2022 Volume 6 Issue 1 Pages 60
今年度設置された教育評価準備委員会では,従来からある2つの委員会,即ち,教育の質保証としての基準を作成し枠組みを構築した「教育体制委員会」や,学生個人の到達度などの評価指標を作成してきた「教育課程委員会」の活動を基盤として,これからの保健師教育の評価について検討する.特に,「評価」で何を目指すのかを明確にすることを活動方針とし,今年度は4回の委員会をオンラインで開催した.(活動内容の詳細は事業報告として報告した.)
本委員会設置の経緯と目的について,委員会活動計画書をもとに確認した.また,第1回の会議では,「教育課程委員会」で作成された保健師評価指標の経緯及び,「教育体制委員会」におけるこれまでの活動の経緯,即ち,看護学分野別評価基準(学士課程),助産師学士課程評価基準の資料等を基にした保健師教育における第三者認証評価については,システム導入のポジティブ要素とネガティブ要素を検討したところであること等が報告された.これらの議論等を踏まえて,本委員会の方向性を整理することになった.
最初に今後の保健師教育の評価の方向性を明確にした.目的は「保健師教育の質の保証」であり,「体制の保証と教育の到達度」,「教員・学生,大学もその目的を目指して元気になれるもの」,方法は,①教育体系別(大学選択制,上乗せ1年・2年,その他),②個人評価か体制評価か,③その他の認証評価も併せるかなどが検討の方向性であることを確認した.
次に,他分野における教育評価機構として,「一般社団法人 リハビリテーション教育評価機構」,「一般財団法人 日本助産評価機構」と,「公益財団法人 日本高等教育評価機構」,「一般財団法人 大学教育質保証・評価センター」について,各々の評価の機能や体制などの情報を収集し,他分野の教育評価システムとして概要を共有した.そのほか,産業保健分野の健康経営評価システムと,学校保健分野の学校評価ガイドラインの概要も共有し,保健師の教育評価像として論点整理を行い,①保健師の教育評価の目的,②教育評価のメリット,③本協議会において教育評価を行う際の配慮点,④方法について検討した.
今後は,これまでの議論をベースとして,引き続き保健師教育の評価に向けて本協議会が行う保健師教育評価の意義を明確にし,そのあり方や具体的な方法や内容を検討すること,また,保健師教育の評価の実施に向けて会員校の意向調査を行っていくこと等が課題として示された.
担当:村嶋幸代(大分県立看護科学大学)
斉藤恵美子(東京都立大学)
荒木田美香子(川崎市立看護短期大学)
大河内彩子(熊本大学)
神崎由紀(山梨大学)
矢島正榮(群馬パース大学)
中山直子(神奈川県立保健福祉大学)
オブザーバー:臺 有桂(神奈川県立保健福祉大学)