Japanese Journal of Conservation Ecology
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
Original Article
Birds and small wind turbines: Basic information for collision risk management
Masashi Barada Takafumi AraiMasaya KuboWataru Kitamura
Author information
JOURNAL OPEN ACCESS FULL-TEXT HTML

2024 Volume 29 Issue 2 Article ID: 2138

Details
Abstract

要 約: 風力発電の設置基数が増加するにつれ、鳥類の衝突事故増加が問題となっており、2021年には発電量が3万7500kW以上の風車について、建設時に希少猛禽類に対して環境アセスメントが求められている。一方、小形風力発電機(以下、小形風車という)は環境アセスメントの義務がなく、影響評価による建設中止がないことから立地選定の制限が少なく大型風車では建てることができない場所にも建設することができ、近年設置基数は増加し続けている。日本での小形風車による鳥類の死亡報告回数は増加傾向にあり、オジロワシHaliaeetus albicillaなどの希少な野鳥の衝突事例(バードストライク)が確認されている。しかし日本では小形風車におけるバードストライクのリスク評価のための研究は未だされていない。日本ではリスク評価に必要なバードストライクの調査データが十分得られていないため、本研究では小形風車から一定の範囲に入った鳥類の接近回数を調査した。定点観察調査による接近回数を目的変数とした一般化線形モデルを用いて飛翔頻度に影響を与える季節や気象などの要因を明らかにした。最も多く接近が観察された種はオオセグロカモメLarus schistisagusで537回、次にウミネコLarus crassirostrisで536回、ハシブトガラスCorvus macrorhynchosで459回、カワラヒワChloris sinicaが292回記録された。希少種であるオジロワシとオオワシH. pelagicusはそれぞれ29回と2回記録された。オオセグロカモメは大型風車でも衝突事例が多い種で共通性も見られたが、小形風車では草原性の小型の鳥類であるカワラヒワでも接近がみられた。風車の稼働調節によるリスク管理として、風速は鳥種によって影響が異なり、ハシブトガラス、カワラヒワでは強風時に接近が少なかったが、逆にオジロワシ、オオセグロカモメでは強風時に接近が多かった。季節の効果は、夏鳥であるカワラヒワだけでなくハシブトガラス、オオセグロカモメにおいても4月-8月の繁殖期に10m範囲内への接近が多く、繁殖期はリスクが高い季節であった。風車の設置場所選択や周辺構造物による鳥類の衝突リスク管理では調査地点数が少なく信頼できる結果は得られなかった。

Translated Abstract

Abstract: Assessing the risk of collisions between wind turbines and passing birds is an important issue in bird conservation. Unlike their larger counterparts, small wind turbines do not need to undergo environmental impact assessments (EIAs) in Japan. Being subject to fewer restrictions, they can be constructed where large turbines may be forbidden. Small wind turbines are increasingly being installed in Japan, and the endangered white-tailed eagle (Haliaeetus albicilla) is known to collide with them. As EIA methodologies are geared toward large turbines, they may be unsuitable for small turbines. However, there has been no formal assessment of the risks of bird collisions with small wind turbines in Japan. In the absence of systematic collision data, we used bird flight frequency near small turbines as a proxy for collision frequency. We recorded birds flying within 10 or 20 m of small wind turbines during point-count surveys and then ran generalized linear models with the number of flights as the objective variable and weather and surrounding land cover as explanatory variables. Slaty-backed gulls approached turbines most often (537 observations), followed by black-tailed gulls (536), large-billed crows (459), and Oriental greenfinch (292). Two rare species, the white-tailed eagle and Steller's sea eagle, were recorded 29 and 2 times, respectively. The slaty-backed gull is also the species most often observed colliding with large wind turbines; small turbines seem to also be approached by smaller grassland species. The effects of wind speed varied, with three species flying less during high winds and white-tailed eagles flying more. All species regularly approached within 10 m during their breeding seasons, indicating that these are periods of especially high collision risk. Given the small number of survey sites in our study, our results provide only preliminary insight into turbine placement and bird collision risk management; more research is needed.

