Japanese Journal of Conservation Ecology
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
Original Article
Landscape factors influencing Nagoya daruma pond frog (Pelophylax porosus brevipodus) distribution in Wakasa, Japan, and conservation site selection based on the maximum entropy model
Akinori Ogura Jun IshiiTakafumi KataokaJun MatsubayashiRyo Sugimoto
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2025 Volume 30 Issue 1 Pages 55-67

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要旨

福井県若狭町はす川流域に生息するナゴヤダルマガエルPelophylax porosus brevipodusの保全策を検討するために、景観スケールにおけるナゴヤダルマガエルの生息地選好性を調査した。また、近縁種であるトノサマガエルPelophylax nigromaculatusとの繫殖干渉が起こりにくい地域を特定するために、トノサマガエルの生息適地も同時に調査した。2022年6月–7月と2023年6月–7月の2か年にわたり、両種の分布調査を実施した。そして、最大エントロピーモデルを使用して、はす川流域における両種の繁殖期の生息適地を推定した。分布調査の結果、ナゴヤダルマガエルは主に下流域に分布し、トノサマガエルは流域全域の山際付近に分布していることが分かった。ナゴヤダルマガエルの生息確率は平均標高と強い負の関係があり、標高が高くなるほど生息確率が低くなることが示された。また、トノサマガエルの生息確率は、水田面積、地形湿潤指数、林縁距離と負の関係を示すことが明らかとなった。繁殖期の生息適地を推定した結果、ナゴヤダルマガエルは下流域で生息確率が高く、上流域では低くなることが示された。一方、トノサマガエルは山際から離れた平地の水田で生息確率が低いことが示された。この結果から、ナゴヤダルマガエルの保全を行う際は、下流の水田地帯が適していると考えられた。ナゴヤダルマガエルの生息確率が高く、トノサマガエルの生息確率が低い地域を選択することで、繁殖干渉を抑制できるため、効果的な個体数回復が期待できる。

Abstract

The Nagoya Daruma pond frog (Pelophylax porosus brevipodus) is native to paddy fields in Japan, where its population is declining with the modernisation of paddy field agriculture. To focus conservation efforts for this species, it is essential to acquire ecological information related to habitat selection. We investigated habitat preference at the landscape scale in the Hasu River Basin, Wakasa, Fukui Prefecture, Japan, for both P. p. brevipodus and a closely related species, the Black-spotted pond frog (Pelophylax nigromaculatus), to assess potential interspecies interactions. Distribution surveys for both species were conducted from June to July in 2022 and 2023. Using the maximum entropy (MaxEnt) model, we analysed relationships between frog distribution and potential environmental factors, including land use and topographic variables, to estimate suitable habitats for the two species. The results of our distribution survey indicated that P. p. brevipodus was mainly distributed in downstream areas of the Hasu River Basin, whereas P. nigromaculatus was broadly distributed throughout the basin. MaxEnt analysis revealed that mean elevation was the most critical environmental factor for habitat selection in P. p. brevipodus, suggesting a greater preference for downstream areas. In contrast, paddy area, the topographic wetness index, and distance to the nearest forest were the main environmental factors influencing habitat selection in P. nigromaculatus, leading to its relative scarcity in flat areas surrounding paddy fields. Therefore, we conclude that downstream paddy fields represent suitable conservation sites for P. p. brevipodus, as hybridisation is less likely in these areas.

はじめに

水田は自然湿地の代替環境として、多種多様な生物の生息地となっている(農林水産省 2023)。また、水田に生息する生物は、害虫防除や栄養塩の循環など、農業に重要な生態系サービスを提供している(Natuhara et al. 2013; Baba et al. 2023; 農林水産省 2023)。しかし、農薬の使用や開発による水田の減少、圃場整備による湿田の乾田化などの影響で、水田環境の健全性が損なわれている(成末・内田 1993; Fujioka and Lane 1997; Lane and Fujioka 1998; 片野ほか 2001; Kadoya et al. 2009; Jinguji et al. 2013; Tsutsui et al. 2018)。

生活史に水域と陸域の両方を必要とし、かつ移動能力の低い両生類は、それらの水田環境の変化の影響を受けやすい(Blaustein 1994; Cushman 2006; 田中 2010)。水田環境を利用する両生類の中でも、カエル類は水田生態系の中位栄養段階に位置し、低次消費者と高次消費者を繋ぐ橋渡し役を担っており(Lane and Fujioka 1998; 東・武内 1999)、水田生態系の生物多様性の指標とされる(田中 2010; 農林水産省農林水産技術会議事務局ほか 2012)。そして、カエル類もまた、水田環境の変化によって個体数が減少しており、保全策の検討が必要となっている(長谷川ほか 2000)。

