⅰ種):9名
看護師:常勤9名
臨床工学技士:常勤1~2名
事務職:1名
その他:洗浄員5名,看護助手1名

内視鏡センタースタッフ
(2023年12月現在)

(2023年1月~2023年12月まで)

当院は日本消化器内視鏡学会の専門医指導基幹施設であり,新専門医制度のカリキュラムに沿って,関連施設とも協力しながら,消化器内視鏡の専門研修,教育を行っている.
研修医には検査の見学,介助をしてもらい,施行医が解説することで所見や治療の意義の理解を深め,消化器内視鏡分野への関心が高まるようにしている.専攻医では,各々の内視鏡診断能や技術レベルを上級医が確認し,指導のもとでルーチンの観察から治療内視鏡へとステップアップしている.
さらに,内視鏡画像カンファランス,外科との消化管キャンサーボード,肝胆道ユニットカンファレンス,膵癌ユニットカンファレンスをそれぞれ週1回開催しており,内視鏡診断に留まらず消化器疾患診療のリーダーとなりうる医師の育成を図っている.
最大の課題は,件数が増えるとともに,準備や介助も複雑化している内視鏡検査・処置に対応するための看護師の増員である.前任の二宮致部長の尽力により,臨床工学医師が常駐していることが大きな支援となっているが,検査室を効率的に運用し,さらにホスピタリティを向上させるためにも看護師の増員は喫緊の課題である.
内視鏡センターの設計に関しては,使いやすいレイアウトであり,病棟や内科外来,救急外来からも近く便利であるが,ベッドのままで搬入できる動線が限られることと,透視室へ器材を運ぶ手間が課題である.2024年に第2中央診療棟が開設され,内視鏡センターも若干の移動と改装工事を予定している.2025年まで機能を保ちながら3段階に分けた工程で行う.その際に治療内視鏡室の拡張,動線の改善,トイレの造設,器材庫の位置の変更を図る(レイアウト図2).
また,内視鏡センターの専属医師はセンター長のみであり,医療安全や感染対策,他科との連携など常時対応できるよう,専属スタッフの増員を病院に要望している.
働き方改革は医療全体の課題であるが,多忙な内視鏡センターこそ実現しなければならないと考え,適正で効率的な内視鏡検査・処置のスケジュールを立てて,定刻で業務を終えることを目標としている.しかし現実的には難しいことがしばしばあり,医師や看護師,臨床工学技士の増員もなかなか簡単ではないが,タスク・シフト/シェアを推進して実現していきたい.