はじめに

地球温暖化の進行を抑えるため、二酸化炭素排出の緩和技術として再生可能エネルギーの普及が求められている(Intergovernmental Panel on Climate Change 2022)。特に風力発電(以下、風車)は他の発電方法と比較した時、製造から稼働し終えるまでの二酸化炭素排出量の低さ(今村ほか 2016)や発電効率、鳥類の衝突などの住民意見に対して事前調査で対策できることなどの観点から、太陽光発電や水力発電などの他の再生可能エネルギーと比較して好ましいと言われている(Evans et al. 2009)。世界全体で風車の建設可能面積が多く残っており、同様に日本も洋上を含めた風車が建設可能な場所が多く残っていることから、風力発電は電力需要に大きく貢献することが明らかになっている(Lu et al. 2009)。日本でも再生可能エネルギーを最大限導入することが目標とされている(環境省 2021a)。日本の風車の累積導入量は2020年時点で4,439 MW、2,554基設置され、2020年の年導入量は前年の1.9倍で過去最大の新規導入量となった(一般社団法人日本風力発電協会 2021)。以前から、風車の設置基数の増加に伴って風車の供給開始後に生じる低周波の騒音やフリッカー、景観、自然、野鳥などの環境影響の発生などを巡る問題が環境紛争の論点としてあげられる(畦地ほか 2014)。それの中でも風車の設置数増加に伴い鳥類が影響を受ける事例が増えており、影響としては鳥衝突、生息地放棄または消失、障壁影響などの行動変化があげられる(Katzner et al. 2019)。日本でも大型風車については、風車の建設により生じる鳥類への影響についての調査、研究が行われており、国内でもすでに鳥衝突(浦 2015)、風力発電の建設に伴う繁殖している鳥類の生息地放棄(武田 2013)、風力発電の建設による渡り鳥の飛行ルートの変化などの障壁影響による行動変化(竹岳・向井2004)が確認されている。また、頻繁に衝突するトビMilvus migransやミサゴPandion haliaetusなどの猛禽類の飛行高度が大型風車のブレードの高さと重なることが報告され(植田ほか 2011)、希少な鳥類の衝突報告も多い(環境省 2011)。このため5万kW以上の大型風車を建設する際には希少猛禽類生息地の調査などが必要となっている(環境省 2021b)。

一方で、環境影響評価法において規模要件を満たしていない小形風力発電(以下、小形風車という)は環境アセスメントの義務がなく、設置面積が小さく分散型電源として適した発電方式であること(一般社団法人日本小形風力発電協会 2017)や改正前のFIT法で小形風車の買取価格が他の発電方式よりも高く設定されたこと(経済産業省 2012)が理由で、近年建設基数は増加傾向にある(一般社団法人日本小形風力発電協会 2019)。日本では風車直径16 mで受風面積が200 m2未満の風車を小形風車としている(一般社団法人日本小形風力発電協会 2013)。小形風車は環境アセスメントの義務がなく、大型風車と比較してブレードの長さが短いことからヒトに不快感をもたらすシャドーフリッカーの不快認知距離が短いため(錦澤ほか 2016)、住宅までの距離が100 m以上あれば設置可能な自治体もあり(梅沢ほか 2019)、設置面積が小さく様々な場所に設置できる。分散型電源として適した発電方式であることや(一般社団法人日本小形風力発電協会 2017)、改訂前のFIT法で形風力発電の買取価格が他の発電方式よりも高く設定されたこと(経済産業省 2012)もあり、近年建設基数は増加傾向にある(一般社団法人日本小形風力発電協会 2019)。

これに伴い2017年以降小形風車への希少な海ワシ類の衝突事故の報告がされるようになっている(環境省 2022)。オジロワシは希少猛禽類の中でも風車への衝突死事例が特に多いとされるが(浦 2015)、小形風車でも2018年度に衝突が1件報告され、2019年には全8件のうち4件の衝突が小形風車で起きたと報告された(環境省 2022)。環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類、また、国内希少野生動植物や国の天然記念物に指定されているオオワシHaliaeetus pelagicusはこれまで3件のバードストライクの報告があるが、2017年度の1件が小形風車であった(読売新聞オンライン 2020)。イギリスでも急速な小形風車の増加に伴い、コウモリ類や鳥類の衝突事例が報告され、コウモリの生息地周辺での建設前における有識者の助言において、小形風車の建設による野生生物への影響が懸念されている(Park et al. 2013)。

しかし社会の認知には小形風車が大型風車より鳥類の衝突が少ないとのバイアスが存在する可能性がある。風力発電全般に関する環境紛争の論点として最も多かったのが野鳥の問題である一方で(畦地ほか 2014)、小形風車の場合は最も多い苦情が騒音や低周波音であった(梅沢ほか 2019)。海外の小形風車に対する考え方についてのアンケートでも野生動物に対する懸念は比較的少ないと認識されていた(Park et al. 2013)。

実際には多くの鳥類は大型風車のブレードの回転域の下端よりも低い高度を飛翔するため(環境省 2011; 北村 2014; 一般社団法人日本小形風力発電協会 2019)、ブレードの回転域が低い小形風車の衝突リスクは高いと予想される。一般に、一定のエネルギーを得る場合は、数が少ない大型風車よりも数が多い小形風車の方が、鳥類の衝突リスクが大きいことが知られている(Thaxter et al. 2017)。しかし衝突リスク評価に関する定量的な知見は世界でも非常に少なく、特に日本の鳥類に対する小形風車の影響は未知数である。