水田に生息するカエル類のうち、ナゴヤダルマガエルPelophylax porosus brevipodusは、環境省レッドリストで絶滅危惧IB類に指定されており(環境省 2020)、個体数と生息域が急減している(内藤 2012; 多田ほか 2019, 2023)。本種は、生息場所として水田への依存度が非常に高く(内藤 2012)、開発による水田の消失や圃場整備による水田環境の改変に脆弱だと考えられている(多田ほか 2019)。これらの点からナゴヤダルマガエルは保全生態学の分野でたびたび研究の対象にされており、例えば、水田内の本種の生息環境調査の結果から、水田内に越冬場所を創出することや、活動期における生息環境の創出を目的として畦畔に一定の植生を残して草刈りを行うことが提案されている(多田ほか 2019, 2023)。

その一方で、本種においては、水田周辺の土地利用や地形など景観スケールにおける生息地選好性に関する研究は、ほとんど行われていない(だたし、Nakanishi et al. 2020を参照)。一般的に、水田に生息するカエル類の種組成や個体数は、水田が立地する地域の地形や、周辺の土地利用の影響を受けることが報告されている(Kato et al. 2010; Moreira and Maltchik 2014; Fujita et al. 2015)。したがって、ナゴヤダルマガエルの保全策の検討においても、水田内の局所的環境だけでなく景観スケールにおける生息地選好性を明らかにすることで、保全効果が高い地域を特定することが期待できる(Matsushima et al. 2022)。

さらにナゴヤダルマガエルは、近縁種であるトノサマガエルPelophylax nigromaculatusと繁殖期および繁殖地が部分的に重複しており、自然下で異種間抱接や交雑などの繁殖干渉が発生していることが報告されている(Shimoyama 1999; Komaki 2012)。これにより、ナゴヤダルマガエル同士の抱接の機会が減ったり、適応度の低い交雑個体が生まれたりすることも、個体数減少の要因の一つとなる可能性が考えられる。したがって、ナゴヤダルマガエルの保全対象地を検討する際には、トノサマガエルの生息適地と重複していない地域を優先的に選ぶことで、繁殖干渉の問題をできるだけ回避しながら、効果的な個体数回復が見込める。

生息地の選好性を把握するためには、生物の分布情報から潜在的な生息地を推定することができるモデリングが有用である。両生類の生息分布データに基づいて、分布推定モデルを作成した研究として、最大エントロピーモデル(Maxent)を使用したものがある(Blank and Blaustein 2012; Komaki et al. 2015; 草野 2016; 阿部 2017)。Maxentとは、対象種の在データと植生や地形などの環境データに基づいて、対象種の潜在的な生息地を推定する手法である。この手法は対象種の不在データを使用しないため、分布情報が乏しい希少種のモデリングに適している。

本研究は、優先的に保全すべきナゴヤダルマガエルの生息地を検討するため、繁殖期を対象として、景観スケールにおけるナゴヤダルマガエルの潜在的な生息地を推定することを目的とした。本研究で調査対象とした福井県若狭町では、ナゴヤダルマガエルとトノサマガエルの両方の分布が報告されており(川内ほか 2006)、繁殖干渉が発生している可能性が考えられる。そこで、トノサマガエルの潜在的な生息地も推定し、両種の重複の可能性についても検討した。まず、福井県若狭町のはす川流域の個体群を対象に、ナゴヤダルマガエルとトノサマガエルの分布調査を実施した。種同定は形態観察により行うが、両種は形態的に似ており混同する可能性があったため、補足的にミトコンドリアDNA(mtDNA)の部分領域を用いた分子系統解析に基づく種同定を行った。そして、土地利用および地形に関するGISデータから環境変数データを作成し、Maxentを用いて分布推定モデルを作成した。

方法

対象種

ナゴヤダルマガエルは、繁殖期・非繁殖期ともに、低湿地帯の水辺に生息している(松井・前田 2018)。繁殖期間は4月下旬から7月中旬までであり、農村地域では主に水田を繁殖地として利用している(松井・前田 2018)。メスは1繁殖期間に2回産卵を行う(芹沢 1983; 松井・前田 2018)。外部形態の特徴として、ほとんどの個体では背中線(吻端から総排泄腔まで続く背面の線模様)を欠いているが、愛知県では背中線を持つ個体も混在する(芹沢・芹沢 1982; 松井・前田 2018)。開発による生息地の消失や、圃場整備による生息環境の悪化によって、個体数が減少しており、福井県のカテゴリーでは、「県域絶滅危惧II類」に指定されている(福井県 2016)。

トノサマガエルの繁殖期間は4月から6月で、主に水田で繁殖を行い、メスは1繁殖期間に1回産卵を行う(松井・前田 2018)。本種は、非繁殖期には水田から離れて草地や森林を利用する個体がいる(松井・前田 2018)。またナゴヤダルマガエルと異なり、ほとんどの個体は背中線を持つが、背中線を欠く高田型と呼ばれる遺伝子型が、新潟、長野、富山、石川、福井で確認されている(川内ほか 2006; 松井・前田 2018)。福井県のカテゴリーでは「要注意」に指定されており、水田で早期に中干しを行う(初夏に水田を乾かすために排水する)農法に変わったことなどによって個体数が減少している(福井県 2016)。

