GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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Fluorescently labelled vedolizumab to visualise drug distribution and mucosal target cells in inflammatory bowel disease 1).
[in Japanese]
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2025 Volume 67 Issue 1 Pages 89

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【背景】炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease,IBD)において生物学的製剤の開発や患者への適切な治療選択のためには,作用機序と標的結合の明確化が必要であり,それにより個別化治療戦略が可能となる.蛍光標識したベドリズマブ(vedo-800CW)を静脈投与後に蛍光分子イメージングを用いることで,肉眼的および顕微鏡レベルで薬剤の分布を可視化し,標的細胞を特定することを目的とした.

【方法】43件の蛍光分子イメージングが実施され,内視鏡検査による生体内評価と,生体外で肉眼かつ顕微鏡的画像撮影を行った.フェーズAでは,患者は内視鏡検査前に,4.5mg,15mgのvedo-800CW,もしくはトレーサーなしの静脈内投与を受けた.フェーズBでは,ベドリズマブの非標識(サブ)治療用量を先行投与した後に,患者はvedo-800CW 15mgを投与された.

【結果】蛍光分子イメージングの定量化により,炎症組織におけるvedo-800CWの蛍光強度が用量依存的に増加することが示され,15mgが最適なトレーサー用量であることが示された.さらに,vedo-800CWを治療用量の非標識ベドリズマブ投与後に投与したところ,蛍光シグナルが61%減少したことから,炎症組織における標的飽和が示唆された.蛍光顕微鏡および免疫染色により,ベドリズマブが炎症粘膜に浸透し,複数の免疫細胞型と関連していることが示されたが,最も顕著なのは形質細胞であった.

【結語】蛍光分子イメージングを用いることにより,炎症を有する組織における薬剤の局所分布を特定し,薬剤の標的細胞を同定する可能性を示した.炎症性腸疾患の治療薬としての標的薬剤に関する新たな知見をもたらす.

《解説》

IBDは免疫機構の異常で起こると考えられている慢性炎症疾患である.同じ疾患病名であっても,免疫機構のパターンは同じではなく,さらに同一患者でも時間経過や治療による修飾などにより,関与するサイトカインが変化していくとも言われている 2.IBDの治療薬は,分子標的薬を中心に増えている.しかし,有効性はいずれも60-70%程度であり,医師の知識と経験からくる情報,患者側の要因を総合し薬剤を選択しても,絶対に効くとは言えないのが現状である.ベドリズマブは,α4β7インテグリンを阻害し,α4β7を発現する腸管ホーミングT細胞の血管から粘膜への遊走を阻止し阻害し,炎症を予防する目的で開発されたが,最近の報告では,α4β7を発現する幅広い免疫細胞によって,媒介されるとも言われている 3.本研究では,ベドリズマブが炎症粘膜に移動し,形質細胞の表面に結合し,マクロファージと好酸球の細胞質にも取り込まれることが観察された.現時点では,治療効果予測までは到達できていないが,IBDだけでなく関節炎,乾癬において,アダリムマブ,ウステキヌマブなど他剤も含め研究を進めているようである.治療前に,それぞれの薬剤を蛍光ラベルしたものを投与し,内視鏡でどの薬剤が強く取り込まれているかを観察することにより治療薬を決定する,そのような時代が来るのであろうか.もっと簡便な方法がありがたいが,夢のある話ではある.

文 献
 
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