 イギリスで行われた調査では、コウモリ類は小形風車の近傍(0-5m)では飛翔回数が減少したが長い距離(20-25 m)では減少せず忌避反応が示唆された。鳥類は小形風車の近傍(0-10m)とより長い距離(10-20 m)での飛翔回数に変化はなく、忌避反応が見られないため衝突リスクが懸念された(Minderman et al. 2012)。ただし日本のコウモリでは種により反応が異なり、風車への誘引が示唆された種も存在する(脇ほか2022)。小形風車において鳥類の飛翔密度と衝突の関係を調査した研究では、衝突が報告された小形風車とされていない小形風車とで、小形風車から20 mの範囲での鳥類の2時間当たりの平均飛翔回数を比較したところ、衝突が報告された小形風車周辺の鳥類の平均飛翔回数が1.5倍多く、鳥類の飛翔回数が多い場所で死亡率が高い可能性がある(Minderman et al. 2015)。

そこで本研究では、衝突リスクを評価するために先行研究(Minderman et al. 2012)を参考に、飛翔回数を衝突リスクの代理変数とし、飛翔回数に影響を与える気象要因や周辺土地利用の影響を明らかにすることで衝突リスクを評価する方法の開発を試みた。鳥類の衝突リスク管理には、風車の稼働調節によるものと、風車の設置場所の選択や周辺構造物の撤去・設置によるものが考えられる。本研究は少数の調査地で継続調査し、主に稼働調節によるリスク管理に資する結果の取得を目指している。

方 法

調査地

調査地は北海道根室市(図1)にある8か所の小形風車の発電施設とし、それぞれの調査地をAからHとした(表1)。調査対象の風車数は全32基を調査した。詳細な場所や風車の情報については研究協力者の個人情報保護および保全上の観点から控えることとする。このうち2ヶ所の調査地(A、B)では、過去にオオワシ、オジロワシHaliaeetus albicillaの衝突事例が発生したことが報告されているため(一般社団法人日本小形風力発電協会私信)、長時間の調査を行った。

調査方法

調査方法については先行研究(Minderman et al. 2012)を参考に鳥類が小形風車周辺を飛翔した時の距離や回数を定量的に調査した。調査地一か所につき複数の風車が建っていたため、観察地点を1カ所として複数の風車をまとめて定点観察調査を行った。観測者の位置は最も近い小形風車から25 m離れており、最も離れた風車との距離は80 mであった。小形風車から水平距離10 m以内と20 m以内の調査対象空間を設定し、鳥類の個体が各調査対象空間に入った鳥種と飛翔ルートを地図上に記録した。鳥類の観測は目視および倍率が8倍の双眼鏡を用いて行ない、飛翔高度はレーザー距離計(Nikon、Golf Coolshot 80i VR Golf Slope Laser Rangefinder)で計測した。

調査は2020年8月と12月、2021年の2月から2023年2 月まで2か月おきに実施した。調査地ごとに1日3回調査を実施し、時間帯は鳥の種を識別可能な明るさになる早朝(午前5時から8時)、午前(9時から12時)、午後(13時から17時)の3つとした。なお冬至の時期になると日出が6時30分、日没の時間が15時30分ごろになるため、早朝の開始時間を遅らせ、午後の調査終了時間を15時30分に調整した。1日に2調査地点を回り各調査時間に1時間ずつ調査を実施した。衝突の対策を容易にするため、時間帯を3区分にして観察を実施した。

風車から10 m以内(10 mの範囲)と20 m以内(20 mの範囲)に調査範囲を設定しそれぞれについて、1時間あたり、風車あたりの飛翔回数を調査した。鳥類個体の1度の飛翔で10 mの範囲と20 mの範囲をともに通過した場合は、各範囲の飛翔回数を1回とした(図2-(1))。複数の小形風車が建っている発電施設において、1度の飛翔で複数の小形風車から10 m、20 mそれぞれの範囲を飛翔した場合、それぞれの風車ごとに1回とカウントした(図2-(2))。例えば、3基分の調査範囲を飛翔した場合は1基分を1回とするため、合計の飛翔回数は3回となる。

先行研究(Minderman et al. 2012)と同様に、小形風車の設置場所の周囲の情報や調査時の気象を参照した。小形風車の特性の情報として、小形風車の高さ、ブレードの長さ、実際の単位時間当たりの発電量を調査協力者から情報提供して頂いた。周辺の状況として小形風車から最も近い家屋などの建物までの最短距離、海岸までの最短距離、フェンスや塀など鳥類が止まりやすいもの(以下、止まり木)までの最短距離、採餌場所となる港湾施設や水産加工場までの最短距離を解析ソフトQGIS 3.18を用いて測った。気象情報は最低気温、平均風速、総雨量、視程距離を参照した。最低気温と総雨量、視程距離は気象庁の根室観測所による根室地方の過去の気象データから引用し、平均風速については小形風車のそばに設置されている風速計から取得したデータを研究協力者から頂いた。調査地Aのみ風車の風速計が故障していたため、気象庁データから平均風速を引用した。