対象地域

対象地は日本の中央部、福井県若狭町はす川流域である(北緯35°53′、東経135°90′)(図1)。はす川の下流側にはラムサール条約登録湿地に選定された三方五湖があり、その周辺地域には水田が広がっている(福井県 2009)。また、はす川流域を含む、三方五湖とその周辺地域では、自然再生推進法に基づく法定協議会である三方五湖自然再生協議会が自然再生活動に取り組んでおり、この協議会には有機農業に取り組む農業者も参加している(福井県 2023)。令和4年度時点の若狭町全域の水田の圃場整備率(標準区画30 a)は91.3%、パイプライン化率は92.7%であり(福井県 2024)、本研究で調査を行った水田も圃場整備地であった。対象地の水田は全体的に乾田化が進んでいるが、一部の水田は湿田または半湿田となっている。また、水路は、パイプライン化に伴いコンクリートの排水路が整備されているが、山に近い水田では、昔ながらの土水路が点在している。近隣の美浜観測所(北緯35°36′、東経135°55′)の年平均気温(1991年から2020年の平年値)は15.0°C、年平均降水量は2196.2 mmである(国土交通省 気象庁「過去の気象データ検索」https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php,美浜観測所のデータ2024年2月25日確認)。

図1. 調査対象地域。(a)は福井県、(b)ははす川流域を示す。図中の○ははす川流域内の調査地点、ラインははす川を示す。

本対象地の水田では、ナゴヤダルマガエルとトノサマガエルがともに生息している(川内ほか 2006)。若狭町を対象に2015年と2017年に実施されたカエル類の分布調査によると、ナゴヤダルマガエルは主に下流域、トノサマガエルは中流域から上流に分布し、異なる分布傾向を示すことが報告されている(内田ほか 未発表)。したがって、若狭町のはす川流域は、両種の生息地選好性を調査するうえで適していると判断した。

分布調査と遺伝解析用サンプリング

ナゴヤダルマガエルおよびトノサマガエルの分布状況を明らかにするために、2022年5月27日–7月18日と2023年6月13日–7月18日の2か年にわたり分布調査を実施した。調査地域全体を網羅するように500 mメッシュを生成し、その中心付近に位置する水田に隣接する畦を調査地点とした。調査地点は合計で45地点となった。(図1b)。

各調査地点では、ルートセンサス法に基づいて、ナゴヤダルマガエルおよびトノサマガエルの幼体と成体の個体数を調査した。各畦において、片方の端から30 mの距離を歩きながら、タモ網(前幅35 cm、深さ40 cm、全長1.35 m)を使ってナゴヤダルマガエルまたはトノサマガエルの個体を捕獲して、その個体数を記録した。種同定は、背中線がない個体をナゴヤダルマガエル、背中線がある個体をトノサマガエルとした。2022年の調査では、多数の調査地点において、個体の捕獲は出来なかったが目視観察はできた事例が複数回あったため、2023年の調査では目視観察したのみの個体も集計に含めた。そして、2年分のデータを統合し、分布調査の結果とした(例:2022年にナゴヤダルマガエルが確認されなかった地点でも、2023年に確認された場合は、その地点を「在」とした)。

捕獲した個体は、外部形態を記録するために写真を撮影した。また、mtDNA系統解析で使用する組織サンプルとして、後ろ脚のつま先を採取した。採取したつま先は99.5%のエタノールで固定し、研究室に持ち帰った。捕獲個体は、データと組織を収集後に、その場で逃がした。

各水田の畦は、草丈や植被率が異なっており、植物の地上部のバイオマスが高いところでは、捕獲や目視による集計結果が過小評価になる可能性があった。加えて、個体を目撃しても種を同定できなかった場合は、その地点を「不在」と記録していたため、偽陰性の地点が多々あると考えられた。以上の理由から以降の分析では、両種の個体数データを使用せず、在データのみを使用した。

分子系統解析

2022年の分布調査で捕獲した個体の種を同定するために、分子系統解析を行った。組織試料の全DNAを抽出するために、まず、1×リン酸バッファーで組織を洗浄し、エタノールを除去した。次に、DNeasy Blood & Tssue kit(Qiagen)を用いて、Buffer ATLに20 µLのProtease Kを添加して56°Cで3時間静置してタンパク質を分解し、プロトコルにしたがってゲノムDNAを抽出した。mtDNAのシトクロムb(Cytb)領域の部分領域をL14850(5′-TCT CAT CCT GAT GAA ACT TTG GCT C-3′)とH15410(5′-GTC TTT GTA GGA GAA GTA TGG-3′)(Tanaka et al. 1996)のプライマーペアでPCR増幅した。PCR反応液はTaq DNA Polymerase(Qiagen)を使用した。PCR反応液の組成は、鋳型となるゲノムDNA溶液を2 µL, 10×PCR Buffer(1×)2 µL, 25 mM塩化マグネシウム溶液を0.8 µL, 各2 mMのdNTPsを2 µL, 5 units/µLのTaq DNA Polymeraseを0.1 µL, 10 µMのプライマー(10 µM)を各0.5 µLとSigmaWater(Sigma aldrich)を12.1 µLを混合して合計20 µLとした。PCR増幅反応は94°C(3分間)の初期熱変性の後、94°Cで30秒(変性)、52°Cで30秒(アニーリング)および72°Cで40秒(伸長)の3ステップを35回繰り返し、その後72°Cで10分間の最終伸長を行った。アガロースゲル電気泳動法で目的の増幅鎖長である約600 bpの増幅を確認した後にPCR産物を精製し(Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System, Promega)、塩基配列を取得した(ユーロフィンジェノミクス株式会社)。得られた相補的な2つの配列から1つのコンセンサス配列を得た。

