2025 Volume 67 Issue 7 Pages 1312-1314
福島労災病院は,いわき市の常磐炭坑とその関連産業における労働災害に対処するために,1957年に内科,外科,整形外科の3診療科と病床数50床をもって開院された.現在はいわき市の人口約32万人を含む浜通り医療圏約35万人中核病院で,標榜科21科,許可病床数336床を運用している.臨床研修指定病院,地域医療支援病院,福島県がん診療連携推進病院などの指定を受けている.
1989年に内科の専門化により消化器内科(現,消化器科)が開設された.2007年には消化器病センターを開設し,内科・外科との連携強化を図っている.消化器科の診療実績(2023年度)は,紹介患者数2,385件,新入院患者数2,380名であり,内視鏡診療の役割は年々大きくなっている.
内視鏡診療部は,2024年4月に新たに独立した部署として設立された.
組織内視鏡診療部は入院・外来診療部の一部署として独立している.
消化器科が消化器内視鏡を担当し,呼吸器科と呼吸器外科が気管支内視鏡を担当している.
看護師は外来部門に所属している.
病院本館の2階に位置し,同階には内科系外来部門や中央放射線部門があり,病棟は本館4~6階であり,診療上の動線は比較的短い.また救急外来も2階に位置しており,緊急内視鏡時にも迅速な対応が可能である.
検査室は4室あり,午前中は上部消化管内視鏡検査,午後は大腸内視鏡検査を主に実施している.内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)などの予定治療は検査室1,止血術などの緊急内視鏡検査は検査室2,超音波内視鏡検査は検査室3を主に使用し,関連器材を機能的に配備している.
放射線部門の2室に内視鏡機器を常設しており,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や透視下治療に対応している.
内視鏡室レイアウト

(2025年1月現在)
医 師:(常勤)11名:消化器内視鏡学会 指導医4名,同専門医1名,その他6名
(非常勤)福島県立医科大学消化器内科・同内視鏡診療部,獨協医科大学消化器内科:指導医
看護師:常勤3名(消化器内視鏡技師1名を含む),非常勤2名
事務職:1名
その他:看護助手2名

消化器科医師
(2025年1月現在)

(2022年4月~2023年3月)

当院は日本消化器内視鏡学会の他,日本消化器病学会,日本肝臓学会,日本超音波医学会の指導施設に認定されている.研修医や専攻医は,消化器疾患全般を診療しながら,消化器内視鏡を習得していただいている.当院では主治医制を取っており,担当患者の検査・治療は疾患領域に関係なく,上級医の指導のもと主治医主体で施行している.研修医は1年目の2カ月間を消化器科で研修する.上級医の行う検査や治療を見学し,介助を行う.上部消化管や下部消化管モデルでのトレーニングを十分に行い,上級医の指導のもと鎮静下の上部消化管内視鏡検査を行う.専攻医は内視鏡検査全般に携わり,治療内視鏡は見学そして介助から開始し,経験や技術習得度に応じて上級医の指導のもとで術者として施行する.内視鏡的粘膜切除術(EMR),ESD,内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)や超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)などまで習得してもらうように努めている.
治療内視鏡前カンファレンス,術後病理カンファレンス,消化器・外科合同カンファレンスなどを施行しており,知識の向上を図っている.研究会や学会への参加や発表そして論文作成を推奨し,指導している.
施設の問題点として,内視鏡件数に比して,検査室数が少なく,検査室スペースも十分とは言えない.さらに鎮静下での内視鏡検査の増加に伴い,リカバリールームも不足している.これらは現在進行中である病院新築計画において,必須の整備課題と考えている.スタッフについては,内視鏡室専属の看護師が不足している.また看護師の増員とともに消化器内視鏡技師の人事面での配慮が必要である.臨床工学技士を要望しているが実現していない.医療機器の多様化・複雑化への対応,看護師とのタクスシェアによる業務効率化や適正化を図ることは重要であり,喫緊の課題と考えている.休日・夜間の内視鏡スタッフの待機制についても検討中である.
当院ではチーム医療をとても大切にしている.多くの消化器疾患を経験できる当院で,共に働いていただける医師そしてメディカルスタッフを待望している.