統計分析

風車の稼働調節による鳥類の衝突リスク管理に向けて、時系列的な環境の情報と鳥類の飛翔のデータを利用し、ポアソン分布を仮定した一般化線形モデル(GLM)を用いて、小形風車周辺の鳥類の飛翔回数に影響を与える要因を解析した。小形風車周辺で飛翔した鳥類の1調査当たりの飛翔回数を目的変数とし、調査地、月、時間帯、気温、風速、視程距離を説明変数とした。カテゴリカル変数である調査地と月、時間帯について、調査地は調査地A、月は2月、時間帯は午前中を基準に相対値を算出した。

風車の設置場所の選択や周辺構造物に関する鳥類の衝突リスク管理に向けて、周辺の要因に関する解析を行った。1つの調査地に複数の風車が建っている場合、海岸までの距離、港までの距離、止まり木までの距離、建築物までの距離は、風車ごとに最短距離をもとめた。小形風車周辺で飛翔した鳥類の1調査当たりの飛翔回数を目的変数とし、海岸までの距離、港までの距離、止まり木までの距離、建築物までの距離を説明変数とした。海岸までの距離と漁港までの距離に多重共線性が見られたため、今回は海岸までの距離を使用し解析を行った。

調査地での飛翔回数と国内での風車への衝突数が多い種と、この地域で注目すべき種であるオジロワシでは種ごとに解析した。統計解析はR version 3.6.2 (R Core Team  2019)を用いて行った。

結 果

全体の調査結果

調査日数は30 日で、悪天候等によりデータが取得できなかった時間帯を除き計185回の観測をおこなった(表2)。調査地C-FはA-Bと比較して調査回数が少なかった。20m以内の鳥類の飛翔回数はのべ3170回、10m以内はのべ1619回記録された。観測種数は53種で、最も多く接近が観察された種はオオセグロカモメLarus schistisagusで537回、次にウミネコLarus crassirostrisで536回、ハシブトガラスCorvus macrorhynchosで459回、カワラヒワChloris sinicaが292回記録された(表3)。希少種であるオジロワシとオオワシはそれぞれ29回と2回記録された(表3)。

調査地Aでは小さな港と水産加工場の2か所を海鳥や海ワシ類などが頻繁に利用し、その区間を行き来するように飛翔していることも確認された。水産加工場ではホタテの貝殻が投棄され、海鳥が集まっていたが、間欠的な追い払いも行われていた。8月の調査ではオオセグロカモメの威嚇行動がオジロワシやハシブトガラスなどに対して確認された。ハシブトガラスは複数ある風車のうち、内陸側の風車に近い電柱に頻繁にとまっていた事が確認された。調査地Bでは、鳥類の飛翔回数は少なかったが巣がある鉄塔から内陸側にハシブトガラスが飛翔する時、調査地Bの小形風車の上空を飛翔していた。さらに、冬季の調査では20mの範囲外ではあるが、調査地周辺でオジロワシが4回とオオワシ1回と種不明海ワシ類が1回確認された。4月、6月に小形風車のブレードよりも低い高さを夏鳥が多く飛翔するようになった。周辺に墓地や倉庫があり、ソングスポットとして飛来することがあった。オオジシギGallinago hardwickiiやヒバリAlauda arvensisなどの地上から飛び上がるようなディスプレイフライトする鳥類に関して、小形風車のブレードの回転域を飛翔し、何度も飛び上がることが観測された。調査地Cでは何度かオジロワシが周辺を飛翔したが、風車に設定された調査範囲は通過しなかった。調査地Dの周辺には墓地があり、その周辺をハシブトガラスが頻繁に飛翔していた。調査地Eの周辺には牧草地が広がっていて、繁殖期に牧草地を小鳥類が利用していた。また他の調査地と比較して風車周辺の電線にオオジシギが止まっていることが多く、風車に近い調査範囲の中も飛翔していた。調査地Fは、約400 m離れたところに海岸があり、オオセグロカモメやオジロワシ、トビなどが飛翔していた、また発電施設内が牧草地であったためカワラヒワやオオジュリンEmberiza schoeniclusなどが飛翔していた。調査地Gの調査範囲内にソングスポットがあったため、他の調査地よりも小鳥類の飛翔頻度が多い傾向にあった。また調査地の周辺に太陽光発電施設が建っていて、その施設の柵にカワラヒワなどの小鳥類が止まっていたことから飛翔頻度は増加した。調査地Hの周辺には、ササ群が生えている植生であり、ベニマシコCarpodacus sibiricusなどの小鳥類の飛翔の比率が高かった。

飛翔回数と時系列的な環境要因

区域別の鳥類全体の飛翔回数を目的変数としてGLMを行った(表4)。20 m範囲内の鳥類全体の飛翔回数を目的変数とした場合、2月を基準としたとき4月、6月、8月に飛翔が有意に多くなった(p < 0.01)。早朝と午後よりも午前の時間帯の方が有意に飛翔回数が多くなった(p < 0.01)。そして、風速が遅いときに飛翔回数は有意に少なかった(p < 0.01)。他の調査地と比較して調査地Aの方が有意に多く飛翔することが明らかとなった(p < 0.01)。10 m範囲内の飛翔回数を目的変数とした場合と、20 mの範囲とで、ほぼ同様の傾向が得られた(表5)。