GenBankからナゴヤダルマガエルおよび日本に生息するトノサマガエル、トウキョウダルマガエルPelophylax porosus porosus、外群としてフッケンプランシーガエルPelophylax fukienensisの配列データ(アクセッション番号は付録1 表1を参照)を入手した。本研究で得られた配列とともにClustalWでアライメントし、共通の領域を残してトリミングを行った。トリミングされた559 bpの配列をもとに近隣結合法(NJ法)で系統樹を構築し、Bootstrap法による繰り返し分析を1000回行い、分岐を評価した。アライメントおよび系統樹の構築は、ソフトウェアMEGA(ver.11.0.13)を用いた。構築した系統樹から、はす川流域で捕獲された個体の種同定を行った。

土地利用・地形解析

対象種の在データを説明する環境変数のデータを得るために、両生類の分布推定モデルを作成した過去の研究(Blank and Blaustein 2012; 大城ほか 2015; 草野 2016; 阿部 2017)を参考にして、土地利用に関わる3つの変数(水田面積、その他の農用地面積、人工物面積)と地形に関わる4つの変数(平均標高、平均傾斜角度、林縁距離、地形湿潤指数[TWI])を環境変数として使用した(表1)。なお、土地利用に関わる3つの変数は、対象種の生息に影響を与える空間スケールを考慮するために、複数の空間スケールを検討したが、地形に関わる4つの変数については、水田が立地する環境のデータを使用するため、個別に特定のスケールを使用した。

表1. Maxentモデルの作成に使用した環境変数

環境変数メッシュサイズ単位平均値最小値–最大値
水田面積300 mm268589.71613.0–90018.0
その他の農用地面積300 mm21203.20.0–25316.0
人工物面積(1)200 mm23834.40.0–39126.0
人工物面積(2)300 mm29472.30.0–82140.0
平均標高250 mm24.62.6–133.3
平均傾斜角度250 m°2.50.1–24.9
地形湿潤指数(TWI)300 m0.50.0–1.0
林縁距離100 mm311.119.5–853.2

「水田面積」「その他の農用地面積」「人工物面積」は、国土数値情報ダウンロードサイトが提供する平成28年度作成の「土地利用細分メッシュデータ」(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-L03-b.html, 2024年2月19日確認)(100 mメッシュ)を使用し、100 mメッシュから500 mメッシュまでの5つの異なる空間スケールで、メッシュ内の土地利用面積を算出した。「水田面積」と「その他の農用地面積」は、それぞれ土地利用種「田」と「その他の農用地」から集計した。「人工物面積」は、土地利用種「建設用地」「道路」「鉄道」「その他の用地」を合わせた面積とした(土地利用種の定義は付録1 表2を参照)。「平均標高」「平均傾斜角度」は、国土交通省の国土数値情報ダウンロードサイトが提供する平成23年度作成の「標高・傾斜角度5次メッシュ」(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-L03-b.html, 2024年2月19日確認)(250 mメッシュ)を使用した。TWIは土地の湿潤状態を示す指標であり、評価対象となる地域の集水面積が大きく、傾斜が小さいほど大きな値となり、湿潤な環境になりやすいことを示す(生物多様性センター「生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の基礎情報」https://www.biodic.go.jp/Eco-DRR/detail.html, 2024年2月19日確認)。本研究では、ASTER GDEM Project(https://www.jspacesystems.or.jp/ersdac/GDEM/J/, 2024年2月19日確認)が提供するGDEMデータを300 mメッシュに変換した後に、生物多様性センター(https://www.biodic.go.jp/, 2024年2月19日確認)のウェブサイトに掲載されているデータ作成方法に従って算出し、調査領域を対象に0–1の範囲で正規化した。林縁距離は上述の「土地利用細分メッシュデータ」(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-L03-b.html, 2024年2月19日確認)をもとに、土地利用が森林のメッシュから100 m間隔で最短距離を算出した。

土地利用に関わる3つの変数については、両種の分布を最も説明できる空間スケールを特定するために、各変数を単変量とした受信者操作特性(ROC: receiver operating characteristic)解析を実施し、得られる曲線下部面積(AUC: area under the curve)の値が最も高くなる空間スケールを特定した(Bellamy et al. 2013; 藪原ほか 2022)。以上の解析には、R 4.4.1(R Core Team 2024)のパッケージ”ENMeval”(Kass et al. 2021)を使用した。

