Public Health Nursing Education
Online ISSN : 2433-6890
Block Activity Reports
Tokai, Kinki North Block, Hokuriku, and Kinki South Block Activity Report (First Report)
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2019 Volume 3 Issue 1 Pages 61-62

Details

I. はじめに

全国保健師教育機関協議会におけるブロック活動は,平成29年度より「東海,北陸,近畿ブロック」を「東海,近畿北ブロック」「北陸,近畿南ブロック」に再編し,活動を開始した.平成30年12月現在,東海,近畿北ブロックは会員校36校,賛助会員1名,北陸,近畿南ブロックは会員校36校である.東海,近畿北ブロック,北陸,近畿南ブロックでは,平成29年度から2ブロックでの交流および情報交換を目的とした合同ブロック研修会を開催している.本稿では,北陸,近畿南ブロックが運営を担当した平成30年度第1回合同ブロック研修会について報告する.

II. 活動内容

平成30年10月14日(日)CIVI研修センター新大阪東において,平成30年度第1回合同ブロック研修会を開催した.開催案内は2ブロック会員校計72校,賛助会員1名に送付し,参加は36校,50名であった.

1. 第1回合同ブロック研修会のテーマ

第1回合同ブロック研修会では,平成29年度に公衆衛生看護学教育モデル・コア・カリキュラム(全国保健師教育機関協議会,2017)が作成されたことを受け,公衆衛生看護学教育モデル・コア・カリキュラム(以下,公衆衛生看護コアカリと記す)を理解することをテーマとした.

2. ブロック会員校および賛助会員を対象とした公衆衛生看護コアカリに関するアンケート調査の実施

研修会前にブロック会員校および賛助会員に対してアンケート調査を実施した(配布数73,回答数54,回収率73.9%).回答が得られた会員校の種別は,大学院5校,4年制大学43校,1年課程(短大専攻科・養成校)3校,4年制専修学校1校,不明(未記入)2校であった.調査内容は,公衆衛生看護コアカリに基づいたカリキュラム検討の有無,カリキュラム検討を行っている会員校にはカリキュラムの検討方法,検討における工夫および課題について回答を求めた.他方,検討を行っていない会員校にはカリキュラム検討に向けての課題について回答を求めた.

調査結果としては,公衆衛生看護コアカリに基づいたカリキュラム検討を行っている会員校は19校(回答が得られた会員校の35.2%),検討を行っていない会員校は34校(回答が得られた会員校の63.0%),不明(未記入)1校であった.カリキュラムの検討方法については,「看護学教育モデル・コア・カリキュラム(以下,看護コアカリと記す)と一緒に検討している」と回答した会員校が10校,「保健師教育領域のみで検討している」と回答した会員校が8校,不明(未記入)が1校であった.カリキュラム検討の工夫については,「看護コアカリと公衆衛生看護学科目を突き合わせて,連動や整合性について検討している」と回答した会員校が3校あった.カリキュラム検討の課題については,「学内(学部や学科)の共通理解が困難」と回答した会員校が3校あった.他方,カリキュラム検討を行っていない会員校については今後検討していく予定と回答した会員校が多かった.カリキュラム検討に向けての課題としては,「看護コアカリと公衆衛生看護コアカリとの関係性を整理するのが難しい」,「看護教育の中で地域看護学をどこまで教授すべきで公衆衛生看護学教育ではどのように発展させるのかが難しい」との回答があった.

3. 合同ブロック研修会における情報提供および意見交換

研修会では,公衆衛生看護学教育モデル・コア・カリキュラム推進委員会委員(聖隷クリストファー大学)の鈴木知代氏より,公衆衛生看護コアカリの概要について情報提供をいただいた.その後,10グループに分かれて各校のカリキュラム検討への取り組み状況,公衆衛生看護コアカリの疑問点について意見交換を行った.取り組み状況については,「公衆衛生コアカリの全てを取り入れることは難しい.特に学部教育で深く学ぶことが困難」,「看護学と重複する部分も多いため棲み分けを考えている」等の意見があった.看護学教育との違いに関する意見としては,「公衆衛生看護学では事業化,施策化に力を入れて教育しており現場の保健師からの評価も高い」という意見があった.また,「現場の保健師の協力を得ながらカリキュラムの検討や学生への教育をしていきたい」,「実習施設への公衆衛生看護コアカリの提示も必要ではないか」等,公衆衛生看護コアカリを現場の保健師と共有する必要性についても意見があった.最後に鈴木氏から,「公衆衛生看護コアカリの全てでなくても部分的に取り入れてみることで教育内容の検討や教育の質向上につながる.公衆衛生看護コアカリは各校が取り入れてみて意見交換を行っていく中で今後ブラッシュアップしていくものである」との講評があった.

III. おわりに

今回,平成29年度に公衆衛生看護コアカリが作成されたことを受け,公衆衛生看護コアカリを理解することをテーマとして合同ブロック研修会を実施した.事前のアンケート調査では,公衆衛生看護コアカリに基づいたカリキュラム検討を行っていない会員校が多いことが明らかとなった.研修会において公衆衛生看護コアカリを部分的に取り入れていくことも可能であるとの情報提供を受け,各校が可能な範囲でカリキュラム検討を進めていくきっかけとなったものと考える.今後のブロック活動としては,各校が公衆衛生看護コアカリを取り入れてみて,意見交換を行い,公衆衛生看護コアカリのブラッシュアップにつなげていくことが望まれる.

文献
Biographies

担当:畷 素代(白鳳短期大学)

松本泉美(畿央大学)

前田則子(関西看護医療大学)

深江久代(静岡県立大学)

蒔田寛子(豊橋創造大学)

大野あかね(名古屋医専)

 
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