Public Health Nursing Education
Online ISSN : 2433-6890
Block Activity Reports
Kyushu Block Activity Report
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2019 Volume 3 Issue 1 Pages 67-68

Details

I. はじめに

九州ブロックは,平成30年度現在,24校(養成所1校,大学23校)が加盟しており,そもそもの母体は昭和30年発足の中国・四国・九州地区保健婦教育研究会である(全国保健婦・士教育機関協議会,2001).昭和63年に全保教の九州ブロックとして再編成した当初は,11校(養成所10校,短期大学1校)であったが,平成14年には一時6校まで減少,その後,順次増加し続け,今に至っている.

ブロック活動の中心は定例会議と研修会であり,各加盟校から出された教育課題の検討や情報交換を行い,教員の資質向上のために幅広く活動している.年2回の開催のたびに,白熱した議論や懇親の機会を通して教員間の親交を深め,新たな教育研究活動の芽を育てている.本年度の活動概要を報告し,これまでのブロック活動の意義を考察する.

II. 活動内容

1. 平成30年度活動概要

1) 幹事校会議(会場:福岡県吉塚合同庁舎)

・日時)平成30年8月23日(木)10:00~12:00

・参加者)3校10名

・議題)①九州ブロック予算及び活動計画 ②第1回定例会・研修会の進行 ③第2回研修会企画

2) 第1回定例会及び研修会(会場:福岡県吉塚合同庁舎)

・日時)平成30年8月23日(木)13:00~17:00

平成30年8月24日(金)9:00~12:00

・参加者)19校31名

・内容)①社員総会及び理事会報告 ②九州ブロックの活動 ③照会事項

④講演I「地域包括ケアからケアする社会へ~幸手モデルと地域共生社会へ~」

講師;北葛北部医師会 在宅医療・地域包括ケア担当理事

在宅医療連携拠点菜のはな 室長 中野智紀

座長;福岡県立大学 教授 尾形由起子

⑤講演II「田川市における地域包括ケアシステム構築の取り組み」

講師;田川市市民生活部高齢障害課 課長補佐 山口のり子

座長;福岡県立大学 教授 尾形由起子

⑥懇親会

3) 第2回定例会及び研修会(会場:福岡県立大学)

・日時)平成31年3月2日(土)13:30~15:40

・内容)①議事録案及び級数ブロック運営マニュアル案の承認

②講演;「健康格差のないまちの創り方-GISによる地域診断-」

講師;京都産業大学現代社会学部健康スポーツ社会学科 教授

島根大学地域包括ケア教育研究センター 客員教授 濱野強

・参加者)加盟校:11校21名 県・市町村等の保健師13名

2. 活動結果概要

1) 幹事校会議

本年度の活動,定例会の進行の確認後,ブロック理事からの報告を受け,保健師の現状とブロック活動の方向性について議論した.保健師の専門性としての地域診断の重要性,僻地の新人保健師確保が困難となっており自治体と教育機関との連携が必要であることについて意見交換を行った.その結果,本年度の第2回研修会は地図情報を活用した地域診断をテーマとし,現場保健師(実習指導者)にもご案内をした研修会の開催を計画している.

2) 第1回定例会及び研修会

理事会報告の後,中堅期及び管理期の教員研修の必要性について意見交換を行った.客観的に自分自身を見直せる場が必要であること,現任教育とのつながりやラダーの必要性について意見が出された.第2回研修会の企画に関しては,地域診断技術の重要性や研修に関する情報交換を行った.照会事項では,保健師の大学院教育における修士論文の評価について情報交換を行った.

研修会では,幸手市及び田川市の地域包括ケアシステム構築の取り組みを学習した.生活モデルの理念に基づく幸手市の活動展開と専門職との連携と住民との協働を組み合わせた田川市の保健師活動の事例から,地域包括ケアシステム推進に貢献できる保健師と大学の在り方等について意見交換を行った.

第1日目のプログラム終了後,懇親会では,幹事校の学長出席のもと各校の紹介,意見交換を行い,和やかな雰囲気で教員同士の親睦を深めた.

3) 第2回定例会及び研修会

定例会では,第1回議事録案及び九州ブロック運営マニュアル改正案の承認を得た.

研修会は,県及び市町村等の保健師も参加し,GISを活用した地域診断の実際を学び,保健師活動における意義と可能性について学習した.

III. 考察

九州ブロック活動では,より良い保健師教育の探求を目指し続けている.平成18年度の保健師教育検討委員会活動では,大学,養成所,短期大学専攻科の各々の教育の現状を率直に見つめ直し,1年間の養成課程と4年間の統合カリキュラムの真の姿に向き合った(全国保健師教育機関協議会九州ブロック,2005).年間通した議論は教員の問題意識を深め,統合カリキュラム廃止の流れにつながったと考える.本年度は,先進的な活動事例から学び,喫緊の課題である地域包括ケアシステムの推進において保健師が力を発揮することの重要性と保健師養成の在り方を考えた.次は新しい地域診断の研修を計画しており,今後教育に取り入れられることを期待している.

協議会での活動は,保健師のあるべき姿を遠慮なく語り合える場である.各所属大学では少数派の保健師教育に関する教育改善の取り組みを後押しし,多くの教員をエンパワメントする場ともなっている.研修後の懇親会にも多くの教職員の参加を得て,九州ブロックの協議会は,加盟校の教員同士の親交を深めることはもちろんのこと,幹事校にとっても会の運営などを通して学内の他領域,多職種の保健師教育に対する理解を促す機会にもなっている.

以上のことからブロック活動は,定例会議と研修会を核とした保健師教育に関する貴重なコミュニティ活動の場であると考える.各保健師教育機関がさらに社会に貢献できるように,また限られた協議会での活動機会をさらに効果的に活用できるように,展開することが望まれる.

IV. おわりに

ブロックの自主的な活動は,協議会全体の活動と連動することで大きな力となる.加盟校の主体性を高め,全体の活動と連携することが重要と考える.

文献
  • 全国保健婦・士教育機関協議会(2001):全国保健婦・士教育機関協議会20年のあゆみ
  • 全国保健師教育機関協議会九州ブロック(2005):平成18年度保健師教育検討委員会報告書保健師教育の現状と課題
Biographies

担当:松尾和枝(福岡女学院看護大学)

山下清香(福岡県立大学)

尾形由起子(福岡県立大学)

田場真由美(名桜大学)

 
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