各調査地点は環境変数のメッシュデータの中心から外れていたため(付録2 図1a, b)、メッシュデータの値が対象種の生息が確認された地点の環境特性を正確に表現していない可能性がある。このため、これらのデータセットを用いて学習した分布推定モデルは、対象種の生息適地を正確に推定できない可能性があった。したがって、調査地点周辺の環境特性をより正確に反映するために、調査地点からバッファを生成し、バッファ内の環境変数を算出した。水田面積、その他の農用地面積、人工物面積は、対象種の最適な空間スケールであるメッシュの面積と近似値となるバッファを生成し、バッファ内の各土地利用の面積を算出した(付録2 図2a, b)。平均標高、平均傾斜角度、TWIの環境データは、調査地点を中心とした半径100 mのバッファ内で、各メッシュやポリゴンの面積に応じて重み付けした平均値を算出した(付録2 図2c, d)。バッファの半径を100 mにした理由は、バッファ内に調査を行った水田および隣接する水田が含まれるようにすることで、調査地点周辺の平均的な地形のデータを算出するためである。上記の通り作成したデータセットを「学習用データセット」、バッファ生成前のデータセットを「推定用データセット」とした。そして、2つのデータセットは「土地利用細分メッシュデータ」で「水田」と定義されている地域のみを抽出し、統一のピクセル数(幅1358, 高さ854)のEsri ASCII形式に変換した。TWIデータはArcGIS、その他の環境データはソフトウェアQuantum GIS(QGIS, ver.3.30.2)を用いて作成した。ラスタデータからASCII形式への変換はソフトウェアQGISを使用した。

分布推定モデル

Maxentによる生息適地の推定モデリングでは、対象種の在データと環境データを入力する必要がある。分布調査で記録したナゴヤダルマガエルとトノサマガエルの個体数データは、在データに変換して使用した。環境データには、先述の「推定用データセット」と「学習用データセット」を使用し、「学習用データセット」によって構築した分布推定モデルを「推定用データセット」に内挿することで、はす川流域におけるナゴヤダルマガエルおよびトノサマガエルの生息適地を推定した。

Maxentはregularization multiplierとfeature classというパラメータを適切に調整することで、モデルの精度向上が期待される。本分析では、AICcが最小となるregularization multiplierとfeature classの組み合わせを選択した(Warren and Seifert 2011; Radosavljevic and Anderson 2014; Phillips et al. 2017)。なお複雑な予測式は、データの過学習を引き起こすリスクがあり、結果の解釈を困難にしたり、新たなデータに対する推定精度を低下させたりすることが指摘されている(Merow et al. 2013)。したがって、本研究では過学習を回避するために、regularization multiplierを1–3の範囲に、feature classは線形、二次関数またはその2つの組合せに限定した。また、分布推定地図の出力方法はCloglogに設定した。

Maxentによる解析結果の解釈のために、補足的に環境変数間の相関係数を求めた。その結果、変数の間で高い相関が認められなかったため(付録1 表3)、ナゴヤダルマガエルとトノサマガエルとも、7つの環境変数すべてを用いたモデルを構築した。

モデルの精度は、AUCをもとに評価した。AUCは、モデルが観察された在地点と不在地点をそれぞれ在・不在と正しく推定する能力の高さを評価する指標で、0–1の範囲を取る(石濱 2017)。一般的に、AUC値が0.9以上のモデルは精度が優秀、0.7–0.9のモデルの精度は中程度、0.7を下回るモデルは精度が低いとみなされる(Swets 1988)。

AUCは特性上、不在地点を正しく「不在」と推定する能力のみが高い場合も値が上昇する。そのため、対象領域の中に対象生物が明らかに生息できない地点を多く入れると不在地点を「不在」と推定する割合が増加し、AUC値が上がる(石濱 2017)。本研究のように、水田が主な生息域となっている種の生息適地推定モデリングに、森林を多く含む地域を学習データに含めてしまうと、これによってAUC値が上昇して、見かけ上の精度が高くなる場合がある。このため、本研究では、対象種の主な生息域とはなっていないことが想定される山地や森林、住宅街等はモデル解析の範囲から省いた。

カエルの生息確率に対する各環境変数の重要度は、Permutation importanceと呼ばれる評価基準を用いて評価した(草野 2016)。Permutation importanceの原理は、以下の通りである。モデル作成に使用した環境変数の中から対象の変数を選び、ランダムに並び替える。そして、再度モデルを作成してAUC値の減少を求める。対象の変数が有用な特徴を持っていた場合、再度作成されたモデルのAUC値は著しく低下する。そのため、AUC値の減少が大きいほど、対象とした変数が推定に大きな貢献をしているとみなすことが出来る。以上の解析は、環境変数間の相関係数の算出は、Rパッケージ、“raster”、“corrplot”、分布推定モデリングは、Rパッケージ“raster”、“ENMeval”および“dismo”を使用して、ソフトウェアMaxent(ver. 3.4.4)を実行することで行った。

