2022 Volume 6 Issue 1 Pages 54
令和3年度,本委員会は委員会方針を大学院と大学専攻科を含む上乗せ教育による指定規則の単位読み替えなしの課程の推進と「保健師教育課程の質を保証する評価基準」の保健師助産師看護師学校養成所指定規則改正を考慮した検証として活動した.健康危機管理教育に関する緊急調査も実施した.
8月に,恒例となる夏季教員研修会分科会に「大学院の設置に至るプロセスとカリキュラムの実際」を企画・運営した.大学院保健師教育を本年度に開始された講師3名をお迎えし,大学院化のプロセスやカリキュラムの特徴等のご紹介のあと,グループワークを行った(※詳細:本冊子事業報告).今後も,会員校の教員を対象とする上乗せ教育推進活動を継続する.
8月理事会後に「大学院化を予定する会員校のためのオンライン交流会」を企画し,12月に開催した.大学院教育を始めた(または大学院教育への変更が決まった)教育課程の教員がもつ不安や疑問を払拭する必要があるとの会長のご意見から始動した.昨年度の「大学院化を予定している会員校の意見交換会」の経験を活かし,大学院教育課程の教授を交えてフランクな意見交換と質疑応答を行う交流会を目指した(※詳細:本冊子事業報告).大学院教育課程を開始する教員の交流を促進するために,来年度もこの企画を実施予定である.
2. 「保健師教育課程の質を保証する評価基準」の検証多様な教育課程の会員校が「自校の保健師教育の質保証に向けた課程評価に活用できる基準」とし,かつ指定規則改正を反映させることを改訂方針とした.看護師と助産師の基準との比較を通して保健師の基準の特徴を確認し,文献を参考に保健師教育の評価の考え方と枠組みを検討,現行の基準との関連を整理して理事会のご意見をいただいた.今年度後半は,各評価基準の項目検証と解釈指針案作成に取り組んでいる.
3. 健康危機管理教育の緊急調査新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,社会の期待に応え得る保健師輩出の必要性が高まった.これを受け,7月に理事から健康危機管理教育の調査実施の提案があり,会長以下三役の合意のもと副会長と本委員会が準備を進めた.パンデミックに強い保健師養成に貢献可能な水準の高い教育の実際を提示すべく,緊急調査の理事会承認を得た.大学院修士課程17校と大学専攻科2校を対象に短期間のオンライン調査となった(※詳細:本冊子事業報告).この結果は,協議会から文部科学省への要望書の根拠の一部となり,本委員会の上記事業の運営時への活用と来年度夏季教員研修会分科会の企画につながった.
本委員会は,今年度6年目となる若き組織である.理事の方々のご助言等を受け,大学院課程の先生方と各委員に助けられながら「ともに活動した」感の強い8か月であった.担うべき「上乗せ教育を推進する役割」と「教育体制・環境などの充実に向けた教育課程評価の質を向上させる役割」を忘れず,保健師教育の体制整備に向けた活動を進めていく.今後もご意見をいただきたい.
担当:西出りつ子(三重大学)
和泉京子(武庫川女子大学大学院)
佐藤千賀子(秋田県立衛生看護学院)
白石知子(中部大学)
菅原京子(山形県立保健医療大学)
堀井節子(京都光華女子大学)
水谷真由美(三重大学)