Public Health Nursing Education
Online ISSN : 2433-6890
Block Activity Reports
Hokkaido and Tohoku Block Activity Report
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2022 Volume 6 Issue 1 Pages 62-63

Details

I. はじめに

北海道・東北ブロックは2021年度,北海道地区12校・東北地区17校の計29校でスタートした.年度内に東北地区に1校が加入し30校でブロック活動を進めた.新型コロナウイルス感染症(以下,Covid-19)の影響でオンラインによる活動となったが,ブロック担当者と会員校の協働・連携により当初予定していたプログラムはすべて実施できた.以下,活動内容と成果を報告する.

II. 活動内容と成果

1. 北海道・東北ブロック会議・研修会

日本赤十字秋田看護大学が開催校を務め,2021年8月18日(水)にZoomにより実施した.25校,62名が参加した.会員校の提出議題は7つあったが,研修会前にすでに各校の回答について郵送配布がなされていたため,当日は3題に絞って話し合いを行った.「コロナ禍の演習・実習方法の工夫点」「健康危機管理に関する講義・演習内容」「公衆衛生看護を専門とする教員の確保や人材育成」である.教員確保・人材育成については,学部生の早い段階で様々なキャリアパスを見せることや,リサーチマインドを刺激する取り組みをしている事例の紹介があった.

研修会は,秋田赤十字病院予防接種センターの遠田耕平医師から「健康危機管理(感染症)を教授するうえでの基本―WHO医務官としての経験から」について講義をいただいた.実践家ゆえの説得力があり,勇気をもらえた内容であった.講義後,健康危機管理の教育をテーマにグループワークを行い,「Covid-19に対する教員の保健所応援やワクチン接種の経験を今後の教育にどのように生かすか」「健康危機管理の実体験が少ない教員もいるため,全保教のブロックや地区で相互に情報交換できるといいと思う」等,教員の質向上を見据えた多彩な意見交換がなされた.

2. 北海道地区の活動

北海道地区は毎年3回の地区会議及び情報交換会を開催している.2021年度も3回の地区会議及び情報交換会を行った.第1回目は旭川大学が開催校となり,2021年6月26日(土)にZoomにより実施した.13校,33名が参加した.今年度の講義・実習体制の情報交換後,北海道科学大学の松原三智子教授(全保教・教育課程委員会委員)より,「指定規則改正後の看護師教育課程における地域看護論の教育内容について」の講義をいただき,その後グループワークを行った.看護師教育の地域看護における学び,保健師教育における学びの内容や考え方についての話し合いがなされた.

第2回目は札幌保健医療大学が開催校となり,2021年11月28日(日)にZoomにより実施した.12校,29名が参加し,今年度の公衆衛生看護実習の実施状況に関する情報交換を行った.Covid-19の影響による臨地実習の学内実習への切り替えが行われていたことや,臨地へ行ったとしても家庭訪問等の時期・回数に変更が生じたことが浮き彫りになった.一方,Zoomによる高齢者への健康教育実施,大学教職員の協力による健康診査場面の企画・実施等,各校が様々な工夫を行っていたことが確認され,今後の各校の教育方法・内容に資する情報交換となった.

第3回目は札幌保健医療大学が開催校となり,2022年2月22日(火)にZoomにより実施した.11校,27名が参加した.会議では,まず,公衆衛生看護学実習担当者会議を行った.北海道庁担当者も交える北海道らしい会議であった.その後,教育課程委員会の「高齢者保健における公衆衛生看護技術」の各項目の妥当性や改善点,教育への生かし方等について5つのグループに分かれ活発な討議を行った.全国から6名の教育課程委員会委員も参加し,今後の同委員会の検討に資する会となった.なお,同日の北海道は悪天候でZoom活用だったからこそ開催できた.

3. 東北地区の活動

東北地区は毎年2回の地区会議及び情報交換会を開催している.2021年度も2回実施した.第1回目は弘前学院大学が開催校となり,2021年12月12日(日)にZoomを用いて実施した.青森県内の1校は弘前学院大学に赴き,16大学,31名が参加した.会議では,「保健師助産師看護師学校養成所指定規則改正によりカリキュラム作成する上で重視したこと」について情報交換を行った.保健師教育の健康教育科目の充実や継続した家庭訪問実習の検討,大学院教育で保健師教育を行っている会員校の『公共哲学』の科目導入など,各校の工夫が披露された.また,看護師教育の地域看護学に必要な内容の検討と精選,入学後早期に地域看護学の視点を持つフィールドワークの導入,地元創成看護学を志向した地元探求の科目の新設等,地域をみる力を重視していることが確認された.ついで,神戸市立看護大学の岩本里織教授(全保教・教育課程委員会委員長)より,「保健師助産師看護師学校養成所指定規則改正により重視する公衆衛生看護学教育について」の講義をいただいた.各校が自校のカリキュラムを客観的に振り返る機会となった.

第2回目は弘前学院大学が開催校となり,2022年2月13日(日)にZoomにより実施した.16校,30名が参加した.毎年,実施している保健師国家試験問題の解答の検討を行った.その後,全保教・教育課程委員会の公衆衛生看護技術の体系化に向けた検討に資することを目的に,各校の公衆衛生看護技術教育について意見交換を行った.教育課程委員会の成果を各校の講義・演習に具体的に落とし込む必要性や,演習・実習のまとめの教材として活用する可能性等が話し合われた.また,「リモートによる臨地実習の可能性について」「コロナ禍における公衆衛生看護実習のあり方」「新カリキュラム導入による新カリ生と旧カリ生の同時期教育の教育体制」について,各校の状況の情報交換を行った.

III. おわりに

北海道・東北ブロックはエリアが広く,かつ,交通資源も限られているため,会議や研修会に参集することに努力を要する地域性がある.今年度,Covid-19の影響でオンラインを活用せざるを得なかったが,北海道・東北ブロックにとっては相互交流の新たな手段を手に入れたといえる.一方,今まで対面で十分に交流していたからこそ,オンラインでも交流が可能となっているとも考えられる.来年度以降の活動は,Covid-19の感染状況をみながらではあるが,対面とオンラインを組合わせた方法を検討する必要がある.

また,Covid-19により学習に影響を受けた学生の卒業後の状況を確認することも,保健師教育の質の向上を目指す上で重要である.保健師として入職した卒業生の状況について,現場との意見交換等を行う機会をブロック活動として設けることも検討していきたい.

IV. 謝辞

各研修会の講師の先生方,ブロック活動を支えてくださった会員校の事務職の皆様,全保教の岸恵美子会長はじめ理事・事務局の皆様に感謝申し上げます.

Biographies

担当:菅原京子(山形県立保健医療大学)

川村泰子(弘前学院大学)

菊池美智子(青森中央学院大学)

近藤明代(札幌保健医療大学)

松原三智子(北海道科学大学)

 
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