1)オジロワシの飛翔への影響

20 m範囲内において、飛翔回数を目的変数とした場合、月により有意に飛翔回数に差があり、係数の関係から2月を基準としたとき6月8月12月に多い傾向にあった(表4、p < 0.01)。他の時間帯と比較して午後の時間帯で有意に飛翔回数が多い傾向にあった(p < 0.01)。風速が速くなると飛翔回数が有意に多くなった(p < 0.05)。他の調査地と比較して調査地A、Eは相対的有意に増加した(p < 0.01)。10 m範囲内の飛翔回数を目的変数とした場合も全ての説明変数で20mの範囲と同様の傾向が見られた(表5)。

2)ハシブトガラスの飛翔への影響

20 m範囲内において、月により有意に飛翔回数に差があり、係数の関係から2月を基準としたとき4月6月に多い傾向にあった(表4、p < 0.01)。午前の時間帯を基準としたとき、早朝の時間帯で有意に飛翔回数が多い傾向にあった(p < 0.01)。風速が遅いときに飛翔回数が有意に増加した(p < 0.01)。他の調査地と比較して、調査地Aは有意に増加した(p < 0.01)。10 m範囲内の飛翔回数を目的変数とした場合も全ての説明変数で20mの範囲と同様の傾向が見られた(表5)。

3)オオセグロカモメの飛翔への影響

20 m範囲内において、月により有意に飛翔回数に差があり、係数の関係から2月を基準としたとき4月6月8月に多い傾向にあり(表4、p < 0.01)、他の時間帯と比較して早朝の方が飛翔回数は有意に多く(p < 0.01)、風速が速くなることで有意に飛翔回数が増加した(p < 0.01)。他の調査地と比較して調査地Aは有意に増加した(p < 0.01)。10 m範囲内の飛翔回数を目的変数とした場合も風速を除いた全ての説明変数で20mの範囲と同様の傾向が見られた(表5)。

4)カワラヒワの飛翔への影響

20m範囲内において、月により有意に飛翔回数に差があり、係数の関係から2月を基準としたとき4月6月8月に多い傾向にあり(表4、p < 0.01)、午前中の時間帯を基準としたとき午後の方が飛翔回数は有意に多く(p < 0.01)、風速が遅いときに飛翔回数が多く(p < 0.01)、他の調査地と比較して調査地Aは有意に増加した(p < 0.01)。視程距離が短い方が有意に飛翔回数が増加した(p < 0.01)。10 m範囲内の飛翔回数を目的変数とした場合も風速を除いた全ての説明変数で20mの範囲と同様の傾向が見られた(表5)。

調査地間の地理的要因の差

注目すべき種であるオジロワシと飛翔回数が特に多かったハシブトガラス、オオセグロカモメ、カワラヒワの小形風車から20m範囲内の飛翔回数と、海岸までの距離、港までの距離、止まり木までの距離、建築物までの距離との関係を分析した結果カワラヒワ以外の種で地理的傾向が見られた(表6)。オジロワシは海岸に近い調査地で有意に多く(p < 0.01)、建物までの距離が遠い調査地で有意に増加した(p < 0.05)。オオセグロカモメは海岸に近い調査地で有意に多く(p < 0.01)、止まり木までの距離が近い調査地で有意に増加した(p < 0.01)。ハシブトガラスは海岸に近い調査地で有意に多く(p < 0.01)、建物までの距離が近い調査地で有意に増加し(p < 0.05)、止まり木までの距離が近い調査地で有意に増加した(p < 0.01)。

考 察

本研究はこれまで日本で調査、研究が行われてこなかった小形風車が鳥類に与える影響を知るための基礎情報となる。風車の稼働調節による鳥類の衝突リスク管理に向けたデータとしては一定の傾向を見いだすことができた(表4,5)。ただし風車の設置場所の選択や周辺構造物に関する鳥類の衝突リスク管理に向けたデータとしては調査地数が不足している(表6)。

風車の稼働調節によるリスク管理

風速は鳥種によって影響が異なり、ハシブトラス、カワラヒワでは強風時に接近が少なかったが、逆にオジロワシ、オオセグロカモメでは強風時に接近が多かった(表4,5)。オジロワシが強風時に上昇気流を利用してソアリングする習性と関係していると考えられる(Pennycuick 1998; Shamoun-Baranes and van Loon 2006)。風車の稼働調節によるリスク管理では対象とする種を想定した管理が必要になる。多の種では強風時に飛翔が抑制され、オジロワシも極めて強い風では抑制される可能性があるため(島田ほか 2017)、観測データが蓄積されれば線形でなく2次関数を利用した回帰も考えられる。