結果

外部形態から種同定したナゴヤダルマガエルとトノサマガエルの生息分布

2022年と2023年の若狭町はす川流域での分布調査の結果を図2に示す。分布調査で確認された個体を背中線の有無から種同定した結果、ナゴヤダルマガエルが89個体、トノサマガエルが36個体であった。また、湾曲した背中線を有していた1個体は種不明とした(付録2 図3)。全45地点中、ナゴヤダルマガエルは28地点で生息が確認され、その分布は、はす川流域の中流域から、三方湖周辺の下流域までの水田に偏っていた(図2a)。一方、トノサマガエルは18地点で生息が確認され、はす川流域の広範囲に渡って分布していた(図2b)。両種の生息が重複している10地点は、はす川流域の中流域から下流域にかけて点在していた(図2c)(年別の分布調査の結果は付録2 図4を参照)。

図2. 2022年および2023年に実施した分布調査の結果。(a)はナゴヤダルマガエルの分布、(b)はトノサマガエルの分布、(c)は両種の分布を統合したものを示す。■はナゴヤダルマガエルが生息、〇はトノサマガエルが生息、△は両種がともに生息、×は両種がともに不在だった地点を示す。

分子系統解析による種同定

2022年に捕獲された計105個体のカエルのCytb部分領域による系統解析の結果、72個体がナゴヤダルマガエル、31個体がトノサマガエルと判別された(図3)。外部形態から種が同定できなかった1個体はナゴヤダルマガエルと同定された。PCR増幅はされたが、塩基配列が読み取れなかった個体が2個体いた(形態観察ではナゴヤダルマガエルと判別)。PCRで種同定をすることができた個体に関しては、背中線の有無による種同定の結果と一致していた(適合率100%)。

図3. mtDNAのCytb分領域に基づいたNJ系統樹。PBはナゴヤダルマガエル、PNはトノサマガエルを示す。Taipei, Taiwan fukは外群のPelophylax fukienensisを示す。また、Nagano, Nagano PPは長野県長野市のトウキョウダルマガエルを示す。Wakasa, Fukui PBとWakasa, Fukui PNははす川流で捕獲された個体が形成していたハプロタイプを示す。●ははす川流域で捕獲された個体のうち、Wakasa, Fukui PBおよびWakasa, Fukui PNに属さなかった個体を示す。数値はブートストラップ値を示す。

Maxentを用いた分布推定

Maxentによる単変量解析に基づき、土地利用変数の最適な空間スケールを比較したところ、ナゴヤダルマガエルでは、いずれの変数も300 mメッシュで最も推定精度が高かった(付録2 図5a)。トノサマガエルでは、水田面積およびその他の農用地面積では300 mメッシュ、人工物面積では200 mメッシュで、最も推定精度が高くなった(付録2 図5b)。

ナゴヤダルマガエルとトノサマガエルの分布推定モデルにおけるAUC値は、それぞれ0.703と0.757でともに0.7を越えており(表2)、生態系保全の場で実用上問題ない精度が得られていた(Swets 1988; 阿部 2017)。生息確率の推定を示した分布地図によると、ナゴヤダルマガエルははす川流域の下流域の水田地帯で生息確率が高く、中流域で生息確率が低かった(図4a)。一方、トノサマガエルでは、はす川流域の下流域の山際から離れた水田で特に生息確率が低かった(図4b)。

表2. Maxentのモデルの設定と評価指標。Features:応答曲線の形状を決めるfeature class, Qはquadratic(二次関数)、β:正則化の程度を決めるRegularization multiplier、AUC: area under the curve

FeaturesβAUC
ナゴヤダルマガエルQ20.703
トノサマガエルQ20.757
図4. 分布推定地図。(a)はナゴヤダルマガエル、(b)はトノサマガエルの潜在的な生息適地を示す。カラーランプは暖色に近いほど対象種の生息確率が高く、寒色に近いほど生息確率が低いことを示す。

ナゴヤダルマガエルの生息確率に対する環境変数の重要度は「平均標高」が最も高く(71.8%)、次いで「水田面積」が重要であった(28.2%)(表3)。応答曲線の結果では、平均標高が20 mを越えると生息確率が0.4を下回った(図5a)。また水田面積は、300 mメッシュ内の水田面積は、0–90,000 m2の範囲内で生息確率が一定であった(図5a)。トノサマガエルの生息確率に対する環境変数の重要度は「水田面積」が最も高く(52%)、次いで「TWI」、「林縁距離」の順に高かった(それぞれ、35.9%、12.2%)(表3)。応答曲線の結果、トノサマガエルの生息確率は300 mグリッド内の水田面積と負の関係を示し、水田面積が60,000 m2を超えると生息確率は0.5を下回った。(図5b)。また、トノサマガエルの生息確率はTWIおよび林縁距離と負の関係を示し、林縁距離が200 mを超えると生息確率は0.5を下回った(図5b)。

