2025 Volume 67 Issue 7 Pages 1316
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の大腸ポリープの内視鏡的粘膜切除術(EMR)標本の粘膜下層から血管炎を証明した水野ら 1)の報告を興味深く拝読した.本症の内視鏡下生検では,小血管が存在する粘膜下層を十分に採取するのが困難なため血管炎の所見を得られることが少ない.よって,その組織を採取する工夫が必要であるとの結論に同意する.しかしながら,その工夫は現実的には容易でないので,本症における皮膚生検の重要性に関する私見を述べたい.内視鏡下生検では著明な好酸球浸潤を認めたものの確認できなかった血管炎の所見を,紫斑などの皮膚病変からの生検で確認できた本症の報告がある 2)~4).水野らの報告においても,生検を行った皮膚科医からの疑診の助言が役立っている.さらに本邦の19例の検討 5)によれば,皮膚と消化管は共に本症の約半数に病変を生じていたが,生検での血管炎の判明率は皮膚が80%,消化管は低く,胃が23%,十二指腸が26%,小腸が30%,大腸が29%であった.類似の血管炎であるIgA血管炎でも同様の傾向が見られている 5).本症は腸管穿孔や壊死等の重篤な合併症を生じうるため早期の診断と治療介入が必要である.皮膚病変が併存していれば生検をすみやかに行って診断に資するべきであることを改めて強調したい.
この度は,われわれの報告「大腸腺腫のEMR検体で主要組織所見が得られた好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例」に対し,貴重なご意見,ご指摘をいただき誠にありがとうございます.ご指摘の通り,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)の診断において,皮膚生検は非常に重要な役割を果たします.今回,図表の制約で本報告のFigureで提示できておりませんが,体幹と下肢にあきらかな皮疹を認め,皮膚科医からの疑診の助言が診断に重要な役割を果たしました.皮膚生検での血管炎の検出率が消化管生検よりも高いというデータも,EGPAの診断プロセスにおいて皮膚生検の有用性を示唆しています.
本症例の特徴は,内視鏡的粘膜切除術(EMR)によって採取された大腸腺腫の粘膜下層から血管炎の所見が得られた点にあります.これは通常の内視鏡下生検では困難な粘膜下層の十分な採取が,EMRにより可能となったためです.しかし,ご指摘の通り,皮膚病変が併存する場合には,皮膚生検を積極的に行うことが診断への最短経路となることが多いと考えられます.
EGPAは腸管穿孔や壊死などの重篤な合併症を生じうるため,早期診断と治療介入が非常に重要です.この観点からも,皮膚病変からの生検は安全かつ効率的な診断方法として推奨されるべきであり,今後の症例においても念頭に置くべき重要なポイントだと考えます.貴重なご意見をいただきましたことに改めて感謝申し上げます.
名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学
水野史崇