季節の効果は、夏鳥であるカワラヒワだけでなくハシブトガラス、オオセグロカモメ、においても4月から8月の繁殖期に10m範囲内への接近が多く(表4,5)、繁殖期はリスクが高い季節であった。視程距離や風速に季節を加えてリスク管理するほか、設置場所の選択における事前リスク評価を行うべき季節として、繁殖期が適当である可能性がある。ただし個体群の存続可能性に重要な要因である繁殖価も季節により変動し、繁殖の直前に高くなるため、より正確には予測衝突数に繁殖価を乗じた値でリスク評価することで分散中の幼鳥と成鳥の事故の影響の違いを補正できる。オジロワシはデータが少なかったが、繁殖期に加えて越冬期の12月にもリスクが高いとの結果になった。

風車の設置場所選択や周辺構造物による鳥類の衝突リスク管理

調査地点数が少なかったが、海岸からの距離の影響は種により異なっていた。観察回数が多い種では、オジロワシ、オオセグロカモメとハシブトガラスについて海岸に近い調査地で接近回数が多く(表6),衝突リスクが高かった。餌場になりうる水産加工場や漁港はリスクを高める要因になり得る(Yoda et al. 2012)。オジロワシは、魚に誘引されるため漁港がリスク要因になる可能性が考えられる(Kitano and Shiraki 2013)。魚などに誘引されないカワラヒワでは明瞭な傾向が見られなかった。建物や止まり木の影響も種によって異なり、ハシブトガラスやオオセグロカモメは誘引されるが、オジロワシでは誘引されない可能性がある。

今後の研究について

本論文は小形風車の衝突リスク評価を試みた国内で初めての研究である。国内における大型風車の鳥類衝突事例はトビ、オジロワシ、ノスリButeo japonicus、オオセグロカモメ、ハシブトガラスの順で多く(浦 2015)、オオセグロカモメは本研究の小形風車でも衝突可能性が高い種であり、両者で共通性も見られる。しかし小形風車では草原性の小型の鳥類であるカワラヒワで高い衝突可能性が予想された。衝突リスクに影響する地理要因や気象要因は種により異なっており、地域の鳥類相に即したリスク管理が必要である。

謝 辞

本研究を行うにあたり、本研究の目的を理解して頂き調査地の提供、データ情報の提供して頂いた一般社団法人日本小形風力発電協会に感謝申し上げます。また、本研究は日本科学協会の笹川研究助成による助成を受けたものです。

表1.各調査地の地理情報と飛翔に影響を与える要因との最短距離

調査地(32機) 立地環境 海岸からの距離(m) 近傍の建築物の有無や種別(m) 止まり木からの距離(m) 最も近い漁港からの距離(m)
A 海岸周辺 84.6 46.1 37.4 164.7
B 草地 487.8 62.3 32.8 1737.0
C 海岸周辺 172.9 55.1 93.5 180.2
D 草地 494.5 101.3 60.2 1618.5
E 草地 311.3 210.3 45.0 893.1
F 草地 427.2 22.0 164.8 1058.4
G 草地 507.0 92.3 53.7 1363.3
H 草地 355.6 156.4 69.3 2285.7

表2.月ごと調査地ごとでの総調査回数

調査地 2月 4月 6月 8月 10月 12月
A 9 9 16 6 6 12
B 6 5 7 6 6 12
C 6 7
D 3 3 4 1
E 3 2 9 3 3
F 3 2 6 3 3
G 3 3 3 3
H   3 3 3 3  
合計 30 34 48 18 25 30