表3. 生息確率に対する環境変数の重要度(%)。Maxentモデルが算出したPermutation importanceを基準に評価した。

環境変数変数の重要度(%)
ナゴヤダルマガエルトノサマガエル
水田面積28.252.0
その他の農用地面積0.00.0
人工物面積0.00.0
平均標高71.80.0
平均傾斜角度0.00.0
地形湿潤指数(TWI)0.035.9
林縁距離0.012.2
図5. 環境変数と生息確率の応答曲線。縦軸は対象種の生息確率、横軸は環境変数の数値を示す。上段のグラフ(a)はナゴヤダルマガエル、下段のグラフ(b)はトノサマガエルの応答曲線を示す。

考察

分布推定モデル

ナゴヤダルマガエルの分布推定地図は、本種がはす川流域の下流域で生息確率が高く、中・上流域で生息確率が低いことを示した(図4a)。また応答曲線は、平均標高が低いほど生息確率が高いことを示した(図5a)。以上の結果は、はす川流域の下流域の平均標高が低い場所がナゴヤダルマガエルの生息に適していることを示唆している。これらの場所は三方湖に近く、湿田または半湿田が広がっており(農業・食品産業技術総合研究機構 2021)、湿潤な環境となっている。一方、土地の湿潤状態を示すTWIの重要度は0%であった(表3)。TWIの値は谷で高く尾根で低くなるため、湿潤環境になりやすい谷津田では中程度の値になる(夏原 2021)。そのため、谷津田と平地の水田が混在するはす川流域ではTWIと水田の湿潤状態が不明瞭な応答を示し、TWIの重要度が低下した可能性がある。

トノサマガエルの分布推定地図(図4b)では、山際から離れた平地に位置する水田で生息確率が低いことが示された。また、林縁距離と生息確率の応答曲線では、林縁距離が増加するほど生息確率が低下する傾向が確認された。さらに、TWIおよび水田面積も生息確率と負の関係を示した。これらの結果は、林縁から離れた低地の湿潤な水田よりも、林縁付近の水田が本種の生息適地である可能性を示唆している。トノサマガエルの繁殖期の生息地選択は、非繁殖期の生息地からの距離の影響を受ける(Nakanishi et al. 2020)。非繁殖期のトノサマガエルは水田から離れた森林も利用する個体もいるため(松井・前田 2018; Nakanishi et al. 2020)、山際付近の水田はトノサマガエルの繁殖適地となっている可能性がある。

ナゴヤダルマガエルとトノサマガエルの流域内の局所的な分布パターンの原因

はす川流域では、ナゴヤダルマガエルは主に下流域に、トノサマガエルは流域全体にまばらに分布していたが、山際付近の水田に多い傾向があり(図2)、両種の分布は景観スケールで異なる傾向を示していた。このような分布の違いは、繁殖期における両種の生息地選好性の違いに起因すると考えられるが、両種の間に働く負の種間相互作用も要因の一つである可能性がある。繁殖干渉は個体数密度の多い種に有利に働き、空間分布のクラスター化を促進する(Kuno 1992; Nakanishi et al. 2020)。はす川流域の下流域はナゴヤダルマガエルの生息適地であるため、山際付近と比較して、ナゴヤダルマガエルが高密度に生息していると考えられる。その結果、下流域ではトノサマガエルに不利な繫殖干渉が発生し、トノサマガエルの分布が山際付近の水田に追いやられた可能性がある。一方で、標高が高い上流域は、湿性環境を好むナゴヤダルマガエルの生息に適していないため、トノサマガエルと比較して個体数密度が低いと考えられる。したがって、上流域ではナゴヤダルマガエルに不利な繁殖干渉が発生し、ナゴヤダルマガエルの分布が確認されなかった可能性がある。

本研究では、分布調査の結果が過小評価である可能性や、偽陰性を含む可能性を考慮し、分析手法として在データのみを使用するMaxentを使用した。Maxentは、学習データとして、調査地域全域をカバーした環境データを必要とするため、異種の在・不在データや個体数を説明変数として使用することができない。したがって、若狭町における両種の繁殖干渉の方向性について考察するには、Nakanishi et al.(2020)のようにメイティングコールから両種の個体数を推定し、改めてMaxent以外の分析をする必要がある。

モデルで使用した環境変数の選択における留意点

本研究で作成したモデルは、環境変数として景観スケールにおける土地利用および地形要素を使用した。しかし、生物の分布は、今回使用した景観スケールの要因以外からも影響を受けている可能性がある(Blank and Blaustein 2012)。例えば、水田の農事歴の違いは水田の水域を生息地として利用する生物にとって非常に重要な要素である(村上・大澤 2008)。そのため、各水田の栽培型を示した質的な環境データは、モデルの精度向上に寄与する可能性がある。農事歴の具体的な日程は、農業者の私事都合による場合が多い。よって農事歴の違いをデータとして用いるためには、対象地の水田に高頻度で通い状況を観察したり、農業者に直接話を聞いたりする必要がある。

また、今回の研究では対象領域に対して気象データは空間解像度が低く、隣接した調査地点間で気象の違いを比較出来なかったため、環境変数として気象要因を入れなかった。微気象条件を考慮することで、ナゴヤダルマガエルとトノサマガエルの生息環境条件の理解が、さらに深まる可能性が考えられる。

