2025 Volume 67 Issue 1 Pages 86-88
当法人は1929年に長崎県佐世保市に開院された富永内科医院を起源とし,2029年に創立100周年を迎える.
1945年の佐世保大空襲で病院は消失したが,戦後の復興とともに再建し,1947年に佐世保中央病院と名称を変更した.その後,1951年に医療法人財団白十字会を設立し,佐世保市で急性期から慢性期,在宅医療までほぼ網羅する事業を展開している.1982年に当法人としては初めて長崎県外に進出し,福岡県福岡市西区に(旧)白十字病院を開院した.
(旧)白十字病院は466床の福岡市西部の中核病院として急性期,亜急性期医療を担い,2012年に地域医療支援病院と基幹型臨床研修病院に認可された.
2021年に(旧)白十字病院は新築移転して機能を分化し,急性期医療を担う282床の(新)白十字病院と回復期と在宅医療を担う白十字リハビリテーション病院に分院化した.当院の内視鏡室は1982年の(旧)白十字病院開院時から稼働しており,健診から消化器救急,高度な内視鏡治療まで最新の医療技術を取り入れて地域医療に貢献している.
組織内視鏡センターは外来診療部門の一部として独立しており,消化管内科と肝胆膵内科,呼吸器内科,消化器外科,肝胆膵外科の医師が診療を担当している.看護師,臨床工学技士がメディカルスタッフとして勤務している.いずれも内視鏡センターの専属ではなく,他の外来部門とローテーションで配属されている.
内視鏡検査と治療は内視鏡センターで,消化管造影検査,ステント挿入やイレウス管挿入,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP),気管支鏡は階下の透視室で施行している.消化器救急に対してはオンコールの医師が24時間,365日で対応しており,院内に常駐する内視鏡処置に従事できる看護師と臨床工学技士が即応できる体制となっている.
2021年の新築移転を機に新病院の内視鏡室は旧病院より規模を拡大し,総床面積220.2m2,個室の検査室を3室と同じフロアーにリカバリースペース6床を有している.内視鏡室にはERや病棟とのアクセスが容易な専用のエレベーターと通路が設けられており,外来患者の目に触れず内視鏡室に搬入可能な配置となっている.
処置後のリカバリースペースの患者には生体モニターを装着し,常駐する看護師により安全に管理されている.
内視鏡室の換気能力に関してはコロナ禍を契機に拡充を図り,最新の建築基準を満たしたものとなっている.
また,上部消化管検査と処置に際しては,2020年5月に当科で独自に開発し実用化に成功した飛沫とエアロゾル感染を防止する感染防止器具を5類移行前まで全例に使用していた.5類移行後は症例の危険度に合わせてケースバイケースで使用している.この装置は低価格の汎用部材を使用したディスポーサブルの内視鏡補助器具であり,現在でもメーカー既製品の性能を超えた画期的な感染防止器具と自負している.
内視鏡室レイアウト

(2024年8月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医3名,消化器内視鏡学会 専門医1名,その他スタッフ1名
内視鏡技師:Ⅰ種2名
看護師8名(外来他部署と兼任),臨床工学技士14名(院内他部署と兼任),洗浄スタッフ1名
(2024年8月現在)

1年間(2023年4月~2024年3月まで)

当科は3名の学会指導医が研修医と専攻医の指導を行っている.
当院は基幹型臨床研修病院であり,当科には研修医がローテーションしている.研修医には必ず指導医を付け,副主治医として患者を担当しつつ,内視鏡検査と処置の見学から処置の介助を担当させ,消化管内科を志す研修医には指導医の管理下で内視鏡操作から開始し,習熟度に応じて段階的に検査に従事させている.専攻医には上下部内視鏡検査は言うまでもなく,診断と内視鏡的粘膜切除術(EMR)をはじめとした従来法の手技に習熟させ,習熟の程度により内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)にも従事させている.
当院は地域医療支援病院であり,年間4,000台の救急車を受け入れており,上下部消化管出血をはじめとした消化器救急患者を多数受け入れている.
地域の中核病院であり,検査から治療,救急処置まで幅広い疾患を経験できる環境にある.
当科の医師は九州大学病態機能内科学・消化管研究室の医局員で構成されている.
昨今,本邦では内科系医師の減少が懸念されており,更に相対的に女性医師が増加傾向にある.女性医師の多様なライフスタイルにも対応した,すべての医師にとって働き易い職場環境に整備するため,病院全体として働き方改革に取り組んでいる.内視鏡センターの看護師と臨床工学技士は専属ではなく,外来の他部署と兼任でローテーションで配属されている.あらゆる医療機関で看護師不足が問題となっている.当院も例外ではなく熟練した看護師,臨床工学技士の安定確保が急務である.新型コロナウイルス感染症は5類に移行した現在も依然として感染力が強く,終息には今しばらく期間を要すると思われる.当センターでは検査と治療に携わるスタッフはN95マスク装着を基本とした感染対策を継続中である.また,2025年度にほとんどの内視鏡機器を新機種に入れ替え予定であり,よりいっそうの検査と治療の精度向上と効率化が期待される.

(新)白十字病院全景