表3.総観測回数と各調査地における月ごとでの観測回数

        調査地A   調査地B   調査地C   調査地D   調査地E   調査地F   調査地G   調査地H    
2月 4月 6月 8月 10月 12月 合計 2月 4月 6月 8月 10月 12月 合計 2月 4月 6月 8月 10月 12月 合計 2月 4月 6月 8月 10月 12月 合計 2月 4月 6月 8月 10月 12月 合計 2月 4月 6月 8月 10月 12月 合計 2月 4月 6月 8月 10月 12月 合計 2月 4月 6月 8月 10月 12月 合計
カモ目 カモ科 マガン属 マガン 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 14 0 14 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 14
ガン亜科 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 120 120 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 120
マガモ属 マガモ 0 2 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2
カモsp 0 0 0 0 16 0 16 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 16
スズガモ属 スズガモ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
ウミアイサ属 ウミアイサ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
ハト目 ハト科 キジバト属 キジバト 0 0 2 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6
ドバト 6 0 0 0 0 0 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6
カツオドリ目 ウ科 ウ属 カワウ 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1
ペリカン目 サギ科 アオサギ属 アオサギ 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1
カッコウ目 カッコウ科 カッコウ属 カッコウ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4
アマツバメ目 アマツバメ科 アマツバメ属 アマツバメ 0 0 5 4 0 0 9 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10
チドリ目 シギ科 タシギ属 オオジシギ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9 0 0 0 9 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 16 0 0 0 16 0 0 5 0 0 0 5 0 33 7 0 0 0 40 0 1 0 0 0 0 1 71
カモメ科 カモメ属 ユリカモメ 0 200 0 0 0 0 200 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 200
ウミネコ 0 2 3 526 3 0 534 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 536
シロカモメ 0 0 0 0 1 1 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2
セグロカモメ 0 0 0 6 0 0 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6
オオセグロカモメ 32 130 144 167 31 16 520 0 2 0 0 0 0 2 3 6 0 0 0 0 9 0 0 0 0 0 0 0 2 0 1 0 0 0 3 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 2 537
セグロsp 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1
セグロカモメsp 0 0 0 22 13 0 35 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 35
カモメsp 2 5 3 12 6 9 37 0 1 0 0 0 0 1 0 2 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 2 0 0 0 0 0 0 0 43
タカ目 タカ科 トビ属 トビ 0 1 12 3 16 6 38 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 1 1 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 41
オジロワシ属 オジロワシ 1 1 3 4 0 7 16 0 0 0 0 0 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 6 8 0 0 0 0 0 2 2 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 29
オオワシ 0 0 0 0 0 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2
ハイタカ属 オオタカ 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1
キツツキ目 キツツキ科 アカゲラ属 アカゲラ 0 0 0 0 0 4 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4
ハヤブサ目 ハヤブサ科 ハヤブサ属 チョウゲンボウ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1
スズメ目 カラス科 カラス属 ハシボソガラス 13 2 15 12 0 36 78 1 0 4 4 0 21 30 0 11 0 0 0 0 11 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 11 13 2 0 0 0 0 13 15 0 1 3 2 8 0 14 0 0 0 0 0 0 0 161
ハシブトガラス 2 96 130 33 33 50 344 19 2 2 3 0 9 35 1 1 0 0 0 0 2 17 4 2 0 5 0 28 0 5 10 0 0 7 22 1 3 10 0 3 3 20 0 1 0 0 6 0 7 0 0 0 1 0 0 1 459
カラスsp 1 1 7 5 1 4 19 7 0 1 0 7 0 15 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 36
ヒバリ科 ヒバリ属 ヒバリ 0 7 0 0 0 0 7 0 1 0 0 0 0 1 0 6 0 0 0 0 6 0 0 2 0 0 0 2 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 19
ツバメ科 ショウドウツバメ属 ショウドウツバメ 0 0 22 0 0 0 22 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 25 0 0 0 25 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 47
ツバメ属 ツバメ 0 0 3 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 0 0 3 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7
ヒヨドリ科 ヒヨドリ属 ヒヨドリ 2 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 3
ムシクイ科 ムシクイ属 エゾムシクイ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1
センニュウ科 センニュウ属 マキノセンニュウ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2
シマセンニュウ 0 0 1 0 0 0 1 0 0 9 1 0 0 10 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 0 0 0 8 0 0 17 0 0 0 17 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 36
エゾセンニュウ 0 0 1 0 0 0 1 0 0 3 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4
ヒタキ科 ノゴマ属 ノゴマ 0 0 2 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 4 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7
ノビタキ属 ノビタキ 0 18 2 2 0 0 22 0 0 45 0 0 0 45 0 6 0 0 0 0 6 0 0 22 0 0 0 22 0 2 54 0 0 0 56 0 6 3 0 0 0 9 0 8 2 6 0 0 16 0 1 0 0 0 0 1 177
セキレイ科 セキレイ属 ハクセキレイ 0 8 6 0 0 1 15 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 18
タヒバリ属 タヒバリ 0 0 0 0 18 0 18 0 0 0 0 8 0 8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 0 6 0 2 0 0 1 0 3 0 2 0 0 2 0 4 0 0 0 0 4 0 4 0 0 0 0 15 0 15 58
アトリ科 カワラヒワ属 カワラヒワ 0 0 105 18 0 0 123 0 0 19 21 0 0 40 0 0 0 0 0 0 0 0 0 23 0 0 0 23 0 6 10 0 0 0 16 0 3 18 0 0 0 21 0 8 7 1 14 0 30 0 4 9 26 0 0 39 292
ベニマシコ属 ベニマシコ 0 3 0 0 0 0 3 0 0 9 0 0 0 9 0 1 0 0 0 0 1 0 0 2 0 0 0 2 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 0 4 0 7 0 0 3 0 21 0 24 47
ホオジロ科 ホオジロ属 ホオジロ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 2
ホオジロsp 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 2
アオジ 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2
オオジュリン 0 0 15 0 0 0 15 0 0 4 0 0 0 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 4 0 0 2 0 0 0 2 0 0 1 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 1 27
スズメsp 0 1 13 1 0 0 15 0 0 0 0 0 1 1 2 1 0 0 0 0 3 0 0 2 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 2 23
不明 0 0 8 0 0 0 8 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 0 0 6 0 0 0 6 0 0 3 0 0 0 3 0 1 1 0 26 0 28 0 1 0 3 0 0 4 51
総計       59 478 502 818 139 136 2132 27 6 110 30 15 34 222 6 39 0 0 0 0 45 18 4 67 0 11 0 100 3 16 157 0 15 146 337 3 15 43 0 5 19 85 0 54 25 9 64 0 152 0 16 13 32 36 0 97 3170