ナゴヤダルマガエルの保全対象地の選定

今回作成した分布推定モデルは、ナゴヤダルマガエルの保全を検討する場合に有益な情報を提供できる。ナゴヤダルマガエルの分布推定地図は、はす川流域の下流域の水田地帯がナゴヤダルマガエルの生息適地であることを示した(図4a)。それに加えて、トノサマガエルの分布推定地図では、下流域でトノサマガエルの生息確率が低いことも示した(図4b)。両種の分布と景観要素との関係から考えると、この地域では現在、ナゴヤダルマガエルとトノサマガエルの異種間抱接や交雑の頻度が低いと考えられる。以上の理由から、はす川流域において、ナゴヤダルマガエルの保全を行う場合は、下流域の水田地帯が適していると考えられる。

本研究の結果から、ナゴヤダルマガエルとトノサマガエルが繁殖期に利用する水田は、周辺の景観要素によって異なる傾向を示すことが分かった。琵琶湖周辺の水田地帯や愛知県犬山市では、ナゴヤダルマガエルは主に平野部の水田に生息し、トノサマガエルは標高の高い地域から山間部、平野部まで広く分布していることが報告されている(Nakanishi et al. 2020; 大仲 2022)。したがって、両種の在データと水田周辺の景観要素から、保全適地を推定する本手法は、両種がともに生息する他の地域においても有用である。

まとめ

本研究では、水田周辺の土地利用と地形に関する景観要因に焦点を当て、福井県若狭町のはす川流域に生息するナゴヤダルマガエルおよびトノサマガエルの繁殖期における生息地の選好性を明らかにする目的で分布調査を行った。取得した分布データを用いてMaxentによる生息適地の推定モデリングを行った結果、両種の生息確率は標高および水田面積、林縁距離、TWIから影響を受け、景観スケールで異なる分布の傾向を持つことが示唆された。本研究で得られた知見をもとに保全の優先度が高い水田を選定し、先行研究(多田ほか 2019, 2023)で報告されている保全的な水田管理を行うことで、より効果的にナゴヤダルマガエルの個体数回復が期待される。また、カエル類は水田生態系の健全さを測る指標生物となることから、ナゴヤダルマガエルの個体数回復を目的とした保全策は水田生態系全体の多様性回復に繋がることが期待される。

謝辞

本研究は、福井県立大学の地域連携研究推進支援による援助を受けた。藪原佑樹氏には解析に関するアドバイスを頂いた。また、3名の匿名査読者からは数多くの貴重なご助言を頂いた。そして、カエルの分布調査を行うにあたり、若狭町の農家の方々には多大なご協力を頂いた。ここに感謝の意を表する。

付録

付録1 表1. 分子系統解析に使用した参照配列の情報。

付録1 表2. 環境データの作成に使用した土地利用細分メッシュデータの土地利用種別とその定義。

国土数値情報ダウンロードサイトから取得した(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/codelist/LandUseCd-09.html, 2024年7月17日確認)。

付録1 表3. 環境変数間の相関係数。

付録2 図1. 環境データのメッシュと調査地点の位置。

図中の○は調査地点、赤い格子は(a)がQGISで生成した300 mメッシュ、(b)が国土数値情報ダウンロードサイトから取得した「標高・傾斜角度5次メッシュ」のメッシュを示す。

付録2 図2. 予測用データセットと学習用データセットの概略図。

図a, cは予測用データセット、図b, dは学習用データセットを示す。各図の正方形は隣り合ったメッシュデータを示し、●は調査地点を示す。図b, dの円は調査地点を中心に生成したバッファを示す。水田面積、その他の農用地面積、人工物面積は、バッファ内の土地利用の面積から算出した(b)。平均標高、平均傾斜角度、TWIはバッファ内に含まれる各環境変数の数値ごとのメッシュおよびポリゴンの面積の割合に応じて、重み付けして平均値を算出した。

付録2 図3. 形態から種を同定できなかった個体。

主な判断基準である背中線が湾曲していたため、本研究では、「種不明」とした。mtDNA系統解析では、はす川流域特有のハプロタイプを有するナゴヤダルマガエルであるという結果が得られた。

付録2 図4. 年別の分布図。

(a)は2022年、(b)は2023年に実施した分布調査の結果を示す。■はナゴヤダルマガエル、〇はトノサマガエルが生息していた地点を示す。△は両種がともに生息していた地点、×は両種がともに不在だった地点を示す。

付録2 図5. 各土地利用要因における空間スケールとAUCの関係。

縦軸はAUC、横軸は変数の空間スケールを示し、●は水田面積、▲はその他の農用地面積、■は人工物面積のAUCの推移を示す。(a)はナゴヤダルマガエル、(b)はトノサマガエルにおける各土地利用要因のAUCの推移を示す。

リンクが示されていない付録は本文のオンラインサイトに掲載。

https://doi.org/10.18960/hozen.2405

引用文献
 
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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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