表4 風車から20m以内の飛翔回数を目的変数とした一般化線形モデルの回帰係数。月は2月、時間帯は午前、調査地は調査地Aを基準に相対値を算出した。有意水準は*p-value<0.05、*** p-value<0.01、** p-value<0.001である。

    全種 オジロワシ ハシブトガラス オオセグロカモメ カワラヒワ
変数 estimate p-value estimate p-value estimate p-value estimate p-value estimate p-value
2 0 0.000 *** 0 0.000 *** 0 0.000 *** 0 0.000 *** 0 0.000 ***
4 1.676 0.470 1.605 1.091 18.620
6 1.620 1.334 0.970 0.947 19.710
8 2.584 2.597 1.232 1.844 19.530
10 1.195 -16.076 0.409 0.259 17.270
12 0.952 3.033 0.778 -1.480 -0.321
時間帯 早朝 -0.315 0.000 *** -0.968 0.030 * 0.433 0.000 *** 0.993 0.000 *** -0.202 0.001 **
午前 0 0 0 0 0
午後 -0.925 0.241 -0.606 -0.097 -0.156
風速 -0.074 0.000 *** 0.170 0.013 * -0.168 0.000 *** 0.070 0.000 *** -0.188 0.000 ***
視程距離 0.005 0.151 0.019 0.584 0.018 0.040 * 0.005 -0.083 0.000 ***
調査地 A 0 0.000 *** 0 0.001 *** 0 0.000 *** 0 0.000 *** 0 0.000 ***
B -1.939 -1.756 -1.962 -5.239 -0.812
C -2.361 -18.013 -3.657 -2.547 -16.917
D -1.422 -17.986 -0.937 -18.512 -0.081
E -0.780 0.372 -1.685 -4.090 -0.969
F -1.995 -0.853 -1.619 -5.023 -0.493
G -1.072 -1.178 -2.299 -18.529 -0.219
  H -1.522     -17.960     -4.243     -4.042     0.033    

表5 風車から10m以内の飛翔回数を目的変数とした一般化線形モデルの回帰係数。月は2月、時間帯は午前、調査地は調査地Aを基準に相対値を算出した。有意水準は*p-value<0.05、*** p-value<0.01、** p-value<0.001である。

    全種 オジロワシ ハシブトガラス オオセグロカモメ カワラヒワ
変数 estimate p-value estimate p-value estimate p-value estimate p-value estimate p-value
2 0 0.000 *** 0 0.001 ** 0 0.000 *** 0 0.000 *** 0 0.000 ***
4 2.059 0.749 1.132 0.836 18.213
6 1.725 0.863 0.419 1.292 19.191
8 2.525 -17.146 -0.469 1.365 18.579
10 1.141 -15.574 0.019 0.191 14.992
12 0.891 3.403 0.428 -2.455 -0.419
時間帯 早朝 -0.367 0.000 *** -1.161 0.017 * 0.389 0.000 *** 1.735 0.000 *** -0.085 0.000 ***
午前 0 0 0 0 0
午後 -1.068 0.936 -0.581 0.258 -0.524
風速 -0.077 0.000 *** 0.305 0.003 ** -0.218 0.000 *** 0.130 0.053 . -0.151 0.000 ***
視程距離 0.018 0.000 *** -0.017 0.693 0.008 0.480 0.002 0.896 -0.070 0.000 ***
調査地 A 0 0.000 *** 0 0.001 *** 0 0.000 *** 0 0.000 *** 0 0.000 ***
B -2.133 -18.782 -2.374 -19.537 -0.965
C -2.888 -18.642 -18.420 -2.184 -16.426
D -1.183 -19.015 -0.336 -19.569 -0.339
E -0.870 1.158 -1.719 -19.538 -0.906
F -2.202 -18.912 -1.556 -4.076 -1.410
G -0.832 -0.909 -2.227 -19.592 -0.272
  H -1.392     -19.707     -18.430     -19.599     0.267    

表6  風車から20m以内の飛翔回数を目的変数とした一般化線形モデルの回帰係数。周辺の地理的特徴と飛翔回数の関係性

  オジロワシ オオセグロカモメ ハシブトガラス カワラヒワ
estimate p-value estimate p-value estimate p-value estimate p-value
海岸までの距離 -0.004 0.006 ** -0.013 0.000 *** -0.004 0.000 *** -0.001 0.065 .
建物までの距離 0.007 0.224 -0.006 0.000 *** -0.006 0.000 *** 0.000 0.994
とまり木までの距離 -0.002 0.170   -0.021 0.000 *** -0.009 0.000 *** -0.002 0.134  

図1.調査対象地である北海道根室市の白地図。

図2. 飛翔回数のカウント方法。(1)1本の風車を通過した時の飛翔回数のカウント方法。(2)複数の風車を通過した時の飛翔回数のカウント方法。

References
 
© Authors

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
feedback
Top